【感想・ネタバレ】就職とは何か 〈まともな働き方〉の条件のレビュー

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Posted by ブクログ

日本の大学生に待ち受けている就職活動。就活スケージュール、就職協定の度重なる変更と撤廃、社会人になる洗礼ともいうべき就職選考、そして社会人基礎力の本当の意味とは、そして待ち受けている長時間労働と過労。

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2019年03月11日

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 大学生に対して,「社会人として働く意味」を,具体的かつ実証的に伝えるための良書。著者の専門は,企業社会論や労働時間論。過労死の問題や対策にも専門研究者として取り組んでいる。それだけに,労働に関して集積された指標は豊富で,自らアンケートで収集されたマイクロデータも紹介されている。
 就活がいかにビジネス化しているか,また「就職協定」と言いつつ,いかにルールがないかを謳い,雇用や労働組合とは何か,時間給や年給とは何かをわかりやすく解説したうえで,最後に就職に求められる力と働き方を問う。その中で,とくに強調されているのが労働知識の修得であり,労働者が法律や制度によっていかに保護されているかを知っておくことこそが,賢くいきいき働くためのファクターだと述べている。
 1年次向けに設けられた四半期の少人数セミナー(2018年秋開講)では,本書を輪読のテキストとして使用してみた。第1刷が2011年11月というリーマンショック後の発行であり,同年3月に発生した東日本大震災の影響にも触れられていないが,大学1年生たちには,今後の大学生活を充実して過ごすために有益な情報が得られた点で,概ね好評だったといえる。

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2019年01月21日

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「○活」と略されるようになると、だいたい社会問題化しているような気もしますが、就活はまちがいなく社会問題ですね。

自分は団塊ジュニアの独身おっさんですが、その私が2023年にこの本を読んでもなるほどなと思わせてくれました。
読んだ時点より10年以上も前に書かれた本ですが、現在でもほぼ通用する内容と言うことを考えると、日本の雇用環境があまり変わっていないということなのでしょう。
ただ、当時と現在との違いで考えると、当時はブラック企業でも就職せざるを得なかったのが、現在は人手不足もあって、学生さんがブラック企業を敬遠してくれるようになったのは良いことのような気がします。
個人的には、雇用は流動化させたほうがいい気がしています。

自分が大学生だった20世紀の頃は大学の就職指導部はあまり面倒見てくれなくて、個人で勝手にリクナビとかでやってる感じでした。自分が就職活動で納得いかなかったのは、今でいう「ガクチカ」で、「学生の本分は学問で、大学の勉強頑張りました」という理由ははなから除外されていたこと。大学で大学の勉強をがんばっても就職先がないってのは、なんだかなと思ったものです。(まあ、自分が当時の企業への適応能力がなかったことはたしかなので、致し方ないことなのですが)
そう考えると、大学はやはりもっと減らして、高卒でも就職できるところを増やすか、高校相当の職業訓練専門学校に通って、職業に必要な技術を身につけて現在の成人頃には就職したほうがいいんじゃないかと思っています。
初任給は手取り30万円ぐらいにして、早めに結婚して子ども産んでもらうようにするのもいいんじゃないかと思いました。

フルタイムじゃないと生活できないというのも問題で、上限週35時間にして、最低の月給手取り30万円ぐらいだったらなんとか一人でも生活できそうだし、結婚して共働きなら子育てもできそうだし。どんな働き方でも楽に生活できる日本になってほしいです。

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2023年01月29日

Posted by ブクログ

久しぶりの読書だった。論文調で読みやすく就職に関する全体像と、就活に対する指摘がデータ、図表を用いてきちんと書かれていた。就職に対する労働条件を理解して就職したいと思う。興味のあるところは調べてみたい。最後にこの本は、ハウトゥーではないので解決策は各個人で考えよう。

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2015年01月25日

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就職難,過重労働,過労死...こんな劣悪な労働環境に甘んじてる限り社会人とはいえないんじゃないかと思う.政治や財界に積極的に参加,抵抗してこそ,真の社会人だと思う.

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2014年10月14日

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 若者の労働問題に提言をしていることで有名な著者による本。「はじめに」で書かれているように、大学生の就職問題を取り扱っているが、就職環境の厳しさおよび実情を知るという意味では、全ての世代の人が読むべきだと思う。

一章
 紙面でよく語られている、大学生の就活の流れに焦点を当てた章。
 「人より出遅れたくないという一心で早く始めたが、今思うと企業と情報に踊らされていた」と語る畑中さんは、全160社の企業を回り、七次面接やリクルーター面接を行ったにも関わらず、最終面接で落とされた事を経験した事に大変不満を持っている。運良く受かった場合でも、自分が本当に望んだ職種で無い時は、単位を落とすことを臨む「希望留年制度」を使うこともあるという。
 果たして適正検査で本当に向いている職業が分かるのか(おとなしい人は営業に向かない?)、就活のストレスによる自殺は加害責任の特定が難しく社会問題になりにくい、雇用対策助成金を得続けるために(本来はあたらないものも含め)自己都合退職の強要がなされることがあるなどの問題点を指摘している。

二章
 就活をめぐる様々な様相を見ていく章。
 写真一枚を撮るのにも徹底した指導が行われ、「良い企業に入ればすぐに元が取れる」、「親も協力的になるべき」といったビジネスが蔓延っていることや、日本と海外のインターンシップは大きく異なっており、「参加する意義は良いが、せめて二週間以上の時間が必要」という提言、三年生の秋に説明会を開催し、「どんな学問をしたか」という感性を持つ企業への苦言、企業は履歴書にかける時間を短縮するために履歴書読み取りソフトの導入を行っていること、組織の多くの人間は現在の就活のありかたに疑問をもち意見しているが、肝心の経団連の動きが鈍いなどの事が綴られている。
 今や就活にかかせない、リクナビを始めとする大きな合同企業説明会は「人が多すぎて立ち聞きしたり聞こえなかったりで、行くだけ無駄」という意見もある(個人的には、この意見には賛同できる)。

三章
 学生は就職を希望する企業を選ぶ際には「仕事内容・雰囲気」が特に重視している一方で、賃金・労働条件には(アンケートの回答を見る限り)あまり気を留めていないようだが、それは「内定を得たい」という気持ちが表れているのだと筆者は語っている。



自分用キーワード
就職氷河期 大学等卒業予定者の就職内定状況調査(1996年より実施) 総務省『労働力調査』 厚生労働省『就業形態の多様化に関する総合実態調査(2011)』(正社員61.3%、パートなどの非正社員38.7%。ちなみに非正社員比率は15〜19歳男性91.6%、女性95.8%、20〜24歳男性46.7%、女性44.2%) 森岡孝二偏『就活とブラック企業』(本書で引用されている、畑中文「私のシューカツ体験」が所収されている) 内定ブルー ない内定 SPI(リクルートが開発した総合適性検査) ライト・ミルズ『ホワイトカラー 中産階級の生活探求』(ホワイトカラーは、雇われて働くという意味においてはブルーカラーと変わらず、違いは「物」ではなく、物の生産者を組織し、生産物を消費者にわたすこと) 小津安二郎『大学は出たけれど』 売り手・買い手相互の競争、売り手と買い手の競争 NPO法人POSSE(若者の労働相談活動をしている) ガクチカ(「学生時代に力を入れたこと」だそうだ(出典:読売新聞)) ジル・フレイザー『窒息するオフィス 仕事に強迫されるアメリカ人』 就職協定 日本学術会議『大学教育の分野別質保証のありかたについて』(三部で就活の問題に触れている) 日本貿易会・経済同友会・日本商工会議所(就活の時期を早めることは、結果的に国全体の人材レベルを落とすのでは、述べている)    

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2013年08月04日

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現代日本の労働に関する現状分析が詳細に書かれており、日本人の働きすぎを改めて実感しました。ただ、それに対する解決案については少し乏しいかなと感じました。そもそもなぜ残業が増えているのかについても検討する必要があると思います。仕事量が増えているのかのか、それとも単に生産性が低いのかなど、残業が増えている要因を把握した上で解決案を提案したほうが現実的かと思いました。

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2013年04月25日

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これから就活をする学生にぜひ読ませるべき本である。また、教員もかなりの部分が非常勤として雇用される現在、仕事を持ち帰った自宅で仕事をすることが賃金化されないという問題が解決されないまま、仕事量だけが膨大になっている。
 それを考えるためにもこれを読んで、教師として過労死しないための教職員組合としての労働組合の重要性を考え直すことが必要であろう。

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2012年03月09日

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日本の労働環境がいかに改善しうるべきか数々のデータをもとに知ることができる。
ただデータ量が多すぎて内容があまり頭に入ってこない。

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2020年04月14日

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自分が就職活動をしたのは、ずいぶん昔のことで、事情が違うことは理解していたつもりだが、数字で示されると、現在の、大学生の苦労がわかる。

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2011年12月21日

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就職は子供たちの時代になりましたが、本当に「まともな職業」が見つかるかどうか不安。
過労死・過労自殺のあった企業が公表されるようにする運動が広がっている。
これからの職探しは決して自分探しではなく、自分を生かしてくれる「まともな」企業を探すことだろう。本人の独力だけでなく、就職を考える学校や親の力も動員する必要もあるだろう。

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2011年12月05日

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タイトルから想起されるような哲学的な話はほとんどありません。内容は「就活残酷物語」。最近の若者の就職難の現状を、データと実例を交えて客観的に説明して見せる一冊です。
未だに「若者が就職できないのは甘え」とか思っている団塊の世代に読んでもらいたい本。若者が読むと暗澹たる気持ちになるだけかも。

現状の悲惨さはよく伝わってくるのですが、現状打破の方法として「ワークシェア」等が提示してあるので説得力が非常に弱い。実際にワークシェアを経験した人の話を聞いても、それが機能するとはとても思えないので。

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2011年12月05日

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