感情タグBEST3
このページにはネタバレを含むレビューが表示されています
Posted by ブクログ
金持ちきちがいハッター家で起きる毒物を使った聾唖盲者殺人未遂や楽器マンドリンで撲殺された鬼婆。NYの港で溺死自殺したと思われるヨーク・ハッター(Y)が案出した探偵小説の殺人プロットどおりに犯行を行うのは意外な人。犯人の動機がいまいち説得力不足だけど、面白かった。
Posted by ブクログ
Xの悲劇の次に読んだ。Xの悲劇はとても面白い作品だったがYの悲劇は事前評価の圧倒的な高さのわりに、読み終わると不満点が多々あった。
最も大きい不満点は犯人である13歳の少年が小説の筋書き通りに犯行をすすめるため、ヴァニラの匂いのする軟膏を自分の手首に塗る、という場面。13歳の知能ならこれがヨーク・ハッターを示す手がかりであり、塗ることの無意味さを自覚できるものだろう。でないとしたら、ジャッキーが並外れてバカなのだろうか?
この行動は「真の犯人は死んだヨーク・ハッターでありジャッキーが傀儡である」という解釈を成り立たせるためなのだろうか。そうすると、作品を入れ子構造に持ち込んだがために13歳の知能を著しく低下・過小評価するということなってしまう。付け加えるならばヨーク・ハッターが小説を書いている=犯罪を扱う小説は探偵小説である、というレーンの推理はもはや決め付けである。発表当時はそうだったのかしれないが…。
こういう所に不満を覚えると作品全体がミステリーのための土台であり作り物めいた感じがする。これは解説にあったとおりで、Yの悲劇全体をとってみても漫画のようにチープで人物に生命感といったものが希薄なのである。
期待はずれてではあったがZの悲劇が読みたくなるくらいには面白かった。