【感想・ネタバレ】あなたの大事な人に殺人の過去があったらどうしますかのレビュー

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Posted by ブクログ

色々と考えさせられました。
読むのが止められなくて一気に読みました。
登場人物それぞれ違った悩みや葛藤がありつつも、表に出さず生きてきたのに、隠し事を表面化させた途端、関係性がうまく機能しなくなる様子を生々しい形で見られて面白いです。

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2024年05月05日

Posted by ブクログ

過去の事件と向き合う若者の苦悩が胸に沁みる… #あなたの大事な人に殺人の過去があったらどうしますか

■あらすじ
子どもの頃から父に圧力をうけ、はっきりしない性格になってしまった主人公の彩。彼女は就職先のフードサービスのNPO法人で働いていた。少しずつ職場になれてきた彩は、同僚とも少しずつ気心が知れる仲になっていく。彼女は心葉に心を惹かれていくのだが、ある日の朝礼で彼がかつて殺人を犯したことを告白するのだった…

■きっと読みたくなるレビュー
生きづらい現代社会を背景に、少年犯罪や若者の葛藤を描くのがお上手な天祢涼先生の新作。まさにタイトルとおりの物語で、本作も胸が引き裂かれるような内容でした。

まず1ページ目ですよ、最初のセリフから一連のシーン… いきなり引き込まれる場面で脳裏に焼き付く。こんなのはフィクションの中だけであって欲しい。

本作は人間関係が凝っていて、主人公の彩とかつて殺人を犯してしまった心葉だけの物語ではありません。当時の事件の関係者が様々に入り組んでおり、現代においてさらなる事件に発展してしまう。彩や心葉だけでなく、色んな人の視点で物語が進行するため、それぞれの事件に対する想いが芯から伝わってくるんです。

特に被害者家族の叫び声は、読むほどに胸が締め付けられ、どうすればこの人たちは救われるのかと読んでるこちら側が悩んでしまうんです。亡くなった人は帰ってこないのは頭では分かっているのに、いつまでも処理できない苦悩。辛すぎますね…

また加害者についても、ただただ哀れみを感じる。まだ知識も経験もなかった少年期の一度の失敗がもたらす呪い。たとえセカンドチャンスを掴みかけても、ずっと処罰がまとわりつき、瞬時に全ての努力を消し去っていく。至極一般人の私たちにとっては、自業自得だと片付けてしまいますが、その少年は当然そう至ってしまった背景や理由があることを忘れてはいけません。

そして本書後半には、一連の事件の真相が明らかになってくるのですが、まさに現代の情報化社会の瑕疵が明るみになってくる。自分には関係のないのではなく、ひとりひとりがよく噛み締めるべき社会問題であることを認識させられるのです。

ただ過去にはいろんな出来事があったけど、それでも未来を担う世代が希望を見出して戦っている姿は美しいんです。これからも負けずに生きてほしいと思いました。

■ぜっさん推しポイント
世の中には苦しんでいる人に手を差し伸べている方々がいる。ヤフコメやSNSで正論を振りかざすのではなく、実際に体と時間をつかって、元犯罪者たちと向き合う人たち。自分の会社に受け入れ、世間の目からも戦いながら、彼らと誠実に正対して成長の手助けをしていく。

本作で印刷工場の恩田さんの日記を見た時、セカンドチャンスまで構築するのが、どれだけ手間と時間と精神力を使うのか身に沁みました… 何もしていない自分が、如何にずるい人間かを痛感しましたよ… ただ少なくとも、関係のない人間が未来を壊してしまうようなことは無くしたいと思いました。

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2024年05月22日

Posted by ブクログ

読んだ後少年法についてとても考えさせられた奥深い作品だと思いました。未成年である主人公がタバコを吸っていることで注意され殴って殺してしまったことで始まるストーリー展開に常に考えされられ読む手が止まりませんでした。登場人物たちの心理描写がとてもすごくいまだかつてない読んだことがないストーリーに拍手喝采です。あなたもこの少年犯罪に深く追求した作品を堪能して下さい。

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2024年03月04日

Posted by ブクログ

 子供の頃父親から、はっきりしない子と言われたことがきっかけで自分の気持ちを言葉として他者に伝えることに苦手意識がある藤沢彩は、オオクニフーズの相模原支社に勤務することになる。そこで1年先輩の田中心葉が優しく声をかけてくれたことから次第に惹かれるようになり、心葉の同期でもある佐藤千暁とも親しくなりうちとけるようになる…。ある日の朝礼後、心葉が「ぼくはは人を殺したことがあります」と告白…その後心葉が殺めたのは、千暁の兄であったことが判明した…。

 心葉の受けてきたネグレクトが根深かった故の犯罪だけど、そうとわかっていても、罪を償い反省していたとしても、被害者遺族の傷は癒えるものではない…んだと思います。なので、千暁の母、美月さんの気持ちに私的には共感できました。彩や心葉、千暁の行動には、ちょっとした違和感を感じたまま、次の事件が起き、加害者と被害者遺族の思いを軽んじた犯行には憤りを感じました。

 「あなたの大事な人に殺人の過去があったらどうしますか」という長いタイトル、私ならどうするんだろう?そんなことを考えさせられました。

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2024年05月10日

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