この作品の主人公である寅雄は、いじめられていた高校生を助けるために喧嘩をするなど、正義感のある青年です。しかし、教師や母親には寅雄が問題を起こしていると誤解されてしまい、誰にも何も伝えられない、世界と繋がっていないと感じていました。
そんな寅雄は、近所に住むピアニストの治郎に才能を見出され、演奏を通して人と繋がることのできるピアノに没頭していきます。
私がこの作品を読んだきっかけは、表紙にあります。この青年は、何故血だらけでピアノを弾いているんだろう…!?と思い、手にとりました。
表紙の血だらけでピアノを弾くシーンは、作中でも描かれているのですが、とてもグッと引き込まれるシーンでもあり、綺麗なイメージのピアノと血だらけの寅雄の組み合わせがとても絵になるなぁ…と感じました。
また、寅雄が寝ることを忘れてピアノの練習に没頭する姿や心から楽しそうに演奏する姿は、どこか怖さを感じる程に魅力的です。
そして、演奏シーンでは、漫画を読んでいるはずなのに音が聴こえてきて、ピアノで寅雄と繋がることができたような不思議な感覚を覚えました。
ぜひ、作品中に登場する曲を聴きながら読んでみてください!
感情タグBEST3
ヒリヒリ
音楽を描くのは難しいから、どんな感じなんだろう?って訝りながら読み始めました。この話はどこをゴールにするんだろうっていうのもちょっと頭を掠めます。
でもそういう理屈っぽいことを排除したところに主人公の気持ちはあって、あがいてあがいて、ピアノに触れて感情を吐き出して。心揺さぶられました。
じっくり読みたい作品
ビル・エヴァンスを彷彿させる表紙からジャズピアニストの話と思いましたがクラシックのピアノの話なんですね。自分のあり方に悩んでいた高校生がクラシックのピアノ曲に出会い道を開いていくというよくある流れながらも、自身の感情を音で表現したいという主人公の姿に大変心打たれました。芸術系の漫画として味わい深い作品になる展開を期待したいところです。
主人公のピアノと同じくらい激しくて荒削りな雰囲気の漫画ですが、作風、内容、キャラクターのバランスがよく、面白く読めました。今後主人公が何を動機にピアノを続けていくのか気になります。
ちょっと意外な音楽マンガ
ちょっとしたきっかけで、本気でピアノを演奏するようになる主人公、お師匠さん、やはり日本の方なので、最初はバイエルの教科書を持っていましたね。
けっこう王道な音楽マンガっぽいです。主人公を取り巻く環境、あまり良くないんですが、打開できるかどうか。
弱いものいじめをするヤンキーとか、最低ですので、主人公の真っ当な正義感は分かります。情熱を傾けられそうなもの、見つかったようでしたし。
ちょっと破天荒なくらいが良いような気もいたします。