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中編の傑作4編からなる。表題作の『ちいさこべ』は江戸の大火ですべてを失いながらも、焼け出されたみなしご達の面倒まで引き受け、再建へと奮闘していく大工の棟梁とそれを取り巻く人々らのつながり、絆に感動を覚える。
未曾有の震災から1ヶ月余り、いまだ傷跡の生々しい中にありながらも、復興・再建へと立ち向かっていく被災地の一人一人の姿と棟梁の姿が重なる、絆の中に明日へ希望を失わずに共に歩んで行きたい。微力ながら俺に出来る事の最善を尽くしたい。
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表題作「ちいさこべ」は、人と人のつながりが丁寧に描かれていて、とてもやさしい気持ちで読めた。
一方、「ちくしょう谷」はひたすら耐える部分もある、静かな小説で、読後感はやさしい気持ちなどというものとはほど遠かった。哲学的な気持ちにさせられる、とでも言えばいいのだろうか。
粒ぞろいの文庫でした。
ちなみに、古本で買ったからか、表紙はこれとちがいました。念のため。
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望月峯太郎の「ちいさこべ」を読もうと思って、その前に読んでおいた方が楽しめるかと思い、原作である本書を購入。
江戸の風俗、昔の日本人の感覚みたいなものをとてもうまく書いている。表題作のちいさこべは落語の人情話を聞いているような心地よい、古の波に体ごとゆっくりと漂いながら流されるように山本周五郎が書き連ねた言葉に包まれていく。表題作以外の短編、特に花筵は三歩下がる昔の女性を表現しているのではなく、女性の真から人を愛する美しさを怒濤のような出来事のなかでよく書いている。災害の描写のうまさに引き込まれたが、巻末の解説を読むと、作者の実体験が色濃く反映されているのだなと納得。あれはそういう出来事を感じた人にしかわからないものたと思う。山本周五郎、全然興味がなかったが読み進めてみたいと思う。
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ちいさこべ目当てで買った、が、ちいさこべ以外の3作品がそれぞれ新鮮に楽しめた。初めは文体が読みにくいと思ったが慣れると苦にならない。あとの三作品は現代とほぼ変わらぬ文体、読みやすい。時代小説にはハッピーエンドがつきものと思っていたが、こういうのもあるんだ。
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表題作は望月ミネタロウの漫画「ちいさこべえ」の原作。大火で両親を失った大工の若棟梁の了見・心意気がすがすがしい。この短編集ではいずれも厳しい試練に見舞われた個人が主人公であり、自我と理想への目覚めが救いとなっている。
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ちいさこべ、いい話だ!強情だけど、人情味溢れる茂次が素敵。最初は茂次のわからずやっぷりにやきもきするが、一本筋が通った人はやはり格好よく見えるものだと感じた。
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中編を4編収録。
どれも面白いけど、特に「ちいさこべ」と「ちくしょう谷」が好き。
周五郎の作品は、人生にどう向き合うか、みたいなことが描かれていることが多いと感じ出るんだけど、
長い作品になればなるほど、人生の重み、みたいなものが濃くなります。
なかなかじっくり小説読む時間取りにくくて、長編作品に手を出しにくいんだけど、
20代のうちには読んでしまいたいなぁ。
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「ちいさこべ」大火の後、孤児を養いながら再起に奮闘する姿を描く。爽やかな読後感が得られる。「ちくしょう谷」とことん人を赦すことが可能か、少し宗教的な作品。12.8.22
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ドラマ化されていたので読んでみた。山本周五郎作品は久しぶりだ。中編集だったがそれぞれに読み応えがあった。
「花筵」「ちいさこべ」は特によかった。テーマとしては生き方を問う作品群なのだが、男女間の機微の描き方が上手いと思った。女性の側の気持ちが読んでいて納得・共感できる。お市の嫁ぎ先の家族の高潔さに惹きつけられた。かくありたいものだが、なかなか……。
作成日時 2006年10月29日 05:40
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"以前BSで「ちいさこべ」の映画をやっていたのを録画していたのをやっと見た。そこで急いで本も読んだ。映画は中村金之助と江利チエミ、なるほど、この小説のイメージどおりじゃないか。小説にはない遊び人も出ていたが、原作のよさを壊すことなくいっそう面白くしていた。いい。このほか、「法師川八景」、「末っ子」、屏風はたたまれた」、「橋の下」、「ひとでなし」、「あだ子」、「チャン」、「若き日の摂津守」、「古今集巻之5」と収録されているが、どれも凛と生きる姿が読んでいてすっきりとする。さすがだ。山本周五郎が活躍していた昭和30年代頃はまだ東京の下町には江戸を感じさせるものがたくさん残っていたのだろう。今時代小説の書き手たちはどうやって江戸をイメージしているのだろう。先人の書いた小説のなかからだろうか。山本周五郎、司馬遼太郎、池波正太郎、山田風太郎、海音寺潮五郎。なぜみんな「郎」のつく名前を選んだのだろう。その頃の流行なのだろうか。2005・11・25
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あんまり頭に入ってこなかったなぁ。
改めて思いましたが、山本周五郎って連続して読むにはちょっとしんどい、個人的には。
たまにふと手に取って何気に読むのが一番相応しい気がします、暗さがベースにある作家だけに。
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人間の悲哀を描いた、中短編四作を収録。
どの作品も“生きる”」という、ある意味苦行のような事に耐えて乗り換える者、耐えらない者など、登場人物それぞれの生き方が独特の文体で綴られています。
中でも、「ちくしょう谷」は、人間の尊厳について、考えさせられた作品でした。