【感想・ネタバレ】虐殺器官のレビュー

2009年に満34歳でこの世を去った伊藤計劃先生。普段SFを読まないため、縁遠かったのですが、シンプルかつ恐ろしい表紙とタイトルに惹かれ…。
何をするにも本人認証が必要となり、いつ、どこで、何をしたかが全て記録・管理されるようになった近未来。それにより全世界が平和になるのでは決してなく、「ジェノサイドが頻発する後進諸国」と、「テロを一掃した先進諸国」に二分されている。
いずれ、そんな世界になっても不思議でないと思ってしまう自分がいます。 ひょっとすると、いま私たちがお茶を飲みながらぼんやりと享受している「平和」も、「誰かに仕向けられた何か」によって作られた錯覚なのかもしれません。それが良いのか悪いのか、読み終わってからも考えてしまいます。
『ハーモニー』『屍者の帝国』に続き、劇場アニメ化も決定しました。(書店員・ラーダニーバ)

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Posted by ブクログ

戦争を引き起こすことができる構文。

9.11のテロは様々な作品で俎上にあがる問題である。その後の問題としてある種の風刺的な作品かと感じた。

戦争を引き起こすのは決まって人ではないか。その国の人間が望んで起こす場合にも他国との関係は切っても切り離せない。
そんな世界の情勢を考えさせられる作品だった

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2024年03月28日

Posted by ブクログ

タイトルや表紙に何か特別なものを感じていたわけではなく、知人に教えてもらわなければおそらく手にとることすらなかったと思う。
ところどころでグロテスクな表現や受け入れ難い出来事が起こるがそれはこの作品において必要な残虐さではないかと感じられた。
良心とはなにか、残虐とはなにかといった価値観についてSFという思考実験を通して考えさせてくれるため、自分たちが当たり前だと思うものは結局周りの環境や見てきたものに左右される上で本当の正義とは何かわからなくなるのもこの作品の魅力だと思う。

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2024年02月28日

Posted by ブクログ

物騒なタイトルと繊細な心理描写。荒っぽい戦闘シーンと知性溢れるやり取り。
ストーリーはもちろんだが、披露される知識や概念、考え方が非常に面白い。でも決して衒学的ではなく、その匙加減が素晴らしいと思います。

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2023年10月09日

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途中までアニメ化したらおもろいだろな~~~ってな感じで読んでたけど、最後らへん凄すぎてアニメ化不可能の次元だった。
この人の小説もう読めないってまじで悲しい。

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2023年07月26日

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本を読んでいるのに、同時に頭の中で勝手に映像が浮かび、本を読みながら映画を観ているような、不思議な感覚に陥った。
ディストピア的な暗い未来は、妙に生々しく、ジョン・ポールの語る真意に対して、多少なりとも納得感を感じた自分に驚いた。

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2022年12月08日

Posted by ブクログ

タイトルとあらすじから、中二病的なSF小説だと決めつけて、ずっと読まずじまいだったけれど。
圧倒的だった、何もかもが。

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2022年09月21日

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ネタバレ

以前から何度も耳にしていた「虐殺器官」をようやく読みました。
こんなSFをかける日本人作家がいるんだ!と読んでいたんだけど、もうおられないんですね。
何度も「これって外国小説の翻訳じゃないよね?」と思いながら読みましたが、すごくスケールがデカくて広くてクールな一冊

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2022年09月03日

ネタバレ 購入済み

現実とリンクする恐ろしいSF

導入部は、一見すると泥臭い戦闘モノ。けれど読み進めるにつれて、現代社会への疑問が散りばめられてくる。なんでも情報化し監視する社会、遠い国で日常的に起こる戦争、それに知らんぷりを決め込む先進国。たくさんの死体の上に成り立つ偽物のユートピア。この作品はただのSFではなく、現代社会の闇を書いたモノだ。間違いなく、何度も読みたい作品の一つ。

#アツい

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2022年05月16日

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ネタバレ

殺し合いによって肉体が負う損傷のディテールが語られ、はじめはグロテスクさに戸惑ったが、そのうち恐れを感じなくなってくる自分がいた。内面に向けた哲学的な問いが肉体の死を飛び越えてこちらへ向かってくる。その静けさが印象的だった。
死者の国での母親との会話が好きだったので、仲間が死ぬことよりも、母親の伝記のほうが堪えた。クラヴィスと気持ちを同調させていたので、このとてつもない空虚を味わうことになった。
便利さや安心のために他者を犠牲にして知らぬ間に罪を背負っている、私もその1人だと思う。憎しみではなく愛のために争う、それが悲しくて虚しい。

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2021年12月12日

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今ここにある未来。
久しぶりに読むのが止まらない本だった。

2023/2/9オーディブル読
これまた素晴らしい。次はアニメにいくべきか。もう一度文字に戻るべきか。

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2023年02月10日

購入済み

善悪の大転換

善悪の大転換が起こる作品です。
主人公に共感出来た人は、読了後心地よい納得感を得られるのではないかと思います。
テロ、虐殺、暗殺、事故死、尊厳死、等々「まだ生きられる命を絶つこと」について、さまざまな視点から主人公が思索していきます。
ですのでものすごく暗い内容ですが、上に挙げた様な命に関わる問題について普段からもやもやしたものを感じている人には、この著者が提案する答えを知るという意味で読む価値があると思います。

あと、私がこの本を買った理由になった本の紹介がありまして、それは
『「人間には虐殺をつかさどる器官がある。呼吸をつかさどる肺や、消化をつかさどる胃という器官があるように。」 というのが著者の主張のようだ』という感じでした。(思い出し書きです。)
この主張に同意出来ると思い、ストーリーとしてどのようにそれを主張するのか期待して買った結果、満足出来ました。
同様に上記の主張に同意出来る方は読む価値有りだと思います。

この著者の他の本も読んでみようと思います。

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2014年09月05日

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やっばい、めちゃくちゃ面白い!!
今年1位になるかも。

今まで知らなかったのがもったいない、と本気で思う。
暗殺を仕事にするアメリカの軍人が主人公の近未来サスペンスなのですが
もう完全に、すごく完成度の高い海外小説。
サスペンスとか、軍モノとかSFとか、そういう枠に収まりきれない。
すごくドライに、「殺戮」の世界が描かれているのに、
愛、死、命、記憶というとても柔らかくてパーソナルなものの
在り方を考えさせられる、奥深さもあり。
サスペンスとしても秀逸で、最後まで展開が読めない。

もっと早く読んでおくべきだった。
後書きもすごい。
著者が30代前半の若さで亡くなっていることと共に、
デビューの経緯や作品作りの背景まで記録。
「伊藤計劃」これからほかの作品も網羅します。

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2022年02月06日

Posted by ブクログ

自国のために他国の命は犠牲にして良いのか。今の貴方の平和は誰かの不幸の上に成り立っている。

恵まれない途上国が先進国に対して起こすテロを防ぐために途上国は内戦状態にさせておく。そうすれば意識が先進国に向くことはない。
恐ろしいがリアリティのある論理。テロに対する最も恐ろしいSF的答えだと思う。

現代的価値観と1984年の融合。

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2024年05月16日

Posted by ブクログ

ネタバレ

SFの皮をかぶった哲学小説。
自由とは、選択とは。テロ対策のため情報統制された世界で、ひたすら人間としてどうあるべきかを突き詰めていく作品だった。
虐殺を促す文法や、器官としての言語など、興味深い考察も多く、なるほどなと思わせる説得力もあった。終始難しい内容だったが、読む価値はあったと思う。

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2024年04月01日

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随所に出てくる描写が繊細でもあり、美しさもあった。
しかし小説を読み始めた私にはまだ難しかった。
匂いを感じ取れなかった。
でも、また読みたくなる作品でした。

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2023年12月25日

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近未来のお話だけど、なかばもう現実になってるのでは、と思わせてくれる。、この未来が嬉しいものかは分からない。テクノロジーが進化しても人の心は置いていかれてるのかも。

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2023年07月20日

Posted by ブクログ

圧倒されるスケールとその深淵。
難解な文章の中に、考えさせられるものが存在してる様に思う。

この今の時期に読めたことを素晴らしいと感じる。

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2023年03月06日

Posted by ブクログ

ネタバレ

・面白かった
・これは加筆版だが、賞への応募当時はたった10日間でこれを書き上げたらしい。熟れた職業作家でもない、デビューさえしていない人間が。すごいことだ
・“推し”が、好きな作品としてよく名前を挙げるので、いつか読もうとおもっていた(…のが、2016年頃)
・作者が病気で亡くなっていること、遺作を後に円城塔氏が合作として書き上げていること、本作を含め何本か映画化されていること、これくらいの前情報
・自分のSF経験は浅い。ハインライン『夏への扉』が面白かった。それくらい。日本のSF…星新一…銀英伝…?それくらい。
→インターネット曰く、米澤穂信『ボトルネック』、森見登美彦『ペンギン・ハイウェイ』、重松清『流星ワゴン』辺りはSFに分類していいらしい。いずれにせよ、触れてきた作品といえば、生活環境そのものは現代日本がモデルだったり、すこしふしぎ の範囲。
・写実が凄まじい。SFってみんなこうなんですか?円城塔氏と連名のインタビューでも語っていたが、「設定こそSF」「固有名詞を考えるのが楽しい」を感じる。よくわかる。
自分の読書歴の範囲では、ライトノベル界隈でもよく「僕の考えたつよつよデバイス」が出てきた。みんなこういうところから学んでいたのか。
どれも、その技術がない我々に読ませる前提で、細かく描写してくれてありがたい。同時に、「なんかよく分からない機械をしれっと使いこなす」シーンも好きなので、もっと しれりと登場してくれても良かった。
眼球にスクリーンを貼るために、まぶたをクリームで保護するシーンが好きだ。
さや〈ポッド〉に愛着が湧く。
視線入力が廃れる理由に共感する。
SFって楽しいんだな、とおもう。
・小松左京氏が、応募された本作を「(虐殺の言語のカラクリが語られないこと、ジョン・ポールの心理描写などの点で)説得力に欠ける」と評したらしい。
自分は小松氏の評を「敵対勢力とて理路整然たれ」「作者は、一分のスキなく世界を語る創造主たれ(それを作品に写せ)」ということだと理解した。しかし、SF小説斯く在るべし、という流派の違いであって、自分はそれらの点はこのままでとても良いと感じた。
例えば、カラクリは、仔細が書かれた時点で どんな内容であっても、読者に“虐殺の匂い”が現れないことをもって説得力が下がるばかり。むしろ語られずとも、読者諸君に、言語で駆り立てられた経験さえあれば十分に思えた。
ジョン・ポールの思想云々だって、彼の芯が(外見には)歪んでいてこそ、こんな形で表出するのであって、我々に理解できる理屈を持っていては困る。理解出来なさがリアリティでは?
・とはいえ、上記の評を受けて、第四章インド編が加筆されたなら、必要な指摘だったんだなぁとも思う
小松氏の作も読まねば。
・日常から作中世界への没入に慣れるまで、エレクトロニックミュージックを流しながら読んだ。サブスクは、普段聞かないジャンルでも、必要なときに呼び出せて便利だなあ。

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2022年10月19日

Posted by ブクログ

ネタバレ

「作家刑事毒島」に作者の名前が出て来たので。

2冊目にして、心地良いことに気がつく。
文章が読みやすいのか。
ちりばめられた「昔」の話が知っている話が多いからか、
理解できているという訳ではないのだろうが、
するすると入ってくる。

9.11後、開発途上国で紛争や虐殺が多発し、
サラエボで核爆弾が爆発した未来。
アメリカの暗殺部隊の一人は、
何度殺そうとしても逃げられてしまう男を捕えるため、
昔の恋人に接触する。
紛争諸国に現われる男の正体は何なのか。

「作家刑事毒島」で語られたようなエポックメイキング的な衝撃や、
宮部みゆきをして「私には、3回生まれ変わってもこんなすごいものは書けない」と言わしめた「すごさ」は、
何だかピンとこない。
名作とはそういうものなのか。

よくわかっていないが、良い作品だということは感じた。

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2022年07月23日

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正直に言えば、著者が亡くなっていなければ私はこの小説を一生読まなかったかもしれません。
9.11後の世界を見つめた近未来の世界。
自分たちの世界を守るために対岸を火事にする無情と表裏一体の愛情。
読後に襲った無力感は、この小説が3.11後の世界でも普遍的な指摘をしていたからでした。世界の空虚を綿密に物語っています。

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2021年11月30日

Posted by ブクログ

現代の先進国間の戦争はサイバー空間で行われるという。それはサイバー攻撃だけでなく、SNSにフェイクニュースを拡散して国民を分断することなども含まれる(詳しくはこの本棚の #0404.FakeNews/EchoChember/陰謀論/Propaganda )。

それらは社会学、心理学のアプローチをテクノロジーでレバレッジさせる領域で各国のAIが仕掛ける新たな戦争のかたちとなっている。そしてその影響は民主主義国家で顕著に現れだしていると言って良い。つまりジョン・ポールは人でなく、アルゴリズムであり、すでに不気味にその触手を指数関数的に拡大させている。

「核の抑止力」についても僕は懐疑的だ。北朝鮮のような小さな国が持つと、政権がヤブレカブレになった時、使用も拡散も止められなくなる可能性がある。9.11のような飛行機ハイジャックもその突入先を原子力発電所にすれば核兵器に変貌する。本書で「サラエボでの核爆弾が破裂した日に世界は変わった。核兵器が使える武器に変わった」というが、その引き金は常に指かけられている。

ーーここからは伊藤計劃さんの文体についての感想。

文体から感情の熱量を感じ取れなかった。戦場の、特に殺人描写がリアルだがまるで麻酔を施されているように痛みがない。ミリタリー系ゲームを眺めているようだ。僕は痛みの共感を伴わせないこの手の暴力コンテンツが嫌いだ。作者に対して嫌悪感すら抱く。

しかし伊藤計劃さんが執筆当時、がん手術を何度も受けて片足の機能を失い、肺の一部を切除し、なおもがん転移に侵され余命に向き合っていたという事実を読後に知って、この「感情のなさ」を共感することができた。

僕も大腸がんで一部切除して現在も抗癌剤治療を受けている。長い入院生活と連続体験する麻酔と手術は感情を激しく削る。感情的になるといろいろシンドイので、自分の身体に起きていることの詳細な理解にエネルギーを費やした方が心の平和を保ちやすいと知るからだ。伊藤計劃さんがわずか10日で本作品を書いたらしいが、その間、この文体のようにリアルな描写を客観的になぞることで心のバランスを保とうとしたのはとても理解できる。

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2021年09月07日

Posted by ブクログ

9.11以来の今生きてる世界とは別のSF世界。世界観、人物像共に繊細に作り込まれていた。日本人であるにもかかわらず、そして闘病中であり入院中であるにもかかわらずこんな小説を書いた伊藤計劃ほんとに好き。海外小説を読んでいる気分だった。

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2021年08月31日

Posted by ブクログ

中学生の時に大学生の塾講師におすすめされて読んだ以来、何年かぶりに読んだ。
この歳でも最近読んだ本の中では1番難しいなと感じた。
その中でも選ぶことができるのが自由というのはすごく腑に落ちました。
また、日本の某豆腐屋の車が戦地で使われてるシーン好き。

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2021年05月14日

Posted by ブクログ

単純に面白かった
小説で本著の様に戦闘シーンをしっかり書いているものを初めて読んだが臨場感があり、戦闘の状況がどうなっているのかなども結構伝わってきた
映像化もされているとのことなのでチェックしたい

内容としてジョンポールの目的そして結末とかなり衝撃的だった
そういう考え方もあるのかと妙に納得してしまった

また度々登場する人工筋肉の存在が生物とは何か、生きている死んでいるとは何かについて改めて考えるきっかけになった

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2021年05月04日

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夭逝した伊藤計劃の本、ハーモニーのほうがビビットに残ってる
そうそう、戦争の最新化だ。心理技官。
虐殺の正当化、正義の暴走、、かな

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2024年01月14日

Posted by ブクログ

ネタバレ

ミッションインポッシブルを見ているかのようだった。

最後の戦闘の場面、クラヴィスとウィリアムズの撃ち合いの際、ウィリアムズの
「油っぽいビッグマックを食いきれなくて、ゴミ箱に捨てる世界を守る」という言葉が妙に刺さった。
多くの紛争が貧困地域で起こってる中、ビックマックを捨てるという過剰な豊かさを皮肉っている感じが好き。

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2023年12月05日

Posted by ブクログ

勧められなければ手に取るジャンルではなかった。一部グロテスクな表現はあるものの、それほどではなく読み終えることができた。立場によって変わる正義。正義とは何かを改めて考えさせる作品だった。

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2023年11月18日

Posted by ブクログ

ネタバレ

重厚な世界観を背景に繰り広げられるSFミステリ。世界観や設定に慣れてしまえば、ストーリー自体はシンプルなので意外と読める。

良かった点
・ジョンポールの動機が納得できるものだった
・死にゆく者の描写が秀逸

悪かった点
・虐殺の文法の詳細がない
・主人公が虐殺の文法を使う理由が不明

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2023年07月16日

Posted by ブクログ

オチが秀逸だがこの内容ならもう少し短くまとめてくれてもいいと思った
死への解像度が高くて、物語自体ではなく作者の追体験という意味では中々ない体験をさせてもらえた

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2023年03月10日

Posted by ブクログ

内面描写も人物も良く描けている。
ただ、テロや紛争、虐殺を起こすのはどんな背景があろうと結局のところ個人のエゴに過ぎないと自分は考えている。
この物語は、壮大なスケールで描かれる主人公達の「言い訳」なのではないだろうか。

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2022年09月07日

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この世界での専門用語多くて読みづらい。そういう点はエヴァに似てると思った。難しい設定と考察が好きな人は好みそう。

世界観は面白かった

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2021年08月21日

Posted by ブクログ

「おすすめ文庫王国」の第2位で、売れてない本を応援するという趣旨だったけど、この本も第3位の「海炭市叙景」も売れてるみたいでご同慶の至り。
しかしハヤカワの文庫を買うなんてとても久しぶり。日本の作家っていうのは初めてかも。普通の文庫よりちょっと大きくて、いつものブックカバーに入りきれないんだねぇ。

さて、この本、内戦や大規模虐殺が激化する近未来の世界で、混乱の陰に常に存在を囁かれる謎の人物を追う米軍暗殺部隊の大尉の語りを通し、作家の世界観を色濃く滲ませる。
全編を通じて描かれる主人公の言葉に対する繊細さは、多分作者の繊細さとシンクロし、だからこその“虐殺器官”のアイデアに驚く。ただ、二人が対峙して、段々と話が哲学的思索的内省的になるに連れ、イマイチ分かり難く乗り切れないのだよねぇ。
一方で、緊迫した作戦遂行や荒涼とした殺戮の場面の乾き方や痛覚をマスキングしたもの同士のグロテスクなだらだらした殺し合いなど、これまでの感覚を軽々と飛び越えた発想と文章力もまた確か。
一応、次なる「ハーモニー」へも進んでみる。

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2023年01月23日

購入済み

ラノベ?ラノベでした。

絶賛されていたようなので読んでみましたが、非常に回りくどい自分語りで物語は進行、まるでラノベのようじゃないかと思ったら、扱っている題材がゲームノベライズなど、どうやらラノベ作家さんのようでした。
ひさびさ騙された1冊。

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2022年09月11日

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