感情タグBEST3
Posted by ブクログ 2013年02月16日
面白かった。一気読みしてしまった。
書店で見かけ、表紙に竹島の写真なんかが使われているので「何の話だろう?」と思いつつ買ってあったのだが、内容は竹島とは直接関係はなく、1980年代初め、軍事クーデターにより成立した全斗煥政権における韓国側からの資金借款の申し出とそれにたいする日本側のやり取りの実録の...続きを読むような形。
この、もと韓国大使も務められた小倉和夫氏という方は、これを直接書かれたのだろうか?もしそうだとすればなかなかの筆力。文章自体が読ませる。
(ただ、朴正煕政権〜全斗煥政権というこの時期の韓国の状況について全く予備知識が無いと今ひとつ面白くないかもしれないが。)
外交的やり取りの迫真的なやり取りと紆余曲折の実録を興味深く読んだのはもちろんだが、余談的感想として、外務省というのはつくづく「文章化」しないで決着させることが体質化しているのだなぁ…と感じてしまった。それは智慧であると同時に(ことの成り行きを知っている当事者がいなくなった後の)将来に対する時限爆弾にもなり得る訳であり…昨今の領土問題などもその結果が多分にあると思われると感じた次第。
また、これまた余談として、しかし中曾根という人の外交感覚は凄いと感嘆。氏が韓国語を勉強して、韓国語で挨拶をしたとは知らなかった。カラオケで、中曾根氏が韓国語で「黄色いシャツ」を、全大統領が「影を慕いて」を歌って抱き合ったのだそうだ。外交舞台でのこのような「役者」としては氏の右に出る日本の政治家はいないと思う。
Posted by ブクログ 2013年02月15日
1兆円規模の経済協力を巡る日韓の外交交渉の一部始終について、当時の公電や新聞記事(ほとんど日経)を中心にたどったドキュメント。
日本でいえば鈴木善幸首相から中曽根首相の時代であり、韓国でいえば全斗煥大統領の時代。日韓関係は今もなお緊張感を孕んでいるが、現在では韓流ブームという明るい側面もある。しかし...続きを読む、わずか30年ほど前には、そのようなブームもないなか、経済協力を巡る生々しい駆け引きが行われていたわけだ。自分はまだ幼稚園や小学校低学年だったのだが、そのころ韓国についてどのような印象(所詮子どものイメージだが・・・)を持っていたのか、読みながら思い返していた。
本書は当時における一連の交渉に焦点を絞っているが、朴正熙政権時代やそれ以前の両国関係について前史として簡単にでも解説されていたほうがより理解しやすいと思った。