【感想・ネタバレ】板上に咲く MUNAKATA: Beyond Van Goghのレビュー

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Posted by ブクログ

ネタバレ

ゴッホに憧れ、ゴッホに挑んだ彫刻家の棟方志功と彼を支える妻のお話。

酒飲みの父のもと、十分に食べられない環境にあったが、絵を描いていると空腹を忘れらた。
驚くほどまっすぐで一生懸命、弱視であることを、ものともしない、とんでもない芸術への情熱。

妻と子供を養う事を考えると、当時格下に見られていた版画の道一本でやっていく決心がつかなかったが、妻のチヤが先に腹をくくり、背中を押した。

純真な棟方志功とチヤのやりとりも微笑ましいです。

空襲で版木が焼けてしまい、棟方の命にも等しい版木を疎開先に持ち帰れなかったと呆然とするチヤに、「自分の命にも等しい物は版木ではないおめぇだ。」
と曇りのない目で言った棟方の言葉にじんときました。

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2024年05月09日

Posted by ブクログ

ネタバレ

棟方志功の人生と作品を、妻のチヤの目線を通して語るアート小説。『リーチ先生』の語り手がフィクションで、その分民藝運動全体の動きを俯瞰していたが、これは妻目線であることで棟方志功1人に的を絞ってある。

チヤの深すぎる愛に涙が出る。
芸術家が芸術に殉じる為には、必ず深い理解者が必要だ。芸術に命を注ぐ代わりに生活能力が著しく低いから。世界のムナカタの第一の恩人はやはり妻で間違いないんだと思う。

印刷博物館の展示の動画で、板に目をくっ付けるようにして彫り込む棟方志功の姿を見たことがある。その時はあまりの近さに違和感しか無かったのだが、弱視だったことを初めて知る。目を患って絵を極めるなんて、困難さに絶句してしまう。

棟方志功の作品は、どちらかと言うと私は好きではなかったのだが、この小説を読んだあとに眺めると違って見える。眺め方を教えてもらったというか。アート小説は芸術鑑賞の最良の先生だなと改めて思った。

渡辺えりさんの朗読は山形県ご出身というだけあって東北の言葉としてあまり違和感を感じなかったが、青森の方はどうだったのだろうか。
どこかで聞いたイントネーションだなぁと思っていたが『千年万年りんごの子』だ!それと『たそがれ清兵衛』だ!
青森いっでみでなぁ。

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2024年04月13日

Posted by ブクログ

ネタバレ

何かを成し遂げる人は、他のもの全てを捨てるくらいでないといけない、というくらい、棟方志功は真っ直ぐに板画と向き合った人だったんだな。そして奥さんのチヤも本当にすごい。
大抵何かを成し遂げる人の側にはそれを支える誰かがいるけれど、棟方を信じて、極貧生活を乗り越えてここまで支えられる人がいるだろうか。
この作品を通して棟方志功という人物を初めて知ったけど、この方は生きているうちに評価されて、最後に神と崇めるほどのゴッホの墓前にも行くことができて本当に良かったと思う。

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2024年04月29日

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