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Posted by ブクログ
孔子の教えではなく、その人物を描く歴史小説。
漫画『キングダム』の影響で、諸子百家といえば戦乱を思想と弁舌で渡り歩いたイメージだったが、上巻を読む限り、孔子の時期は戦国時代前の春秋時代で、後の戦国七雄となる国もすでにあるもののどこかまだ牧歌的、周王朝もまだそこそこ立てられている印象。あくまで小説なのでどこまで本当かはあるけど。
その分、小説としての展開は若干退屈ではある。孔子もまだ町で教えてるだけっちゃだけだし。
しかし、儒教や中国思想の本は教えが脈絡なく並んでいるように感じられる自分にとっては、孔子の教え的なものがストーリーの中で随所に出てくるのはよい。
Posted by ブクログ
久しぶりの宮城谷さんの本。若い頃に結構、著者の本を読み耽った。
宮城谷さんに教えて貰ったのは、漢字の成り立ちを解き明かした白川静先生。白川先生の孔子伝に沿った内容だろうと思ったが、そうでもないように感じた。
いつでも書くことは出来たんだろうけれど、機が熟すのを待ったんだろうな。
孔丘の題名と文中でもその名で書き連ねることが、その人に迫ろうとする姿勢と思う。
そして丘の名を命名したのが母とする処が沁みた。
儒は元々、葬礼を儀礼をつかさどるもの。そこから学び始る孔丘。官職を得てからも学び続ける。ある意味、偏屈な一匹狼で、直情家な性格をうまく描いていると思う。
そして教育者であり、弟子たちを引き付ける魅力がその教えにあったと納得させられる。
魯の国にあって、王に力はなく、三卿が凌駕する。
昭公が国を去り、季孫意如の国となった中、孔丘は周で師を得る。
しかしながら、孔丘の理想が唯一の答えとも思えない。そのあたりも冷静に記していると思う。
しかし、これで上巻が終わって大丈夫か。子路は登場しているが、子貢も顔回もいまだ登場せず、この後は陽虎の反乱、孔丘自身のクーデター、放浪の身と続くはずなのに。