【感想・ネタバレ】円のゆくえを問いなおす ――実証的・歴史的にみた日本経済のレビュー

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Posted by ブクログ

ポイントとなる点は繰り返し説明されるなど、説得力ある(が小さくて読みにくい)グラフと合わせて、非常に理解しやすく書かれている。
これは新書なので、コスパは非常に良いと思う。

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2013年06月29日

Posted by ブクログ

経済学の観点から、国際為替相場における円高の問題と日本経済の立て直しについて語った本。新書にあるまじき重厚な内容で、原因と結果を混同しがちな経済と円高の関係性について俯瞰的に理解できた。

実質為替レートで言えば、円高はさほど進んでいないようにも見える。ただしそれは分母である物価上昇率が、デフレ化において停滞しているからであり、世界各国の通貨から見ても総合的に円高は進行している。

これは中央銀行の金融政策の失敗であり、アメリカやヨーロッパで拡大する量的緩和に比べて、日銀の対応が不十分であるということを示している。

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2012年11月08日

Posted by ブクログ

 早稲田大学経済学部の若田部正澄教授が円高のメカニズムを理解するための3冊のうちのひとつにあげているのが本書。円高の状況、その原因と弊害、政府・日銀の対応について、理論、歴史、データに基づいて、丁寧な分析を行っています。本書を十分に理解すれば日々の為替の動きや金融政策に対して、新聞の論説やエコノミストのコメントの確からしさを見極めたり、自分なりの考えを述べることが十分に可能となるでしょう。

 本書の内容で、特に私が興味をひかれたのは、円高がどの程度進行すれば弊害が生じる「過度な円高」と言えるのかの基準を示すところです。それに照らすと、リーマン・ショック後(2008年→2012年在)の110円→70円台は過度な円高ですが、プラザ合意後(1985年→1988年)の254円→127円は過度ではないとなります。この違いに興味を覚えた方は是非、本書を手にとってください。

 なお、本レビュー冒頭の若田部先生推奨の円高を理解するための3冊ですが、私もこれらが鉄板と考えます。残りの2冊は安達誠司『円高の正体』、岩田規久男『デフレと超円高』。
 若田部先生は、『円高の正体』、本書、『デフレと超円高』の順で読むことを推奨していますが、私は本書の先に『円高の正体』を読んだ方がよいと考えます。為替の変動には予想インフレ率が大きく寄与しますが、『円高の目標』はこの点の理論的な説明が詳細で、本書の理解の助けになると考えます。

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2012年09月16日

Posted by ブクログ

日本経済の長期にわたる停滞の要因は何か。このテーマで書かれた本はきわめて多いが、本書は経済理論の枠組みを踏まえるとともに、可能な限りデータの裏付けを取りながら議論を進めたきわめて手堅い本である。著者の筆遣いはきわめて慎重であり、ついつい結論を急ぎたくなるところも、一歩一歩に議論を進めてゆく。類書ではあまり利用されない歴史データを用いているところも特徴だ。

経済理論というと、きわめて難解なイメージがあるが、本書でもっとも重要なのは「国際金融のトリレンマ」という考え方(p.85)。すなわち、為替レートの安定化、国際資本移動の自由化、独立した金融政策の3つの中で、同時に達成できるのは2つまでという議論である。この比較的単純な考え方を使うと、歴史的な事象に始まって現在のユーロ危機にいたるまで、急に見通せた気になるから不思議だ。

本書は4章までに理論、実証、歴史を扱いながら経済分析の枠組みを用意し、いよいよ5章で日本経済再生の処方箋を描いてゆく。その切り口は非常にあざやかで、十分な説得性を持つように思った。

大学で経済学を教える者は、定評のある入門書のあと、ステップアップのできる中級レベルの本の選択に迷うことが多い。本書は、そういうニーズにも十分応えられる本だと思う。

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2012年05月25日

Posted by ブクログ

ネタバレ

現状の政府・日銀の政策に対して批判的であり、円安や円高が自然現象ではないことを述べられている。

リフレ政策を勉強している自分にとって量的緩和政策を更に深く知ることができました。

大まかに言えば金融政策によってデフレと円高を克服できるということ。

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2012年08月07日

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「円高の正体」と重なる内容が多い。ただこちらの方がページ数が多く、内容もよりしっかり書かれている印象。とくに、金本位制から現代までの歴史について書かれた3、4章が良かった。著者の主張は「円高の正体」と同様、日銀による金融緩和がデフレと円高脱出のための唯一の策、というマネタリストのそれ。

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2013年01月05日

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為替変動は自然現象でなく人為的に(ある程度は)操作できるものであり、今の日本はそれを放棄していると強い主張で語る。
主に為替に関する多くの論点を並べ、それぞれにどういう根拠かあるか(または無いか)を丁寧に解説していて、短期的な為替の変動や目前のメリットデメリットに目を奪われないで考える知見が書かれている。

マクロ経済学の知識をある程度もっていることが前提であり、難しいところほど解説が少ない(と私は思う)ので入門書としては辛い部分はあるが、金融政策や為替に関して考えるには適した内容なので多くの人にぜひ読んでほしい本だと思う。

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2012年08月14日

Posted by ブクログ

円高は人災であり、だから施策次第で克服できる、という本で、まさに今(ちょっと前?)のアベノミクスの手法を推奨している本。
実際に円はめちゃめちゃ安くなったからねえ。経済学には完全な門外漢なんで理論的に正しいかどうかはよくわからないし、あの円安株高は一過性のブームかもしれないんだけど、にしてもこれだけの変化をもたらしたってのは、金融政策の威力はかなりあるって考えざるを得ないんじゃないかな。

ああ、景気良くなってほしいなあ。
著者の主張が正しいことが証明されてほしいなあ、とそっと祈らされた一冊。

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2013年06月16日

Posted by ブクログ

デフレに伴う経済停滞は人災である、とういう意見

これを、為替レートから証明している

ただ、知識不足であることと、丁寧な説明を理解する力が足りなかったので、気になる場所を拾い読みって感じにはなってしまった

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2012年11月22日

Posted by ブクログ

金本位制からプレトンウッズ体制、そして変動相場制への移行から現在までをコンパクトに俯瞰し、円高が及ぼす悪影響と採るべき財政・金融政策まで言及した好著。かなり欲張りな内容ながら、一貫した論旨で為替相場と世界経済の問題点が把握できる。

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2012年09月30日

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