【感想・ネタバレ】卍(まんじ)のレビュー

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Posted by ブクログ 2023年11月09日

いやはや恐ろしい女よ光子は。これはこれは全員光子の沼にハマっていく様子が面白かったわぁ
4人全員の絡み合いを描いた作品の題名が卍って谷崎潤一郎のセンスの良さひかりすぎている。最後にかけて本当にページを捲る手がとまらなくなった。そんで持って夫まで死ぬんかい!!で園子は生き残るかい!!驚愕のラストでした...続きを読む。夫が園子といた時は恋愛を分からなかったけど光子としてからは恋をしたことに気づくのが好き。これの実写化はハードル高そう〜

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Posted by ブクログ 2023年04月22日

谷崎潤一郎作品の山に踏み入ろうと思い、かなり過去に読んだ、短編集の刺青に続いて。女性の魔性を描く、というスタイルは一貫していて、その魔性をもってして、周囲の社会的ゲシュタルトが溶解していくのだが、この溶解されゆく感じ、こそがマゾヒズムの真骨頂だと思いました。ゆえにして、肉体的ではなく、それさえ生温い...続きを読むゲシュタルトの内にある低次元な快楽でしかないと告げるように、飽くまで精神的耽溺、一種の麻薬的プラトニックラブが称揚されている。谷崎イズ谷崎。ドープでした。

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Posted by ブクログ 2022年08月29日

序盤に園子さんの肩書きが書いてあったことをすっかり忘れて読み進め、感情が揺り動かされたラストでした。情緒の細かいところまで語られているので何ともリアリティがあり、読者の私も光子さんに翻弄されました。最初は女学生の百合だ!って喜んでいたのに…(笑) 生まれ持った性質で人を自然と堕としてしまう魅力の女性...続きを読むというのは、こういう人なんでしょうか。会ってみたいような、恐ろしいような、そんな感じがします。
大阪弁の口語調で綴られているので、関西弁になじみがない人には読みにくいかもしれません。時間はかかりますが、心の中で音読しながら読むのが何とも楽しく、日本語の美しさを感じます。
中村さんの解説も、谷崎氏の作品のなかでどういった位置付けなのかが書かれていて、参考になりました。

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Posted by ブクログ 2022年08月16日

「刺青・秘密」の次に好きでお気に入り。
美しくて残忍な、悪魔な女を描く谷崎潤一郎はやはり凄いし素晴らしい作家だと再認識できた本。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2021年03月17日

主人公 園子の大阪弁による一人語りで物語は展開される。美術学校で出会った両性愛の女性 光子に、関係する男女が翻弄されていく。昭和初期の作品ではあるが、一風変わった愛のカタチとして、三浦しをん著『きみはポラリス』の1編として加えてもいいかも。。。

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Posted by ブクログ 2020年05月13日

谷崎潤一郎の作品を読むのは初めて。

今でこそ理解も少しづつ広まっているが昭和の時代に同性愛の物語を書いている事に驚いた。
同性愛だけでなく、光子という1人の女性を中心に夫婦問題、不倫、男女関係など様々な関係とその間の問題が浮かび上がってくる作品である。

光子という女性をめぐって巻き起こる様々な問...続きを読む題とストーリーの展開に引き込まれた。
また、関西口調も作品の面白みを引き出す要素になっているのではないかと思われた。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2019年09月07日

園子の独白
3人で心中して光子と夫だけが死ぬところ
光子が睡眠剤飲ませてくところ

2019年9月6日

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Posted by ブクログ 2023年05月03日

知人と「パートナーがその同性と浮気したらどうする」という話になった。「なんか、敵わないよね」という結論に至った気がする。本書はそんな昔話を思い起こさせる。
ただ、設定としての同性愛や中村光夫が解説で使う「変態性欲」というキツめの言葉、触れ込みの「淫靡で濃密な愛憎」を真に受けると谷崎は誤読すると思う。...続きを読む
見えてくるのは周囲を誤魔化してでも崇拝される者たろうとするエゴに満ちた悪魔的人間と、跪かざるを得ない凡夫たちだ。悪魔はそのまま谷崎的な女性崇拝につながるのだろう。
物語はその関係性を構築するため緻密に稼働する。まるで悪魔に奉仕するかのように。

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Posted by ブクログ 2022年11月19日

光子の誘惑というか、悪魔的な魅力がホント恐ろしい…。
異性のみならず、同性をこうも骨抜きにまでしてしまうその手段。少し味わってみたいけど、味わったら多分ハズさんと同じ道に陥るんだろうな(笑)

ミステリーみたいな感じもして、ハラハラしながら読み進められました。

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Posted by ブクログ 2021年12月21日

故郷の祖母と話しているような文体が懐かしかった。

内容はスキャンダラス、だけどはっきりとは書いていないから上品でもあった。後半の薬を多用する辺りからはヤベーな・・・と思って読んだ。

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Posted by ブクログ 2021年10月10日

関西を舞台にしている作品で、物語の中のやり取りも大阪弁で交わされており親近感が湧く。女のバトルはいつになっても恐ろしいものだ。

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Posted by ブクログ 2021年05月16日

あまり読み慣れない文体(関西弁、昔の言葉)だったので、最初の方は読みづらかったが、慣れるとテンポよく読めた。
1回2人が離れたとき、このまま夫と幸せになれと思ったがそうもいかず(笑)、まさか夫まであんなことになろうとは…。

私も、園子と同じように、最初は光子さんは好きで綿貫と付き合っているのかと思...続きを読むったけど、綿貫のことが分かってきてから状況が一変。
光子さんはどこまで計算していたのか、本当は園子とその夫のことをどう思っていたのか…。
光子さん側の独白も見てみたかった。

物語には関係ないが、2人が園子の夫のことを「ハズさん」と呼んでいるのが可愛くていいなと思った。

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Posted by ブクログ 2021年04月24日

ひと昔前の昼ドラを思わせる、衝撃の展開。
四人の感情が複雑に絡まりあっていく。

独占したくて、欺く。
信じるがゆえ、欺かれる。

光子が本当に愛したのは誰だったのか。

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Posted by ブクログ 2021年02月01日

「卍」は吉祥の徴と聞いていたのだけれど、この作品に限っては、捩れた情愛の兆だったようです。
正直、「その三十」に来るまでは、「なんでこのタイトルにしたんだ?三つ巴くらいがちょうどじゃない?」と思っていました。
「今まで読んだ谷崎より全然気持ち悪くないや」と侮ってさえいました。
それが、「その三十」を...続きを読む読んだ途端。
それまで確かに見ていたはずのたおやかな大阪弁たちは曖昧に去り、気づけば、赤地にぬめりと刷り込まれた「卍」が頭の中を埋め尽くして。
男女四人の情愛が、崇敬が、執念が、ぐるぐるぐると、「卍」のように誰もが誰にも追いつけないまま回っているような。
それでいて、誰かと誰かは繋がり合っているような、いや、どこかで全てが結ばれているような。
なんとも不気味な気持ち悪さに囚われていました。
作中の、一人の女をめぐって堕ちていく男女について語る園子の緻密な破綻の描き様は、さすが谷崎、なのですが。
それより何より、このタイトルの妙が、凄まじい。
このタイトルより他に、この作品を説明するのに相応しい言葉も文字も、私には思いつきません…

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2020年09月25日


(和書)2009年10月31日 14:52
1951 新潮社 谷崎 潤一郎


関西の言葉で書かれた女性の同性愛の話だけど、解説にあったように素人の言葉遣いがとても色気を感じさせて女性の感覚がとても面白く読めました。

谷崎潤一郎の他の本も読んでみたい。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2020年08月17日

こんなにややこしい恋愛小説は、生まれてはじめて読みました。
隙間のないほど埋め尽くされた語り口調の羅列、永遠に続く大阪弁…。

異性愛+同性愛という複雑な三角関係が重なりあった物語ゆえ、一度読んだだけでは理解できない部分があった。

何かがあると死にたい、殺してやる… 彼らは狂っていると思った。
...続きを読むれども愛は、人をそんな風に変えてしまうものなのかもしれない。
結局 園子だけが生き残った。彼女は、夫も、愛していた光子も失った。
彼女は幸せそうには思えなかったし、可哀想だと思った。



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Posted by ブクログ 2020年07月31日

ひととの距離を掴めないひとたち。

光子の場合には歪んだ自己愛を見せる。

P.103『異性の人に崇拝しられるより同性の人に崇拝しられる時が、自分は一番誇り感じる』

人格の異常(personality disorder)に魅力を感じるということは往々にして実存しうる。

人格、認知や行動に一貫した...続きを読む偏りがあったり、他者操作性があるようなひとを魅力的であると感じるのは別段おかしなことではない。

そして、この物語では光子という歪んだ自己愛に魅入られてしまったひとたち。

中盤以降、どうもおかしな方向へ話しが傾いてしまい、猜疑心或いは嫉妬によって操作されていく。

冷静で客観的な思考、現実を吟味する力が弱まり、渦中にいるひとすべてが身動きがとれなくなる。

まるで卍のように。

彼女たちの関係がいよいよ決定的ににっちもさっちもいかなくなった時、読み手は思わずこう呟くことになる。

マジ卍。

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Posted by ブクログ 2020年05月21日

淡々とした語り口ながらも大阪弁(船場言葉)によって優美さを備えた文体となっており、淫靡な内容ながらも明るさ、華やかさを感じた。
内容に関しては既に様々に書かれているため敢えて記すことはしない。
特殊な三角、いや四角関係をもった者たちの逼迫した心理描写、今後どのような展開を迎えるのか気になって思わず読...続きを読むみ進めてしまった

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Posted by ブクログ 2020年04月10日

はじめは慣れない関西弁で読みにくいなと思ったけど、慣れたら続きが気になりすぎてお風呂でも読んでました。
自分とは住む世界も時代も違う話なんだけど、登場する女の人がリアル!いるいるこんな女!笑
谷崎潤一郎はちょっと苦手と思ってたけど、これは好き!

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Posted by ブクログ 2020年03月28日

大阪弁の柔和で湿っぽい言葉遣いで展開する禁断の愛憎劇。

サキュバス的、ニンフ的なメンタリティな奸婦光子が誘う背徳の底無し沼。

窮地にすぐ「死ぬ死ぬ」言い、約束を全く守らず自由に行動する園子に、共感よりも戦慄した…

人間の欲望と弱さ、愚かさが怖すぎる!

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Posted by ブクログ 2019年11月27日

谷崎氏は淫靡な悪女を描くのが本当に巧い。三角関係の話であるが、そこには同性の愛、異性の愛、不倫が複雑怪奇に絡み合う。物語は終始園子の独白という形で進む。話題が往来しながら古風な関西弁を畳み掛ける女性特有の語らい、一字下げを排した独特な構成と文体にも関わらず読み辛さは感じない一方で読者は心地よい錯綜を...続きを読む味わう。

不謹慎ながら綿貫を本書の園子の姿は「北九州監禁事件」を思い出してしまった。狂気に落ちた綿貫と、光子観音と称し園子とハズを真綿で弱らす描写はなんとも凄まじい。しかしその物語をなんのかんの言って始終抑揚と平静さを以て語る園子が最たる悪魔なのかもしれない。

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Posted by ブクログ 2023年10月23日

良家の若奥様だった園子の告白というかたちで、大阪のことばで語られる。標準語にはない物腰の柔らかい口調に、自然と引き込まれる。登場人物である園子、園子と禁断の関係に落ちる光子、光子の愛人・綿貫、そして園子の夫。みんながそれぞれ愛に盲目的になり、その愛を失わないようにと画策する様は醜いようであり、反面自...続きを読む分の心に正直で純真なのかもしれないと感じた。

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Posted by ブクログ 2023年06月25日

女性同士の恋愛関係で有名な作品かもしれないけども……。
個人的には、ラストの展開を押したい。実際にあった事件を参考にしたのか、それとも……。
大谷崎には、もっとミステリーやサスペンスを書いて頂きたかったな……。

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Posted by ブクログ 2023年04月07日

これから語られる二組の男女の複雑な愛憎劇の当事者の女性が、大阪弁で告白する形式で書かれています。一人の語りだけで、これだけの物語を読ませ、引き込むという流れが高度だなぁと。
園子(語部)は絵画教室で知り合った美貌の光子の小悪魔的な振舞いに夢中になっていく。そこに光子の元婚約者のイケメン男性が入り込む...続きを読む。彼は三人の関係を均衡を持たせようとする。そして、弁護士である園子の良人までも巻き込んでいく。夫は、理性的な人間だったが、光子の奔放な妖艶さに妻と共に支配され始める。光子が思いのまま振る舞い策略していく様子は、恋愛サイコかな。真面目な夫が、どこか真面目な感じに狂っていく様子が救えない。最後は、なかなか。

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Posted by ブクログ 2022年04月21日

戦前の小説のわりに、ストーリーに起伏があって二転三転する。作者は事実そのままを描く自然主義には反対の立場だったらしい。

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Posted by ブクログ 2021年05月16日

関西の文語のような表現で、いささか理解力が無いと苦労しました。主人公が欺かれる所は何とも言えない虚無感があり、読者にとっての読み応えのあるものにとって代わった様です。嫌らしい綿貫の誓約書により破滅まで追いやられる様子や、最後に夫までもが光子に靡いてしまうという設定は見るに堪えませんが、それこそ人間の...続きを読むいやらしさを描いていて良かったです。最期の盛り上がりに欠けたような気もしましたが、園子が実は冷静な女だった事が分かったので安心しました。

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Posted by ブクログ 2021年01月10日

「卍」は、女性の同性愛について書かれた本。著者の谷崎潤一郎は生涯にわたり性を追求した人物。半自伝的小説と言われる「仮面の告白」と比較して内面を深掘りしたような描写が少なくストーリー色がより強い。大阪弁で「先生」に伝えるという形式で書かれているが、強い大阪弁が少し読みづらい。しかし、大阪弁の表現である...続きを読むからこそ、力強く伝わってくる部分がある。難解な文章で理解できなかった部分も多いが再び挑戦したい。

名作には違いないが、自身がこの本を理解しきれていない部分も多いため、今回はこの評価

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Posted by ブクログ 2020年10月25日

昭和の街並みが目に浮かぶような情景の数々。光子という一人の女性の奔放で、教祖的な口のうまさと人を支配する毒気。それにあてられたのは平凡な人妻の園子で、その夫で、種なしドンファン綿貫。これはもう関わってしまったが運の尽き。園子が主な語り口。はじめはただの友達が、気がつけば愛してるの愛されてる話に変わっ...続きを読むていく様が女性特有の勝手に盛り上がって、盛り上がったことでその世界に入り込んでいく感じが恐ろしく生々しかった。園子も光子も男を軽んじて、侮ってているのが空恐ろしい。

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Posted by ブクログ 2020年08月31日

こじれていく同性愛の物語。主人公は有閑階級の婦人で、ある日趣味で通う芸術学校で、光子という美人に恋をする。

レズビアン小説でありながら性愛の描写は一切なく、実際コトはしているが書いていないのか、あるいは精神的にレズというだけなのかもしれない。

醜聞が噂になったり、恋愛が元で死んでやるとか、心中し...続きを読むようとかが出てくるあたりに時代を感じた。終始昔の関西弁で書かれていて、関西人の自分でも慣れるまでは読みづらかった。やっぱり今の関西弁とは色々違うんだなぁと思った。私のこと「あて」と言ったり、〜のほうに行くを「ほうィ行く」などと言ったりする。

話のほうはというと、二転三転してどんどん込み入って、どろどろした三角関係が展開される。谷崎氏は話の筋をしっかり作るらしいから、あらかじめ決めておいたのだろうか。それにしても複雑な話だと思った。

でも面白いかというと、『春琴抄』もそうだったけど、『痴人の愛』と比べると少し面白さに欠けるかなと思った。

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Posted by ブクログ 2019年09月07日

内田樹先生がブログで無人島に一冊持って行くとしたら「細雪」と書いておられるのを見て、半年前に初めて谷崎の細雪を読んで面白かったので、この卍で2冊目。こんな昔(昭和初期?)に同性愛を描いた小説があったんだっていう単純な驚きと興味。
超美人の独身光子と柿内夫人園子の関係を中心に、ストーカーのように光子...続きを読むにつきまとう性的不能の綿貫、最後は光子と深い関係を持ってしまう園子の夫等が複雑に絡んできて繰り広げられるドロドロの愛憎劇。 嫉妬、疑心暗鬼、狂言、駆け引きの中で皆が狂気に駆られて行く様に背筋が寒くなる一方、なぜ誰もこの泥沼から抜け出そうとせずに、むしろこの状況に耽溺しようとすら見えるのは滑稽な感じもしたのだが、これが美の持つ魔性なのか。 読み終わって、蓮池の淵から地獄の底を眺める仏様の心境。細雪も卍もどちらも金と暇のある有閑階級のお話。

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