感情タグBEST3
Posted by ブクログ
作者で間違いない、と思って買いました。最初は、人工呼吸器についての本人の推定意思の困難さなど、私の仕事に関わることが出てきたため意識がそこにむかいました。しかし、やはり辻堂先生の作品だけあって何重にも何重にも重ねられた伏線などを読み進めることになりました。もう、生活や仕事の中で、側面ばかり考えさせられてしまいます。
Posted by ブクログ
「おはなしボランティア」を通して出会った事故で両親を亡くした高校生の茜と事故で一生寝たきりの咲子をめぐる物語。
昼と夜の部でカラーが違っていておもしろかった!
視点が違うと見える景色が全く違うものになる。すっかり騙されました。
こういう視点が変わる展開は大好物です。
やっぱり辻堂さんは期待を裏切らない安定の面白さがあるなぁ。
謎が解けていく様子は、絡まっていた糸がほどけていくような感覚で気持ちいいし、新たな真実に「えっ!」ってなる。
この騙される快感がいい。
交通事故にあって人生が一変した二人の女性。
寝たきりの人生となった咲子の本音が刺さる。
読み終えて、何だかちょっとやりきれないような切ない気持ちになりました。
おもしろかったです!
Posted by ブクログ
昼の部分では綺麗で微笑ましい世界が書かれていたけど、夜の部分では一転して咲子の黒い部分、真実が書かれていたので読み応えがあった。
茜は病気としての二重人格ではあったけど、咲子は誰しも持ってる二面性みたいなものが丁寧に書かれていたので、こういう小説は新しいと感じたし、変に綺麗事ばかり書かれたものよりよっぽど真実味があるなと感じた。
Posted by ブクログ
交通事故に遭い重い障害を負った咲子とボランティアに付き添って訪れた高校生の茜。
咲子と茜の静かでほのぼのとした交流か…と思われたが、夜に茜の意識がない間に動いているのは咲子なのか⁇と。
第一部の昼のはなしに奇妙な入れ替わり現象が…と思っていると第二部の夜のはなしではすべてが覆されるような、まったく想像しなかった真実に辿り着く。
いろいろな場面で人の深い部分まで抉ろうとする怖さを感じてしまった。
Posted by ブクログ
初読の作家さん。
ファンタジーかもしくはオカルト?と思っていたけれどミステリなのかな?
幼い頃に交通事故にあいトラウマをかかえる少女。…と、事故のトラウマから逃れるために解離性同一性障害により生み出されたもう一人の少女。そしてやはり交通事故で首から下が麻痺して寝たきりになってしまった30歳の女性の不思議な友情?
面白く読めました。
Posted by ブクログ
茜と咲子さんが入れ代わっていた、と思っていたけど、まんまと騙されていました。
ただ、同じ事故じゃないかな、という点だけは予想通り。
悪いのは誰、とは言えない。
何だかせつない真実で、少し心が痛い。
でも綺麗な描写を書く作家さんでとても好きです。
年齢も近い作家さんなので、気になってる作家さんでもあります。
Posted by ブクログ
交通事故で重い障害を負った咲子と、おはなしボランティアで訪れた受験生の茜が出会ってから、茜が夢遊病に?
不思議な展開ではじまるけれど、昼の章と夜の章で全く見解が変わってくるのがおもしろかった。
まさかの終盤に驚きの連続があって、びっくり。
Posted by ブクログ
子供の頃に事故に遭い両親を亡くした茜は、その時の恐怖に端を発した睡眠障害を抱えていた。交通事故で頸椎損傷し、寝たきりになった咲子の話し相手を務めるボランティアを引き受けることになった茜は、思いがけず咲子との交流に癒されることになる。しかしそれをきっかけに茜に夢遊病と思われる症状が発現し、さらに不思議な事態が起こりはじめる。優しく切なく痛々しく、そして驚きに満ちたミステリです。
両親を亡くしたトラウマを抱えた茜と、身体の自由を失った咲子。同じく交通事故の被害者である彼女たちが交流を深めていくのにはほっこりします。人づきあいが苦手で不安定な茜を包み込むような咲子の態度が温かく思えたのですが。人間なんて多かれ少なかれ汚い部分があって、それが当たり前なんだもの。障害者だからといって善人と決めつけてしまうのもある意味差別なのですね。その点で茜が咲子を「心の綺麗な人」と信じ込みすぎているので、裏切られるんじゃないの……と心配になってしまいました。むしろ茜が擦れてなさすぎ。
やがて明らかになる咲子の真実。だけどそれって、特別彼女が悪人だとか酷い人間だとかいうことではまったくありません。むしろどこにでもいる普通の人間なのですよ。なのにそこに理由付けを求めようとする咲子の姿があまりにつらくて。ちなみに咲子の死については冒頭で描かれているので、ネタばらしにならないものとして。彼女の最期が心穏やかなものであったことを祈るばかりです。
Posted by ブクログ
面白くて一気読み。
昼と夜の2部構成になっていたからすっかり騙された。
美談を人は欲しがるが、そうではない真実も沢山あるだろうし、ほとんどがそうなのかもしれない。
構成もストーリーも面白く、1ミリのモヤっとも残さない作品でした。
Posted by ブクログ
昼間の私と夜の私二人の話しの二部構成になっていた。夜間家を出て街をふらふら歩く時には別人格の自分に豹変する多重人格のミステリーはこんなストーリーの作品に出会ったのは初めてだ。だがなんとなく納得の話でチョット面白かった。
Posted by ブクログ
プロローグ
第一部 昼のはなし
第二部 夜のはなし
エピローグ
から成っています。
第一部の最後がネタバレしていますので、これから読まれる方はお気をつけください。
「第一部 昼のはなし」
高校三年生、大学受験を控えた鈴木茜は、厚浦咲子という30歳の交通事故で身体が不自由でのどに呼吸器をつけて寝たきりの女性の「おはなしボランティア」を始めます。
茜もまた両親を交通事故で失い祖母と暮らしていました。
茜は夜、よく眠れないという体調不良がありましたが、「おはなしボランティア」を始めてから祖母に「夜、歩いている」と言われ「夢遊病ではないか」と疑われます。
茜はもしかしたら夜歩いているのは咲子ではないかと思い当たります。
茜は夜歩いている自分に手紙を書き「夜歩いているのは咲子さんではないか」と尋ねます。
そして返ってきた返事は果たして咲子のようでした。
茜は咲子に愛着を感じていたのでそれを嬉しく感じ、「自分の身体を使ってほしい」といいます。
咲子は夜の時間に事故に遭う直前の高校時代の恋人と親友のことを調べようとしますがうまくいかず、茜がSNSなどを使って調べてしまいます。
そして茜は受験勉強のために忙しく、咲子に身体は貸すけれど、「おはなしボランティア」をやめました。
受験が終わった茜は、咲子が呼吸器がはずれる事故で、去年の夏に亡くなっていたことを知りショックを受けます。
そして「第二部 夜のはなし」では、咲子の側から咲子の死の謎や、なぜ咲子が高校時代のことを調べようとしていたのかがわかります。
そして、咲子と茜の本当の関係もわかります。
解離性同一障害という病気を使ったとてもよくできたミステリーだと思いました。
「おかしくなりそうだよ。何もできないって。何を頑張っても、何にもならないって」
咲子のこの言葉は響きました。
Posted by ブクログ
読み聞かせボランティアをするうちに、対象の女性に感情移入していく主人公の茜、やがて自分の体が夜、誰かに支配されているような感じを覚えるようになる。
「王様のブランチ」では、ドラマ仕立てで紹介されていて、続きがきになっていたが、、、。
前半と後半で話が180度変わる構成は、面白いが、動機にどんでん返しが多すぎてついていけなくなってしまった。意外に手強い物語だった。
Posted by ブクログ
本当にラストが綺麗だった。
人の本質と帯に書いてある通り、
夜になると暴かれる人の闇に、奥深いところで共感できた。
人の善人イメージにがんじがらめになってしまって、自分の闇の部分を肯定できないと言う点は、私の大好きな小説「空白を満たしなさい」(平野啓一郎著)にすごく似ている部分を感じた。
ミステリーのジャンルの本棚に置いてあったので、ミステリーだと思っていたけれども
どちらかと言うと純文学のような文章の美しさと人の奥深くの感情の描写が好きだなと思う。
ただきちんとミステリー要素もあって、後半パートで一気に謎を解いていくところは、痛快さもあって面白かった。
Posted by ブクログ
幼少期に自動車事故で両親を失い、現在は祖父母と暮らしている茜。ある日、祖母の友人に誘われるまま「おはなしボランティア」に参加する。訪れたのは交通事故で全身麻痺となり在宅療養中の咲子で、その日から茜は身体の不調に苦しめられる。
第一部を読み終えて、既読感満載でありがちな展開にトホホ感に包まれた。しかし第二部では、予想外の方向に話が進み呆気にとられた。第一部に仕掛けられた伏線やミスリードが次々と判明し、隠された真実が明らかになる。しかもそれが二重三重に張り巡らされているのだ。単純で素直なぼくはまんまと騙されてしまった。お見事と言うしかない作品だった。
Posted by ブクログ
絵本を読んでいる様で、温かい気持ちになりました。(絵本にしても良いのでは⁇)
夜を歩いている描写がシンプルに書かれていますが、明確に想像できます。
文章の書き方に真新しさを感じました。
読みにくさ&わかりにくさは一切無いです。
内容はほっこりします。
機会があれば他の作品も読んで見たいと思います。
Posted by ブクログ
想像していたストーリーと違って良い意味で予想を裏切られました
障害者の全てが心優しい人間じゃないんだよなぁて改めて感じた一冊です
ボランティアをしている心の優しい茜の事を裏で悪口言ってる障害者の咲子にはムカついてしまった
でもみんな人間なんだよなぁ
Posted by ブクログ
交通事故で両親を亡くし、祖父母と暮らす茜は引っ込み思案で高校生活も上手く行かず、生きる気力を失いかけていた。そんなある日、近所の人に誘われて行った『おはなしボランティア』で咲子と出会う。彼女もかつて交通事故にあい、首から下は麻痺し人工呼吸をつけながらも穏やかで優しい人だった。急速に彼女に親しみを覚えた茜は頻繁に咲子の元を訪れ、仲を深めていく。しかしその頃から、昼間に異様な疲労を感じるようになり、あるきっかけから、夜中茜が寝ている間、動けない咲子の意思が茜に宿って活動しているのではということに気付く。咲子を慕う茜は彼女に協力をすることにした……
おう、またしても辻堂さんのイイハナシカナー?案件だったわ……前半はいい感じだったんだけど真相パートが中々の重さ。でも話の運びは丁寧で違和感があったところは解決できたのですっきり。
Posted by ブクログ
重度後遺障害×多重人格の組み合わせが意味深いミステリー。さりげない伏線の数々を回収しながらの終盤の謎解きがとにかく緻密で、夜の「私」の名探偵ぶりに尽きる。漫然と読み進めていては真実に辿り着けない。ベタな三角関係もののような流れに惑わされた。
Posted by ブクログ
子供の頃に交通事故で両親を亡くした高三の茜、その近い年齢に交通事故に遭って寝たきりになった咲子。たまたま出会い、交流を深める。
一話目はなんとなく釈然としない雰囲気でしたが2話目で夜の茜が登場、いろいろな事実が判明していくので、先が気になり駆け足で一気に読みました。
読み終わって、うーん、スッキリはしないかなー
Posted by ブクログ
「昼のはなし」「夜のはなし」
二部で構成されたミステリー。
主人公は交通事故で両親を亡くした高校生の鈴木茜。
寝たきりの患者を訪ねる「おはなしボランティア」に参加し、そこで29歳の咲子という女性に出逢う。
交通事故の被害者同士、共鳴し合った二人に起きた不思議な現象。
一部ではファンタジーを思わせる展開だが、二部で一気に反転する。
咲子へ抱いていたイメージはどんどん覆され、物語はイヤミスのような空気を醸し出す。
彼女に隠されていた真実と後悔。
誰もが犯す過ちが取り返しのつかない事態を招いてしまう事への恐怖と切なさを感じた。
Posted by ブクログ
一人の体に二人の心。
昼の部の話の通り、ファンタジーだと思って読み進めていたが…
人間は、昼は仮面を被るが、夜は本音をさらけ出す。
咲子の切実な願いに、過去聞いた言葉を思い出した。認知症の高齢者が、ふと頭のモヤが晴れた瞬間に「殺して欲しい」と涙を流した。胸が締め付けられ、言葉に詰まった。
咲子と高齢者、命を軽んじての言葉ではないのが分かる。同情だけではなく、誰でも当事者になり得ることだから、不安感一杯で読んでしまった。
介護される側とする側、立場が違えば答えも異なる。そして正解が見つからない。
Posted by ブクログ
そうなるのかぁ〜!と唸らされました。
昼より夜の方が確かに本心を語れたり、もっと深いものが浮き彫りになる気がする…
それにしても、綺麗で深い作品だなぁ。
Posted by ブクログ
※ほっこりしたファンタジーかと思いきや、人間は汚い、という現実的なお話です。
交通事故で両親を亡くした高校生の鈴木茜は、祖母の伝手で訪れた「お話ボランティア」で交通事故で首から下を動かすことのできない29歳の女性「咲子さん」と出会う。交通事故の被害者同士ということもあり、打ち解けていく2人。
自由に動くことのできない咲子さんに自分の身体を貸してあげられたら…と思ううちに、いつの間にか夜、記憶がないまま出歩いていることが判明する。
もしかして、咲子さんが本当に夜私の体を使っているの?と思い、咲子さんへの手紙を残して寝るとそこには返事が。
咲子さんのために好きそうな服を用意したり、食べたがっていたお菓子を用意して眠るようになった茜。
やがて咲子さんから、事故のあと一度もお見舞いに来てくれなかった高校時代の彼氏と親友がいまどうしているか知りたい、と頼まれて茜は2人をSNSで探して会いに行く。
そこには事故当日の悲しい誤解とすれ違いがあり、それを無事咲子さんに伝え、茜は受験に集中するためにしばらく咲子さんの家へのボランティアを控え…受験の合格を伝えに行こうとすると、咲子さんが亡くなっていたことを知る。
という前半部分(「昼」)のお話だけ見ると、心温まる、中学生の夏休み感想文課題図書にしてもいいんじゃないというほっこりストーリーですが、そこから反転して「夜」の物語が始まる。
・咲子さんと入れ替わっていたわけではなく、事故のショックから生まれた二重人格の「もう一人の茜(咲子さんがサキ、と名付ける)」が、夜に咲子さんのもとへ出かけていた。(咲子さんしか知らない内容が手紙の返事にかかれていたのは本人に聞いたから)
・近所のきれいで優しいお姉さんだと思っていた咲子さんは、高校生時代にとってもやんちゃな女の子で(バンギャで、男の子とも遊んでいて…)、当時の彼氏と親友(だと思っていた人)が見舞いにこない原因も咲子さんにある。
・なんなら、交通事故も、咲子さんが赤信号を渡った、さらにそれを運悪く轢いてしまいさらに他の車に巻き込まれて死んでしまったのが茜の両親。
どちらの家の交通事故の被害者のはずなのにお金に苦労していることから真相に近づいていくところは良かった。
茜の家は、両親を事故で失ったが、原因となる赤信号を飛び出してきた女の子は重度の障害を負っているので強く請求できない。
記憶が曖昧な咲子も、家にお金がない=賠償金や保険が入らないことから、薄々自分が事故の原因じゃないかと気づき始める
・咲子さんは夜にくる「サキ」には本音で接し、自分を殺して欲しいと頼む。サキ(=茜)は、あくまでも事故ならば、と咲子さんの呼吸器につながる管を緩めておく(なにかの拍子で抜ければ、体の動かない咲子さんは自分でどうしようもないし事故で死ねる)
目論見どおりに管が抜けて、エラー音の響く病室で、「また明日ね」と咲子さんが最後に言うシーンが印象的だった。
ボランティアとか、近所の一回りも年下の知らない女の子が、「交通事故で障がいを負ったかわいそうな女性」のもとにきたら、それは誰でも愛想よくせざるをえないし、元の咲子さんからするとそれは辛いことだったんだろうな、とも思える。。
誰が悪いとも言い切れず、人間って「外面」と「本音」は違うな、と思い知らされた1冊。ただ「夜」への場面変換と、本当は全然いい子じゃなかった咲子さんの過去が明らかになっていく過程は読み進めていて気持ちがよいかというとそうでもなかったのでこちらの評価に。
Posted by ブクログ
二重人格とかそういう特殊な設定は割と好きなほうなので、気になって本作を手に取りました。多くの方のレビューにあったように想像していた展開と違って、しっかりミステリーとして着地してるのがとても意外性がありました。
物語のストーリーとしては、主人公である茜が、ボランティアである家に訪れるところから始まります。そのお家には、事故で麻痺が残り寝たきりの生活を送る咲子がおり、初対面であるはずなのに、どこか心通じる感覚があった。そんなある日、咲子は知る由もない、茜の服装や部屋事情を知っており、咲子が自分に乗り移ってるのではないかと訝しむようになり…というストーリー。
結論からいうと、あらかじめ本作がミステリーであると知っていても、このオチはなかなか読めなかったのかなと思いました。茜と咲子が共に秘密を持ってるだけでなく、二重人格という少し特殊な設定でもあるので、どこに謎があるのか分かりにくくなってるように感じました。それでも、オチとしては芯が通ってて、こことここは繋がってるのだと納得感がありました。
個人的には、咲子が障害を持った人への同情的な視線やアンコンシャスバイアスについて述べるシーンが自分にも思い当たる節があったので、1番印象的でした。