【感想・ネタバレ】ファスト&スロー (下)のレビュー

\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

Posted by ブクログ

人間の認知選択の特性はこの本を読んでおけば事足りるのではないかと思えるくらい網羅的に書かれている。
プロスペクト理論により選択を間違えることはかなり多そうなので、計算に基づいた選択をするように心がけていこう。

0
2022年09月05日

Posted by ブクログ

ネタバレ

直感的に働くシステム1と、熟考するシステム2という人間の意思決定について書かれた本。直感であっても、プロが下すものや長年の経験があれば正しく判断できたりするなど、システム1も侮れない。
より広いフレームで考えること、なるべく多くの選択肢を比較して決定することが大事。そうでないと「見たものがすべて」になり、狭い選択肢で判断してしまうことになる。
本書でプロスペクト理論と確率決定加重の、行動経済学にこける2つの重要な考えが出てくるので、是非読んでいただきたい。

0
2020年07月24日

Posted by ブクログ

ネタバレ

上巻に続き、さらに深い世界へ。特にプロスペクト理論、「経験と記憶」は秀逸。いつも読み飛ばす解説も上下巻をうまく総括してくれており、さらにカーネマンの2つの論文付と魅力満載!

0
2016年06月25日

Posted by ブクログ

下巻では、上巻で述べられた認知バイアスのフレームを受けてさらに議論が進み、一般的傾向としての「自信過剰」の問題と、実はそれが資本主義の原動力になっていることや、計画の錯誤、保有効果、稀少確率の過大評価、メンタル・アカウンティング、感情フレーミング、「経験する自己」と「記憶する自己」の2つの自己、物語として記憶される人生、幸福の基準などなど、どれをとっても興味深い話題がてんこ盛り。おもしろくて最後まで一気に読み通しましたが、読み流して終えてしまうにはもったいない深い話ばかりでした。
この手の話題は、年齢を重ね、経験を経るに連れて一層理解が深まるように思いますし、いずれ時間を経てぜひまた読み返してみたい本だと思います。

0
2015年03月17日

Posted by ブクログ

著者ダニエル・カールマンは2002年のノーベル経済学賞を受賞した心理学者である。
本書は氏の研究業績が上下2冊に収められており、下巻は「自信過剰」「選択」「二つの自己」の3テーマからなる。いずれも、経済学が想定する合理的な「エコン」と現実の「ヒューマン」がとる行動の違いを解き明かしている。

「エコン」は自信過剰にならないし、矛盾する選択もしないし、自己は一つである。すなわち、エコンは一貫性がある。
だがヒューマンは一貫性をもたない。どういった場合に一貫性が損なわれやすくなるのかを、本書は様々な実験結果を踏まえて解説する。

・自信過剰が起こるのは、不都合な要因の過小評価・手持ちの情報の過大評価をするから
・同じ質問も表現を変えるだけで矛盾する選択を誘導できる。多くの場合、選択した当人は矛盾に気付かない
・ある体験から生じる「幸福感」は、体験を通じてもっとも幸せだったときのピーク値と、体験を終えたときの程度で決まる。持続時間は関係ない。
 また「幸せ」はさまざまな意味をもつので、人生の一つ一つのできごとにおける満足と、全体としての幸福感の評価は別物である。

本書を読みながら自分の行動を振り返ってみたとき、著者が「矛盾」と指摘する選択を自分自身がとっていることに気付かされる。
自分としてはその選択はごく自然な選択であり、合理的に判断したつもりであったにも関わらずだ。
本書は研究業績の総括である。ノウハウ本ではない。したがって、本書を読めば合理的な判断ができるようになるものではない。
とはいえ自分の思考を客観視する手がかりがたくさんある。また、思考のフレームワークを作る手がかりにもなる。

0
2015年02月07日

Posted by ブクログ

著者のノーベル賞に繋がったプロスペクト理論についても登場する下巻。下巻は特に意思決定におけるバイアスの除去について重要な知見を与えてくれます。経営者、実業家、会社の幹部の人たちは当然知っておくべき知識だと思いますが、あまり浸透していないのかな。

逆に広告代理店や弁護士、代議士なんかは、この辺りの知識を巧みに使って商売してるのだから、世の中ちょっと怖いな、と思いました。つまり、バイアスを避けるためではなく、意図的にバイアスの罠にハメるような応用しかされていない。ちょっと表現を変えるだけで、一般人の判断を麻痺させる事ができるわけだから、ちょっとした殺戮器官ですよね。

それこそ義務教育で主要科目として教えておかないと、まともな民主主義は機能しないな、と思いました。

0
2015年01月23日

Posted by ブクログ

エコン(合理的経済人)とヒューマン。
80%の確率で100万円•20%は0円と、確実に46万円もらえるのとどっちがいい?という時、エコンは期待値が高い前者を選び、ヒューマンは後者を選ぶ。
前提が違うのは、経済学と心理学という分野の違いだと思うけど、学生の時はエコンに固執していたなあ。ヒューマンという考え方でもう一度あの題材を取り扱ってみたい。

また、公正性に対して参照点があるというのも興味深い。10ドルのスコップが売っていて、大雪の日に需要が上がるから15ドルにした。エコンは正しいと考えるが、ヒューマンは不公正と考える。
さらに、10ドルで雇っていたバイトの給料を、失業者がたくさん出た際に7ドルに下げるのは不公正と考えるが、そのバイトではなく新規バイトを7ドルで雇うのは公正とする。参照点を何にするかは大切。
企業も、社員の給料を下げたい場合は、今いる人は据え置きで、次に入社してくる人や中途採用者の給料を下げた状態で雇うのが反発は少ない。

利得と損失では、損失への効用は利得の2倍。
テロは利用可能の連鎖を引き起こす。統計的に無視できる確率であったとしても。
ヒューマンは、合理的な判断をしていると考えていても、実は損失回避性が働き、適切な判断が出来ていないことがある。
個々の判断よりも総和で考えるほうが、期待値は高くなる。
サンクコストはサンクコスト。現状で最善の選択をすることが必要。赤で終わりたくないとか、気質効果まんまだよね。
大事なのは並列評価だ。単独評価では回答が変わってくる。
宝くじが300円で、期待値は145円だから、「1550円損する宝くじを買うかどうか」という質問にも置き換えられる。ぷぷっ。
燃費と環境問題もそう。リッター18kmを25kmにする努力よりも、リッター5kmの車を10kmの車に交換するような施策の方が効果があるかも。まあ、どれくらい使われているかという前提次第だけど。

訳がうまいのもあって、スラスラ読めるし、読むと賢くなった気にさせる良書でした。

0
2014年08月23日

Posted by ブクログ

かなりの良書。読めば、人生を二倍豊かにする事ができます。
それと同時に、人間の思考の限界とそれをどうする事もできない事を、これでもかと教えてくれる本。
具体例がこれでもかと出てくるので、イチイチ再認識しながら読め、理解も深まります。
統計や確率が絡んだ時、確実にあなたの直感は間違っています。

0
2014年05月25日

Posted by ブクログ

下巻では2つの人種と2つの自己が語られる。2つの人種とは、理論の世界に住む、経済学に登場する合理的な存在のエコンと現実の世界に住む、行動経済学に登場する合理的ではない存在のヒューマン。2つの自己とは、現実を生きる「経験する自己」と記録をとり選択をする「記憶する自己」。
直感や計画の錯誤、楽観主義によって、大抵予測は外れる。この話は上巻の、システム1,2の続きだ。
そこから、従来の経済学よりも現実に則したプロスペクト理論が説明される。効用は参照点からの変化に影響され、さらに損失は利得より強く感じられる。保有効果や損失回避、単独評価と並列評価が不一致する選好の逆転などにより、人間はエコンのように合理的にはなれない。
また人間には記憶する自己を過大評価し、エンディングの記憶が幸福度の評価になりやすい。このように人の心理に従って正しく幸福の計測値を図ることは、政策などにも関わってくる。

0
2014年03月29日

Posted by ブクログ

ネタバレ

「エコン」と「ヒューマン」についてはあまり興味を抱かなかったが、「二つの自己」はストライクだった。経験と記憶がどのように相互関係にあるのか、その特徴がよくわかる。
巻末の論文の資料価値も高い。

〈スキル習得の基本条件〉
①十分に予見可能な規則性を備えた環境であること
②長期間にわたる訓練を通じてそうした規則性を学ぶ機会があること
→この二つがあれば直感はスキルとして習得可能である。まず規則性を見いだすこと、その上でその規則性を学ぶコンテンツを作成することが重要だ。

楽観バイアスは、認知バイアスの最も顕著なもの。人は自分の立てた目標は実際以上に達成可能だと思い込む。

行動して生み出された結果に対しては、行動せずに同じ結果になった場合よりも、強い感情反応が生まれやすい。後悔も含めて。

「フレーミング効果」
問題の提示の仕方が考えや選好に不合理な影響を及ぼす現象

〈経験と記憶〉
記憶の特徴は、「ピークエンドの法則」と「持続時間の無視」。

経験と記憶を混同するのは認知的錯覚。
過去から学んだことは将来の記憶の質を最大限に高めるために使われ、必ずしも将来の経験の質を高めるとは限らない。
きっと記憶に残るだろうと感じられる経験は、そうでない経験より大きな重みと意味を獲得する。

「焦点錯覚」
そのとき注意が向けられていた生活の一要素が、総合評価に置いて不相応に大きな位置を占めることになる。

システム1に起因するエラー防ぐには、認知的な地雷原に入り込んでいる兆候を見落とさず、思考をスローダウンさせ、システム2の応援を求める。

0
2014年01月19日

Posted by ブクログ

システム1とシステム2
エコンとヒューマン
経験する自己と体験する自己
人間ってのは間違えてしまうこともあるとのこと。それでうまく行ってる(資本主義の柱の一つの株の売買ってのはどちらの予想が間違えてないとなりたたない)らしい。
即断即決せずにゆっくり考えるとシステム2が働いて、システム1のうっかり間違えはなくせるとのことなので、じっくり考えましょう。

0
2013年12月24日

Posted by ブクログ

「テロは、利用可能性の連鎖を引き起こすのである。」

認識としての直感は、たとえば消防士がなんとなく危険だと思う場所を避けた次の瞬間に爆発した、というようなものである。これは奇跡的に分かったのではなく、今までの経験と新しい現場に向かう最中の思考実験によって認識されたものであるので、奇跡ではない。

分母の無視:確率で事象を現すように、何人中何人が、と表すことで低い確率のものをより深刻に考えさせることができる。

貧しければみじめ:貧しい人は裕福な人よりも生活に満足を感じていない(=幸福度が低い)、しかし、ある程度の裕福度に達すると、そこから先はより幸福になれるわけではない。換言すれば、幸福はある程度お金で買える。

死亡前死因分析は面白い!

0
2013年12月17日

Posted by ブクログ

ネタバレ

上巻では、システム1と2という2つの脳の働き(キャラクター)の違いと、それによる錯誤のメカニズムについて書かれていました。下巻では、さらに2種類の対比するキャラクターが出てきます。経済学で前提される合理的な人間(エコン)と、現実の間違いも犯す人間(ヒューマン)。経験する自己と記憶する自己。
これらのキャラクターの説明を通して、人間が何故、時として重大な間違いを犯すのかが書かれています。
最後にその間違いを重大なものに発展させない、政策や意思決定の可能性があるということ。それは個人では不可能に近いが、組織で行えば比較的可能であることが提案されています。
「なんでこんなことをしたのか?」という他人の行動を、もう少し近づいて考えることが必要で、人は全体で考えて幸せになる生き物なのだと考えさせられました。

0
2013年10月18日

Posted by ブクログ

下巻では、まず行動経済学として知られることになった人間の選択行動について論じられている。さらに、二つの自己として、経験する自己と記憶する自己の違い、苦痛や幸福の評価軸の違い、について論じられている。双方とも興味深いテーマである。

第四部は経済的合理人である「エコン」に対して、系統的に誤る「ヒューマン」を対峙させる。この議論が、行動経済学の名で知られる意志決定に関する理論である。プロスペクト理論という名前でも有名で、S字を描く価値関数のグラフで知られている。人の選択において「参照点」「感応度逓減性」「損失回避」の特性を考慮すべきとされている。いったん保有するとその価値以上に手放すことを忌避する傾向「保有効果」も有名だ。

たとえば、同じ金額であっても選択にあたっては、変化の絶対値よりも割合の方を重視するとか、得る方よりも失う方を重視するというものだ。これらは「システム1」の特質から導き出せる。期待値よりもリスクを嫌う、変化の大きさに反応する、ということが人が適者生存の過程で生き残るにおいて有利に働いたということだ。言われてみればそうだよなというものだが、慎重にデザインされた実験から導き出されたのは最近の研究からだ。この辺りの議論は、本書でも何度も取上げられているがセイラーとサンスティーンの『実践行動経済学』と合わせて読むとよいだろう。

めったに起りそうもないことに対して過大な重みづけをすることも知られているが、「システム1」で解釈可能とされる。質問の表現の仕方(「10%が死ぬ」か「90%が生き残る」か等)で選好が大きく変化することを示したフレーミング理論も行動経済学の大きな功績とされている。

これらの選好に関する結論だけでなく、その結果が導き出される実験についても解説が詳しい。本書が長くなっている原因でもあるのだが、非常に重要なポイントでもある。

第五部は、「経験する自己」と「記憶する自己」の話。
記憶に基づく評価はピーク時と終了時で決定され、その持続時間には影響されないというものである(持続時間の無視とピーク・エンドの法則)。つまり、記憶されるものは経験されたものと同じではないということである。記憶する自己自体は「システム2」の産物かもしれないが、その快楽の評価は「システム1」から来るものである。それは記憶というものが何のために進化の過程で獲得されたのかをも示している。

まとめると、これらのことを「システム1」と「システム2」という仮説モデルにて説明したのが、本書である。ある分野の活性化など脳神経学の知見にも一部言及されているが、今後より具体的な研究が進む分野となるだろう。コールドウェルの『価格の心理学』でも参照されているが、実際のビジネスや政策にも適用される分野で広がりが期待できる。

改めて、細かいところは飛ばしてもいいので、読むべき本。

0
2014年01月01日

Posted by ブクログ

結論部のリバタリアン・パターナリズムの議論は特に興味深かった。
多くの人が抱いているであろう「合理的な経済主体」という考え方がいかに現実とそぐわないか、本書を読めばよく理解できる。これは個々人の生活から政策決定レベルまで広く影響を及ぼすような、かなり驚くべき事実だと思う。

0
2013年06月30日

Posted by ブクログ

下巻はとことん、経済合理性で説明できない意思決定の解明へ。本書の専門用語を用いれば「プロスペクト理論と損失回避性」という事だが、〝損失や期待値が幾らなら賭けに乗るか“という事をアンケートから徹底的に追求し、数値化した点は素晴らしい。人間は、得をしなくても良いから、それ以上に損をしたくない生き物だ。

ー 損失回避というコンセプトは、心理学から行動経済学への貢献の中で、おそらく最も重要なものだ。また脳は単に象徴的な危険に対しても敏感に反応する。感情的な言葉はすぐに注意を引きつけるし、戦争や犯罪といった危険を払う言葉は、幸福に満ちた言葉よりも早く注意を喚起する。

死ねば終わり、という事を無意識に知っている。この本を読んで痛感したのは、人間はセックスや飽食よりも、自己保存つまり防衛本能が勝るという事。それはそうだろう。殺されそうになれば、それらの行為を中断するはずだ。つまり「防衛」が全てに勝る。という事からも、リスク回避最強説は自明とも言えそうだ。承認欲求や不正忌避、徒党を組むような所作も全て「防御本能」だ。

経済合理性など、生命には勝たん。ゆえに。
合理的存在のエコンなど、理論上の存在だ。
では、「生命>経済合理性」をどのような基準値で判断しているのか。命の値段、命に間接的に関わる意思決定のボーダーラインとは。本書が面白いのは、この見えない境界線を探りに探りまくる所。

ー 感情は正確な確率に反応しない。自爆テロにより利用可能性の連鎖を引き起こす。痛ましくも鮮明な死者や負傷者のイメージが報道や日々の会話によって絶えず増幅され、広く身近な取り出しやすい情報となる。自分では制御できない連想的で自動的な感情覚醒が起こり、どうしても防衛行動を取りたいと言う衝動に駆られてしまう。

バスでテロが発生。そんな非日常が起こる確率はほとんどないのに、著者はバスに近寄ることさえ敬遠する。コロナ禍でもよく分かった。確率など大多数には無意味だ。

ー 自分の選考が客観的事実ではなく、フレームに左右されていると言うことに気づく機会が滅多にない。例えば死亡率10%、生存率90%であれば生存率90%の方が手術を受けやすい。

ー 身銭を切って投資したものに対して、きちんと元を取ろうとする感覚。メンタルアカウンティング。

言葉の印象から、自らの身体的危機を見抜く。大切なのは、数字ではなく直感。しかしそれは正しくない。ただ、直感で動かなければ、捕食されてしまう可能性もあるため、元来人間に備わった機能だ。また、お金をかけたものを大事にしたいという感情もよくわかる。お金はカロリー交換券だ。だから、執着する。マネーマネー。生きるために。

ー 日常生活のいくつかの場面では、損失は利得の約二倍の重みを持つ。損失という言葉は、費用という言葉よりずっと強い嫌悪感をかき立てる。

分かる、分かる。共感する。人間にインプリントされた基本機能だ。自分たちのプログラミングをリバースエンジしていく。

ー 重要なのは記憶である。素晴らしい旅行をした後にその記憶が消されるのであれば、人はその旅行にお金を全く払いたくない。また苦痛を伴う手術をしてもその記憶が消されるのであれば、人はその苦痛を我慢しようとする。

自身のメモリーを守れ。そのために必要な行動をせよ。時に、悠長に考えている時間はないのだと。また、面白い本と出会った。

0
2024年05月03日

Posted by ブクログ

読みやすいけど、腑に落ちる感覚があまりない。

人間の思考について書かれているが、応用先が思いつかなかった。

上下巻共に読むのに時間をかけすぎた。
一気に読破すると見えてくるものがあるかもしれない。

とりあえず寝かせて、数年後にでも戻ってきたい。

0
2023年04月11日

Posted by ブクログ

上巻ではあまり感じなかったが、これは行動経済学の本であるとしっかり感じられる。システム1とシステム2をうまく使って従来の経済学の理論を行動、経済学が打ち破っていく様子を順々に解き明かしている。

0
2018年11月12日

Posted by ブクログ

システム1とシステム2。速い思考と遅い思考。意思決定を行う際にわれわれは直感による速い思考を行っている。直感の出番がない場合には論理で考える。これが遅い思考である。直感は自動的に連想を働かして結論をだす。それは論理的思考でもないし統計的思考でもない。ただうまくストーリーができていればよい。われわれはそれを自信をもって正しいと思い込む。ちゃんと論理的思考の出番があれば間違わなかったはずの結論も直感を信じたために間違えた結論を下す。また思考には色々なバイアスがあり、それによって間違った結論を出してしまう。このようにわれわれの意思決定の仕組みを解き明かした心理学者にしてノーベル経済学賞受賞者の一般読者向けの著作。
プロスペクト理論:
 参照点と損失回避
二項対立:
 システム1とシステム2。エコン(合理的経済人)とヒューマン。経験する自己と記憶する自己。

0
2018年10月20日

Posted by ブクログ

一定の規則性が存在しない状況では、直感は信用できない

直感の妥当性は下記条件で満たされる
・十分に予見可能な規則性を備えた環境であること
・長期間にわたる訓練を通じてそうした規則性を学ぶ機会があること

計画の錯誤を減らすには
「多くの人は過去の分布に関する情報を軽視または無視しがちであり、この傾向がおそらく予測エラーの主因だと考えられる。したがって計画立案者は、入手可能なすべての分布情報が十分に活用できるように、予測問題の枠組みを整える努力をしなければならない」

死亡前死因分析は自信過剰に対して効果的

損失回避
損失は利得より強く感じられる
損失回避率はおおむね1.5〜2.5

悪は善より強し
安定した関係を維持するためには、楽しい会話と楽しくない会話の比率を少なくとも5対1にしなければならない

プロスペクト理論
四分割パターン
                 利得|損失
       95%の確率で1万ドル貰える|95%の確率で1万ドル失う
高い確率   万一の落胆を恐れる   |なんとか損を防ぎたい
確実性の効果 リスク回避       |リスク追求
       不利な調停案も受け入れる|有利な調停案も却下する
---------------------------------------------------------------
        5%の確率で1万ドル貰える|5%の確率で1万ドル失う
低い確率    大きな利得を夢見る  |大きな損を恐れる
確実性の効果  リスク追求      |リスク回避
        有利な調停案も却下する|不利な調停案も受け入れる

左上欄はベルヌーイが論じた領域:リスク回避的
左下欄は可能性の効果が働く。宝くじが人気なのはこのため
右下欄は保険をかける状況
右上欄が驚きの領域で多くの不運な状況である、起死回生の一手を打とうとして大失敗をおかす

・狭いフレーミング:決定1と2は二つの単純な問題と考え、別々に処理する
・広いフレーミング:四つの選択肢のある一つの問題と考え、1回の決定で処理する
複数の決定を一つにまとめて扱える場合は、いつでもそうするほうがよい

小さく勝って小さく負けるが損失回避を防ぐ呪文
個人投資家は四半期に一度見直せば十分
広いフレーミングで考えるように努める

後悔をあまり重大視すべきではない、たとえ後悔するとしても、いま考えるほどひどくはないものだ

並列処理は単独評価より合理的な判断が下される

持続時間の無視とピーク・エンドmp法則
記憶する自己は経験する自己よりも独裁者

ハッピーになるいちばん簡単な方法は、時間の使い方を自分でコントロールすることだ。自分の好きなことをする時間を増やせばいい

幸福を感じる気質というものは身長や知能のように遺伝する

全体のテーマとしては認知的錯覚
システム1とシステム2
エコンとヒューマン
経験する自己と記憶する自己

資本主義は認知的錯覚の上に成り立っている

0
2018年11月25日

Posted by ブクログ

やっと読破しました。読み応えありますが、行動心理学のいろんあケーススタディをあらゆる観点から実験しており、興味深い実験が多いです。どんなに文明が進化しても、人間が正しい判断を常にできるとは限らないことがわかります。

0
2014年01月16日

Posted by ブクログ

「ファスト&スロー-あなたの意志はどのように決まるか?-」の読書会 
日付:2013/12/16 作成者:とことこ(大塚 拓)         
〇この本を一言で表すと?
人間のいい加減かつ複雑な意思決定方法を実例を交えてわかりやすく説明した本

〇全体の感想・その他
・システム1(早い思考)とシステム2(遅い思考)に分けて考えるの画期的でわかりやすい。意志力や思考力が無限である・有限であるとの議論の矛盾点がこのファスト&スローで説明できるのではないか。
・人は現状から悪くなる点はなかなか受け入れられない。この原理が便利になったが豊かさが失われていく社会なのかと思った。
・画期的な理論であることに間違いないが、本書で辛辣に説明しているベルヌーイやビジョナリー・カンパニー、マルコム・グラットウェルほど売れる本にはならないと思われる。
→人はいい加減でも経験から納得できる因果関係の説明のほうが好まれるのではないか

〇よかった点
・説明の仕方や実例もとてもわかりやすい。各章の具体例がとても腑に落ちるし、面白い。
・プロスペクト理論の欠陥(下84)(落胆や失望の勘定)を認識し、説明しているところが潔くてよい
→これも理論的に納得のできる解明がされるときが楽しみ
・直感とは認識以上でも以下でもない(下12)。記憶や経験の豊富さが大事でこれから積上げていきたい
・平均以上か以下かは簡単か難しいかで変わる(下46)。対人関係が苦手な人が多いことが納得
・誉めることと叱ることの士官からの反論について的当てでの説明はすごく納得させられた。(上259)→一方で少しひっかかる点もある。誉める叱るについて、参照点の考慮や個人の特性の考慮はされないのかなど。

〇突っ込みどころ・気になる点
・統計学者の権威を騙せたことを喜んで理論の正しさを説明(上219)しているが、その一人の統計学者が騙せなかったらどうするつもりだったのか?ちなみに生徒の騙された割合はそっくりと記述だけ
・作者のストーリーが多く、冗長になっている感がある。ただし、それが行動経済理論に訴えかけた説明なのかもしれない。

〇実践してみようと思うこと
・会議が始める前に先に参加者の意見をまとめておくこと。(上127)(自由討論だと最初の発言者の意見に寄った考えになるというのはすごく納得)
・プロの投資評論家の意見は鵜呑みにしない。(上312)(プロに巻き上げられないように)
・過ぎたるは及ばざるがごとし。(上236)(並列比較と単品比較の例はわかりやすい)
・同じ意味でも損失より利益という言葉(下211)を多く使っていこうと思う
・説明する順番(上124)とピーク・エンドの法則(下218)は常に意識しようと思う。プレゼンでも

〇みんなで議論したいこと
・下126 四分割のパターン リスク追及とリスク回避のみんなの意見
・上258 誉めると叱る、それぞれの効用や効果について

0
2014年01月15日

Posted by ブクログ

下巻は、ノーベル賞を受賞したプロスペクト理論と、幸福感に関する実験。プロスペクト理論はさすが本人、どうやってその考えに至ったかがストーリーになっていて分かりやすい。幸福感について、実験結果は当たり前なのだが、考察が興味深い。本人が幸せに感じることが本当に幸せなのか?社会福祉は、本人が選択する幸せを与えるべきか、社会が決めた幸せを与えるべきか?
筆者の2つの幸福感の考え方はシンプルだが応用がききそうである。

0
2013年11月16日

Posted by ブクログ

p16 「十分に予見可能な規則性を備えた環境」=閉じた環境。長期的にパラメータをある程度限定でき、その個数の変動が小さいと考えられる場合

p65 ジャックとジルの例えがベルヌーイの誤りを指摘しているようには理解できない。前段との違いは起点(参照点?)が過去であること、マイナスの変化を含んでいる事だが、現時点の富だけで効用が決まる(=前後の変化を含んでいない)とは言っていないのでは?

0
2013年05月24日

Posted by ブクログ

ネタバレ

まとめると、この上下巻の結論は、二つのキャラクター(システム1, 2)、二つの人種(理論の世界に住む架空の人種エコンと、現実の世界で行動するヒューマン)、二つの自己(現実を生きる「経験する自己」と記録をとり選択する「記憶する自己」→冷水実験、持続時間の無視とピーク・エンドの法則)が存在するということ。そして常に認知的錯覚があるということを知っておく必要があるということ!

0
2017年09月10日

Posted by ブクログ

システム1(直感)の錯覚をシステム2(熟考)にいかに是正させるか。ということで直感が犯す間違いがこれでもかと出てくるが、中には、その間違いは人としていいんじゃないかと思うようなものもある。また、直感の間違いっぷりがいかにも数字に弱いアメリカ人らしく、アジア系なら結論は変わらないにせよ、もう少し比率が変わってくると思われる。
折に触れて思い出すと、仕事にもプライベートにも様々な場面で応用が効きそうな手がかりがてんこ盛りであり、興味深い本であることは間違い無い。

0
2014年03月19日

Posted by ブクログ

人の行動を左右する因子は多くあります。
アンカーリングとは、最初に見たことや聞いたことにその後も左右されてしまうこと。
ハロー効果とは、あることにより全てのことが引きづられてしまうこと。例えば学歴や良い業績などにより、その人がすべて素晴らしいと思えてしまうことです。
プライミング効果とは、慣れ親しんだものが好ましく思えることです。
エンディング効果とは、最後が良いか悪いかで全ての印象が変わってしまうこと。
人の金銭感覚は、現状維持して損失を回避する方向に向かいます。そのために損失に目を向けないように利益を強調することが大切です。

とにかく人は、自分に対して過剰な自信をもち、自分を過大評価しています。
だから偶然によって起こったこともすでにわかっていたように後知恵で錯覚理解することがあります。
また失敗を認めたくないために追加投資(サンクス費用)をして失敗することもよくあることです。

0
2013年10月31日

Posted by ブクログ

プロスペクト理論

損失回避性 利益を手に入れようという動機よりも、損失を回避しようとする動機のほうが強い

保有効果



経験効用ー決定効用
ピークエンドの法則
持続時間の無視

エコンとヒューマン
経験する自己と記憶する自己

焦点錯覚
あなたがあることを考えているとき、人生においてそのこと以上に重要なことは存在しない

脳は物語を扱うことには長けているが、時間をうまく処理するようにはできていない

0
2013年08月28日

Posted by ブクログ

初めての一般向けの著作だとのこと
以前読んだこの著者の本の内容とほぼ同じ

かなりボリュームがあるので、お得な本だけれど
最後まで読み通すには、意外と時間がかかるので
何冊かに分割して、テーマ毎に題名をつけて出版した方が、一般への受けは良いような気がする

0
2013年08月01日

Posted by ブクログ

システム1直感的にわかるもの、システム2計算など頭を使わないとわからないもの。システム2は怠け者で、知的努力を嫌がる。
この二つのシステムを使い、人は意思決定をしていると。例文が米国的過ぎてピント来ない箇所も多かったが、面白かった。
以下、印象に残ったトコ。

平均的には最も活発な投資家が最も損をし、取引回数の少ない投資家ほど儲けが多い。

単純で統計的なルールの方が直感的な「臨床」判断よりも正しい

ヘッドフォンの検証だと言って縦に頭を振りながら主張を聞かせると、賛成しやすい。横に振らせると、反対しやすい。

プライミング効果
笑顔を作ればよい。本当に気分が良くなるから。
親切で優しい気持ちで人に接するとよい。親切で優しい気持ちになれるから

内容がほぼ変わらない報告書が出てきたとしたら、わかりずらい社名より分かりやすい社名の会社の物を信用する。

0
2013年05月27日

「学術・語学」ランキング