【感想・ネタバレ】繁栄 明日を切り拓くための人類10万年史のレビュー

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Posted by ブクログ

人類が交換と専門家により繁栄してきて、そしてこれからも繁栄は続いていく。
世界は絶望に向かう悲観論に注目されがちだがこれまで予測されたものは大きく外れている。
むしろ予測に反して世の中は良くなっており貧困や病気、環境問題、エネルギーなど改善されてきている。
少し楽観的な主張は強いと感じたが全体的に世界が良い方向に向かっているのは間違いないと思う。
昔は良かった,というフレーズはここ最近ではなく何千年も前から言われているが、実際全体の数字で見ると世界の問題は確実に解決されてきている。
人間は昔(というか恐らく自分が若い時代)とネガティブ論が好きなだけでそれに現実的で数字や根拠を用いてツッコミを入れている本。

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2023年09月30日

Posted by ブクログ

合理的楽観主義者の本は読んでいて明るい気持ちになれる
そして、分業と専門化、それを支える信用は最近考えていたことが言語化された感じがして面白かった。

発展した場所は必ず規制と保護主義の温床になるので次の自由、資本、知識が流動化している場所に飛び込むことが大事だと思わされる本
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- 人類は分業と専門化によって発展してきた。
- 分業と専門化には信用が必要で、利己主義になりすぎると継続的に分業ができなくなるため、継続的に取引が行われる場合に人間は礼儀正しく振る舞う。
- 知らない相手との分業に役に立つのが、貨幣と国家による法律の設計。法律によって、完全に見知らぬ他者を信用して分業が可能になる。
- この信用が発達した結果、銀行業というシステムが生まれ、貨幣領域において信用が信用を生むサイクルができた
- イギリスは工業の勃興期に自由貿易を推進する人間が首相になった、これにより分業が爆発的に広まり急激な経済発展が起きた
- 逆に保護主義は分業を止め、貧困に陥る
- 自由、資本、知識が十分に流動化する場所には機会が溢れており、才能が集まる
- 具体例は以下
- ここ30年のシリコンバレー
- 戦後の日本
- 産業革命期のイギリスで
- 発展した後は、そこで蓄えられた資本を守ろうとするインセンティブが働き、大企業優位な規制が蔓延し保護主義になる
- それが発展を止める
- 一方で、知識も分業が起きている。特に、テクノロジーは既存のテクノロジーを組み合わせるが、部分の総和より大きい全体となる。
- 車を社会実装したヘンリーフォードは自分は何も目新しいものを発明していないと認めたことがある
- イギリス人はモーターと発電機を発明したマイケル・ファラデーを褒め称えるが、そのアイデアの半分はデンマーク人のハンス・クリスチャン・エルステッドに負っている
- アメリカ人はエジソンが白熱電球を開発したと学ぶが、実際はイギリスのジョセフ・スワンやロシアのアレクサンド・ロディ人などの商業的に成功しなかった先人の功績である
- 分業の規模は市場の規模に応じる
- 世界の貧困が減少しているのは世界規模での分業が発展してきているからである

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2023年12月26日

Posted by ブクログ

ヒトの繁栄は,その社会全体で分業(専門化)と交換.
繁栄=時間の創出
時間に余剰が生まれることで,さらなる価値創出の機会が生まれる.これを繰り返して人はどんどん幸せになる.

テクノロジーにとっての交換は遺伝子にとっての生殖に値.

確かに,昔の生活を思えば,生活を維持するのに必要なコスト(1日のうち他者に貢ぐ時間)は減っているように見える.
周囲の人間はその余暇を無に使っているような気がするが


利己的な遺伝子やファクトフルネスとも親和する内容であり自然科学(生物,進化,環境...)と社会科学(経済,政治,経済史,歴史...)を縦横無尽に横断する良作.
これは手元に置いておいて読み返したい一冊.

読書スタミナがなくて後半は読まずに返却.リベンジする

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2019年04月27日

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早川書房公式ツイッターで紹介されていたので購入。
ああ、ありがとう>早川書房公式ツイッター
「人類の未来」について述べている書籍のほとんどが、『悲観論』に満ちあふれている。書店にはありとあらゆる悲観的な未来についての情報で満ちている。でも、本当に未来は悲観的なの?明るい未来は来ないの??ってなんとなーく思っていたのが腑に落ちる本が見つかった感。そう、こんなのが読みたかったね。歴史をたどれば人類が、いかに発展してきたのか。現在の自分の生活を百年前のエリート層と比べて、二百年前の上流階層と比べて、三百年前の王侯貴族と比べていかにすばらしいか。人類は、『交換と専門化』これによっていかに進歩に進歩を繰り返してきたのか、そして、現在の社会はますます『交換と専門化』を推進している。このままいったら大変だーじゃなくて、このままですむわけないでしょと!
技術により困難が生じても、技術がもっと進めばその困難は解決できるんじゃないかなあ

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2018年11月03日

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巷には誤った認識が多数あることが分かった。
グリーンピースといった環境テロリスト達がいかにいい加減でデタラメな人々・組織なのかがよく分かる。
将来・未来に悲観することはない,楽観して大丈夫,だと思わせる内容である。

「進化は万能である」と違って訳文も普通だし,書いてあることも至極まっとうである。リドレー氏は変な人ではなかった。訳者が悪いのかもしれない。先に「進化は万能である」を読んでしまったのが失敗かもしれない。

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2017年01月18日

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まさに啓蒙書。蒙を啓くというか目からうろこがボロボロ落ちるというか。あまりの楽観論なので都合の良いところばかり鵜呑みにする危険性はあるが、悲観論に首元までどっぷり浸かった現代日本人にはこれくらいの本が適していると言えるだろう。文明バンザイ、成長バンザイ、都市・交易・イノベーションによる繁栄。現在が最も恵まれた時代であるという主旨は、後発書の「暴力の人類史」にトーンが近いが、「暴力」は膨大な数値データ・グラフで説得力を持たせるが、本書は語り口と参考文献で首肯。

いかにして現生人類は今ここにあるか。
年号はほとんど無いが、ある意味、これが「世界史」と言えると思う。

繁栄に群がる寄生者・略奪者である官僚支配による停滞と衰退。
自由交易による繁栄の果実を国家・政府が刈り取ろうとするのをどうすれば防げるのか。
国家・官僚という存在は、自由な交易・専門化・イノベーションによって生じた繁栄を1か所にとどめないよう寄生・略奪する、生態系を調整する役割を果たしているということか。収穫に群がるカラスの類だ。

テクノロジーが科学を生み出すという逆転の発想。確かに、CERNを見れば、そういうことか。現象が無ければ理論は生み出せない。
交易による繁栄の概念は、自分が持てるものを持ち寄り、お互いが欲しいものを持ち帰る、性善説的なネット集合知の青臭い理想が捨てたものではないと思わせる。

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2016年03月20日

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本書によると、人類とその他の生物の違いは分業化からくるイノベーションにあり、そのおかげで例をみない繁栄ができたとある
本書の細部がどこまで正確かは議論があるとは思うが、
全体像としては極めて正しいと思う
未来に対して楽観主義過ぎる様にも見えるが、
イノベーションに制限を加えない前提においては、
正しいのだと思う
ところで、本書の視点で日本を見ると怖くなる
世の中的に先端の研究開発していると見られている
企業ですら分業が下手で突出した個性を活用できない
(問題意識はあるのでまだましだが・・)
教育、特に初等教育は更に悲惨で問題意識すらなく
分業のアーキテクチャーを構想できる人材や
分業化において突出した能力をもつ人材を
徹底的に排除しているようにしか見えない
この国がどうなってしまうのか心配・・・

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2015年01月04日

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合理的楽観主義。交換と専門化により集団的進化してきた人類は、今後も外的変化に適応して発展し続けるだろう。悲観的予測より楽観的予測がこれまでもこれからも正しいのは、知識の専門化とアイデアの交換で、発見や発明が枯渇することなく生み出され、益々、加速して行くから。

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2013年12月29日

Posted by ブクログ

未来はよくなる、絶対に。
恥ずかしげもなく抜かしてしまったが、そう言いたくなるくらい、清々しい読後感だ。

人類は「分業」と「交換」によって進歩し続けてきた。今後もそれは続くだろう。それどころか、ますますそのスピードは上がり、かつてない繁栄(!)がもたらされるだろう。

著者の主張は、このことに一貫している。ドキドキするくらい楽観的だ。

極端な悲観論者を、パオロ・マッツァリーノ氏が「スーペーさん」と呼んで茶化している。悲観論は後ろ向きになるだけで、いいところがないのだ。悲観論を打ち破り、楽観的になれ。実はそれこそが何よりも難しいことかもしれない。

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2013年11月05日

Posted by ブクログ

人類はなぜ他の動物に見られない繁栄を可能にしたか?”交換と専門化”というシンプルな仮説とともに、アダムスミス、ダーウィンの思想をベースに人類10万年の歴史を紐解く一大ドキュメンタリー作品。 生殖による生物学的進化と、交換による文化的進化の累積が繁栄を解く鍵となる。その発想はネアンデルタール人の絶滅にも言及する。現在は通信速度の発展に伴い、”交換”の加速がイノベーションの進化を促す。膨大な過去データの解析に裏打ちされた強固な信念を持つ筆者の未来予想図は合理的な楽観主義だと。なるほど~。

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2013年09月21日

Posted by ブクログ

まず読み切った自分褒めたい 笑

人類は交換と専門化によって発見や発明を繰り返して進化してきた。今、世界的な社会問題としてある貧困や人口爆発、地球温暖化だって、乗り越えられるはず。
このことを大量のデータや過去の前例を踏まえて理論的に説明した「合理的楽観主義」の本。

読み終わって思ったのは、社会全体が変わっていくことを恐れてはいけないということ。状況は変わっていくのに自分たちが変わらなければ当然自分たちが苦しくなっていく。その変化に対応する、むしろ、その変化を自分で引き起こすくらいの気持ちと力が求められてる気がした。

少なくとも、今の自分の周りの人たちは安定を求める人が多い。きっとその価値観から1歩も出れない人は繁栄していく社会の変化に追いつけないのだろうし、自分自身、貪欲に進化しなければならないと感じた。
人類の繁栄は個人の安定を保証はしないのだから。


きっと医療の世界も繁栄のために変わっていく。その中で個人として生き抜くためにはただ漫然と仕事をしていくのではダメなのだろう。
具体的な話をすれば、AIと比較した自分の利点となる技術を身につけるとかね

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2017年12月03日

Posted by ブクログ

 技術革新は終わらず、すすめば進むほど世の中は良くなる、との主張。過去よりもすべて良くなっているという。大気、温暖化等の環境問題も、技術開発効果により、発覚時のころからは大幅な改善がみられる(悪化の状況が緩和されているので良い)。楽観的に考えてよい。
 確かに一理ある。すぐあおり文句に影響されてしまうが・・・

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2016年09月19日

Posted by ブクログ

分業は、交換という性向のおかげで達成された。
交換→分業→専門化→革新→時間の節約→生活の多様化→豊かになる。

資産市場は、投機、群集心理、不合理な楽観主義、独占や超過利潤、などで相場が上下する。

合理的な楽観主義。危機を脱却できる。

国内で格差が拡大しても、世界で見れば格差は縮小している。統計のパラドックス。
健康面、教育面では確実である。

ソローの自給自足は、現代では成り立たない。
労働の分割ではなく労働の掛け合わせ

物々交換の開始
交換は発明された=犬は交換しない。
男女による分業。

捕食者が獲物を獲り尽す前に、捕食者が激減する。
人類は、他の代替のお捕食物を開拓することで、人口を増やした。
ネアンデルタール人は交換しない=イノベーションがない。
リカードの比較優位の原則。
人口増加が収穫逓減の原因にはならない。イノベーションの原因になって生産性が増大する。

政治的決定は多数決による押し付け。商業は少数派のニーズを満たす。

大企業は報道、政府、顧客に戦々恐々としている。

生産性を向上させたのはコンピュータではなく、物流の進歩による。

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2016年05月27日

Posted by ブクログ

「昔は良かった」という人達がいるが、現在の世界は50年前に比べて格段に良くなっている。便利なものはより便利に、より安く入手・使用することができるようになった。平均寿命も延び、乳児死亡率も低下している。

著者は自分が「合理的な楽観主義」だという。資源の枯渇や環境汚染が騒がれているが、新たな資源の可能性はいくらでもある。また環境汚染でも、排気ガスが発する有害物質は減っている。この先の世界もそう悲観するものではない。
ということが具体的なデータを並べて示されている。


著者は原子力発電が主力になっていくとしているが、これは東日本大震災による福島の事故から修正されるべきだろう。著者の今の考えはどうなっているのだろうか。

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2014年11月22日

Posted by ブクログ

人類の10万年史を振り返ると、近現代の生活水準の向上は驚くべきものである。現代社会の抱える恐るべき貧困でさえ、個別的な事例の悲惨さはさておき全体的な視点から見れば、過去の歴史における破局的な貧困よりはマシであるのは間違いない。ことによると我々人類がマルサスの罠に捉えられていたころの平均的な生活水準でさえ、現代人の感覚からすれば貧困状態と言っても間違いかもしれない。我々は、ともすれば、この科学技術社会を語る際に、産業革命以前の社会のノスタルジックな側面と対比しがちであるが、ノスタルジックな幻想を抱くことも多いが、「世界は常に良くなってきた」ことを、もっとキチンと認識すべきである。

というのが、本書の主題。そこまでは文句なしに☆5の内容。そこから派生的に、「世界はこれからも良くなるだろう」という主張が繰り広げられるが、その部分は☆3かな。

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2014年08月02日

Posted by ブクログ

分業、専門化、交易が知識と情報の発展を促した。
この本に通底する楽観論に同感。
具体的な例を多く盛り込んでいるが、もう少し簡略化したほうが読みやすいのでは。

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2014年03月22日

Posted by ブクログ

マット先生の主張をまとめると「悲観主義にとらわれて萎縮するな、世界を良くするために、ただ進め!(確かに社会問題は数え切れないほどあって、悲観したくなる気持ちもわかる。だからこそ私のような人間が率先して、楽観主義者であろうと思う)」てなところ。その主張を確かなものにするために、膨大なデータと分析事例が詰め込まれており、噛みごたえはじゅうぶん。

生まれでた限りは、どんなに些細なことでも社会を前に進める義務があると思う。勇気が出る一冊。

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2013年10月18日

Posted by ブクログ

この本は、副題がすべてを語っていますね。こういう、欧米の優秀な人が書いた、ジャンル分けされていないおおきな歴史の通史って本当におもしろいですね。最近で言えばジャレド・ダイアモンドの『銃・病原菌・鉄』が流行りましたけど、あんなふうに人類の歴史を1つの観点でズバッと切るという本です。これは基本的に人類がこの10万年の間にいかに豊かで平和で安全になったかということを、数字を挙げて証明しているんですよ。

石田衣良公式メルマガ「ブックトーク『小説家と過ごす日曜日』」18号

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2016年11月18日

Posted by ブクログ

過去は現在よりも良き時代だったのか。

昔は・・・から始まる千年前から言われている定型句。

昔は電話やメールもなく、人と人との結びつきが強くて、料理は下手な化学調味料がなく素材の味を楽しめた。
山に行けば、手つかずの自然。
海に行けば、ごみひとつ無いエメラルドグリーンの美しい海。。。

ちょっとまってほしい。
病気にかかれば、薬はなく、黒死病にかかればほぼ間違いなく死ぬし、農耕は辛いし、重い納税が毎年課せられる(今もか・・・)。

どうも人間は過去を美しみ、将来を悲観する傾向にあるようだ。
悲観論書は、将来は石油がなくなり、人口が飽和し食物を争い、水は汚染され気温が上昇し海水面が上昇し人間の住む場所はなくなるという。

はたしでそうだろうか。
ここが本書の論点である。

石器時代は何も石がなくなったから終わったわけではなく、他に代替のテクノロジーが発見されたからである。
ローマ・クラブの「成長の限界」は未だに訪れないし、まだまだ人類は発展するし、それほど悲観する必要はないのだ。

まぁ、代替のテクノロジーによって過去に限界が訪れなかったからといって、今後もそうだとは言えないし論拠が薄いのですが、それほど強く将来を悲観する必要はないという事は同意である。

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2013年09月19日

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