【感想・ネタバレ】亜愛一郎の狼狽のレビュー

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Posted by ブクログ 2022年01月23日

美青年なのだがどこか抜けている亜。彼が解決する事件も、一見事件に見えなかったり、事件が起こる前に解決してしまったり、やはりどこか変わっている。
全編ともかなりレベルが高く、国産短編集の中でもトップクラスではないだろうか。
個人的ベストは『DL2号機事件』『G線上の鼬』、次いで『黒い霧』。

『DL2...続きを読む号機事件』
数々の奇妙な謎が、たった一つの考え方によって一つに繋がれる。
そしてそれを補強する伏線は質も数も凄まじく、前半はもはや伏線の塊。

『G線上の鼬』
これも同じく、伏線の塊。この発想を雪密室として使うのも巧い。

『黒い霧』
カーボンを町に撒く、という謎も魅力的だし、その真相も素晴らしい。序盤で犯人を提示しているところも憎い。

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Posted by ブクログ 2014年08月03日

一度この苗字を聞いたら
忘れることはないでしょう。
なにせ「あ」、あですからね。
(ちなみに実在しない苗字です)

そんな手抜きな苗字(!)のせいなのか、
彼はどこか抜けているのです。
ドジをやらかすこともしょっちゅうですし、
行動もどこかぎこちがない。

だけれども、頭脳は素晴らしいものを
持って...続きを読むいるのです。
現実に、暗号文が絡む謎も
といていますからね。

どこか憎めないキャラでした。

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Posted by ブクログ 2016年05月01日

シンプルに収まってるのに、謎解きの発想が面白いから短編集でも十分楽しめる濃さがある
何より探偵役が・・・このテンションが癖になる。

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Posted by ブクログ 2024年03月06日

米澤穂信がおすすめしていた作家であり作品だったので読んでみた。

三角形の顔をした老婦人がたびたび出てくるのはモブの使いまわし的な、ただの遊び心の表れだろうか。

「DL2号機事件」
大きな地震があったら近いうちにはまた起きないだろうと考える心理に初めて触れて面白かった。それで殺人まで起こそうとする...続きを読むのは異常だけど、異常だから殺人まで犯すのはわかってしまう。
これをデビュー作にするの、犯人の心理に興味がありますって感じで面白い。トリックじゃないんだな。ハウダニットよりホワイダニット派ってことかな。

「右腕山上空」
そう思ったらちゃんとトリックの話だった。
塩田がたくさんの女性と結婚し離婚しながらも、10年間も秘書が好き、というのがさらりと描写されてるのがすごい。でも深くは書かない。面白い。
殺人トリックは言われて見れば、なあんだ、だけど、この時代だったら完全犯罪になりそうで面白かった。

「曲った部屋」
違う部屋で殺して家具の入れ替えというトリック。それを示唆する描写が面白い。
最後、小網と亜が鏡の前にいるけど、酔っぱらって泊まったのか、なんなのか。ちょっと気になった。

「掌上の黄金仮面」
銀行強盗と殺人が絡み合う。これも、被害者の挙動を観察してたらわかるやつ。面白い。

「G線上の鼬」
タクシー強盗の話が絡んでて面白かった。飲酒運転やば。おおらかすぎる。
右腕山上空の気球の時と似てる。一人だと思ったら二人いたやつ。

「掘出された童話」
この童話絶対暗号!とわかるが、解くのがだるい。モールス信号出た~の気持ち。書体にこだわったのがポイントだったんだな。
最後ちょっとオカルトめいてたのが面白い。
一荷と亜のやりとりがちょっとほもほもしい感じ。時代なのか?そういうものなのか?
手錠まで付けるの面白い。

「ホロボの神」
戦後の生々しい感じが良い。この時代、遺骨を取りに行くことしてたんだなとわかって面白い。最近、海の底の遺骨も回収しようっていうのは聞いてたけど、それまでどんな活動していたかよく知らなかった。

「黒い霧」
犯人像が安易すぎるけど、それがやりたかったんだろうなって感じ。商店街の人達のケーキや豆腐の投げ合いが牧歌的。

どれも面白かった。

解説で、『幻影城』を作った島崎博がさらりと消息不明となっていたのが気になった。それで良いのか???大量の本のコレクション置き去りにしちゃうのも、謎の失踪じみてる。今だったらニュースだと思うが、流されてるのが面白い。関係者はあまり面白くなかったと思う。

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Posted by ブクログ 2024年02月18日

本名:厚川昌男(あつかわまさお)で、筆名:泡坂妻夫はアナグラムだった。
どうやら「あ」にこだわったようで、デビュー作「DL2号機事件」の主人公の名前を「亜」にしたようだ。

謎解きの語り口は理路整然としていて"刑事コロンボ"を思い出した。

「亜」は自称カメラマンのようだが、なぜ...続きを読むか事件現場に居合せ謎解きを語る役回り。
人間の思考の癖とその思考に基ずく行動を推理したり、思考パターンを逆手に取った行動に注目したりして、真相解明するのは手品の仕掛けをばらすようで面白い。

背が高くてハンサムで力持ちらしいのだが、カッコイイという感じはなく、少しすっとぼけている印象が強い。

戦争にまつわる描写や、モールス信号、フィルムのカメラ、どこでも喫煙、ミルク配達人、など昭和の匂いもプンプンする作品だ。

「亜」だけでなく登場人物の名前も変、「緋熊(ひぐま)五郎」「鳥尾杉亭(さんてい)」「二毛(ふたげ)敏胤(としたね)」「藻湖(もこ)刑事」「佐藤看七(かんしち)」などなど…
藻湖刑事が再登場した時は、名前が奇抜だから覚えていたので、そういう狙いもあったのかと思った。

謎解きのタネは奇抜で無理があるのだが、明かされてみるときわめて論理的なので妙に納得させられる。
私は奇術も大好きなので、このような常識的な思考の隙を突かれる泡坂作品は好きだ。
どの作品も全く想像が及ばないところに真相が隠れていた。
マジシャンの頭の中にある騙しの技術を知るという目的でも楽しめそうだ。

「亜」シリーズは3部作であと2冊あるのだが、字が小さく(42x18)読むのが辛かったので躊躇してしまう(´ω`)コマッタナァ...

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Posted by ブクログ 2023年12月16日

1994年文庫初版、作品自体は1976-77年に島崎博編集の雑誌「幻影城」が初出なので、少しばかり言い回しがレトロな部分もあるが、の割に基本読みやすかった。背が高く整った端麗な顔立ちにいつも背広にネクタイ姿のカメラマン[亜愛一郎]が関わった事件を推理解決していく短編が8話収録だか、場も事件内容もそれ...続きを読むぞれ異なり、なかなか楽しめた。
以前読んだ小説に出てくる人物表現で、探偵亜愛一郎のような風貌とあり、亜愛一郎を知りたくて読んでみた。巻頭の「DL2号機事件」が作家デビュー作。

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Posted by ブクログ 2023年12月14日

並外れた推理力を持つが、ドジで運動神経皆無なカメラマン亜愛一郎を主人公とした連作短編周。
全ての短編で殺人事件が起こるものの、登場人物たちのクセが強いのもあって、終始コミカルでゆる〜い雰囲気が漂っていて、スラスラ読めました。
それでいて、全ての短編に伏線が綿密に仕組まれており、後半の推理パートでその...続きを読む伏線が一気に回収される様が圧巻。
シリーズ物なので次回作も読んでいきます。

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Posted by ブクログ 2022年10月28日

読友さんの感想を読んで興味を持つ。亜愛一郎(あ・あいいちろう)は探偵で、キャラが薄いが推理力抜群。登場人物の名前が変だった。愛一郎だけではなく全体的に変。その理由なのか、昭和ノスタルジーに浸れるキャラ設定。全8話からなり、最初に事件が起き、そこに愛一郎がいる。いつの間にか愛一郎が事件を解決する糸口を...続きを読む見つけ、推理を披露する。お菓子会社の宣伝目的のために気球を飛ばす話は面白かった。UFO愛好家とのリンクが何とも言えない。一方、何故だろう?読みにくさも抜群でページを捲るスピードが既読本でもNo.1だったかな。④

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Posted by ブクログ 2022年10月05日

本書は、1978年発表の、『亜愛一郎』三部作の第一弾で、若い頃に読んだときは、もう少しライトで、コミカルな印象だったのが、今読んでみると、真っ向勝負の本格ものに感じられて(泡坂妻夫流のということで、もちろんストレートだけではありません)、読む年代により、印象が大きく変わるのだなと、実感いたしました。...続きを読む

デビュー作の、「DL2号機事件」にしても、ほとんど内容を覚えていなかったため、後半の狂気的な展開に、心底驚いたと思ったら、それに対して、なるほどと肯ける論理的根拠があって、奇術さながらの、あっと言わせるトリッキーさと、泡坂さん自身の博識ぶりが同居した様は、既にデビュー作で健在だったことに、また驚きました。

真っ向勝負といえば、「掘出された童話」の暗号の謎もそうで、私は解答を見ても分からなかっただろうなと思いましたが、そこには知識量の凄さだけではなく、泡坂さんの、古くから伝わる文字や言葉に対する敬意も感じられて、しかも物語において、暗号にした目的が、また、何とも言えないものがあり、人間の愚かさや憐れさを、しっかり書いているところも印象深かったです。

そして、悲劇の被害者が多いのも、また印象深く・・・「掘出された童話」や「ホロボの神」、「掌上の黄金仮面」がそうで、特に後者は、今で言うところの、ブラック企業の存在を暗示しているようにも思われて、より、やるせないものを感じました。

また、本書における、泡坂さんの遊び心も健在で、

『「消えるドクロ」 by T.Awasaka』や、

更に、各話で必ず一度登場する、三角形の顔をした老婦人(プラス、タケル君)の存在も、本編とともに気になってしまい、今後も目が離せません。


あ、そうそう、肝心な探偵役の紹介を忘れてました。

年齢は35歳くらい。背が高く、整った端麗な顔だちは、どう見ても写真に撮られる方だが、彼は撮る側で、報道カメラマンの派手な仕事ではなく、雲やゾウリムシなどを面白がって撮っていて、いつでもきちんとした身なりをしているのは、なぜか質問すると、

「汚い格好で撮影したのでは、自然に対して失礼に当るでしょ」

と答える真摯さをもっているが、やや挙動不審プラス不器用で、運動神経は無さそうでいながら、腕っぷしは強く、白目をむいた後の頭のきれの良さは、紛れもなく、探偵『亜愛一郎(あ あいいちろう)』であり、ちなみに本書だけで、驚いたときに「きゃっ!」と叫ぶ場面が二回あります(可愛い)。

また、強面の高波刑事が、ああさん(私はこう呼ぼうかな)のために、捜査費から宿泊費を出してくれたり、ああさんの、おろおろした感じを気に入っている、一荷聡司であったりと、彼自身の人間としての魅力も見逃せないところであり、櫻田智也さんの、探偵『魞沢泉(えりさわ せん)』との類似性も分かった気がしましたが、現代人の多様な価値観の内面に立ち向かう魞沢クンは、まさに、令和の探偵だなといったところも、再実感いたしました。


ちなみに、akikobbさんの「生者と死者」のレビューにあった、ヨギガンジーシリーズの、「生者と死者」の本編に、本書に登場した方の、名前だけ登場した人物(ややこしい)、私も見付けましたよ!

これ、気付くと、とても嬉しいですね。
「生者と死者」は1994年の作品で、本書は1978年。
彼が16年前の若い頃で・・・あれっ、これってもしかすると、序盤に登場する、玩具屋の口髭を生やした若い店員って、まさか・・・なんて。

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Posted by ブクログ 2022年07月09日

亜 愛一郎の区切りなのね。手品、奇術、メンタルマジックを最大限に用いたトリック。殺人が起きてるのになぜかコミカル。楽しく読めます。DL2号機事件、ホロボの神、曲がった部屋が特に好きかなあ。

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Posted by ブクログ 2021年07月05日

やっぱり好みの作風だった。
面白いなあ。
容姿は二枚目、立ち居振舞いは三枚目、推理力は一級品。
とにかく亜のキャラが良い。
ユニークかつトリッキーな短編がそろっており、亜が披露する推理には感嘆せざるを得ない。
特に「DL2号機事件」の真相には度肝を抜かれた。
続編も読む。

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Posted by ブクログ 2020年04月05日

再読
やはり面白い

個人的にこういうのが私が思う伏線というか
解決の論理に飛躍があるため、
それだけだと読者がついてこれない
そこでお湾クッション野多目に、
そこまでのストーリーのなかで
その論理とにているが読者が受け入れやすい
展開を持ってくることで、
違和感をなくしているんだと思う

話として...続きを読むはほのぼのとしてて
ミステリーとかだと、
事件→調査→解決
という感じだと思うが、
調査がないようなスピード感でびっくりする

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Posted by ブクログ 2018年10月25日

デビュー作の6号でなく『DL2号機事件』を含む同一探偵の短編集
8話のどれについてもミステリの謎たる部分が独特のものあって面白い
付き合う探偵も自然変わったキャラクタ造形になるが
むしろ探偵はふつうであって方が謎の不可思議さが立ったのではないかと思う
関連リンクをみればわかるとおり昭和なふいんきも一...続きを読む種の味か

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Posted by ブクログ 2017年01月30日

名作の誉れ高い本作。だけど自分的にはピンとこずでした。名前以外、主人公にも特に魅力を感じないし、短編集それぞれ、登場人物がバラバラってのも、いまひとつ入れ込めない原因でしょうか。評価が高いとつい、”読まなきゃ”って強迫観念みたいなものが生まれてしまうんだけど、さすがにもう本格推理が苦手っていう、自分...続きを読むの特性を認めなきゃいけないと思えてきました。しばらくは、ごくたまに読む程度でいいです。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2016年07月10日

「DL2号機事件」略
「右腕山上空」:菓子メーカーの宣伝企画として飛び発った気球の中で漫才師の死体が発見される。気球に乗ったのは被害者ただ一人のはずだがーー。事件発生までの流れと提示される謎が魅力的。短編なのでアッサリした真相看破だが視点人物である塩田の秘書への感情描写が良い味してました。
「曲がっ...続きを読むた部屋」:お化け団地などと呼ばれる団地で発見された腐敗した他殺死体の謎を亜愛一郎が解き明かす一編。伏線がやさしめでしたがやはり亜愛一郎のあの一言の破壊力はバツグン。
「掌上の黄金仮面」:巨大な弥勒菩薩像の掌に突如現れ紙幣をバラ撒いていた黄金仮面が射殺された事件と強盗事件とが絡み合う異様な状況を亜愛一郎が解き明かす一編。短編ながらも奥行きのある舞台構築の手際が良い。そしてまた華麗なひっくり返しにやられてしまったな。
「G線上の鼬」:タクシー運転手の浜岡は客を送る途中で強盗に襲われたという同僚と遭遇する。彼と現場に向かうとそこには同僚のタクシーと強盗の死体があり、しかもそこから逃れる足跡は一つしかなくーー。真相を浮き上がらせる物証の提示の見せ方が上手いよなぁ。
「掘出された童話」:冒頭の不思議な童話に潜む謎がとあるヒントで解き明かされるクライマックスが見事。童話として成立させつつこの形に落とし込む手際と各シーンに配された伏線に気付かされた時のゾッとする感じが良いのだ。
「ホロボの神」:戦死者の遺骨収集団としてホロボ島に赴く中神は、道中出逢った学術隊に島の原住民が自殺した事件を語る。屍体を忌避するとされる未開民族の習慣と反する事件の真相とはーー。ホロボの神が何のシンボルかは予想がついたがそれをあの形に収束させるとは。
「黒い霧」:明け方の商店街で突然発生した黒い霧の謎、霧を発端とした商店街の店主たちによるドタバタバトルでお腹を抱えて笑わされ、その後の謎解きにこれまたニヤリとさせられるバランスが凄い。
どの短編も泡坂妻夫の奇術師らしい手際で多幸感に包まれる読書体験でした。

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Posted by ブクログ 2016年03月10日

奇妙な名の、奇妙な男による、絶妙な推理
 女性を虜にする美貌の持ち主ですが、間が抜けた発言や言動が目立ち、苗字が「亜」という何とも奇妙な探偵。しかし、その推理力は折り紙付き。マジシャンの経歴を持つ著者ならではの、観察眼に基づく論理の組み立てが面白いです。
 一番好きなのは「G戦上の鼬」。逆説的なロジ...続きを読むックが光り、巧妙に配置された伏線が何ともいじらしい。次点は「掌上の黄金仮面」。思い切った発想の転換で、複数の謎が一気に解決します。一方で「黒い霧」は、推論が飛躍しすぎた印象です。
 ミステリに読み慣れてきた私ですが、謎解きの愉しさを再認識することが出来ました。

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Posted by ブクログ 2016年07月26日

何気ない習性や無意識な言動がポイントになったりしていて、なかなか興味深かった。少し間を置いて続編も読もうと思うし、著者の他の作品もいずれ読んでみようという気になりました。

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Posted by ブクログ 2016年01月24日

空飛ぶ気球、万人が見守る大仏像の掌の上…などの密室的な状況を鮮やかに解いたり、DL2号機事件は犯人の心理をサイコロを転がすように説明してみせたり。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2015年10月16日

泡坂妻夫による亜愛一郎の活躍を描くミステリ短編集。
普段はパッとしないくせに、人の話を聞いてその裏に隠された真相を推理する能力がずば抜けている亜愛一郎。亜愛一郎はいわゆる安楽椅子探偵で、その現場を見ていなくても人の話から推理を展開し、事件を解決に導く。
特に、収録作のひとつ「ホロボの神」では戦時中の...続きを読む南方の島で起こった現地人の酋長の自殺の謎を解き明かすが、最早その現場に愛一郎が立ち会うことなどできないにもかかわらず、話を聞くだけで真相に辿り着いてしまう。その論理的かつ他に考えようがない結論の提示は小気味良いほどだ。
推理を展開すると鋭い頭脳を披露するのに、普段はまるっきり頼りないというギャップも面白い。
ふるい作品だけに、現在ではあまりお勧めされない表現や、戦争の記憶が生々しく描かれているなど時代を感じさせる部分はもちろんあるが、作品の面白さは色褪せていない。

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Posted by ブクログ 2015年05月03日

シンプルで無駄のない文章で綴られるどこかとぼけた味わいのミステリ短編集。
突飛な真相に対し、伏線の貼り方が非常に上手く、物語が無理なくきれいにまとめられている。
淡々と進む物語ですが、一編一編に異なる味があり楽しめました。ユーモアがありリラックスして楽しんで読める作品。でもときにはしんみりすることも...続きを読む
探偵役はイケメンなのにどんくさいという亜愛一郎ですが、それぞれの作品で彼と出会う主人公的立ち位置の癖のある人々がいます。彼らと亜のコントのようなやり取りにニヤリ。
最後の三編「掘出された童話「ホロボの神」「黒い霧」が特に好みでした。

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Posted by ブクログ 2015年02月06日

収録短編全てがハイクオリティで、今まで読んだ短編集の中ではトップクラスの満足感でした。
中でも「DL2号機事件」「G線上の鼬」は誰でも考えうる思考を使い、ロジカルに犯罪を暴く、変則的な異形の理論を使った傑作短編です。
異形の理論で言えば「ホロボの神」も忘れてはいけないでしょう。非文明人だからこそ成立...続きを読むするトリックで魅せてくれます。
他にも、伏線の妙が光る「曲がった部屋」や、作者の苦心が窺える暗号ミステリの秀作「掘出された童話」など奇術マニアだという作者らしい短編が揃っています。
そして何より、これらの事件を解決する探偵が魅力的。亜愛一郎なくしてこの作品は成立しないのではないかと思えてくるほどです。

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Posted by ブクログ 2014年07月22日

素人探偵・亜愛一郎が活躍する短編集。「DL2号機事件」「曲った部屋」「掌上の黄金仮面」が良かったです。難解な文章ではないのになぜか情景が頭に浮かびづらい箇所があり、これはおそらく自分の読解力のなさと相性だと思います。でも面白かった!

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Posted by ブクログ 2015年11月20日

奇妙なロジックが興味深い短編集。亜愛一郎の指摘に最初は「変なことを言うなぁ」と思うのですが、その後披露される推理に感心してしまいます。
お気に入りは【曲がった部屋】と【G線上の鼬】。特に【G線上の鼬】は、「何故狐ではなく鼬のようなと表現したのか」から導き出される逆説的なロジックが秀逸です。
【DL2...続きを読む号機事件】と【黒い霧】は謎は魅力的ですが、論理がちょっと飛躍し過ぎな気がします。

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Posted by ブクログ 2023年10月12日

映画で乱れからくり、小説でしあわせの書と続いて3作目。東西ミステリーベスト100で16位の短編集です。

部分部分面白い編はあるのだけど(DL2号機事件、ホロボの神様は面白かった)、どうしてもこの人は自分の好みとは合わないみたいです。

原因は、ストレスフルな文体(場面転換の位置が分かりにくい、会話...続きを読むが何だか気持ち悪い)、創作上で努力をしている方向の"コレジャナイ感"でしょうか(暗号のトリックなど)。

この方は、本格ミステリと新本格の繋ぎ目辺りの作家さんのようです。どうしても作品が小粒感が漂うと言うか、中途半端な立ち位置ですね。。。

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Posted by ブクログ 2020年11月08日

泡坂妻夫作品お初でした。突飛なトリックとか名探偵のキャラや立ち位置とか、これをどう楽しむか?ってのが分かると、スゴく面白かった!!
なので後半になればなるほど楽しめた感があるなぁ、私は。

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Posted by ブクログ 2020年03月04日

直木賞作家、初めての泡坂妻夫さん1975年(昭和50年)デビュー作「DL2号機事件」を含む「亜愛一郎の狼狽」45年前のミステリー短編集。主人公は背が高く知的風なのに運動音痴でちょっと変人。今流行りの奇人変人探偵の先駆けかもです。

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Posted by ブクログ 2019年05月05日

G・K・チェスタトンの『ブラウン神父』シリーズと並び称されるほど、世評の高い本書は、私の期待値が高過ぎたためか抱いた感慨は世間のそれとは隔たりを生じてしまった。

1つ1つの短編については、今になってみれば過去の名作へのオマージュのように受け取れなくも無い。特に最後の「黒い霧」はブラウン神父の「青い...続きを読む十字架」の裏返しといった作品である。
ただ真相解明に至った時のパンチ力が無い。理路整然とし過ぎているのだ。

しかし、私の本シリーズへの関心はもっと別の所にある。
各編に登場する「三角顔の老婦人」、この人は果たして何者なのかという事である。

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Posted by ブクログ 2019年01月18日

とりあえずミステリの有名どころは押さえていきたい\(^^)/

というわけで、絵師でありマジシャンでもある泡坂妻夫先生の、亜愛一郎シリーズです。
冒頭の「DL2号機事件」がデビュー作で代表作の一つでもあるようなんですが、個人的にはちょーっと、いえ、正直ものすごく物足りなかった(汗

DL2号機よりは...続きを読む、上空の熱気球内で芸人が殺される「右腕山上空」、傾いた団地で殺人事件が発生する「曲った部屋」、巨大仏像の掌の上で起こった奇妙な事件を描く「掌上の黄金仮面」、未開の地の首長が謎の死を遂げる「ホロボの神」が面白かった。

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Posted by ブクログ 2015年12月04日

 スマートな見た目とは裏腹に、どこか抜けた言動のカメラマン”亜愛一郎”の名推理を描く連作短編。

 収録作品は8編。個人的に好きだったのは「DL2号機事件」「ホロボの神」「黒い霧」の3編。

 デビュー作でもある「DL2号機事件」は飛行機の爆破予告を皮切りに意外な展開を見せていく短編。

 めくるめ...続きを読むく事件の展開に対しての、犯人の動機の解明がお見事! 意外なところから伏線になっていて人間の不可思議な心理が巧く使われた短編になっていると思います。

「ホボロの紙」は戦時中、日本軍の一隊が逗留したホロボ島で起こった現地未開民族の自殺事件の真相を推理する話。

 日本の慣習や考え方と違う未開民族の思考や風習が事件解決のカギとなっていて、それを考慮に入れた事件の解決が面白かったです。梓崎優さんの『叫びと祈り』に似た感じの短編です。

「黒い霧」は商店街が突然トナーカートリッジの黒い霧に覆われてしまった事件を描きます。

 事件そのものの面白さもさることながら、商店街の人々のハチャメチャっぷりも楽しい短編でした。

 文章は読みにくいところもありましたが、ちょっと変わったロジックや事件、また暗号を使ったものなどバラエティ豊か、愛一郎のどこか抜けた感じも良かったです。

第1回幻影城新人賞佳作「DL2号機事件」

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Posted by ブクログ 2015年11月24日

ずっと読みたかった愛一郎さん。どじっこ愛一郎さんかわいいよ。
人の深層心理みたいなものから事件を解いていくタイプの探偵さんだなぁ。少し文章が読みづらいと感じましたが、愛一郎さんの癒しオーラで楽しく読めました。
一番なるほど感を味わえた「曲がった部屋」と、ミステリ部分もさることながら民俗学的な面白さも...続きを読むあった「ホロボの神」がお気に入りです。
それにしてもこの時代留守がちだからと言ってガス代を他所で一緒に払ってもらうなんて制度があったのだなぁと関係ないところで驚いた。

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