【感想・ネタバレ】滅びの園のレビュー

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Posted by ブクログ

恒川さんの不思議な小説が好きで、文庫が出たら買うようにしてる。
しばらく目につく所に置いていつでも読めるようにしていたのだけど、読書から少し遠ざかっていて放っていた。
東京に行く時鞄にいれて、3泊のあいだに読むことができた。

恒川さんのお話は不思議で繊細で優しい世界観があって、ほかのSF小説にない穏やかな気持ちで読めるのがいい。
そしてやりきれない、答えがでないもやもやしたものが残る。けれど、それも心地よく感じるから不思議。

滅びの園は何人もの目線で描かれていて、それぞれの正解があってそれぞれが信念をもっている。
それでいいんだろうな。お互いのことなんて理解なんてしなくていいんじゃないかなって思う。
とても面白かった。
たくさんの人に読んでほしいと思う。

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2024年04月17日

Posted by ブクログ

壮大で美しい幻想群像劇と言う通り、素晴らしい作品。SFファンタジー要素もあり面白かった。わたしの絶望は、誰かの希望。色々考えさせられた。

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2024年02月14日

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プーニーという可愛い名前に関わらず、凶悪なものに立ち向かったり取り込まれた人であったり、、、
どちら側からの視点でも正義であったり、守りたいものがあったり複雑な心境に陥ること必須です。

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2023年11月22日

Posted by ブクログ

主人公は現実に疲れたサラリーマン。突然メルヘンなファンタジー異世界にいっちゃった!と思ったら、地球は大変なことになっているし、地球の危機を救う鍵を握ることになってるしであまりの急展開にびっくり。
主人公が囚われている世界も、現実世界もどっちも異世界めいていて、終末へ向かう閉塞感と妙なゆるさが感じられて不思議な気分になるお話だった。
だからこそ、結末でこんなに泣いてしまうとは予想してなかった。めちゃくちゃ面白かった。

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2023年09月06日

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中2感あふれるタイトルとカバーに惹かれました。滑稽なほど平和な妄想世界の描写と、ラストの現実世界の絶望とのコントラストが切ないです。キャラも良かった…。一気読みでした。

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2023年09月06日

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この作家さんの作品のどれを一番に読もうかなと思った中で、タイトルと表紙が一番キャッチーだったので選びました。
最初から最後まで息詰まる選択の連続で目が離せず、なおかつ、どの登場人物も思考と行動がよどみなく軽快で、楽しく一気に読めました。
個人的には、笑いを取ろうとして書いてあるのかな?と思う箇所がちょっとだけあるところが好きです。
これから他の作品も読み漁ってみたいです。

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2023年01月23日

Posted by ブクログ

これは一度読むとなかなか忘れられない小説!
設定はパニックホラーみたいな感じだけど、そこからのリアルな悪夢のような展開が恒川光太郎さんならではだと思う。
恒川さんの小説の、どことなく絶望感が漂う雰囲気を味わいたい人におすすめ

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2022年12月31日

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久しぶりに大ヒット。これは何回か読みたい。
持って生まれたもので人助けができるという状況がものすごくうらやましい。生きる価値を感じられる。能力が強化されて転送された舞がうらやましい。

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2022年12月30日

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すごい!たまらん!面白すぎ!そして余韻がヤバい。
誠一の立場では何が正解だったんだろう。いや、後書きにもあるように正解もないし間違いもないのだろうけど、本当に難しい問題だ。

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2022年10月13日

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面白かった。
鈴上は悪人なのか?でもその場その場で手に入れたささやかな幸せを守りたくて、何が悪いだろう。
人はその人その人の感じたことでしか、何かを判断することはできないと思う。
鈴上の身に起こったことから語り起こされるので、まず鈴上とかれの身近な良い人たちに感情移入してしまう。
そもそも鈴上のそれまでの生活に、何ら良いことがなくて、私だってそんなところに戻りたくないと思う。
新たに得たささやかな幸せを守りたくなる。
それが現実ではないとしても。

現実では、とても悲惨な事態になっている。
その事態を鈴上は伝聞でしか知らない。実感がない。
地球上の全てが滅びを待つような状態。
地球上全てを救うために、自分の子を殺せと言われて、言われただけで、それを信じて子を殺し身近な良い人たちを失えるかどうか。
私は無理だと思う。まず話を信じない。

地上では、具体的に脅威にさらされた中で、いろいろなことが起きる。
脅威によって家族も何もかも失う人たちが描かれる。
しんどいことばかりで、本当に地獄。

いったいどうなるのかと先が気になってどんどん読んでしまった。
結末は出たけれども、それで何もかもすっきりする!とはいかない。ザラッとした舌触りの何かが心にずーんと残った感じ。
なかなか考えさせられるラストだった。


現実世界で、唐突に土方歳三資料館という単語が出てツボった。

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2022年07月09日

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ホラーやファンタジーを得意とする著者がSFに挑戦した作品である。『スタープレイヤー』シリーズもSFの要素を孕んだ作品だが、本作はこれまでの恒川作品と一線を画している。

突如サラリーマンの鈴上は知らない世界で目が覚める。最初は困惑した鈴上だが、そこの住民の温かさや不自由のない生活に安らぎを感じていた

一方地球は人類滅亡の危機に瀕していた。「プーニー」と呼ばれる白いぶよぶよした生命体が繁殖し、世界を飲み込んでいった。天には謎の巨大な物体があり、その中心にいたのは鈴上だった。

人類を救うため選ばれ者が特殊な装置で鈴上とコンタクトを取り、巨大な物体の破壊を嘆願するが、鈴上はそれを拒絶する。

正義の衝突、トロッコ問題、集団心理、これら現代社会における重要なテーマを恒川節を交えダイナミックに描いている。

正義の実行の先にあるものとは。是非ご自身の目で確かめていただきたいです。

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2022年03月19日

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『夜市』で惚れてしまいすぐ2作目として手を出した恒川光太郎作品。一気に読み切ってしまった。ファンタジー?SF?を読むのは久しぶりだったし群像劇とのことで頭が付いていくか不安だったけど全くの杞憂であった。短編も長編も変わらぬ強さでグイグイ読ませてくる。
誰にとっての救いで、希望で、絶望で、破滅なのか。善悪も正義も個人ごとにその判断は分かれる。
すでに他の著作も読まれているファンの方には何を当然のことを、と言われそうだが、物事を決断する上で選ばねばならない「何か」に迫られた時の人間の心に生まれる曖昧な滲みや、絶妙な善悪の境界線や表裏の描写がこの作者はやはり卓越しているなと感じる。

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2021年09月19日

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ネタバレ

自分好みの世界観で一気読み、と言いたい面白さだったが、正確には三気読みでした。

地球外生命体(未知なるもの)が地球に寄生したことで、地上にはプーニーが出現。
プーニーは牛乳プリンのような謎の生物で、突発的に増殖する。動物が誤って取り込むと、その動物もプーニー化、抵抗値の低い人間だと近づくだけで拒否反応を起こし死に至る。抵抗値の高い人間は国にスカウトされ、プーニー災害の救助活動を行なっていた。

(未知なるもの)は大きなクラゲのような姿をしており、地球の大気圏上に張り付いているが、異次元の存在であるため物理攻撃は効かない。しかし、人類は研究の末、(未知なるもの)の核近くに取り込まれている人間、鈴上誠一を発見、想念の異界(鈴上の精神世界の様な所)に向けて次元転送砲から「突入者」を送り込み、鈴上の説得を試みる。

しかし、鈴上は想念の異界で何不自由なく暮らしており、地上で勤めていたブラック企業や夫婦間の問題から解放され、新たな友人、妻、子どもまで授かり幸せな日々を送っていた。

当然鈴上がそんな幸せを手放す訳もなく対立、そして人類側による世界的な大規模突入作戦が決行される…




鈴上の説明だけになってしまったが、後のプニ対(プーニー災害対策組織)隊長となる相川聖子や、最初のプーニーコンダクター野夏旋、最後の戦いで活躍する理剣など、魅力的なキャラクターばかり。

人口の大半が抵抗値11〜80なのに対し、三人は500前後の数値を持ち、アニメ「PSYCHO-PASS」の「常守朱」的な特別感があった。

それぞれの登場人物に対して、自分だったらどうしてたかなーなどと考えながら読み進めるのは楽しいし、この作品を読んで、自分はソフトSFが好きなのだと理解した。

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2021年06月13日

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他人の不幸の上に成り立つ幸福は否定されざる得ないものなのか?

人類に破滅をもたらす物に取り込まれた唯一の人間は夢のような世界で新たな家族と幸せを育みながら暮らす。

一方、破滅へ向かう人類は起死回生の一手を模索する。

破滅へ向かう人類の中で耐性を持つ人間達

其々の立場から生まれる葛藤
其々の正義の下に物語は進んでいきます。

個人的には夜市以上スタープレイヤー未満と言ったところでしょうか!

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2021年06月13日

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ネタバレ

 ある日突然、上空に表れたい未知の存在。
 
 その日から白いぷにぷにとしたものが地球を吞み込もうとしている。

 その未曾有の危機に立ち向かうもの。逃げるもの。思いがけずにその核になってしまったもの。

 その様々な人間模様がとてもよかったです。

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2021年05月23日

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結末まで読むと、帯に書かれている「わたしの絶望は誰かの希望」(うろ覚え)というアオリの意味が良くわかった。
あらすじは地球側の目線で書かれているので主人公は聖子なのかと思ったが、主人公はいない、または登場人物全員が主人公なのだろうか。ともかくあらすじを考えた人に拍手。

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2024年02月10日

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感想の前にひと言。

「不意に手にとり購入したけど、読んでたらすでに読んでたことに気がつく。」

うっかりというか、間抜けでした…。

まあこんな間抜けなわたしですが、こういう本とのずれた出会いも、読後の心境が過去と違うという発見(過去より成長してたらいいなぁ)があったのでこれもアリだったと思いたい笑。

長々と個人事情をすみません。
感想は本当に簡潔に。

『自分ならばどうしたら正解なのかわからなかった、正解なんてなさそう…』

人を狂わし異物に変化させる、突如として地上に現れた「プーニー」。

ことの発端で一章の主人公、鈴上誠一。
二章の相川聖子。
三章、野夏旋。
四章が大鹿理剣。

未曾有のプーニー災害の中で、渦中の人物が変わり、視点ももちろん変わる。

タイトルの滅びの園も、紙一重だと思った。

「もし」なんて言葉、生きてる中でカケラも意味ないと思う反面、それが全てで考えるという価値はそこしかないかもとも思う。

ちょい書いててわからんくなってきた(^^;



とても気持ちが揺らいだ作品でした。

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2024年01月18日

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ネタバレ

気付けば異世界に迷い込んだと思いきや、
実は謎の生物に囚われ幸せな世界を夢見せられていただけだった。
しかし、そんな中地球にはプーニーと呼ばれる謎の生命体が蔓延り、耐性がない人は近くにいるだけで死んでしまうし、世界もどんどんプーニーに飲み込まれていった。
幸せな世界で生き続けたい人間と、プーニーによる地獄を味わっている人間とが争うという
どちらが正解とも不正解とも分からない物語だった。

少し後味は悪いが、
正義と悪は視点によって変わってしまうということがよく分かるし、どちらにも感情移入してしまった。

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2023年09月14日

Posted by ブクログ

恒川作品長編。
地球外生命体がクラゲのように地球についてそこから地球の破滅へと向かう物語。
SFなんだけど、地球の混乱とか一人一人の物語がリアルすぎてSFっぽくない。
特に相川目線の中学生の頃のお話とか懐かしさを覚えた。難しいお年頃のバランスの取りづらい感情の変化とか物語全体ってよりはそこに存在しているキャラクター設定が緻密。プーマーとよばれる生物が街を、人を呑み込んでいき、最後は栄養素になるとか上手くできすぎ。
読んでてちょっと伊坂幸太郎らしさがあるな、とか感じたりした。

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2023年01月15日

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冴えないサラリーマンの鈴上は、ある日突然別の世界(想念の異界)へと転送される。
そちらの世界は争いもなくとても過ごしやすい世界で、鈴上はそこで家族を設けるが、、、

一方で地球は大変なことになっており、、、
プーニーによる被害、プーニー抵抗値に優れたプニ対やプーニーコンダクターなどが出現するなか、"核"を破壊すべく地球から投入隊を送り込む。

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2022年12月03日

Posted by ブクログ

ブラック企業に勤める鈴上はある日楽園のような世界に飛ばされるが、戸惑いながらもその地に根付いていく。
一方、鈴上のいなくなった地球にはある異変が――
自分にとっての正義は他人にとっての悪かもしれない。
正しいってなんだろう。もし家族を守るためなら私は正しい選択できるのだろうか。
誰にとって正しいかなんて、誰にも分かるはずがないのに。

物凄いファンタジーなのに、哲学書を読んだ気分だった。

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2022年10月21日

Posted by ブクログ

現実世界と異世界が滅亡をかけて対立します。我々の世界から弾かれた人間が異世界で幸せを得ます。幸せを維持しようすると現実世界が厄災に見舞われる、という構造となっています。
お互いの正義は衝突します。他人の不幸の上に成り立つ幸福は容認されるのでしょうか。

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2022年09月07日

Posted by ブクログ

ネタバレ

この人にダークな世界を描かせたら、
秀逸だということをすっかり忘れていた。

最初は安心して安穏とした気分で読んでいたのだが、段々と暗雲が立ち込めてきて…そして、どんどん暗さに拍車がかかってゆく。
なんて救いがなく絶望的なのだろう。
この絶望感の破壊力は半端ない。
恐怖感や衝撃を淡々と描くことで、冷徹さが増している。

鈴上は、ただ幸せになりたかっただけだと思うのに。
彼に希望ある気持ちがあると、現実世界が災厄に見舞われるという、最悪な世界観。

気持ちがすっかり憂うつになりました。
胸を太い釘で打ち付けられたかのような、鈍い痛み。
悪夢を見そうで今夜は怖い。

やはり恒川光太郎氏は凄い…!

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2022年05月01日

Posted by ブクログ

ネタバレ

 まごうことなき本格SFなのに、美しい幻想の世界観と、ぞくりと空恐ろしくなるホラーの空気感を併せ持つ、恒川さんらしい大作でした。
 シンプルでありながらそれゆえに奥深いプーニーの生態の設定を下地に、それに伴って発生する被害・災害、対策、人々の反応などが二十年以上の時間軸で描かれており、この「本当にこうなりそうだな」と納得できるリアルさが秀逸です。
 何より、物語の主な視点となる四人の主要人物たちの、誰が正しいとも間違っているとも言えない決断や行動の数々が、読者に答えのない問いを投げかけます。「もし自分が誠一の立場だったら」「聖子の立場だったら」などと考え始めるとキリがなく、結末の読後感は決して良くはありませんが……この話を「めでたしめでたし」で片づけられるはずはなく、むしろ、これこそなるべくしてなった結末なのかなという気持ちにもなりました。
 全編を通して、映像的には派手なシーンでも冷静に淡々と描かれており、その静けさが物語の奥深さに一役買っています。うん、今作も恒川さんでした。

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2021年07月11日

Posted by ブクログ

ネタバレ

色々な人の視点で進んでいき、それぞれの思う正しさに共感でき、「正しい」とは何なのだろうと考えさせられる。終わりが悲しい。

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2023年10月12日

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恒川さんの作品はどちらかというと、ノスタルジックさが漂うものの方が私は相性がいい。とは言え、しっかりとした世界観はさすがで、独特の世界を作り上げている。プーニーという名前が可愛くも恐ろしい。

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2022年07月25日

Posted by ブクログ

善と悪、希望と絶望、ユートピアとディストピア、喜劇と悲劇……そうした正反対なものは、隣り合い、混ざり合い、ただ単に人の立場で変わってしまうことを思わされた、SF(少し不思議)作品です。

ブラックな職場と妻とのすれ違いで、心がすり減ったサラリーマンの鈴上誠一。彼はある日、ふと降り立った駅のホームで、現実世界とはどこかズレた世界に迷い込む。居心地のいい世界に徐々に馴染んでいく鈴上。そんな彼の元に、ある日地球からやってきたという男が尋ねてくる。そして男は鈴上に地球の危機的な状況を伝え……

個人的な読みどころは二つの世界の対比。鈴上が迷い込んだ、穏やかで平和で幸せな、何不自由ない世界と、一方で謎の生物の襲来によって多数の犠牲者が出続ける地球。
地球での主な語り手となる二人の人生も、それぞれに友人や家族の死であったり、境遇であったりとこの地球だからこその悲劇や波乱に満ちている。一方で鈴上は地球のことを認識しつつも、自分の世界で生き続ける。

こう書くと、鈴上が怠惰だったり卑怯だったりと思えるけど、話を読んでいくとそうとはなかなか割り切れない。地球の人たちも鈴上も理不尽な事態に陥ったことは変わりなくて、でも決定的に超えられない立場がある。精一杯正しく生きようとしても、それがある人にとっては、悪でしかない。

第六章は読んでいて、バットマンシリーズの映画『JOKER』をなぜだか思い出しました。本人が悪いわけではないのに、理不尽に転がり落ちていく様子。そして彼の心理の変遷や悟った時の哀しさと可笑しさが、なんとなく身につまされました。

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2021年05月30日

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