【感想・ネタバレ】日本の景気は賃金が決めるのレビュー

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Posted by ブクログ 2013年12月14日

日本の景気回復を願う人全員に本当に読んで欲しい本。安部首相にも読んで欲しいし、政策ブレーンになってほしい。自信を持って進められる本です。
筆者の吉本さんが徹底しているのは、誰でもアクセス可能な、白書等のオープンな統計データを元に議論をしていること。だからこそ説得力が高い。データの解釈の仕方がとても勉...続きを読む強になる。他の著書も含めて、吉本佳生さんには、私の経済を勉強する際のブレーンに一方的になってもらっています。

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Posted by ブクログ 2013年06月17日

給与所得者でこのタイトルに反対する人は・・・まあいないよねw。
橘玲氏ブログからリファレンス。

タイトルは一旦置いて、では誰の賃金を上げるのか。本書では「女・小・非正規・短」がキーワードとなる賃金所得者をターゲットとしている。こうしたターゲットがマーケットとなる労働需給の充実こそ、賃金格差・少子化...続きを読む・高齢層の消費を同時に実現するとしている。

いまの日本では「年2%のインフレ率」という政策が、好むと好まざるに関わらず教育関係費を押し上げ、結果的に「子供なんて産むな、育てるな」という効果をもたらすという点、政策評価に対する新たな指標を得られました。

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Posted by ブクログ 2013年06月11日

吉本さんの本は「スタバでは…」以来の二冊目。統計資料をバイアスを除きながら、我流に読み解いていきトンデモなく面白く、説得力ある結論にもってくる芸当はもう国宝クラスではないだろうか。本著も極めて示唆にとんだ一冊となっています。
労働問題、そして子育て世帯への懲罰的な再分配等、日本の今を知るのに最適。
...続きを読むかなりオススメです。

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Posted by ブクログ 2018年11月12日

アベノミクスを違った観点で再検証できる本。賃金格差、賃金デフレという切り口で、アベノミクスが本当に効くのか再考させてくれる。結論としては、一般に聞かれるアベノミクス議論では、細かい部分の説明が不足していて判断できないというところ。金融緩和が資産バブルにつながった過去事例の再現とならないことを祈るのみ...続きを読む。日本の内需は大きいことを認識させてもらったことは大きな収穫だった。

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Posted by ブクログ 2016年09月15日

わかりやすくかつ説得力もある経済書である。
本書は2013年4月の発行だが、この内容は2016年9月現在でもいまだ賞味期限は切れていない。アベノミクス関連の経済書では稀有な存在であると思う。
データも豊富に活用されていて、最終章での主張はアベノミクス以降の日本の経済方針がどうあるべきかとも読める優れ...続きを読むた提言とも思えた。

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Posted by ブクログ 2015年07月28日

建設業、飲食業で人手不足になって賃金上昇している現状は、いいことなのかなと思う。
筆者の現状分析が読みたくなった。

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Posted by ブクログ 2013年12月20日

日本の賃金格差が大きい事実を克明に述べている.男・大・正・長と女・小・非・短という頭文字で表しているが、世界一格差が大きい由.景気を上げるためには賃金の上昇が不可欠だと強調している.「賃金利得が民間消費に使われる」という事実を意外に見ていない政治家が多いと述べているが、その通りだと思う.

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Posted by ブクログ 2013年11月02日

データに基づく主張で、わかりやすく、かつ説得力があった。
使用しているデータが、各省庁の白書等、やろうと思えば、読者が確認できそうなところも気にいった。
資源価格の高騰が価格に転嫁されなかった背景など、勉強になった。

この著者の別の著作を読みたい、と思える本。

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Posted by ブクログ 2013年07月19日

記事タイトルのとおり『日本の景気は賃金が決める』働く身としてこれはごもっともです
本の内容は単純に平均年収を上げれば景気がよくなるってことではない
「女・小・非・短」・・・女性・中小零細企業の社員・非正規雇用・短い勤続年数(若者)の待遇を改善することで景気回復をはかる内容です

低所得グループ上位2...続きを読む割の家計(生活者)は平均して可処分所得の8割強を消費に回します
つまり低所得グループの賃金が上昇すれば景気回復への貢献能力が高い
高所得グループ上位2割の家計(生活者)は平均して可処分所得の7割弱しか消費に回しません
つまり稼いだ所得が消費に使われずに貯めてしまう比率が相対的に高い

基本的にはこの「女・小・非・短」の是正がこの本のベースとなっています
賃金デフレを止める・・・もっと言えば所得格差の改善
賃金が「平均的に」上がり賃金格差が縮小して消費に使う比率が高い人にお金が回ることが重要です

高所得者批判などでよくある「賃金格差の拡大は公平性の問題で問題」と言ってない
著者の主張でキモとなるのは「賃金格差の拡大は不況を深刻にするから問題」や「賃金格差の縮小は不況脱出につながるから必要」ってこと

この本では「分配」や「再配分」といった単語が出てこないのも好感を持てます
キチンと働いた収入としての低所得者対策となっています
ただここのカテゴリーとしてサービス業などがありますが賃金アップには企業努力だけでは不十分で政治的な判断が必要でしょう
その部分についての具体的な方法はこの本では書かれていません

例えば所得の不平等程度を測る尺度として用いられるジニ係数を法人税率に反映するのはどうか?
完全平等なら0、完全不平等なら1の係数で企業ごとに目標(例えば81年は0.3317程度)を達成したら大幅な減税措置があるのなら企業努力ではない低所得グループの賃金アップになる
恩恵を受けるのは主に若者で年功序列によって50代以降の高齢者は賃金が横ばいか下降線となるけれど子育ても終えるであろう年代より若者にお金を回すほうが景気に貢献する

本書の主張には賛同するところはあるけれど部分的には・・・景気対策に毎月2%以上の東証REIT指数の上昇を目標にする・・・などのトンデモ話もあります
もちろんこれには大反対です・・・(笑)
他にもコンパクトシティ(集住)の話など実現が困難なテーマもありますが『日本の景気は賃金が決める』という根幹の部分は読む価値が大いにあります

でもまぁ・・・日本人が貯蓄に向かう理由の大半は「年金に対する不信感」なのでここを解決しないと低所得者がお金を手にしても将来に向けて貯蓄に向かうかもしれません

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Posted by ブクログ 2013年07月03日

白書のデータを中心にアベノミクスや過去の金融政策を読み解く本。経済理論で善悪を語った本よりも偏りが少なく、方向性も示されているので、現実味があるかもしれない。賃金格差を減らすための賃金上昇が最重要だということ

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Posted by ブクログ 2013年06月02日

大まかな主張としては以下の様なことを言っている。

・日本では属性(性別/企業規模/雇用体系/年齢)による賃金格差が大きく、また格差拡大している。
・所得に対する消費額が多いのは低所得者。
 →賃金格差を縮小させ、低所得者にお金を回せば、景気が良くなる。
 →方法は「都会の人口集積による需要拡大に伴...続きを読むう賃金上昇」

客観的データを元に分析されており、主張のロジックの組立も納得感はあった。

<めも>

日銀の役割は「発券銀行」「銀行の銀行」「政府の銀行」の3つ。
ちなみに、日本政府の口座は日銀にあるけど、地方自治体の口座は地元の民間銀行にある。

日銀の金融政策は政策金利と貨幣量のコントロール。

【政策金利のコントロール】
日銀がコントロールできる金利はコール金利(一晩の借入)だけ。
それにより中長期金利をコントロールする。
※思い通りに動かないかとも。

【貨幣量のコントロール】
日銀は貨幣量(マネタリーベース)のコントロールができるが、増えるのは民間銀行の当座預金残高。
結局は民間銀行がお金を引き出し、企業や個人に渡さないと効果はない。

日銀は民間銀行に無理やりお金を貸すことは出来ないが、回収することはできる。
→つまり、緩和は苦手だが、引締は得意。
※金融政策は犬の手綱を操るようなもの。ブレーキはかけられるが、緩めても走るかどうかは犬の意思。

インフレ目標は一般的に、インフレを抑制するために使われる。
日本のインフレを目指すインフレ目標はレアケースで、効果が出るかは不明。

日本の輸入依存度は16%(2011年)
→輸入品のうち7割が円安の影響を受け、円安が25%進んだとすると、
→25%×7割×16%=物価を2.8% 押し上げる効果がある。
→しかし過去の事例を踏まえると、企業が大部分を吸収していしまう可能性が。

1999年以降の景気回復局面では企業利益は増加したが、賃金は下がっていた。
→今回も単純に企業利益が増えても、賃金が上がらない可能性がある。

1980年代後半のバブル期も資産効果が指摘されたが、実態として資産バブルの恩恵を受けた人が消費拡大を引っ張ったという傾向はなかった。
一方、企業の交際費が増えて、家計外の消費が増える傾向があった。

バブル期は国内のサービス需要が増えて、サービス業の稼働が高まり、賃金上昇につながった。
→2000年台のような海外のバブルは企業収益は増えたが、賃金上昇には繋がらなかった。

日本政府の社会保障政策は子育て世帯の足を引っ張っている。
子供(が所属する世帯)の相対的貧困率は
・政府による再分配前は12.4%
・政府による再分配後は13.7%
→則ち、国の政策により子育て世帯の経済状態を悪化させている。
→これは30の先進国の中で日本だけ。他国は再分配により子供の貧困率は大きく下落する。

著者の主張する3本の矢
・金融緩和  →金融緩和を国内不動産価格上昇に繋げる
・公共事業拡大→都市部の交通網整備などに使う
・成長戦略  →都市部へ人口集積させ、サービス業を成長させる

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Posted by ブクログ 2013年05月04日

【定量分析】
著者は数字・グラフ(グラフは見せ方にもよるが)を使用し、定量・客観的に述べられていますので、好感が持てます。

それにしても、今の金融緩和がどこで、どのようなかたちでバブルとなって現れるのでしょうか?
これがわかれば苦労しない。個人的には世界REITで世界分散不動産投資がいいのではない...続きを読むかと感じますが。。。
どうでしょう?

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Posted by ブクログ 2018年10月09日

アベノミクスの金融緩和政策や公共事業拡大は前提として、その方向性(お金の使い道)を変えることで、日本の不況を改善しよう。という提案。

賃金格差に注目し、それをいかに解消していけばいいのかが模索されている。

金融緩和政策によってデフレが発生してしまうならば、海外の資源バブルではなく、国内の不動産バ...続きを読むブルに誘導する。不動産価格の上昇と、公共事業の都市部への集中で、サービス業に従事する人の賃金を上げ、それによって、賃金デフレを脱出する、というシナリオのようだ。

公平性の問題はとりあえず横に置いておき、経済学の観点のみから論じられている。

人口の集中が、サービス業の売り上げに影響を与えるのは確かにそうだろうと思う。人の数が少ない地域では、サービス業をやっていくのはなかなか難しい。ただ、不動産バブルがそのまま派遣やアルバイトの非正規雇用の賃金上昇につながっていくというのは、素直に頷けなかった。

人口が増えて、サービス業がたくさん出現すれば、人手が足りなくなり、時給が上がる。しかし、人口が増えているのだから、働き手も多くなっている。需要と供給どちらが勝つのだろうか。

サービス業が売り上げを作れるのは、たとえば食事を作るのが面倒な人、クリーニングに時間を使えない人がたくさんいるからだろう。人がたくさんいても、全員が暇していて、自炊しているのならば、外食業はなりたたない。(もちろん、小売業は成り立つが、生み出している付加価値の大きさは小さいだろう)

もちろんサービス業に従事している人が、他のサービス業を利用することは多々ある。ただ、それ以外の産業に従事して、忙しく働いて(しかも給料をたくさんもらっている人)の数がそこそこないと、サービス業は成長していかないのではないだろうか。

もしかしたら、まったく的外れな理解なのかもしれないが。

あと、都市部に人口を集中させることについては、仮に大きな地震が発生したらどうなるか、という点が気になった。

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Posted by ブクログ 2013年06月18日

信じれば救われますよ、では駄目で、そのメカニズムを説明しなければ駄目だ。アベノミクスが予想、というか期待するインフレ目標は、まさにそれであり、かつ、信じてもらえる努力が不十分だ、と。ちょっと高い商品が出た、売れ出している、という狭い報道が目につくけれど、消費全体がどうなっているかは、そういう話題には...続きを読むならない。この本はタイトルにもある通り、賃金を消費に回す層(比較的所得が少ない層)にお金を振り分けることで消費を拡大しろ、という主張。そして子育て世代にはすでにインフレが起きている、というのは僕も感じているけれど、物価上昇を目指すのであれば、それはさらに子育てにダメージを与え、少子化に向かっていくのでは。それに対する裏ワザも出ているけど、今度は地方というか田舎と都市の二極化に拍車をかけるんじゃないかなあ。かように経済は(僕にとって)むずかしい。

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Posted by ブクログ 2013年06月06日

1 リーマン・ショック後の日銀の金融緩和は、金余り→円キャリートレード→投機マネーの資源市場への流入→資源高騰へとつながったが、日本においては経済の二重構造(中小企業にはバーゲニングパワーがなく、また賃金の下方硬直性は必ずしも妥当しない)を背景に消費者への転嫁が進まず、賃金デフレ→デフレの進行という...続きを読む筋道を辿った(これは、同著者の「日本経済の奇妙な常識」で詳しく分析されていました。)
2 円安誘導はいまや日本経済の主力であるサービス業にとっては百害あって一利なし(燃料高・原料高)で、アベノミクスはリーマン・ショック後の二の舞になる可能性がある。
という見立て。
国内での資産バブルすら起きそうになく、円安による燃料高・材料高の弊害だけが目立ちつつある今、アベノミクスの先行きに関する著者の予想は当たりそうです。
(もっとも、「(輸入インフレにより)2%のインタゲ目標を達成した!アベノミクス大成功!」という、焼け野原での勝利宣言はありそうな話ですが。)

本書では、賃金デフレに着目し、賃金格差を縮小させることが「二の舞」を避ける処方箋だとされます。
具体的には、現在の我が国の労働者の相当数をいわゆる非正規労働者が占めるが、非正規労働者(が属する層)は限界消費性向が高いので、賃金格差を縮小し、非正規労働者層にお金を回して消費させることにより、景気を浮揚させることができるというものです。

うーん。心細いような。
20%(著者調べ)の需給ギャップ(もちろん消費不足。ちなみに著者はサプライサイドに注目したアベノミクスは誤りだとします)を埋めるのに、非正規労働者層の消費で足りるのでしょうか。
アメリカの現状を見れば分かるように、いわゆるトリクルダウン理論が破綻した今、逆方向のアプローチしかないというのは分かりますが。

また、日本の労働分配率は既に天井付近まできているので、賃金格差の是正のためには正規労働者、著者の言い方では「男・大(企業)・正(社員)・長(期雇用)」、の取り分を少なくするしかなさそうです。
ただ、ここで槍玉に挙げられている(?)「男・大・正・長」というのは別に特権階級でもなんでもなく、ラッシュの電車でヘロヘロになっているようなどこにでもいるお父さんだということは、問題をややこしくします。
労働者同士で「既得権者だ」とかレッテル貼りをして共食いをさせることは、為政者にとっては都合がよさそうですから。

賃金格差の縮小をサポートする施策として、サービス業振興策という意味合いで挙げられている、同じバブルなら日本国内(都市部)で起こせ、公共投資は都市部に集中投下せよには、賛成できます。

著者は、経済資源を都市に一点集中してお金の回転数を上げる一連の政策パッケージを「おしくらまんじゅう政策」と名づけます。
大地震が来たら一発アウトじゃないかという話はさておき、もはや残された道は、おしくらまんじゅうをして凌ぐことしかないのか、と思うと何とも切なくなりました。

統計資料を手際よく料理して、「え、そうくるか」という政策提言に繋げる吉本節は健在。
本書第2章では「日本経済の奇妙な常識」がまとめられていて1冊で2冊分のお買い得です。

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