周囲からは、独身で友人もいなさそうな哀れな中年男性とみられている主人公のフジイ。一見、しがないサラリーマンのフジイですが、フジイはただフジイとして居るだけで、彼と関わった周囲の人間が勝手に救われていきます。
独り身、あるいは友達がいないということで、その人の「幸せ」は決まるのか? 周囲の空気を読んでコミュニケーションをとり、周りの人たちに好かれることを第一にした結果、本当の自分自身を見失ってはいないだろうか――? 周囲にさまざまな気付きを与えながらも、ただ淡々と過ごすフジイという存在に、ページをめくる手が止まらなくなります!
どことなく日常にむなしさを感じることがある人や、人間関係で悩んでいる人、孤独感がある人におすすめしたい作品です。
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Posted by ブクログ
フジイのお父さんが公園での息子の行動をみて「大丈夫」と思えたシーン、そこには描かれていない背景や行間を目一杯想像させられて、鼻の奥が少しツーンとしました。
他のエピソード(1巻含む)もそうだけど、セリフが抑え気味な分、フジイの表情に変化が少ない分、周囲の様子や行間から色々読み取ろうと想像力をブンブンに働かせながら読んでいて、気づくと自分をフジイに限らず色々な登場人物に重ね合わせてみたりしています。
瞬間的に漫画の世界と自分の原風景的な経験がリンクする感覚があって、読んでいて不思議な心持ちになります。
淡々としてるのに読後の余韻が大きい。
お父さんのお見舞、敬語での会話なのにも理由があるんだろうけど、それも追々わかるのかな。