【感想・ネタバレ】クオリティ国家という戦略 これが日本の生きる道のレビュー

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Posted by ブクログ

いつも雑誌SAPIOを通じて、大前研一さんの時事の考えを拝読しています。その素晴らしさは、考えにブレなく一貫性があること。今回も、前から提唱していた道州制の概念を、世界を俯瞰した上で、グローバルプレーヤーの第一人者として、クオリティ国家というフレームでスイス・シンガポール・北欧国家の飛躍事例を挙げて繋げてらっしゃる。圧巻ですね。
おっしゃる通り、今の政治の延長線上では恐らく改善の域を超えないので、道州制という大胆な仕組みの変革が、カンフル作用を促すという論理にも納得です。
さて、その鈴付け役として期待していた橋本市長の国政シフトをお嘆きになってますが、ご自身の今後の動向が愉しみでもあります。

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2017年05月07日

Posted by ブクログ

ざっくり内容

クオリティ国家とは、人口規模が300万人〜1000万人、一人あたりのGDPが400万円以上で、開放経済で、法人税・所得税・相続税等を低く抑え、ハブ拠点の開発を巧みにすることで、各国からのヒト・モノ・カネを呼び込んでおり、規制緩和がされており、多言語が話せて、教育がしっかりしている国。人口・労働力のクオリティが高く、高コストな人件費をそれ以上の付加価値・生産性の高さでカバーする。自国の市場規模が狭いことから最初から世界市場をベースにビジネスを考える。国は企業救済等しないため、弱肉強食に生き残った競争力のある企業が存在する。一方でセーフティーネットは整っており、失業者は就労訓練をして成長産業に送られる。大学には本当に勉強する人のみ行き、多数は若くから職人として職能を磨き、一生食っていける手に食をつける。
日本は、輸入加工貿易で発展した。しかし、コモディティ化した製品を加工貿易していては途上国に勝てない。残された道は、高付加価値で他国に真似できないような製品による加工貿易立国をするか、クオリティ国家を目指すかである。
日本でのクオリティ国家実現の鍵は、オーガナイズスモール、つまり道州制の導入である。


ざっくり感想

クオリティ国家のコンセプトの鍵は、開放経済ということなんだと思う。それを実現するために国家(道州)ができることといえば、まず都市の将来像を示すことだと考えられる。将来像を示すことで、投資を呼び込み、ヒト・モノ・カネを呼びこむ体制を作る。そして、規制緩和と税制改革(所得税、相続税を下げて人を呼び込み、法人税を下げて企業を呼びこむ)とハブ拠点の開発により企業を呼びこむ。呼び込まれた企業は、世界市場相手に戦う。国は補助金等で企業を直接的には支援せず、セーフティーネットの拡充や教育の充実という方向性でクオリティ国家に呼び込まれた企業をバックアップする。そういう流れで、世界市場で戦える企業を呼びこむことがまず大事なのだと思う。
ハイクオリティの人材が集まると、もちろんイノベーションが加速するというメリットも有るのだけれど、ブルーカラー層に対しても、雇用が創出されたり、生産性が向上したりという影響が及ぼされる。その辺りがうまくまわって、国全体の生産性が高まり、富が集まってくるんじゃないかと思う。
そして、この変化に対応していけるように、教育が重要になってくる。特に語学力と専門性の重要性の認識である。しかも、単に英語が出来るだけでなく、地域によって九州なら韓国語・中国語、北海道ならロシア語など、多様な語学を習得して隣国のヒト・モノ・カネを活用できる土台を作らねばならない。
このような国家像をイメージしつつ、現実として何ができるのか。まずは目の前の仕事をその国家像にアジャストしていくことから始めるべきなのかなと思う。

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2015年05月08日

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すごく勉強になった。道州制こそ、日本をよくする方法の一つ一つ。

そのためには、人のクオリティが、上がらないとだめだが。。。

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2014年12月30日

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ネタバレ

最近の大前さんの著作は昔のような勢いがなくなってきたなぁと思っていましたが、この本は違いました。

「民主主義は啓蒙された人間でなければ維持できない。啓蒙されていない人間が投票すると衆愚政治になる。」
という言葉は、現在の日本を的確に表していると思う。

韓国とフィンランドの教育方針に現れているよう
クオリティ国家として進むためには、教育の位置づけは
非常に重要だと思う。

僕も常々、日本の教育がビジネスに直結していないこと
を問題と感じていた。本書を読んでクオリティ国家を
目指すべき日本にとっては、世界で通用するリーダー
を輩出する教育が重要なのだと改めて感じた。

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2014年06月11日

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日本の過去の成長を支えた加工貿易モデルが、グローバル化によって低賃金の国に対して劣勢になり、さらに高齢化、少子化によって自国マーケットも縮小傾向にある。本書における大前さんの主張は、これまでと変わらず一環している。すなわち、中央集権モデルを見直し道州制を導入し、各道州が高付加価値な独自の産業をスピード感を持って立ち上げることにより、低賃金な製造業を中心とする国々・地域との競争とは別の競争軸で発展すること。もちろん、市場も競争相手も相手は世界の国々、地域であり、基本的なグローバル化への対応は必須である。英語力は最低限のものとして、各地域のターゲット市場に合わせた中国語、韓国語、ロシア語などへの対応も必要になる。何よりも、世界の企業、資本から見て、日本に仕事や資金が入ってきやすいように、規制緩和、法人減税や労働環境の整備も進めなければならない。

私は大前さんの考え方には賛成だし、大いに刺激を受ける。しかし、一方で、これからこのような大改革をやれる体力や時間がまだ日本に残されているのか、という不安がある。さまざまな改革は先送りされるものばかりだし、世間でもいっとき盛り上がった英語学習や留学熱もいつの間にか冷めてしまい、内向きで、外国に対して必要以上に睨みつけるような目線を送る社会になりつつある印象もなきにしもあらず。その先に待っている社会はどんなものなんだろうか。

成熟国家として、成長を目指さない生き方、というのも確かにあるのだろうけれど、本当に国全体が貧乏になっていくというのは、おそらく想像以上に厳しい生活になるのではないか。なんだかんだ言っても、経済的に成長し、経済大国であり続けることは、これからも必死に考えていく必要のある最優先課題だと考える。

最後に大前さんが指摘されていたように、その意味で大阪の橋下さんが、国政ではなく、地域から道州制を含む改革を目指す方向に戻ったことには、突破口として大きく期待したいところ。

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2013年08月23日

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スイスの国際競争力が強い理由
1, 国が企業を支援しない
2, クラフトマンシップ、大学進学率は3割にも満たない
3, 移民、優秀であればどこの国の人でもトップになれる

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2013年07月08日

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■国家戦略

A世界で繁栄している国には、2 つのタイプがある。

1.ボリューム国家:人口・労働力のボリュームと低コストの人件費を強みとして、工業国家モデルで急成長している。
BRICs(ブラジル、ロシア、インド、中国)がその代表。

2.クオリティ国家:人口は少ないが、世界からヒト、モノ、カネや企業、情報を呼び込む吸引力と、グローバル市場
で勝てる競争力を持つ。スイスやシンガポールが典型。


B.スイスの国際競争力が強い理由は、次の3 つである。

1.国が企業を支援しない:企業に対する補助金のようなものが全くない。よって、弱い産業は潰れ、強い産業だけが残り、自ずと国際競争力が強くなる。

2.クラフトマンシップ(職人芸):スイスでは、国民の7 割が時計などを作る専門職か農民であり、専門職の社会的地位は高い。このように、クラフトマンシップが大事にされているため、スイスの産業は強い。

3.移民
移民が新しい産業を興し、その中で強くなった会社が世界に出て行って発展している。


C.日本がクオリティ国家になるには、規模を小さくする必要がある。「四国道」「北海道」「関東道」といった「道州制」にし、
各道州がそれぞれ戦略を立て、自立したクオリティ国家にならねばならない。例えば、北海道であれば、雪や温泉を活用
して「アジアのスイス」を目指す、あるいはロシアとの関係を強化してエネルギー産業を構築する、などが考えられる。

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2013年03月03日

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大前研一氏の持論である道州制を軸に、加工貿易で成功した過去の日本の体制を捨てて、新たなクオリティ国家への道しるべを記した書。日本の強みや弱みを分析するだけであれば誰でもできるが、新たなモデルを示せるのはこのヒトしかいないと思う。
スイスやシンガポールを例に、1人当たりGDPの高い国家を目指す方向性。これは、チャイワンとの競争に巻き込まれている家電業界とは全く逆の、高付加価値に特化した国家、しかも日本では単位が大きすぎるので道州制というユニットを作るイメージ。権限を与えれば、成功モデルを示せるので、他の州もと競争が始まる。これが高いレベルでの国家を形作るという。今の政治に求められている変化とは、何かやらなくてはという強迫感からとりあえず変化を前提にロジックを組み立ててしまうが、そうではない。

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2013年03月02日

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グローバリゼーションの中で、日本や地方都市が生き抜くためにはどうすれば良いか、という点が書かれている。

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2023年10月10日

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クォリティを意識する国家であったはずだが、いろんな場面で日本はその意識を忘れてきている。ただし、悲観するのではなく、どの分野でクォリティをあげていくかを早く決めることが大切だとおもう。

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2019年06月12日

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ネタバレ

少子高齢化や多額の国債などの問題を抱えながら、今の延長線上に豊かな日本を想像できる人は少ないのではないでしょうか。本書は、他国の事例をあげて日本の進むべき道を説いています。賛否両論あるでしょうが、これだけ明確にかつ説得力のある内容で未来を描ける著者に感銘を受けました。企業運営のスペシャリストが考える国策ってやっぱり興味深いです。

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2019年06月02日

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なんとなく、自分が思ってた事が書かれていた。
日本は、もう終わってるって思ってたけど、それ以上にヤバそう。
今の日本は期待が持てず不安しかない未来を変える事ができるのか疑問。

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2018年06月29日

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久しぶりの大前研一氏の著書を熟読。基本の路線は同じだが、スイスの基幹産業である時計の浮沈に関するブランド化戦略の指摘が興味深い。また、北欧諸国における”考える教育”。これは本当に納得できる。現状の中央集権国家では規模が大きすぎて動きが鈍すぎる、やはり道州制を基本とした政策でそれぞれの日本が生き残る道を探すべきか。世の中、強者しか生き残れないのか。。。

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2015年10月12日

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自分用キーワード
日米貿易摩擦(現地製造、韓国への半導体技術提供) トリガープライス制度 アルセロール・ミタル 市場秩序維持協定(日本製カラーテレビ、結果的に韓国に市場を明け渡す) 東芝機械ココム違反事件 PBR(price book-value ratio) クオリティ国家 ボーディングスクール クォーツ時計 クオーツモジュール クオーツショック BBT総合研究所 デジタル革命のジレンマ シェンゲン協定 IT2000(シンガポール) 万国郵便条約 ソブリン・ウエルス・ファンド 法人税引き下げによる誘致 海外資産(売上)比率 メディコンバレー シスタ・サイエンスパーク FCFA(両岸経済協力枠組み協定) オーガナイズスモール(『エクセレントカンパニー』内の考え方) 

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2015年02月22日

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ネタバレ

道州制とは何をすることか、それを説く本。大きすぎて身動きの取れない日本の国家規模を分割して、北欧を目指そう。


 「ものづくりの国:日本」だった時代は終わった。当時も日本のクオリティの高さがウリだったが、日本がこれから目指すクオリティはモノではない、「抽象的な何か」というクオリティである。

 実体のないものを目指さないといけないから、非常に難しい。失敗もする。けれどそれを恐れずに行こう。

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p18 日本の教育はサラリーマン用
 日本の国家再生戦略にある「理系博士課程修了者の完全雇用」とか、工業立国しか考えられない人たちの作る目標である。せっかく博士課程まで修了したのにそれを活用できないのは問題だが、それを労働者にして狭い枠にはめようとするのも宝を腐らせるだけである。
 日本の教育は成長していない。

 いや、変えられない。日本にとって教育は戦争責任とか暗黒面があるせいか、アンタッチャブルな領域である。だから変えられない。変えたらどうなるかわからないから。
 変われないなら、成長もない。それに気づかなければ。

p48 スイスの税制
 法人税や所得税が安い。世界の有力企業や資産家を呼び込むためである。

p53 ブランドの考え方
 日本はセイコーが1969年に小型クォーツ時計を作って欧米の時計を席巻した。日本はブランドを育てるのを「技術の向上」「生産の効率化」で付加価値をあげようとした。
 スイスはファッショナブルな時計を作り、また世界の衰退ブランドを買い上げ磨きをかけて、「装飾性」「ステータス」で付加価値を高めた。
 結果、日本の時計は価格競争で中国に敗れ、部品屋さんになってしまった。

p58 個の力
 「ブランドを維持するためには、一人のプロデューサーがいればよい。」
 日本の組織ではブランド・マネジメントも組織でやろうとする。遺伝子レベルで「みんなで力を合わせよう」の工業国の集団意識が根付いている。これではブランド戦略を柔軟に行えない。
 スイスのようなブランドを育成できる国にするには、思い切って集団意識を捨てて、個の力に頼る勇気を手に入れなければいけない。

p69 日本とスイスは似ていた
 スイス人のある人が言っていた、日本とスイスは天然資源がなく、国民が勤勉だという点が非常に似ていると学校で教わった。ところが今は違う。最も大きな違いは「国家の役割」である。
 日本の場合は国家が何でもする。第二次大戦後の復興を早々と達成できたのは中央集権国家が効率よく機能したからだ。
 スイスは連邦国家であり、地方の権力が強い。地方のことは地方で決められる。そこが違う。

p70 大学進学はクラフトマンシップを軽んじる
 日本とスイスの違いはクラフトマンシップ(職人芸)に対する価値観である。
 スイスの大学進学率は3割しかない。逆に日本は7割になる。高等教育に進まない若者は早くから職能教育を始める。だからスイスでは職人のステータスも高い。
 一方日本の職人は今や大田区の零細工場のおっさんだけである。

 この差が国力の差になる。

 ものつくりの国:日本はどこへ行ったのか。

p77 民度の高さ
 スイスには国民皆保険もなければ国民年金もない。それは自分で保険に入り、年金を積み立てるからである。こういうことも教育される。
 日本はすべて国がやってくれる。だから教育されることもないし、責任感もない。

 大きい政府と小さい政府の差が民度の違いになっている。

p87 シンガポールの変遷
 60年代:1965年にマレーシアから独立。外資導入で輸出志向型工業化政策を導入、電化製品の組み立てなど労働集約型産業育成、海外企業誘致のため法人税引き下げ
 70年代:コンピュータや機械などの付加価値の高い産業へシフト、労働集約型産業から脱皮
 80・90年代:1985年にマイナス成長になった反省として金融や通信サービスの強化
 00年代:知識集約型産業育成、電気・化学・通信・バイオ・医療サービスなど強化
 10年代:アジアのハブとしての地位確立、都市ソリューションの開発、多様性のある人材の誘致・育成に注力

p105 中国の実態
 中国は共産党の一党独裁で中央が強いのかと思いきや、地方の方が強い市もある。浙江省の温州市は北京のいうことを聞かないので有名である。福建省や広東省は華僑の中心地として東南アジアに強い力を持っていて、北京よりも強かったりする。

p120 中国が日本のカギになる
 クオリティ国家は隣国の大国に依存する。北欧国家もドイツに進出して切磋琢磨する。アイルランドはイギリスに、台湾は中国に。
 日本もこれを見習って、中国という巨大市場で勝負し利用すべきなのである。

 利用するというと聞こえが悪いが、経済の勝利は「騙す」ことではない。よりよい「価値」を提供することである。自国よりも人口の多い国で、より多くの人に価値を提供する。そういう世界の優良国家になるべきということである。


p128 移民の質
 日本では「移民を入れたら治安が悪化する」という理由で拒否される。しかし、スイスやシンガポールのクオリティ国家では治安が悪化していない。
 例えば、シンガポールでは移民に学歴、職能などの条件を課している。優秀な外国人だけが来るなんて都合がいいように見えるが、実際シンガポールは人口を300万人から500万人に増やせている。
 きちんと高いスキルを発揮して、成功できる場を作ってあげれば、優秀な移民をたくさん誘致できるのである。
 日本人の考えでは、低賃金労働を移民に押し付けようとしているから、治安が悪化するという考えになるのである。そりゃ当然だ。差別されれば心も腐る。
 移民に仕事をとられたくない保守的な考えがあるから日本では国家をあげての移民政策ができないのである。

p136 ボーディング・スクール
 スイスには「ボーディング・スクール」という、海外勤務の子供のための全寮制の学校が整備されており、すんごい充実している。
 スイスのグローバル企業では、若いうちに海外を転々として、キャリアを積んで国内で管理職になる。その時夫婦で海外で暮らし、子供はその学校に入る。長期休暇の時だけ親もとへ行く。そのうち留学したりする。
 ちなみに、ル・ロゼという老舗BoardingSchoolは年間800万かかる。ちなみに年8か月の開校なので、実質月額100万円。

p145 「教える」の廃止
 「考える教育」を目指すデンマークでは、学校とは「学ぶ」場所であり、「教える」という概念を追放した。
 デンマークでは、先生はファシリテーターというラーンニングアドバイザーである。ファシリテーターは担当の生徒が学べるように、自分で考えて行動するので、学校全体が考える場になっているのである。

 デンマークではPISAなどのテストでランキングが落ちたりして、これを見直そうという意見もあるが、この教育でちゃんと人材は育っている。

p161 詰め込みも学力が上がる
 韓国や中国では詰め込み教育によって教育レベルを上げている。これほど徹底してやれば、そりゃあ実績も上がるだろう。そこで競争を勝ち抜いた一握りのエリートが世界で活躍して、国をひっぱるのだ。

 ただ、絶対に大きな悪影響があると思う。

p163 韓国の英語力
 韓国ではTOEICで800~900点という高いハードルを受験資格や採用資格に設けて英語力をあげた。
 ちなみに日本の英語教員のTOEICの平均スコアは中学が560点、高校が620点である。このデータは非常に興味深い。

p180 解雇規制緩和→雇用援助の方が効果的だ
 スイスなどのクオリティ国家では、従業員の首が切りやすい仕組みになっている。そのかわりセーフティネットが充実しているのである。失業給付や職業訓練が機能的で、給付を受けるには訓練を受けなければならず、訓練で能力強化されてどんどんほかの企業が採用していく。

 この雇用の流動性の高さがあるから、新しい産業・企業が成長できる。

 日本などの雇用の固定的な国ではこの仕組みの印象が悪い。だから政治家もこの仕組みを取り入れようという人が出てこない。

p186 日本のダメ
①日本の市場がデカかったから、海外進出の必要性がなかった
②コストダウン・技術革新で勝負していたが、もう限界
③技術開発は得意だが、ブランド価値の向上や新しいビジネスモデルの構築が苦手
④大企業や銀行などが経営不振になったら国が助けちゃう。中小企業もモラトリアム法で無駄な延命処置されてる
⑤外貨導入や外人採用ができない。劣等感からくる差別意識
⑥工業国モデルからの脱却ができない。教育システムが変えられないから

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 ちきりんの言ってることはこのまんまだ。

 日本の規模が大きすぎるというのは凄くなっとくなんだよなぁ。この面積で1億人以上の人口がいるんだもんなぁ。

 そりゃあ地方だけで1国家くらいの規模なんだから、そうするべきだ。

 鎌倉幕府は1192~1333年の242年で戦乱になり、
 室町幕府は1336~1573年の237年で戦国時代になり、
 江戸幕府は1603~1867年の254年で維新が起こり、
 明治政府は1868~現代まで146年経った。

 100年くらい早いけれど、また統一国家の解体来るかな??


 橋下は道州制についてきちんと勉強していて、大前さんにも師事したというが、実現できなさそうだしなぁ…。


 安倍さんが命に代えて日本の行政機関を解体してほしいところです。

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2014年11月10日

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グローバル化と国際競争力のある国について一人あたりGDPの高い国、スイスやシンガポールなどの例をあげつつ、現状の日本を見つめる。日本はクオリティ国家を目指すにはこれらの国と比して規模が大きく、道州制の導入がひとつの解になる可能性があると述べている。GDPに目を向ける前に考えるべきことが人類にはあるように個人的には思うのだが、理想を追い求める前にこのようなプロセスを通る必要があるのかもしれない。

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2013年08月08日

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大前氏が前々から提唱してきた道州制を世界の事例を交えて整理説明する本。いつも通り事例にリアリティと説得力があり論理的な文章で分かりやすい。
日本が生きる道は世界から企業、かね、人、情報を集め、世界にグローバル競争力のある企業や人材を輩出するクオリティ国家となることしかない。
国際競争力で1位2位のスイスとシンガポールは何れもそのモデルが確立してうる。
日本がこうなれないのはやはり危機意識の問題が大きいように思う。なんやかんやみんな生活できているしやばいやばいと言われながらも景気が浮き沈みを繰り返すなどしており自分たちの生活を脅かすほどの事態までは想像していない。それから国家戦略を国民みんなが語れるシンガポールとは対象的に国がやることにどこか第三者的立場でみてしまうところがある。
このままいくとどんな未来が待っているのかを多少大袈裟にでも国民に見せて危機感を募らせることも必要なのかもしれない。

シンガポールが日本向けのDMを30円で受けもち、日本郵政がただで配達しているという事例はなんとも間抜けな日本を象徴しているかのようで虚しい。

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2013年07月15日

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権限をもった道州制が実現出来れば、それぞれ特徴のある施策も進みそうです。確かに中途半端な施策が多いように思います。教育もそうかもしれませんね。子どもたちに留学させようと考える保護者が増えていることも頷けます。

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2013年04月19日

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前半はデータや体験から得られた情報を散りばめつつも、聞いたことがある話が並んでいた。
それでも提言の章、とくに橋下徹氏への言及のくだりは、マイケル・サンデル氏かと思うほどの迫力があった。

すでにクオリティ国家になっている国が、どういう経緯でどう考え、何を重視して取り組んでいるかが詳細に記載されている。自分や子供が何をどのように学習していくべきかの指針になる。

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2013年03月17日

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日本の現在の中央集権体制はすでに破綻しているのは周知の通り。これから日本が進むべき道を海外の先行事例がわかりやすく記述されていて、なるほどと思わせる。教育体制も中途半端ではだめで自分も親として子供を育てる上で、人に任せっぱなしではなく考えていこうと思う

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2013年02月23日

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日本は大量生産・低コストで勝負する「ボリューム国家」から脱却し、「クオリティ国家」を目指さなければいけない。

クオリティ国家とは、経済の規模が小さいが、高い賃金をカバーする高い付加価値を発揮する、生産性が高い国であり、主な例はスイスやシンガポールである。

これらのクオリティ国家は、魅力的な国をつくり・投資を呼び込むことで、人・物・金・情報・企業を集める。自国の力だけで成長するのではなく、他者のリソースを使っての繁栄を目指す。

そのため、人材が来たいと思う国・人々が生活しやすい国・投資/資産家が魅力を感じる国をつくらなければならない。規制撤廃し・市場を開放する等、他者を呼び込むために様々な意思決定をスピード感を持って実行していく必要がある。

しかし、今の日本は1億2800万人もいる大国であるので、スピーディに意思決定を行うのは難しい。だが、道州制を導入し、日本を道州に分けることができれば、それぞれの道州を世界の他のクオリティ国家と同規模にすることができる。中央集権をやめ、道州制を導入し、各洲が自分たちの魅力を最大化するように動けば、日本は衰退フェーズから抜け出すことができる。

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2013年02月17日

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ネタバレ

 国家繁栄のための道筋は、人口を多く抱える「ボリューム国家」と人口は少なくとも付加価値で稼ぐ「クオリティ国家」に分かれる。ボリューム国家には、中国、アメリカ、インドなど、クオリティ国家には、シンガポール、デンマーク、スイスなどが含まれる。

 日本がクオリティ国家になっていくには人口が多すぎるのではないか、という指摘には、

 道州制を導入し、それぞれが「クオリティ国家を目指す」という道を提案している。

 いずれにしてもキーは教育、と。 

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2013年02月03日

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道州制を提言する大前氏。私の個人的な意見は「大賛成」。しかし国や利権がらみでがんじがらめにされないようにしなければ何の意味もない。そう、今の日本はそのがんじがらめで進化出来ないシステムが出来上がってしまっている。
道州制で出来る地方の首長はなんと「大統領」。日本の総理大臣は政党の長だからころころ変わるが、大統領は任期制。だからじっくりと改革が出来る。
スイスやシンガポールをモデルとした小さい規模を原則としたイノベーティブな取り組みをする「クオリティ国家」は日本でも導入可能だ。
個人的には出身の東北を応援して変えて行きたい。世界にない、自然と一体となった新しい国家。エネルギーの少ないグリーンな。
大前氏は北海道と九州をケースにして期待をかける。私は東北です。

実現するためには大胆な規制緩和。今の日本の総理大臣が言っている「金融だけの緩和」は手ぬるいと思う。
規制緩和をし、ニッチな市場でブランドを確立し、語学教育に重点投資する。特徴のある国づくりが世界からリソースを呼び込む。今のクオリティー国家の海外比率はなんと95%だ。ネスレは96%なのに世界のソニーは60%弱。
最後に「維新の会」のネーミングを了承した平成維新の会のリーダー大前氏は、石原氏と組んで国レベルに拡大してしまった橋下氏に忸怩たる思いを感じている。彼には大阪を中心とした道州制の首長として期待をしていたのに。

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2013年01月30日

Posted by ブクログ

シンガポールやスイスなど、300万~1,000万人規模のクオリティ都市が、世界の繁栄の中心となる。
日本でも道州制を導入の上、徹底的な規制緩和と各地域での独自の工夫により、各都市はそれ目指すべきであるという提言の書。

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2020年05月18日

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経済規模は小さいが質の向上を目指すクオリティ国家の実例を紹介し、日本は道州制を導入してクオリティ国家を目指さなければ生き残れない、と説いています。

欧州のクオリティ国家の例として挙げられている、スイス、ノルウェー、デンマーク、フィンランドは、民度の高さが印象的でした。

シンガポールはリー・クアンユー元首相の強いリーダーシップが特徴。

今の日本の政治家や統治機構では絶望的としています。読んでるほうも絶望してしまいます。

唯一の希望が地方から国家転換の先行事例を作ることとし、大阪都構想に期待しています。

著者の自慢が所々気になりますが、全体的には賛同できます。

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2018年12月30日

Posted by ブクログ

中国が自国通貨の中国元を不当に操作して競争力を維持していると主張しているが、そもそも中国と競合するようなものを作っていることがおかしいのではないか。P72

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2015年02月04日

Posted by ブクログ

大前節炸裂といった本。

今回の本は、スイス、シンガポール、その他の国を事例に挙げて、これからの日本は戦略国家にならなくてはならないと言っている。

しかしながら、提言内容としては既刊本とそれほど変わらないというか、ぶれてはいない。だから、大前氏の本を読んだことがある人であれば、それぞれの国について読んで見たければ読む意味があるが、結論だけ読みたい人には不向きだと思う。

しかし、橋下氏には少し裏切られた感があったんだと気が付いたのが面白かった。

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2013年11月26日

Posted by ブクログ

自虐的国家観からくる積極的規制緩和論…道州制への積極的移行…となかなかしっくりこない箇所がある。論理展開も因果関係がすっきりしない。

でも一つ一つのアイディアにはハッとさせられることもあり、安易に評価はできないなぁと思う。

この本の本筋については藤井先生とか真逆の論理展開をしている本と併せて考えたい。たしかに道州制への移行は国家レベルでのインフラ維持に課題があると思うから。

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2013年08月24日

Posted by ブクログ

人口1千万内、1人あたりGDPは高く、高付加価値人材を擁し、世界から企業・マネー・人材・富裕者・情報を呼び込む。道州制で実現可能になる。

クオリティ国家になり得る素材が10個もあるんだから、活かさないと。

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2013年11月04日

Posted by ブクログ

素晴らしい肩書きを持ち、本の中で書かれているとおり精力的に実行にも関わろうとする大前さんは敬意を抱くし、私のような部外者が本の内容の是非について発言するのもおこがましいが、気になった点としては、BRICsから小型国家に氏の他の本から内容書き換えただけちゃうんかとか、いくつか中規模レベルの国家混じってないかとか、小規模だから上手くいったんじゃなくて上手くいってる国から小規模な国選んでるだけちゃうんかとか、素人の勘繰りをちょっとしてしまいたくなりました
いつもの大前さんの著書のクオリティはあるのですが、逆にいえばいつもの大前節です

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2013年03月13日

「ビジネス・経済」ランキング