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さまざまな人生のひとコマを「食卓」というキーワードで紡いだ、角田光代さんの短編集。
どの物語にもどこかしらに共感する部分があり、ささやかな日常を生きる、等身大の私たちの物語だと思った。
ひとりでも、誰かとでも。「食べる」ということが、私たちにとってどれだけ大切かということ。
そして、日々当たり前のように繰り返している料理や食事の時間が、私たちの記憶に刻み込まれてかけがえのない思い出となり、生きる希望にもなっていくのだということに、改めて気づかされた。
気軽に読めて、共感できて、心がほんのり温かくなる。今夜の献立を考えるのが、ちょっと楽しみになる。そんな一冊だった。
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食べものの話ばかりなんだなー、書名が「ゆうべの食卓」だしなー。と思ってたら「雑誌オレンジページ」で連載してた短編を集めた一冊だったんですね。あとがきを読んで知りました。
オレペの短編も時々読んでました。でも雑誌が月2回発行なのに合わせ一つの話を上下に分けて掲載していたのて、いつも短編の上か下のどちらか半分しか読んでなくて「この話はどうなるのだろう?」とか「この前段の話はどういう話だったのか」とかもやもやしてました。
全部まとめて読めてスッキリほっこりしました。装丁の食べ物がどれもこれも美味しそうです。
どれもこれもすごくいい話。一編がとても短いんだけどその短さの余韻がなんとも言えずいい。ゆるく繋がりながら同じ括りの次の短編では年月が経ってたり視点が変わってたりする展開があってそういう話の繋ぎ方もおもしろかった。やっぱり角田さんの描く日常の話が大好きだ!と改めて感じた一冊でした。
どれも心に残るいい話だったけれど、一番最後の短編が今の自分には染み入りました。
私事ですが、最近両親が亡くなったあとも兄弟が住み続けていた公住が改築対象になり彼らが転居しました。それまでは親がいなくても行けばそこは「実家」だったけれど彼らが引っ越した先はもう「兄弟の家」であって、今度こそ本当に実家はなくなったのだ、と実感するということがありました。
この短編の中のお母さんのように(お母さんはお酒だけでしたが)私も最後に実家と、そして兄弟たちが新しく住むことになった家にお米とお塩とお酒をまいたのです。
本書の最後の短編を読んだとき、がらんどうになった実家を見回したときの気持ちを思い出しました。兄弟が一緒だったのでその時はあまり感傷的にはなりませんでしたがあれから日を過ぎ、今日角田さんのこの短編を読んであの時の心持ちがよみがえりはじめてちょっと涙が出ました。
この中の短編のどれかの中のどこかしらで、読む人の記憶や思い出を呼び起こす何かにきっと出会えるのではないかなと思います。
その物語ごとに思い出す人は違ったけれど大切な誰かを思いながら読む一冊だった、と思います。
人に尋ねられたらお薦めしたい一冊に出会えました。
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作中に登場する『ハトシ』という長崎県の郷土料理。
食べてみたくなったので、作ってみたいと思います!!
SNSが盛んだけど、作中に登場する場所や料理に思いを馳せたり、
興味をもてるって想像をふくらましてくれる本のおかげ。
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おいしそうなものがたくさんでてきました。そして、食べることは、生きて色々な経験と繋がることだと思いました。
「わたしたちのちいさな歴史」は、まさしくこれから起こる実家のことと重なっていました。そこで過ごした思い出を大切に、これから過ごしていこうと改めて思いました。
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家族と食にまつわるストーリー。
一家族が3つのお話で11の作品です。
短編だし、日々の生活や食のお話なのでさらりと読めました。
誰にでも当てはまりそうなところやノスタルジックなところや、個人的には最後のお話に共感を感じ…
日々の暮らしや食べる事、ていねいにやっていかなきゃなぁなどと思い、後書きを読んでオレンジページ連載と知り納得でした。
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ひとりの、二人の、家族の食卓。
日常を描いた短編集。
オレンジページでの連載をまとめたものらしく、毎回特集に沿った内容だったらしい。
優しく、でもちょっと寂しく。
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オレンジページで連載された短編をまとめた本作は少し変わった構成をしている。
11の短編から成り、各一編がさらに登場人物が異なる3パートに分かれている。一編20ページ程度なので空き時間にサクサク読めるところが良い。
いずれも食卓をテーマにした作品で、登場人物がそれぞれの目的で料理を楽しんでいるところに共感した。
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食にまつわる短編集。オレンジページで連載していたそうで、雑誌の特集にあわせたメニューが選ばれているらしい。
短い話の中でも、メシバナだけでなく人生の機微を感じられた。でも、一番、印象に残ったのは秋刀魚の炊き込みご飯!
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生きている限り、食は欠かせないもの。
ひとりで、または友人とそして家族で…とささやかであたたかい11の食卓の物語。
心に残ったのは、「彼女のお弁当」のなかで小学校低学年と五歳の子どもがいる三十代の女性が、毎日手のこんだ、彩りも美しい弁当を持参している。
「でもいつも思うんだけど、山口さんのお弁当は本当にきれい。そんなに忙しいのに、よくちゃんと作るものだなって、つい見とれちゃう。」と素直に褒めてそれに対して「褒めてくれて、うれしかったです」「忙しいの、あと十年がんばれるくらいうれしかったです」
という2人の会話に何気ないあたたかいことばに嬉しくなる気持ちが伝わってきた。
子ども2人に中学高校とお弁当を作り続けたけれど、うつくしくもなく、キャラ弁などというかわいさとか見映えの良さも全くなく、いつも茶色い弁当だったなぁと…今になって子どもたちはどう感じてたんだろうか?と思ってしまった。
今は、自分ひとり職場に弁当持参しているが、相変わらず茶色いおかずだ。
「料理界の、その奥へ」のなかで毎日のことだからこそ無理せずに…という気持ちで
「料理を義務にするなかれ。手抜き、外食、出来合い惣菜が長続きの秘訣」とあった。
そうコロナ禍では、外食も控えて家での食事が多くなったと思う。
毎日毎日メニュー考えのもウンザリした人も多かったのでは…。
物語のなかで家族の食卓を見ることで、できることだけやればいいじゃないかと思えてきたり、たまには手の込んだのも作ってみようかと思ったりと…
「食べたい料理は腹を満たす、作りたい料理は心を満たす」
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料理は結婚してから仕方なくやってる、出来ればやりたくない。でも、やらなきゃいけない(事は無い、ということもわかってるけど)から、なんとか楽しめる工夫したり、手を抜いたり、試行錯誤を約20年やっていたけど、この本を読んだ事が今までで一番、もう少し料理頑張ってみようかな?と前向きに思えた方法だった。
誰かの為に、何かをする。
それが出来る相手がいる事自体が、幸せなこと。
忙しい日々に忘れがちだけど、本読んで思い出した。
特に『グラタンバトン』が今の自分と重なって泣きそうになった。
つくづく角田光代さんは『現代の女性のリアル』を描く天才だと思う。
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三つ一組の短編集なので、寝る前に三つずつ読み、毎晩次はどんな家庭が出てくるのか楽しみだった。
特に気に入ったのは「ようこそ料理界へ」
料理を始めた時の戸惑いやわくわくを思い出すと同時に、最近はやっつけ仕事に作るばかりで楽しさを忘れていたことに気付く。
料理上手な友人のアドバイスも的確で哲学。
夏の暑さに火は見たくないとだらけがちだったが、もう一度料理本に忠実に作ってみたいと意欲が湧いて来るのを感じる。
とはいえ、どの話ももっともっと続きが読みたくなるのは非常に困る。
登場人物に興味が湧き好きになり、話にどんどんのめり込んだところで毎回話が終わってしまうのが悔しい。
読み返してみるとどの話もきれいに終わっていて、続きを書くと蛇足になるんだろうけど、もっと読みたいー!
難しいだろうけど、この「ゆうべの食卓」、ぜひ続刊を出して続きを読ませて欲しいと切に願う。
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とてもほっこりして素敵な作品。男性視点が少し少ないですが、思わず「あるある」と言ってしまいます。時間や世代を紡いでいるので、少し経験が長い自分には刺さるのかも。
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食にまつわる短編集。
ちょうどコロナ禍の3年間、オレンジページに連載されていたのだそう。
外食が躊躇われるご時世、家でごはんを食べることが多かった時だからこその物語もあって面白かった。
家族で囲む食卓、一人で食べるごはん…楽しい思い出ばかりじゃないけれど、ふとした記憶がメニューと共に蘇る時ってあるなぁと思った。
特に後半、自分の思い出と重ねながら、ちょっと切ない気持ちで読んだ。
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パンデミックの間、やたらと女性作家の短編小説に出会ったように感じる、短編であるためほとんど記憶に残らないのであるが、本作もパンデミック中の短編集である、ただ食事をテーマに物語が綴られており、そこには長くはない儚い人生の侘しさが感じられる、本作のとおり家族で食卓を囲めるのはほんのわずかな間だけなのだ、そこには儚いもののあわれを感じた。
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主婦向け雑誌の連載をまとめた本。
上手いんだけど、よくこんな毒にも薬にもならん文章書けるもんだなと白けてたら、最後のパートがとてもよかった。
「普通の人」にもそれぞれ語り尽くせない日々の暮らしや喜びがあり、でも家族がにぎやかでしんどい期間は意外と短いもので、それぞれの人生が終わっても世代は続いていくんだなと。
若い頃はわからなかった、歳を重ねたからこそ理解できる話でした。
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短編集で1話は短いけど、
さすがの角田さん、
短編でも奥が深い。
色んな家の食事事情を覗き見れる。
「あ〜分かる分かる」と
「なるほどなー」の往復。
でも夜に読むと
ムダに空腹感を覚える。。。
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オレンジページで連載されていた短編集。オレンジページの特集に合わせた内容になっていたとの事で、グラタンや卓ドンご飯、お弁当などの家庭料理が登場する。美味しそう…!
「ようこそ料理界へ」の章がお気に入り。
⚫ 「食べたい料理は腹を満たす、作りたい料理は心 を満たす」
⚫「あくまでも日常食を大切にせよ」
⚫「料理を義務にするなかれ。手抜き、外食、出来合い惣菜が長続きの秘訣」
師匠の教えを私もしかと心得ます。
特別な思い出になる食卓もあれば、もちろん日常の1ページとして記憶の波の中に埋もれてしまう食卓もある。
そんな埋もれてしまうような、何気ない食卓も幸せの形だよなぁ。
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コロナの頃、オレンジページという生活雑誌で連載されていたのを書籍にしたものらしく、毎月の特集料理とリンクさせたことで、リアルな物語の数々になっている。
一つ一つの物語に出てくる人が、また他のお話にリンクしてくる手法も、ほかの作家さんでもあるけど好き。
食卓をテーマに起きつつ、人間模様を描くお話の数々でほっこり読めた。
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記憶に残っている食卓は、いつですか?
人生は、岐路にたち選択していく繰り返し。後書きにもあるが、友人やパートナーと囲む食卓も、年齢によって変化し続ける。
自身の状況により、この本を読んで共感するお話もそのときにより違うのだろう。
一人暮らしのホットプレートめし好きの本当はずぼら女子の充足のすきまと恋人に振られ、料理に目覚める「ようこそ料理会へ」が今のお気に入り。
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コロナ禍において仕事がリモートになったとかではなかったし、振り返れば自分の生活が劇的に変わったということはなかった。しいてあげれば、飲み会がなくなったので仕事帰りにコンビニで酒肴を調達し、仲間と公園の東屋で酒宴を何度かやったことくらいか。桜の季節に始まり、いつしか防寒着で震えながら飲んでいた。そしてまた桜の開花を迎え…。誘う仲間が新たに加わり、普段居酒屋なら一緒しない者も風変わりな飲みに参加してくれて、それなりの想い出がある。人が変われば持ち寄る肴も変わる。意外な肴に驚きつつ、思い返せば新鮮な食卓だった。
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食に纏わる話しでこれだけの設定を考えるって 大変だったろうなと思ったけど どれも普通かな。
サラサラ読んで終わり みたいな感じ。
外食は楽しいと思うけど 家族の事を考えながら食事は作るけど 楽しいと思った事は殆ど無いかも。まして自分1人の為に凝った料理を楽しく作るなんて 今は考えられないけど そのうち楽しく作れるといいな
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ゆうべの食卓
角田光代さん
ほっこりとした、温かいお話でした。
食卓。
いろいろな家族のかたち。移り変わり。
コロナ。パンデミックの最中の3年間。
雑誌『オレンジページ』連載作品。
懐かしくもあり、
とてもステキな本でした。
明日の食卓のことを考えて、
前を向いて歩いていきたい。
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1つ1つの話が短くて読みやすかった。
コロナ渦での食卓なども出てきて、『今』だなぁと思った。
思ったより若い文章のところもあり、イマドキで面白かった。
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オレンジページに載っていた短編集。食卓、ごはんがテーマになっていて、このときオレンジページはこういうテーマだったのかなと想像を膨らませて読んだ。家庭内別居でパパ飯、ママ飯を選ぶ娘の話と、お弁当を作る女子高生の話がよかった。たまにやるお弁当作りってなんであんなに楽しんだろう。これが毎日だと苦痛なんだろうな。
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読みやすくてササっと読める。
テーマ固定で形式固定のものだから仕方ないけれど、どの話も面白く読めるけれど、読み終えたとき、残念ながらワタシの心にはどの話も残らなかった。
ガツンとくる角田さんが読みたい。
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「食」って作ること、作ってもらうこと、一緒に食べる人、ひとりで食べること、気持ちの持ちようで幸せにしてくれるものなのだなと思えた1冊。味も大事だけど周りにいる人と楽しむとか、ひとりでゆったりと好きなものを食べるとか、色々な形の食の幸せを見せてくれる短編集だった。この本を読むとつい自分も好きなものをゆっくり食べて幸せな時間を持ちたいなぁと思ってしまった。
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2020年6月から『オレンジページ』に掲載された「ゆうべの食卓」。新型コロナに翻弄されながら離婚を決意する女性。恋人にふられたのをきっかけに料理に目覚めるサラリーマン。実家を売却することになった兄弟のささやかな宴会。さまざまな人生のひとコマを「食卓」というキーワードで紡いだ短編集。(概要より)
以前オレンジページではエッセイを連載されていましたが短編集を書かれていたのですね。
短い文章だからか「角田光代節!!!」というわけにはいかない作品たちが多く並びますが、読みやすく喫茶店のお供や時間がない時に「何か読みたい!」という時にも手に取りやすい。