【感想・ネタバレ】NHK「100分de名著」ブックス パスカル パンセのレビュー

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ネタバレ

気晴らしの効用

・人間の不幸というものは、部屋の中に静かに休んでいられないことから起こるものだ。
 生きるために十分な財産を持つ人ならば、もし彼が自分の家に喜んで留まっていられさえすれば、
なにも危険を冒し、冒険することはないだろう。社交や賭博の気晴らしを求めるのも、じっとしていられないからである。
・病や死の恐怖を遠ざけたいのだ。真の幸福は、賭博で儲ける金や、狩りで追いかけるウサギを得ることにあるのではない。
人が求めるのは、われわれの不幸な状態から、われわれの思いをそらし、気を紛らわせてくれる騒ぎなのだ。
・ここから人間は、騒ぎや、動きを好む。ここから牢獄は、あんなに恐るべき刑罰になる。ここから孤独の楽しさは、不可解なものになる。
 彼らがここで探し求めているのは、自分自身について考えることから彼らを遠ざけるような強烈で激しい仕事なのだ。
それ故に、彼らを魅了し、熱烈に引き寄せるような魅惑的な対象を見立てている。
 ・人は、いくつかの障害と戦うことによって安息を求める。そして、もしそれらを乗り越えると、安息と、それが生み出す倦怠のために堪え難くなる。そこから出て、激動を追い求めるようになる。
・なぜなら、人は今ある悲惨のことを考えるか、われわれを脅かしている悲惨のことを考えるかしてしまうからだ。
もし仮に十分保護されているように見えたところで、倦怠が自分勝手に、それが自然に根を張っている心の底から出てきて、その毒で精神を満たさないではおかないだろう。
・ある男は、毎日わずかの賭け事をして、退屈しないで日を過ごしている。賭け事をやらないという条件付きで、毎朝、彼が一日に儲けられる分だけの金をあげてみる。それは彼を不幸にすることなのだ。彼が追求しているのは、儲けそのものではないからだ。
・では彼にただで賭け事をやらせたらどうだろう。それは彼を退屈させてしまうだけだ。彼が追求しているのは、単なる楽しみだけではないからだ。 熱中することが必要で、また賭け事をやらないという条件つきで人がくれても欲しくないものを、
それを儲ければ幸福になると思い込んで、自分をだます必要があるのである。
・人間というものは、どんなに悲しみに満ちていても、
もし人が彼を何か気を紛らわすことへの引き込みに成功してくれさえいれば、
その間だけは幸福になれるものなのである。
 

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2022年09月30日

Posted by ブクログ

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人間は考える葦である、という有名な言葉を残したパスカルについて、含蓄ある彼の他の言葉が紹介されていました。以下、心に残った部分です。


「暇は人間を腐らせる」
無為ほどつらいものはないという言葉はとても心に残りました。


「人間はどんな職業だろうと生まれつきあらゆる職業に向いている。」「向いてないのは部屋の中にじっとしていることだけだ。」最初は向いていないと思った職業でも続けているうちにいつしか向いていると感じ始めることがある、という話は興味深かったです。


「自然は私たちを不幸にする。たとえ快楽に到達しても幸福にはならない。私たちはその新しい状態にふさわしい別の願望を持つに至るからだ。」「人間は常に現実と願望の追いかけっこをするものだ」やっと捕まえたと思った幸福は次の瞬間にこれは幸福ではないと判断されることはよくあると書かれていました。人間はさらなる幸福を追求し続ける生き物なのだと思いました。


「人間の最大の卑しさは名声の追求にある。しかしそれこそが人間の卓越さの最も大きな印なのだ。人は人々から尊敬されなければ満足できない。」
確かに人間の承認欲求は根源的なものだと感じます。


「理由はあとからやってくる」「好きになった理由はわからないけれど、好きにならなかった理由はよくわかる。」なるほど。恋愛について私自身は逆のような気がします。好きになった理由はわかるけれど好きにでなくなった理由がわからない。


「人間は気晴らしがあるからこそ、悲惨、死すべき運命について考えなくてすむ。」「人間はどれほど悲しみでいっぱいであっても、何か気晴らしになることに引き込まれたらそのあいだは幸せになれるのだ」
やることがたくさんあり忙しすぎる状況の方が雑念が浮かぶこともなく実は幸せなのかもしれない、と思いました。


「人間はすべて幸福になろうとしている。これに例外はない。ありとあらゆる人間の行動の動機である。」

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2020年02月03日

Posted by ブクログ

ネタバレ

番組を観て面白かったので読んだ本。著者の著作の中で初めて読んだ本。パスカルの名言や印象に残る言葉がたくさん掲載されていて面白かった。この本を読んで「パンセ」と「パスカル パンセ抄」が読みたくなった。45ページの無為は人を不幸にするというところと64ページの名声についての話、113ページの賭けについての話が特に印象に残った。名言が好きな人に薦めたくなる本。

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2019年07月16日

Posted by ブクログ

ネタバレ

ブレーズ・パスカルは17世紀のフランスの数学者であり、哲学者です。パスカルの定理や、パスカルの原理といった自然科学分野でも大きな足跡を残すと同時に、「人間は考える葦である」といった有名な言葉でも知られています。

仏文学者の鹿島茂は、パスカルの哲学者としての思想のエッセンスをわかりやすく抽出しています。人間の考えるという行為が人間の尊厳の中心にある、と主張するパスカルの思考の背景を、彼のキリスト教への信仰から辿っています。

他にも、パスカルの言葉が随所に散りばめられています。

「人間のあらゆる不幸はたった一つのことから来ているという事実を発見してしまった。人は部屋の中にじっとしたままではいられない、ということだ」

37年の生涯を駆け抜けたパスカルを突き動かしていた思いが凝縮されている言葉のように感じました。

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2018年11月10日

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