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「白い人」より。静かなサディストって一番怖いということがわかった。ストーリー自体も、漫然と読むと背景描写が静か過ぎて、展開の強烈さを時々見失いそうになってしまう。
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遠藤周作のイメージが変わった。信仰についてハードコアに突き詰めた作品。
白い人
舞台は第二次世界大戦中のリヨン。不器量な容貌で厳格な親のもとに育ち、抑圧された主人公は女中が犬を折檻しているのを目撃してサディズムに目覚め、アデンで少年を襲う。
学校に入ってから、神学生に心酔する女生徒の下着を盗み、舞踏会に呼び出して踏みにじる。
自らの異常性を隠し善良な天使を母の前で演じ続け、母の死を見届ける。
かつて自分が踏みにじった女生徒と神学生が教会で信仰の道に生きているのをのぞき見ると、フランス人であるにも関わらずナチスに入隊し拷問に明け暮れる。
あの神学生がナチスに囚われ、自分の担当となると、彼とともにいた女学生も捕えてきて神学生に自白か女学生への乱暴かどちらかを迫る。
自室に女学生をつれこみ、神学生の身の危険をほのめかしながら
乱暴する。神学生は拷問の末、教えにそむいて自殺し、女生徒は発狂する。
主人公は言いようのない悲しさを覚えるのであった。
「黄色い人」
第二次世界大戦中の神戸。教えに背き不倫をし白眼視される神父は、自らの罪に苦しみ続ける。出征中の婚約者を裏切って内通する主人公。拳銃を隠し持っていることを警察へ密告し、家宅捜索に合う神父。「なむあみだぶつ」と唱え、すべてをあるがままに呑み込んで半ば自堕落に暮らす人々。
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遠藤周作さんの初期の作品で、確か「白い人」で芥川賞を受賞したらしい
遠藤周作さんの作品には宗教的な「神」という命題を常に感じる。
「白い人」では、主人公の母親や神学生などキリスト教の戒律を厳しく守る人に反発する姿を描いたり、
「黄色い人」では、信仰を持たない日本人の「神を持たない日本人の精神的な悲惨、ないし醜悪を描くこと」その姿勢が見られる。
そういう視点を持つと、興味深い。
『海と毒薬』という作品ではこのテーマが深められているらしい。見てみようと思う^^
Posted by ブクログ
買ったのは15歳。読んだのは19歳になってから。ほっといてごめんなさい。
読後の言い表しきれない問題感。信仰というものにここまで冷静なものの見方が出来るなんて尊敬と言う言葉で済ませていいでしょうか?