【感想・ネタバレ】マルドゥック・スクランブル The 3rd Exhaust─排気 〔完全版〕のレビュー

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ネタバレ

三部作の完結編です。

前作のカジノシーンはルーレットだったせいか少し退屈に感じたのですが、カードになった途端緊張感がすごくて引き込まれました。

劇場版では尺の問題なのか説明が不充分でなぜそうなったのか分からなかったところがちょくちょくあったのでそこら辺の経緯がわかってすっきりです。

ボイルドが最後ウフコックの温もりと声を思い出すシーンで泣いてしまいました……。
つらい……。
ウフコックの手で殺されるのを望んでいたような……。

ラストでバロットがウフコックもずっと自分の体温を感じていたんだと気づくシーンがよかったです。

あとがきで冲方先生がカジノシーンの執筆に熱中するあまり吐いてしまって笑ったと書いてあってその熱意にまた感動しました。

ボイルド推しなのですがマルドゥック・ヴェロシティはボイルドが主人公??
えっそっちも読もうかな。

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2024年03月18日

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手に汗握る戦いの連続…おかげで一気に読んでしまった……こんなにも存在意義や価値を自問するような、己を見つめ返しながら命のとことんの所で戦う話は読んだことがなかった。
バロットとアシュレイのブラックジャックでのシーンはルールのなかでお互いの生き様とこれからの生き方を問うような熱いものでした。古いゲームのなかで圧倒的な経験と実力を持った強者と新たな技術を得た未熟な少女。社会の成功者と対峙しながらチャレンジャーはその重みに対して寄り添ってくれる味方と共に戦い、成長していく。この過程が丁寧に描かれていて良かったです。
そして仇敵ボイルドとの戦闘シーン…本当に勝てるのか?となるほどの白熱でした。西部劇のガンマン同士の戦いにも感じられました。

助けてくれた誰かによって成長するバロット。この世界と自分自身に絶望していた少女が、この世界のルールを理解していきながら人生の主導権を得ていく。そこまでに必要な人生への価値付けや戦い方、そうして誰かとの暖かくも厳しい繋がり。読み終えたときの感動や自分の人生を少し右回りにしたいと思えるような感慨…とても良かったです。
読後は脳内でAmazing graceが流れました

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2023年11月22日

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退廃を感じさせる近未来。

少女は、男に殺されかけた。
「なぜ私なの?」その問いと共に、初めて「生きたい」という思いを抱く。
彼女を支えるのは、道具になれるネズミ。"彼"は、有用であることを証明し続けなければ、生きることを許されない。
深くまで描き込まれた一人ひとりが、肉弾戦で、頭脳戦で、存在を賭けてぶつかり合う。

登場人物全員に感情移入せざるを得ない。手に汗を握るエンタメでありながら、人間の深奥部を抉り出す。ジャンルの枠を超えた傑作。

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2022年09月18日

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ネタバレ

本当にとてもとても面白かった。息つまる緊迫したカジノでの攻防も、その後のボイルドとの死闘もどちらも最高だった。単純に物語としての筋が面白いだけではなく、登場人物の心情やそれぞれの思いが丁寧に描かれていて胸が詰まる。社会機構の中で否応なく奪われ続けた少女、その象徴であるかのようなバロットがウフコックとドクターとの出会いによって死んでから甦り、そして中身を充実させ自らの意思で持って自らを守り自らの意思で歩いて行けるようになった、という事実が希望に溢れて止まらない。社会機構の中でどうしても搾取の対象にされがちな少女という存在が、その存在そのものを理由として奪われることも無く、尊重されているという事実が尊くて涙出てくる。シェルの悲哀も良かった。バロットをすり潰した張本人もまた、かつてすり潰された卵の中身であり、腐った卵であり、そして中身を抜くことで空っぽのまま空虚を量産し続けた、その悲劇の連鎖が本当に辛い。なんで世界ってこんなに辛いんだろう。シェルのことは全く擁護できないが、そんな辛さを生み出して再生産し続ける社会の仕組みに対する怒りと義憤のようなものが身勝手にも湧いてくる。それぐらい心揺さぶられる話だった。
ここ最近、使われる武器に人格があったとして、人間のために作られた武器に人格を持たせるということの歪さや、その人格に人間が彼らを使うことを肯定させる醜悪さということを考えることがあったのだが、その答えのひとつをあまりにも鮮やかに提示されたような思いがある。ウフコックは武器であり、道具である。人に使われることで有用性を示し、それが彼の価値となる。今ウフコックを手にしている少女バロットは、人間でありながらかつて物として扱われ、そのように廃棄された存在である。そんな彼女もまた、ウフコックを手にして濫用してしまった。かつて自分を無造作に物として扱い廃棄した男たちと同じ行動を取ってしまった。バロットはそのことを深く悔い、自分がまた彼を濫用するのではないかと怯える。けれど彼女は最終的に、ウフコックをそのようには扱わなかった。むしろ彼の有用性を信じ、「あなたを使いたい」と彼に対する無上の愛で持って答えた。ウフコックもまた、バロットのそれに「それが俺の有用性だ」と応える。余りにも強い。語彙が死んだ。ウフコックが道具であるということそのものに対する無上の愛と信頼がバロットからは惜しみなく注がれていて、ウフコックもまたそれに全力で答えている。「武器だけど人格があるからそんな風には扱えない」とかいう安直な逃げに至ることなく、人格のやどった武器であるウフコックを尊重し、愛し、その存在そのもの全てを受け止めているバロットの誠実さに本当に胸を打たれた。キスもハグもセックスも無いけれどそんなもので表現しなくたって愛は書ける。強い。すごい。そして人格のある武器だからこそできた、ボイルドの最期の瞬間のウフコックの優しさ、本当に本当に胸が詰まる。どうしてそんなに優しいんだお前もうやめてくれ…。バロット一生ウフコックのそばに居て欲しい。引き金のない銃、バロットにボイルドを殺させない、ボイルドの思いもその全て、ウフコックが全部を受け止めて、お前…お前…。とにかく本当に良かった。落ち着いたらちゃんと感想を描きたい…。

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2020年02月07日

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〈1-3巻合わせて〉

未成年娼婦であるルーン・バロットは、賭博師であるシェルの奸計により、一度死ぬ。助けてくれたドクターとウフコック、そして手に入れた能力により、シェルとそのパートナーであるボイルドと戦いを繰り広げる。

今作は卵をモチーフとした名前が多く使われるが、それは多分に意味的なことのように感じられる。ウフコックが沸きらない半熟野郎だとしたら、ボイルドは俗に言う「ハードボイルド」と同じく、軟弱・妥協しない様を描いているのか、あるいは凝り固まった様を描いているのか。シェルはどういう殻なのか。

私にとっての本作の魅力は、作中の登場人物のカッコ良さ。ドクターもウフコックもバロットもボイルドも全員めちゃくちゃかっこいいし、シェルはそうでもないけど、ベルやマーロウやアシュリーとの対決も信じられないくらい楽しかったし面白かったしカッコ良かった。特に三巻はページをめくる手が止まらなかった。読み終わった今、続編も読むしかないという気分。

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2020年01月24日

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未成年娼婦として働く主人公が雇い主に殺されかけたところを助けられ、「自分はなぜ殺させたのか」「なぜ生きているのか」を問いながら殺人事件の解決を目指す話。
助けられた時に金属繊維の人工皮膚を移植されたり、空飛ぶ車が出てくるなど、SF要素が非常に強い作品。
全体的には非常に暗い内容。

上巻は読者に対して情報がほとんど開示されない状態で事件が進むため、正直おもしろくない。

でも、中巻〜下巻がバツグンに面白い。特に中巻の中盤〜下巻の中盤にかけて行われるカジノゲームがとてもよい。
『ライアーゲーム』のように頭脳を使ってゲームをクリアしていく様子は爽快感があって非常に面白いため、おススメ。

戦闘部分の描写が分かりづらかったり、世界観が理解できていない時に専門用語がたくさん出てくる点は読みづらいけれど、中巻以降を信じて読み続けて欲しい。

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2019年01月27日

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 シェルの犯罪の証拠を懸けてのブラックジャック対決、そしてボイルドとの最終対決が描かれる完結編。

ブラックジャックシーンは専門用語が飛び交い、ブラックジャックに詳しくない自分にとって読むのはちょっときついかな、と始は思っていたのですが、読んでいくうちにあっという間に惹きこまれました。

 なんでルールも分からないのに惹きこまれるのだろう、と思ったのですがあとがきを読んで納得。
というのも、冲方さんはこのシーンを書くため五日間ホテルでカンヅメをされたらしいのですがその際、
作中の勝負にのめりこむあまり胃をやられ、中のものをベッドや床にぶちまけ、それを見て笑い声を上げたそうです。

 ……ものすごくツッコミどころが多いというか、常人には理解不能な状況ですが、それだけの情熱が傾けられた上に、初版発行から10年近くたっての改訂で改めて文章に命が吹きこまれた、
言ってみれば2度にわたって作者の魂が吹きこまれた場面なのだから惹きこまれるのは自然なことだったのかな、と思います。

 ルールは分からないながらも心理戦やバロットとディーラーのアシュレイの対決、そしてそれを通してのバロットの成長は
冲方さんの魂が込められているだけあって読み応え十分なので、多少の分からないところは割り切ってぜひ読んでほしいところです!

 そしてボイルドとの最終対決。ボイルドの生い立ちにもなかなか辛いものがありますがボイルドと同じように、禁じられた技術によって生まれたウフコックやバロットと彼の違いは、
力を何のために行使しようとしたかという点に尽きるのかなと思います。

 なんとなくですがバロットの成長を読んでいると、信頼できる人に出会えた喜びと安心が言葉の端々から伝わってくように思います。
一巻冒頭で「死んでしまった方がいい」とつぶやいていた彼女が、生きるために戦い続ける姿は、今まで彼女が得ることのできなかった、信頼だとか愛だとかを取り戻し、人間的な心理に戻ってきた帰結なのかな、という風に思います。

第24回日本SF大賞

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2015年06月10日

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ネタバレ

 この本はマルドゥック・スクランブルシリーズ3部作の最後である。
 勝負や戦いが満載だった。特にブラックジャックのシーンは凄かった。派手な戦闘ではなく、静かで動きが少ない戦闘だったが、その激しさが伝わり、手に汗握った。

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2014年02月21日

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バロットのシェルとの物語の完結編。
カジノでの大勝負から、ボイルドとの決着へ。

カジノやギャンブルに詳しくないけれど、アシュレイのようなカードを操れる(?)ディーラーって存在するのだろうか?
ボイルドとはまた違う意味での、敵としての圧倒的な存在感!!
この3部作すべてで言えることだか、キャラクターがそれぞれしっかりと描かれていて、単なる咬ませ犬ではなく倒すべき存在になっているからこそ、バロットの死から生への帰還、生きていていいんだ、ウフコックと共に生きていたいという物語になっているのだろう。
この後のバロットとウフコックが幸せであることを願うとともに、イースター博士を含めた3人の続きが気になる。

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2013年06月26日

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音色は記憶となり、経験となり、成長へと変貌する。

(以下抜粋)
○愛されたいと思った人は沢山した。
 でも愛したいと思った人はあなただけ。(P.259)

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2012年12月31日

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 三部作完結編。
 殻の中に閉じ込められ、煮殺されかけたヒロイン、ルーン・バレット。彼女が自分の意志で選択し、自分の意思を持って歩みを進めていく「本当の戦い」がここにいたってようやく始まることとなる。

 ウフコック、イースター博士の魅力もさることながら、前作に登場したベル・ウィング、そしてバロットの前に立ちふさがる凄腕ディーラー、アシュレイのキャラクターづけが王道ではあるけれど魅力的。主人公が輝くためには名脇役が必要なのであるということも改めて実感した。

 また、一巻にちりばめられていた伏線や言葉遊びが、ここで見事に回収されているのにも感服。ものすごく楽しんで読めたシリーズでした。

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2019年01月16日

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最初っから最後まで読ませっぱなし、ノンストップ!1巻と2巻の良いとこどりみたいになってて…モチロン最高。登場人物がそれぞれ味わい深すぎる。ベル・ウィングもアシュレイもボイルドも敵なのになんでこんなに良いキャラしてるんだ。マルドゥック・ベロシティが読みたい!!

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2016年01月17日

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冲方丁作品は先に『天地明察』、『光圀伝』を先に読んでいて、どちらも素晴らしかったので、元々SFが本業だということに驚いた。

『マルドゥック・スクランブル』は3冊組で、①はいかにもSFという感じの戦闘モノの色が強い。著者の言葉選びは面白いと思う一方で、ちょっと中2感がすぎるなと感じる時もあって、その辺はちょいと寒いかなと。
ただ②、③は戦闘より、ギャンブルのシーンが長く、ここがとにかく面白い。SFらしく特殊能力を使っているものの、それを凌駕するほど強いディーラーとの戦い。

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“撃ったら引く(ヒット・アンド・ラン)。プレイヤーいつも不利な条件だから。自分よりも強い相手と戦うための戦法。”

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2019年01月01日

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決着が、つきます。
ともかくも、それに尽きる。

死すべきものは死に、残るべきものは残り…。

印象的だったのは、カジノの勝負の大詰め。バロットがウフコックを「外し」て勝負に臨む場面。

あ、この娘は自分の力で生きようとしてる…と。それでこそ、ウフコックといることが出来る…と。心の中で快哉を叫びました。

冒険小説の魅力とは、

「現実ではあり得べからざる困難に対して、様々なものを奪われ、喪失した人物が、自ら能力と心を振り絞って戦うことで乗り越えていく自己回復のプロセスを読む」

という達成感と爽快感、必死さにあると思うのですが、これはそういう意味では一級品。回復の助力をする者は魅力的であって欲しい。その魅力を語るという意味でウフコックはとびきり格好いいです。

でもそれだけじゃなくて。

バロットが自分の力でウフコックを護り、自分の未来を掴もうとした瞬間から、バロットも「何かを与えうるもの」に変貌してゆく。

それがとても素敵でした。

敵側のはずのカジノの面々が、バロットと心を重ね合わせるところも、馴れ合いでなくて大人の対応ですし。

敵役の悲しみにも寄り添いながら、罪は罪として清算させる。そこに妥協がないのもいい。凄惨な場面があるのに、清々しく。悲しいのに納得がいきます。

最後の方でウフコックとバロットが涙する場面は、最高の愛の場面です。

「ずっと愛してもらいたいと思っていた。
でも、愛したいと思ったのはあなただけ。」

と言った趣旨の言葉が、ズンと胸に来ます。

抱いていてくれと告げる、ウフコックのほのかなぬくもりも。

なにもかもを失ったとしても、与えられるだけではない。ただ無意味に与えるだけでもない。

生きるだけなら一人でも出来る。でも…取り戻した何かを、愛する人に一途に差し出せるから…。抱きしめることが出来るから…。

ああ、これ以上言葉は要りませんね。
刺さった何かを大事にしたいです。

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2019年09月18日

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極上のエンターテイメント、という感想がぴったりな感じ。漫画を先に読んでいたので、読んでなければもっとワクワク読んでいただろうなぁ。

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2017年06月11日

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三部作の最後。
カジノ、記憶の隠し場所、ディーラーも魅力的。話自体も面白いし、情景も目に浮かぶ描写もいいんだけど……
文章がちょっとウザイ。
狙ってる?と思うほどウザイ。
耐えられるギリギリレベルでした。
話の内容とあいまって熱狂的なファンをつくりそう。
トータルでは設定や人物なども雰囲気があり面白いです。

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2017年02月02日

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あとがきやら解説やら書評やらで知ったけど、カジノシーンは名場面だったんですね。読解力の無さ、作品への共感力の乏しさを嘆くところだけど、でも、自分的には冗長と思ったんだから仕方ない。そこをもっと濃縮して、二分冊くらいの分量に収まっていたら、おそらくもっと好きな作品になっていたと思います。でも、最後の無重力男とのバトルシーン、ベタながらも闘いを通して分かり合えたりとか、人間離れした中に垣間見える、でもかなりの人間臭さを発散するクライマックスは好きでした。前日談が描かれているらしい、シリーズ続編も気にはなるけど、読むとしても優先順位は高くないかな…

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2016年10月18日

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ネタバレ

バロットのような境遇の少女の心理描写がよく描けている…と思える。そういう経験ないのであくまで想像だが。
ブラックジャックでは、クライマックスの《イーブンマネー》で「は?何それ?」と置いてけぼりを食ったのが残念だった。
総じて、面白かった!

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2014年03月31日

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エンターテイメントとしては間違いなく面白いです。
でも8年を経て読み直すと少し物足りないところもあります。
例えば格差の街『マルドゥック・シティ』の細部の描写、生活の臭い、猥雑さ。
過酷な環境を生き抜いてきたというバロットのキャラ設定を越えた生々しい感情。
哲学的な問答は実感が伴わないので少々薄っぺらく感じます。
だけどそういったディテールの描き込みは読み辛さも生むので、読者の幅を狭めてしまうかもしれません。
スタイリッシュな文体を楽しむSFとして読むのがやはり正しいのかなと思います。

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2013年09月30日

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恐るべきスピードで心身の成長をし続けるバロットと、道具として自分の有用性を見出すウフコック。相棒(バディ)として築かれていく2人の関係がいい。
カジノしたくなった。

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2013年09月27日

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最後まで読み終えて確定。好きなキャラクターは、ドクター>ボイルド>ウフコック>バロットで。基本、割り切ったような顔をしながら、 胸の内にはやりきれなさや哀しみを押し込んでいる、 そんなキャラが好きなので。

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2013年05月01日

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完結編。面白かった。やはりカジノのシーンが最高にカッコいい。吐きながら書いたというのも分かるくらい、気迫を感じる。主人公の成長の過程が丁寧だった。殺伐としているのに優しい話。続編が読みたくなった。

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2013年03月20日

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ネタバレ

文体はいかにもハヤカワSFなんだけど、内容はとっつきやすいラノベのようなお話。カジノシーンは、重要なのはわかるけど3分の2ぐらいにしてくれたらよかったかな…

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2013年03月18日

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カジノのシーンの心理描写が非常に楽しめた。
ところどころニューロマンサーのような中二くさい表現がまた良し。

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2013年03月09日

Posted by ブクログ

ネタバレ

2と3の感想。
合本版を読んでいたら、いつのまにか3になっていたらしい…

「楽園」とかが出てきて、これはどこへ話が転がっていくんだろうとわくわくしたけど、カジノのターンがとても長くて、結局バロット個人の事件で終わってしまった。うーん次に期待…

カジノのゲームは、ルールがよく分かってないので雰囲気で。ハリウッド映画っぽいかんじの…を想像…。ルールを理解して読むともっと楽しいのかもしれないが。

あとは、ドクターの過去編があったらぜひ読みたい。

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2020年03月02日

Posted by ブクログ

もうちょっと、カジノとか、短く出来なかったのかなぁっと。
読んでいて飽きてきてしまった。ストーリーは面白かったのだけど……。

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2019年05月22日

Posted by ブクログ

SFでした。しかも最高の。主人公の女の子が殺されかける所から話が始まる。何故私なの?という問いを主柱にバレットが成長していく様子が描かれる。仲間のウフコックを感情に任せて使ってしまう葛藤が1巻には描かれていて、胸が苦しくなる。2巻の終盤からこの小説の醍醐味である、カジノ編スタート。これが本当に熱い。敵が魅力的過ぎて。ルーレット、BJのかっこよさが異常。テーブルゲームでここまで魅せてくるとは思わなかった。素晴らしいと諸手を上げて賛辞を送りたい。その分、その後の戦闘が少し霞んでしまったのが残念。ただ頭の中で再生される映像の迫力は類を見ないほど。ボイルドの重力操作が強くてカッコよくて痺れる。

表現がふわっとしている所が多々みられた。そこを感覚で掴めないと入り込めないかもしれない。焦げ付き、という単語を前後の流れや感覚で自分の中に落とせるかどうかで評価が変わるかも。世界観に感覚ごと飛び込まなければ、よく分からないで終わりそう。人を選ぶ小説な気はする。

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2016年08月07日

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【崩れ落ちる、命】

SF畑で育ってというか星新一の世界の中で生きてきて、想像力だけは豊かになった。豊かになったからこそSFがさらに大好きになった。SFにはロマンだけじゃなくて常に未来への風刺が込められている。近代化は何かを犠牲にして成り立つという警鐘をならしながら与えられる仮想現実は、ひどく苦くそして甘い。

頭の中に膨らんだifがつまらない現実をフルカラーに縁取る。内容はともかく世界が面白かった。

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2015年10月01日

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シェルの犯罪を裏付けるデータがカジノに保管された4つの100万ドルチップ内にあることを知ったバロット。チップを合法的に手に入れる為、カジノでの勝負に挑む。物語の完結編。

なんだろう、このモヤモヤ感。最終的にバロットが獲得した自身の価値がウフコックの存在に依存しているからか。人は結局、誰かと共に生きることで希望を見出すしかないという語られ尽くした結末に至るのかと。孤独や苦痛は自分ひとりで抱えるほかないのに、希望や愛情は他人の存在に依存するしかないのだろうか。それが種の存続の為の人の本能か。ならば愛されない存在に価値などないのか。彼女自身で完結する彼女の価値を見出してくれることを期待していたので少し残念。

ブラックジャックの勝負シーンの緊迫感は良かった。逃げずに挑む意志を持ち続けようとするバロットの成長が上手く描かれていたし、あれだけの長い勝負を飽かせず読ませる筆力もすごい。

後半のシェルの記憶を紐解く場面はただ悲しかった。シェルは自身と同じ絶望を抱える少女を見つけては殺し綺麗なものに変えることで、過去から自分を救っていた。記憶を封印することで歪みが生じていくシェルと、立ち向かい殻から出たバロットの対比が上手い。

ラストのボイルドとの戦いは、彼自身が定義づけしたボイルドの価値の悲しさを描き、ウフコックへの執着を描くことで、一層寂しさを際立たせていた。彼は彼の存在価値を戦闘に見出していただけなのに、それは否定されるべきことだったんだろうか。彼も救ってあげて欲しかったけれど、彼は共に生きる相手がいないから救えないのかな。

全体を通じてウフコックの存在が偉大すぎる。無償の愛を与えてくれる模範的な親のようであり、寄り添って生きてくれる恋人のようであり。存在の価値を問う物語なのに、彼ありきで価値を見出す結末はどうなんだろう。もちろん彼を濫用することへの危うさや、殻を出て意志を持ち選択することの尊さも描かれてはいたのだけれど。

多くの人はウフコックのような稀有な存在と共にいられないんだろうな。それを手放したのは大きな間違いだったのかな。


*以下引用*

*ルーン・バロットーそれが、あの子の名前さ。誰がつけたんだか知らないけどね。殻の中で死んだ鳥の名前をつけるなんてさ。哀しい名前、切実な名前だよ (p66)

*それでもあのとき自分の心は、殻の中に閉じこもること以外に生きるすべを見つけられなかった。 (p125)

*我々が生きていること自体が偶然なんだ。そんなこと、ちっとも不思議じゃないじゃないか?偶然とは、神が人間に与えた中で、最も本質的なものだ。そして我々は、その偶然の中から、自分の根拠を見つける変な生き物だ。必然というやつを (p135)

*「父親の元には戻りたくないの」女の子が言った。ひどく切迫した声で。深い共感の念がどこからともなく湧き上がった。「お願い、父親の所には戻さないで」いいとも。俺が守ってやる。お前を安全な場所に連れていこう。 (p190)

*女の子の声がする。深い共感の念が湧いた。「あたしを父さんに会わせないで。何でもするから父さんにだけは会わせないで」大丈夫だ。俺が守ってやる。俺は知っている。そのストレスを。 (p194)

*ブルーダイヤ。天使の涙。身につけた人の代わりに泣いてくれる宝石。あなたが指につけてるそれを見せてくれたときに思ったの。これさえあれば涙はいらない。最悪の日もきっと笑って過ごせる。 (p196)

*愛されたいと思った人は沢山いた。でも愛したいと思った人はあなただけ。 (p259)

*敵対する者だけが自分たちの価値を認めるのだし、今が互いに親しく会話をすべき唯一の瞬間なのだと告げるように。相手の命を奪う、この決定的な瞬間だけが。 (p273)

*そばにいることーそれができる相手と共にいることが、この都市に残された最後の希望だった。 (p298)

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2015年01月04日

Posted by ブクログ

ネタバレ

ひとつのシーンが、長すぎて途中で飽きてしまう。
特にカジノのシーンは、長かった。
作品に対する思い入れを排除して、絞り出した文章を捨て去る勇気が欲しかった。

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2014年12月30日

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