【感想・ネタバレ】里山資本主義 日本経済は「安心の原理」で動くのレビュー

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Posted by ブクログ 2023年11月16日

十年前の本だが、今の社会にも通じるメッセージ溢れる内容だった。日本社会の解像度の低い、抽象的な話ではなく、マイクロな視点で、課題やそれに取り組む事例を掘り下げている。
地方移住の促進や、コロナによる価値観の再考もあって、図らずも里山資本主義者は増加しているように思われる。

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Posted by ブクログ 2022年03月23日

地方で生活したいと思っているものにとって、具体的な例などがあること、高齢者がイキイキと生活していることなど明るい気持ちになることができた。

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Posted by ブクログ 2022年02月07日

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やはり自然が好きだ。この分野でお金を産むことができたらどれほど楽しいだろうかと妄想してしまう。オーストリアのような確立されたバイオマス文化を作れたら面白いだろうな。(エネルギー事業、エンターテイメント事業、キャンプ、教育、食…)飯能などを舞台にクラファンとかを使って事業を起こせないだろ...続きを読むうかと考えてしまった。
オーストリアで林業を学ぶのもアリだよな。
里山資本主義とは地域内で完結するものは完結させようという運動。かつ開かれた地域主義。
マネーに依存しないサブシステムの構築。(自然×人間関係×テクノロジー)
筆者の主張は一貫して、お金に依存した社会から脱却して、食料・燃料・水を自ら調達してマネー資本主義と共存したしなやかな世界を生きようというものであった。そして後者の生き方を里山資本主義と呼び、さらにそこで職を生み出していることも含め、それを実現している人々の生活をオーストリアの例も交えながら具体的に解説していた。
今まで家庭菜園を通した食の安定的な確保や余り物を媒介にしたコミュニティづくりは学生時代に目にしてきたのでそこまで目新しさを感じなかったが、燃料を自らかつエコシステムで調達している事例は初めて出会ったので衝撃的だった。小さなまち単位でもいいから木質バイオマスエネルギーを普及させてみたいと思ってしまった。飯能でできないだろうか。
この世の中(マネー資本システム)はまれに災害やウイルスの蔓延、石油などの化石燃料の高騰などにより一時停止することがある。未曾有だとか、今までにないなどと言ってパニックになるのではなく、これを念頭に置いて暮らしていくと余計な不安を抱えずに生きることができるなと思った。里山を使いこなしていた先人から学び、今の社会システムに組み込んで柔軟な生き方をしていきたい。近くに親がいるなら子どもを任せてもいいし、近所の人に面倒を見てもらってもいいし、誘導しつつ状況に合わせて柔軟に生き方を変えていく。まずは家庭菜園からだなぁ。
■マネー資本主義のアンチテーゼの体現
1.物々交換(⇆貨幣を介した等価交換)
2.小規模経済(⇆規模の利益)
3.一事業者多事業(⇆分業の原理)

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Posted by ブクログ 2021年04月17日

「人新世の資本論」に続いて、現代社会を大幅に見直すきっかけとなる本。
今までの金儲け中心で大量消費社会に疑問を持ち、多くの地方で後期高齢化の深刻さがジワジワと影響を広める中で1つの解決策として提案されているのが里山資本主義。
地方をネガティブなイメージで見るのではなく、これからの日本のイノベーション...続きを読むの最先端へと変える中心地としてこれから益々見直されて変革していくと思われる。
里山資本主義は環境面で優れているだけではなく、地域内でのお金の循環システム(ある意味これが脱成長コミュニズムの理想型なのか?)であり、コロナ禍において見直されるこれまでの社会のあり方に対して革新的な提言を示している。
ああ!早く田舎に移住したい!

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Posted by ブクログ 2021年02月21日

オーストリアのエネルギー自給やあえて国内の田舎暮らしを好んで充実した日々を送る若者…
自然の資源日目を向ければどこでも充実した日々を送れるという具体例を書いている
とても良い考え

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Posted by ブクログ 2021年01月03日

 藻谷浩介氏の書いた「デフレの正体」も素晴らしい本だったけれど、この本はもっと凄い本だと思う。多くの識者がいろんな本を書いているけれど、この人こそ時代の問題に対して正面から向き合って、何にも迎合せずに書いていると言えるのじゃないかな。特に多くの経済学者が金融緩和政策やらMMTやら、怪しい理論で時代に...続きを読む迎合していますが、彼の視点は本当の幸福や日本の将来についてまっすぐ考えています。
 里山資本主義とは、お金の循環が全てを決するという前提で組み立てられた「マネー資本主義」の経済システムの横に、こっそりと、お金に依存しないサブシステムを再構築しておこうという考え方です。
 里海資本論を読んだら再読したくなって再読しましたが、少しも古くなっていない。むしろ日本の直面する問題がより深刻になっている現在、ますます里山資本主義は重要になってきていると思いました。

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Posted by ブクログ 2020年10月26日

現在のマネー資本主義の限界を見据え、そのバックアップシステムとしての里山資本主義を提唱している。お金をもって自然と対峙し、刹那的行動が支配する考え方から脱して、自然の循環の中で生かされることを実感し、人々のつながりによって役に立っているというかけがえのない自分を感じられる一昔前の価値観を見直している...続きを読む。オーストリア、中国山地、瀬戸内海の島のそれぞれの具体例も面白い。最後にある、人口減少社会における経済的問題の解決の発想も参考になる。

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購入済み

地方力の活用ってことかな

2014年04月14日

一言で言ってしまえば、地方力の活用ってことかな、と思いました。
本書で取り上げられている個々の事例、オーストリアのCLTや真庭のバイオマス発電などは、テーマとして面白いです。地方には地方でしか成しえないイノベーションがあって、それをうまく使って生き延びていこうということですね。

別に「マネー...続きを読む資本主義との決別」って大上段に振りかざす必要はないと思うけど、これから人口が減少していく日本でかつてのような経済成長を夢見ることはできないのはまぎれもない事実なんですから。

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Posted by ブクログ 2023年12月28日

日々、企業人としてマネー資本主義の中に生きているわけだが、環境問題に少子高齢化、最近は海外できな臭い話題も多く、それとあまりに遠い自身の活動に果たしてこれでいいのか、マネー資本主義のままじゃダメなんじゃないかと思う中で購読。
木屑によるバイオマス発電で地域に必要な分の電力を賄う、若者が移り住んで(都...続きを読む会と比べて)スローライフで自身を取り戻す…どれも素晴らしいし憧れる気持ちもある。が、独りならともかく家族、特に子どもがいて教育を考えるとなかなか手が届かない世界のように感じる。日本の処方箋としては弱い気がした。

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Posted by ブクログ 2022年11月02日

お金の循環が全てを決するという前提の「マネー資本主義」に対して、身近にある資源活用に着目し、お金がなくても水・食料・燃料が手に入る仕組み「里山資本主義」を提唱する。NHKのドキュメンタリー番組を元に書かれた本で、発売から3か月で16万部が売れたとか。

発売されたは2013年。東日本大震災により、都...続きを読む市部での計画停電や物流の脆弱さ、原発への不安といった経験から、お金に頼らない安心安全なエコシステムを作る大切さを説く。当時は東日本大震災であったが、今はコロナや戦争、食糧難など、昨今の情勢に当てはめてもやはり里山資本主義はもっと注目されてしかるべきと思う。

本書で取り上げられていた指標が興味深かった。通常国単位で見る貿易収支を、地方自治体ごとに見る考え方だ。要は地方自治体の中でどれだけ自給できているか、域内で経済を循環できているか。結論としては石油・電気・ガスを買うために多くの金額を域外、ひいては国外に払っており、一番の赤字要因になっている。一方、地下資源に乏しくロシアといった国外からのエネルギーに依存しているオーストリアは、10年も前から危機感を持ってエネルギー自給への転換に取り組んでいるという例は、昨今の情勢を踏まえるとさらに興味深かった。10年前に例として紹介されていた取組や企業を検索しながら読み進めると、時間の経過によって導き出されたとりあえずの「答え」も見えて面白い。

自分自身も結婚を機に昨年東京から地方へ移住し、オットの実家の裏山から持ってきた木で薪ストーブを燃やすようになった。畑仕事を終えて、温泉で話しているおばあちゃんたちは本当に元気だなと思うし、東京では感じられなかった自然のありがたみや季節の移ろいを感じて、非常に充実感を得ている。東京にいたときよりも、断然里山資本主義に近い暮らしをしている点で、力を込めて本書を読んだ。続編も読んでみよう。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2022年08月05日

経済100年の常識
 →たくさん稼いで、たくさんお金を遣う
都会はスマートシティへ
楽しくなければ定住してもらえない
 →稼ぐのは都会に勝てない
林業で重要なこと
 →森林が持続的に良好な状態であるようにする
 →元手に手をつけず、利子で生活が理想
生きるのに必要なのは水と食料と燃料だけ
大切にすべ...続きを読むきは人との絆、自然とのつながり
 →一人一人がかけがけの無いもの
社会が高齢化するから日本は衰える、
という主張には賛同できない
 →里山資本主義的な明るい高齢化

ーーー
初回読んだ時はまるで頭に入らなかったが
2回目でかなり掴めた

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Posted by ブクログ 2022年04月22日

マネー資本主義が危機を迎えると、対抗運動がしばしば力を持つ。昔はそれが「共産主義」一択で、マルクスがその頃よく読まれたりするが、「里山資本主義」も含めて選択肢が増えているのは良いことだと思う。
2022年現在のような、国際情勢が不安定な時はエネルギーや食べ物を海外に頼るのはリスクが高い。それを国内に...続きを読むある使われてない「資源」=耕作放棄地、手付かずの山林、空き家などを活用していくのは共感できた。
里山資本主義はマネー資本主義を補完するサブシステムと紹介されている。しかしそれは資本主義を一度通すと、ただの里山への回帰に留まらず、一段洗練された姿(スマートシティのような)になるのかなと思い、将来主流になって行く可能性も感じた。否定の否定みたいに。

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Posted by ブクログ 2021年09月20日

資本主義とか政治とか年金とか
日頃なんとなく感じている「将来への不安」
そういったものに対して
新たな考え方「里山資本主義」
=コストや環境負荷を抑えた経済(物理的に持続的)
=手触りのある経済(精神的に持続的)
が必要ではないかと投げかけていると受け取った。

ここ数年でSDGsがCSRの枠組みを...続きを読む越えて、SDGs達成に貢献しなければ企業として傾くという水準までになっている。
そのようななか、個人的にはきっと本書のような生き方、経済がスタンダードとなる時代が来るのだろうと思うし、自分もそのような考え方にキャッチアップしていきたい。

確かに筆者は要するに「自然の中でで人との繋がりのある金銭消費の少ない経済を拡大せよ」と言っており、読者としては
はいはい地方で農業林業やれって言うんでしょ
となりがちだ。
だが、実際にコロナで都市で働く意味を問われるなかで、果たして本当にどれだけ都市にいる意味があるのかは経験した人しかわからないのでは…と思う。

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Posted by ブクログ 2021年01月29日

詰まっていた!積読から何年経ったろう2021年の今でも刺激を受けた。紹介されている現場の今を確かめたい、進んでいることだろう、コロナが水を差していることも心配になるが。
人の暮らしの根源を再生する里山資本主義には、少しの停滞はあっても心配はいらない底力があるだろう。

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Posted by ブクログ 2020年08月22日

マネー資本主義に対する考え方として、地域でマネーを回す形の里山資本主義を提案する。7年前の本だが、まだまだ使える考え方。実際、ハンドメイド作家さんなども地方で活躍していることを最近ではよく目にするようになってきて、この考え方はかなり浸透してきているのではないかと思わせられる。
ただ、NHK広島の取材...続きを読む班と藻谷氏で書いていることが重複したり、繰り返したりしている所がやや残念だった。まだ始まったばかりの取り組みも多いから具体例が少なかったのかもしれない。
最近新たにこの続編が出ているようなので、具体的な取り組みの広がりについてはそちらに期待したい。

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Posted by ブクログ 2020年07月14日

もう旬を過ぎたかもしれないが話題になっていた里山資本主義をいまさらながら読んでみた。10年以上前かなと思ったけど、2013年初版発行なのか、そんなに前じゃないね。そのころ、なぜ読まなかったのだろうか。
話自体は共感するところが多く、マネー資本主義は否定せずに、併存する形で田舎における自給農業や近所で...続きを読むのシェアを活用して、精神的にも物質的にも豊かな生活を送るべきではないか、という話。これにネーミングとして「里山資本主義」という言葉をつけたことが最大の功績ではないか。ネーミングは重要だよね、限界集落とか、消滅可能性都市とか。
この本自体は東日本大震災のあとに出されており、震災や原発事故でエネルギー政策や消費流通が改めて見直されている中で、里山資本主義の大切さを説いているが、今は今で新型コロナウイルスの影響で不安が広がっており、あらためてこうしたライフスタイルが見直されていると思う。然るに、社会情勢が不安定になると、セーフティーネット的な自給農業やご近所シェアが見直される、ということなのかもしれない。
一つ反論するならば、過疎地においてまぁ70ぐらいまでが中心のコミュニティならば十分それができるであろうが、さらに高齢化する集落でもこうした取組が続けられるのかどうか。実態をよく知らないので、この本に出てくるように生涯現役で野菜作ってますという人が多いのであれば杞憂ですが。

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Posted by ブクログ 2020年05月05日

withコロナの時代に再考されるべき本
都市VS地方ではない
豊かさをどう考えるか
リアルとオンラインの融合
自然とテクノロジーの融合
マネー資本主義と里山資本主義の両立

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Posted by ブクログ 2020年04月03日

周辺で読んでいる人が多かったので、ついに購入。
現時点で15万部も売れているそうである。
さっそく、北海道のフォレストマネージャー研修でも、経済規模の話しをする際に紹介。

NHKのディレクターが書いているパートは、当方は知っていることがほとんどであるが、
藻谷さんのまとめの部分が秀悦で、本当に地域...続きを読むを知っているんだなあ、と関心させられる。

経済と社会をある種、独立させて考えるという発想は大事。

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Posted by ブクログ 2019年10月22日

「マネー資本主義」のシステムの横に、お金に依存しないサブシステム、お金が乏しくなっても水と食料と燃料が手に入り続ける仕組み、ネットワークを構築しておこうという「里山資本主義」。里山には燃料も食料もたんとある。
確かに、これを活用せずに、燃料や食料を輸入に頼って外貨を流出させ続けるのは勿体なすぎる。地...続きを読むに足をつけた安心の生活がしたいと思っている人は多いはずなので、あと必要なのは便利な都会生活を捨てて田舎に行く勇気…だろうか?

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Posted by ブクログ 2019年08月12日

NHKの広島放送局のディレクターが中心になり執筆された。経済成長が全てではなく、現状の環境でアイデア次第で快適に生活していくとも可能であり、競争しない生き方を提案している。

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Posted by ブクログ 2024年03月20日

率直に、理想論すぎると感じた。田舎の良いところだけに目を向ける田舎礼賛のきらいを感じた。マネー資本主義のサブシステムとしての里山資本主義を掲げながら、途中でマネー資本主義の上での日本の未来を語り、主題がよくわからなかった。経済換算できない価値を大事にするという意味では賛同できる考えであったが、マネー...続きを読む資本主義を知らないとこのシステムの妥当性は判断できないと感じた。これはタンザニアの彼がいうシステムからの脱却とほぼ同義だと思う。結局のところ個々人が何に幸せを感じるかであり、里山資本主義が正しいというのは、お金で物を買うことに幸せを感じる人の主義を否定し、彼らの生きるところを奪うことになると感じた。マネー資本主義で発展してきた以上、里山資本主義はサブシステムでしかないと感じた。

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Posted by ブクログ 2021年08月08日

斉藤幸平「人新世の資本論」を読んだ流れで、この本を読んだことを思い出す。当時とにかく就職をする前で、関東から旅行以外で出たことのなかった自分がしばらく島根に滞在する機会もあり、田舎の人、食、風景の中に生きる豊かさ、美しさに打たれた。そこから翻ってみると東京の資本主義経済という不健康な巨大歯車の中、イ...続きを読むチから下っ端としてお願いしてまで入れてもらって、わざわざ働きたくもない。この先明るい未来があるとも思えない。オルタナティブがあり得ないのだろうかという希望を持って手に取った本だった。

ところどころに光が差すこともないではないのだが、最後まで読み進めた結果は、「メインは今まで通り以外あり得ないから、まあ他の選択肢は予備電源程度に備えとこうよ」という大人なところに落ち着いていて、現実はまぁそうだよな、という諦め混じりの納得と、途中で見えたあの希望の光は何だったんだ、というやるせなさで読み終えた。→「人新世の資本論」に続く。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2021年08月06日

「域際収支」というものを都道府県別に示したグラフである。域際収支とは、商品やサービスを地域外に売って得た金額と、逆に外から購入した金額の差を示した数字。一目瞭然である。東京や大阪など、大都市圏が軒並みプラスなのに対し、高知や奈良など農漁村を多く抱える県は、流出額が巨大である。
今度は、域際収支が最下...続きを読む位の高知県を品目別にどれが赤字でどれが黒字かをみたもの。いわば、お金の流れを健康診断した結果だ。農業や漁業、林業など一次産業が黒字でとっても健康的であるのに対し、電子部品を部門。そして、意外なのが、飲食料品が赤字となっていることだ。

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Posted by ブクログ 2020年05月03日

エピソード集ではつまらない。
はっぱビジネスの「いろどり」が、それ一つでは革新的力を持たないように。

こうした流れを加速するためには、なにかの仕組みや仕掛け、つまり政策が必要なはずだが、それはまだまだ期待薄だろう。今の社会の成り立ちに根本的なところで相反する要素を持っているので。

そのうちどこか...続きを読むでブームになる可能性はあるが

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Posted by ブクログ 2020年03月22日

改めて読む、コミュニティを核とした生き方、処し方のひとつだが、絶対ではない
どうやって自分たちとコミュニティをフィットさせるか、理想だけでなく柔らかな考えが重要、一番大切なのは持続可能性をどう担保するか

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Posted by ブクログ 2020年02月16日

理屈は分かる。しかしこのシステムを導入して実際に人々が体験をしないと本の内容の部分で止まってしまってそれ以上の深堀りは出来ない。
是非体験をさせてほしいと思わせるシステム理論だった。

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Posted by ブクログ 2020年01月30日

2014年の新書大賞1位で発売当時には政治家の間でもかなり話題に上った本である。
日本は世界経済の景気動向に振り回され、日本に直接関係のない他国の失政によってでさえ多大なる影響を受けてしまうグローバル経済の網の目にからめとられています。こうした状況では、他国からの(悪)影響を最小限にした経済的安定こ...続きを読むそが最強のライフラインである。
その1つの解決策が里山資本主義、自給自足の循環経済という考え方である。
もちろん、マネー資本主義から今すぐ決別せよということではなく、あくまでも水や燃料や食料が継続して手に入るライフラインのサブシステムとしてリスクヘッジせよというのが原点である。
一方、日本の課題としてデフレ脱却が最重要課題と言われているが、筆者(藻谷氏)によれば、デフレの正体とは過剰供給を止めない企業の苦境の構造であって、デフレ脱却の処方箋は「飽和市場からの撤退と新市場の開拓」だけだとする。(P270)
まあ、その有望な新市場の開拓こそがむつかしいのだが・・

自然に恵まれた日本の利点を最大限に活かせる里山資本主義は、本書に成功例としてでてくる林業だけではなく、農漁業にも応用できる発想法でもあるし、現に近海養殖や植物工場などの新たな形の自給方式が現れています。
また過疎地の積極的活用により、限界集落問題や雇用問題などにも歯止めがかかる可能性もあります。
要は地方の強みを最大限生かすことで、日本全体の底上げにもつながる可能性を秘めています。
とはいえ、里山資本主義はマネー資本主義の代替としてとらえるのではなく、あくまでもライフラインのバックアップシステムとして機能させながら、同時に過疎化対策の有望なアイデアとして推進していくのが正解だと思います。

最後にもう1点、気になる二酸化炭素排出についての言及がなかったのは残念でした。
というのも、木質ペレットは燃焼によってCO2を発生するが、化石燃料の燃焼とは異なり炭素循環の枠内でその総量を増加させるものではないため、統計上は排出しないものとして取り扱うことができる(カーボンニュートラル)、不要物を原料とするなどCO2排出量削減の観点と、近年の原油価格高騰に対抗するコスト削減の観点から急速に注目を浴びているわけですので。
一方ではこんな課題も・・
ペレットは木を原料とするため、寒帯林・温帯林・亜熱帯林、また針葉樹か広葉樹かにより出来上がる製品の品質に差が出る。このためストーブメーカーなどが顧客の使用するペレットがどこで作られた物か聞き取りをし、空気量やペレット供給量などを設定しなければ想定通りの燃焼を得られないケースがある。 (ウィキペディア)
この程度の課題なら対応可能ですよね。

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Posted by ブクログ 2019年11月30日

発想の転換がハンデを強みに変える。

資源や食料を輸入しないと生活できない日本。

その「思い込み」にくさびを打ちこむための本を目指したんだろうなあ。

エネルギーはいくらでもある森林資源から
バイオマス発電できるし、ペレットも生産できる。
そしてそこから外の資本に金が流れず、金が地域を循環する。
...続きを読む
中国地方の成功事例を紹介し、さらに進んだオーストリアの事例まで深ぼった。

空き家が多いってときに
足かせと捉えるか、活用できる物件がたくさんあると捉えるかで結果は全く異なるんだろうなあ。

足かせを前に思考停止せず、考え続けることが大事。

個人の問題を、個人間を分断して解決策を講じるのではなく、互いに違う課題を抱える個人を横断させるような解決策を講じた事例も紹介してある。

そういった能力も大事なんだろうなあと実感した。

藻谷さんの文章が読みにくくて疲れた。

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Posted by ブクログ 2019年05月21日

『デフレの正体 経済は「人口の波」で動く』の著者の作
良いことも書いてあるが、きわどいごまかしも多い。

里山経済の事例
材木の木くずを利用するエコストーブ
木質ペレットを熱源として利用するオーストリア
強度の高い集成材CLTによる木造高層建築
小規模の地域内経済による低コスト生活
捨てられていた耕...続きを読む作放棄地、空家、高齢者の家庭菜園で余った野菜の地域内利用

だからといって、これで経済問題を解消できるわけではない。

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Posted by ブクログ 2019年04月14日

可能性はあらゆるところに眠っていると気づかされた。今までうまくいっていたやり方が、これからも通用するとは限らない。時代を見据えながら、今必要なこと、何に価値があるのかを見出せるよう意識していけたらと思う。

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Posted by ブクログ 2021年08月08日

「デフレの正体」の著者とNHK取材班が共同で執筆した。曰く、里山資本主義とは、「かつて人間が手を入れてきた休眠資産を再利用することで、原価0円からの経済再生、コミュニティ復活を果たす現象。安全保障と地域経済の自立をもたらし、不安・不満・不振のスパイラルを超える。」
中部電力をやめて周防大島でジャム屋...続きを読むを始めたという人が取り上げられていた。格好いい!

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