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Posted by ブクログ
陽虎を避けて斉に至ったときには晏嬰と反りが合わず仕舞い。著者の「晏子」は好きな作品だったから、何とも残念に思う。互いに融通の利かぬ偏屈ということなのか。
陽虎の野望が潰え、季孫斯の輔弼となる孔子。城壁の取り壊しを行うが、仲孫氏、叔孫家の反発を買い、弟子たちとの長い放浪となる。
正直、礼による国家づくりに季孫斯が賛成したのが納得し難い。白川静先生は孔子によりクーデターと捉えていたと思う。酒見賢一のサイキック小説「陋巷に在り」もそう。
小説の終盤、顔回や子貢も活躍するが、論語のエピソードから飛び出た俊英の弟子たちの像がはっきりしたように思う。ただ、それでもその描き方はあっさりして、不満が残った。
論語にある狂接輿とのエピソードとか、白川先生が「子路は孔子に褒められたかったんですよ」というネタなど、もっと描ける話はあったんじゃないかなとないものねだりしたくなった。
何より長期の放浪が孔子の思想を研ぎ澄ませたとする白川先生の学説を背負うものになっていないと感じた。