【感想・ネタバレ】炎立つ 四 冥き稲妻のレビュー

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Posted by ブクログ

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藤原経清と結有の子・清衡が主人公となり、前九年の役後から後三年の役後までを描いている。
清衡の半生はひたすら忍耐に次ぐ忍耐の日々で、読んでいるこちらも辛く、ときには我慢ならなくなりながら物語を追った。
清衡は「経清と貞任の思い描いた楽土の夢」「民のための国」という念願を成就させるために耐え続け、ついにそれを成し遂げる。
ここまで来るのにどれ程の血が流れたのかを考えると、虚しくも感じる。しかし、遂に父や安倍一族、物部氏の大きな夢が果たされたのだった。
それにしても、高橋克彦さんの想像力に圧倒される。

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2022年01月12日

Posted by ブクログ

ネタバレ

後三年の役を舞台にした東北武士の物語。ここから奥州藤原氏は始まる。源義経を理解するならここから読み始めろ!!


 東北の歴史はブツブツと知る程度だけれど、脈々と続いていたことがよくわかって、歴史の勉強としても非常に理解が深まる。確かに正史ではないかもしれないけれど、この解釈は非常に納得がいく。というか、気持ちいい。


 前巻までの安部貞時や藤原経清らのように熱い感じは少ない。だけれど、生き残るには生死をかけないといけない、弱肉強食の時代を感じられる壮絶さを描いている。迫力ある描写は読みごたえあり。なんていうか…ページをめくるとその先は、血でべっとりしてる!!



 藤原清衡は…、我慢強かったから藤原清衡になれたんだろうと強く感じた。
 武士道とは「潔いこと」だと新渡戸稲造の著書で勘違いが広まってしまった。本当は、「初志貫徹」こそが武士道である。己の定めた崇高な志を実現するために、どんな困難も耐え、壁を乗り越える。
 「志」という不定形の物のために己を捨ててまで執着する。その心意気が「武士道」なのである。
 清衡にはその武士道を感じる。父である経清のようにプライドであっさり志を諦めるような体裁を気にする男じゃあない。
 江戸時代に作られた美学的武士像。そういうんじゃなない、リアリストな当時の武士像がわかる。

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2015年09月04日

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後三年の役と奥州藤原氏の成立を描く第4巻。安倍氏と源氏の争いだった前九年の役と比べると、スケールも登場人物もスケールダウンの印象も、高橋克彦氏の筆の冴えはさすが。はずれ無しです。

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2014年11月16日

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平安後期の陸奥を舞台にした全五巻の長編。
第一巻~第三巻はいわゆる前九年の役での安倍氏と藤原経清、源氏を巡る話。
第四巻は藤原経清の遺児、清衡が後三年の役を通じて安倍氏の血を再興するまでの話。
第五巻は奥州藤原氏が滅亡する際の源義経との関わりを描く話。
本巻(第四巻)は、第一巻~第三巻のエピローグ的な位置づけか。あとがきで著者が書いているところでは、藤原清衡の人物像をどのように描くかが難しかったとのこと。但し、清衡が実際にどのような人物であったとしても、前九年の役の敗者であったはずの安倍氏と藤原経清の血が勝者の清原氏を最終的に呑み込んでしまう経緯は、あたかも貞任と経清の恨みがそうさせたようで、史実の面白さをあらためて感じさせる。

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2012年08月26日

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