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Posted by ブクログ
星5個では足りない。感動した。犠牲がテーマの作品ではあったが、願わくば実直に生きた信夫とふじ子には幸せに暮らしてほしかった、最後読み進めるのが辛かった。利己的な現代で、自分含めて失われつつある人のためにという価値観が、綺麗に輝いているように思った。
Posted by ブクログ
何度も読んだが、まだ読みたい気持ち。
あらすじは、自らを犠牲にして多くの乗客を救った永野信夫の生涯。
もともと実母や妹のキリスト信仰をよく思っていなかったが、親友のいる北海道に渡り、そこで自分も洗礼を受ける。親友の妹のふじ子は肺病だったが永野の熱心なアドバイスや食に気をつけることにより安定してくる。静かに愛を育み、結納の前日に永野は鉄道員として、キリスト教信者として、自分を犠牲にして暴走した列車を止める。
宗教色が強く、受け入れられない人もいるかもしれないが、信夫の清潔で信仰に基づいた生き方には心を打たれる。自分が信夫のようなことができるとは、到底思えないが、実在の人物がモデルになっているとのことに衝撃を受ける。
吉川との友情、その妹、ふじ子との愛情、菊や待子との家族愛、読んでいてどれも本当にいいものだと感じる。
でも身近な愛する人のために、死なないという選択は信者はしてはいけないのか?とも思った。
信仰のない私には、理解しきれない部分も多数ある。
でもどなたにも一読をおすすめする本。
氷点も好きだが、こちらも好きな作品。
Posted by ブクログ
最後がとても辛かった
ふじ子(だけでなく他の人々もだが)の気持ちを思うととても…
キリスト教のことをほぼ何も知らないので、そういうことなのかと少しだが学べた
あとがきも必読です
Posted by ブクログ
ずっと読みたかった作品。わたしはキリスト教徒ではないが、キリスト教という宗教に少しは興味があるほうだと思う。
小説では、何年間も待ち続けた最愛の人との結納の当日に死ぬという、あまりにも悲劇的な結末だったが、実際はそのようなタイミングでなかったかもしれない。
主人公のモデルとなった長野氏の人生も、そして死も、実際は小説ほど劇的で美談なものではないのかもしれない。
けれど、人々から愛され慕われた一人の人間が、悲しい事故のせいで亡くなったこと、そしてそれが仮説の一つではあるものの、自らの命を犠牲にした可能性があること、それを何年も先の時代に生きる人々が知り涙する、そんな機会を与えてくださった本書に感謝をしたい。
旭川に旅行したことがあるのだが、塩狩峠について知ったうえでもう一度訪れたい。
特定の宗教を持たないわたしには、信仰とは何なのか分からない。ただ、この作品を読んで信仰とは、誰にでも必ず訪れる死というもの、その避け難いおそろしい死に対して、人の心に安寧をもたらすもの、拠り所となるもののように感じた。
Posted by ブクログ
明治時代、キリスト教が少しずつ認められるようになった。とはいえ、この宗教に対する偏見は依然として残っており、物語の序盤、主人公の家庭環境を見るとわかるように、信じる宗教が原因で、一部の家族と離れ離れになった。物語の途中で、実の妹との出会いや、亡くなったと思ってた母が生きており、祖母が亡くなって以降、同居する。この物語を読むと、異なる宗教が共存することの困難さが想像できる。
子供のころはキリスト教に肯定的な見方をしなかった主人公が、物語の後半につれて、キリスト教の教えに感化されて、最終的に、自己を犠牲に多くの人々の命を救った場面は、ある種の輝きに満ちていた。この小説を読むと、宗教による力の両面性が見え透ける。