【感想・ネタバレ】亜愛一郎の狼狽のレビュー

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Posted by ブクログ

ネタバレ

一度この苗字を聞いたら
忘れることはないでしょう。
なにせ「あ」、あですからね。
(ちなみに実在しない苗字です)

そんな手抜きな苗字(!)のせいなのか、
彼はどこか抜けているのです。
ドジをやらかすこともしょっちゅうですし、
行動もどこかぎこちがない。

だけれども、頭脳は素晴らしいものを
持っているのです。
現実に、暗号文が絡む謎も
といていますからね。

どこか憎めないキャラでした。

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2014年08月03日

Posted by ブクログ

ネタバレ

米澤穂信がおすすめしていた作家であり作品だったので読んでみた。

三角形の顔をした老婦人がたびたび出てくるのはモブの使いまわし的な、ただの遊び心の表れだろうか。

「DL2号機事件」
大きな地震があったら近いうちにはまた起きないだろうと考える心理に初めて触れて面白かった。それで殺人まで起こそうとするのは異常だけど、異常だから殺人まで犯すのはわかってしまう。
これをデビュー作にするの、犯人の心理に興味がありますって感じで面白い。トリックじゃないんだな。ハウダニットよりホワイダニット派ってことかな。

「右腕山上空」
そう思ったらちゃんとトリックの話だった。
塩田がたくさんの女性と結婚し離婚しながらも、10年間も秘書が好き、というのがさらりと描写されてるのがすごい。でも深くは書かない。面白い。
殺人トリックは言われて見れば、なあんだ、だけど、この時代だったら完全犯罪になりそうで面白かった。

「曲った部屋」
違う部屋で殺して家具の入れ替えというトリック。それを示唆する描写が面白い。
最後、小網と亜が鏡の前にいるけど、酔っぱらって泊まったのか、なんなのか。ちょっと気になった。

「掌上の黄金仮面」
銀行強盗と殺人が絡み合う。これも、被害者の挙動を観察してたらわかるやつ。面白い。

「G線上の鼬」
タクシー強盗の話が絡んでて面白かった。飲酒運転やば。おおらかすぎる。
右腕山上空の気球の時と似てる。一人だと思ったら二人いたやつ。

「掘出された童話」
この童話絶対暗号!とわかるが、解くのがだるい。モールス信号出た~の気持ち。書体にこだわったのがポイントだったんだな。
最後ちょっとオカルトめいてたのが面白い。
一荷と亜のやりとりがちょっとほもほもしい感じ。時代なのか?そういうものなのか?
手錠まで付けるの面白い。

「ホロボの神」
戦後の生々しい感じが良い。この時代、遺骨を取りに行くことしてたんだなとわかって面白い。最近、海の底の遺骨も回収しようっていうのは聞いてたけど、それまでどんな活動していたかよく知らなかった。

「黒い霧」
犯人像が安易すぎるけど、それがやりたかったんだろうなって感じ。商店街の人達のケーキや豆腐の投げ合いが牧歌的。

どれも面白かった。

解説で、『幻影城』を作った島崎博がさらりと消息不明となっていたのが気になった。それで良いのか???大量の本のコレクション置き去りにしちゃうのも、謎の失踪じみてる。今だったらニュースだと思うが、流されてるのが面白い。関係者はあまり面白くなかったと思う。

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2024年03月06日

Posted by ブクログ

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読友さんの感想を読んで興味を持つ。亜愛一郎(あ・あいいちろう)は探偵で、キャラが薄いが推理力抜群。登場人物の名前が変だった。愛一郎だけではなく全体的に変。その理由なのか、昭和ノスタルジーに浸れるキャラ設定。全8話からなり、最初に事件が起き、そこに愛一郎がいる。いつの間にか愛一郎が事件を解決する糸口を見つけ、推理を披露する。お菓子会社の宣伝目的のために気球を飛ばす話は面白かった。UFO愛好家とのリンクが何とも言えない。一方、何故だろう?読みにくさも抜群でページを捲るスピードが既読本でもNo.1だったかな。④

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2022年10月28日

Posted by ブクログ

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「DL2号機事件」略
「右腕山上空」:菓子メーカーの宣伝企画として飛び発った気球の中で漫才師の死体が発見される。気球に乗ったのは被害者ただ一人のはずだがーー。事件発生までの流れと提示される謎が魅力的。短編なのでアッサリした真相看破だが視点人物である塩田の秘書への感情描写が良い味してました。
「曲がった部屋」:お化け団地などと呼ばれる団地で発見された腐敗した他殺死体の謎を亜愛一郎が解き明かす一編。伏線がやさしめでしたがやはり亜愛一郎のあの一言の破壊力はバツグン。
「掌上の黄金仮面」:巨大な弥勒菩薩像の掌に突如現れ紙幣をバラ撒いていた黄金仮面が射殺された事件と強盗事件とが絡み合う異様な状況を亜愛一郎が解き明かす一編。短編ながらも奥行きのある舞台構築の手際が良い。そしてまた華麗なひっくり返しにやられてしまったな。
「G線上の鼬」:タクシー運転手の浜岡は客を送る途中で強盗に襲われたという同僚と遭遇する。彼と現場に向かうとそこには同僚のタクシーと強盗の死体があり、しかもそこから逃れる足跡は一つしかなくーー。真相を浮き上がらせる物証の提示の見せ方が上手いよなぁ。
「掘出された童話」:冒頭の不思議な童話に潜む謎がとあるヒントで解き明かされるクライマックスが見事。童話として成立させつつこの形に落とし込む手際と各シーンに配された伏線に気付かされた時のゾッとする感じが良いのだ。
「ホロボの神」:戦死者の遺骨収集団としてホロボ島に赴く中神は、道中出逢った学術隊に島の原住民が自殺した事件を語る。屍体を忌避するとされる未開民族の習慣と反する事件の真相とはーー。ホロボの神が何のシンボルかは予想がついたがそれをあの形に収束させるとは。
「黒い霧」:明け方の商店街で突然発生した黒い霧の謎、霧を発端とした商店街の店主たちによるドタバタバトルでお腹を抱えて笑わされ、その後の謎解きにこれまたニヤリとさせられるバランスが凄い。
どの短編も泡坂妻夫の奇術師らしい手際で多幸感に包まれる読書体験でした。

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2016年07月10日

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泡坂妻夫による亜愛一郎の活躍を描くミステリ短編集。
普段はパッとしないくせに、人の話を聞いてその裏に隠された真相を推理する能力がずば抜けている亜愛一郎。亜愛一郎はいわゆる安楽椅子探偵で、その現場を見ていなくても人の話から推理を展開し、事件を解決に導く。
特に、収録作のひとつ「ホロボの神」では戦時中の南方の島で起こった現地人の酋長の自殺の謎を解き明かすが、最早その現場に愛一郎が立ち会うことなどできないにもかかわらず、話を聞くだけで真相に辿り着いてしまう。その論理的かつ他に考えようがない結論の提示は小気味良いほどだ。
推理を展開すると鋭い頭脳を披露するのに、普段はまるっきり頼りないというギャップも面白い。
ふるい作品だけに、現在ではあまりお勧めされない表現や、戦争の記憶が生々しく描かれているなど時代を感じさせる部分はもちろんあるが、作品の面白さは色褪せていない。

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2015年10月16日

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