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読後
宮本輝さんはやはりいいと思った。いつも人の中に忘れていることを考えさせられる。
相変わらず一気に読んだ。作品中に出てくる
灯台をネットで検索しながら読んだ。行けるところは行きたいなとも。
しかしながら、主人公の読んだ本には手がつけられないなと思った(笑)
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妻を亡くして気力を失った中年男性が、ある日、本の隙間から、妻が隠した一冊の葉書を見つける。その謎解き、即ち妻の過去を知り、妻がそっと残していたメッセージを究明するために、灯台巡りの旅に出る。その過程で、3人の子どもや親友達との対話を重ね、生きる希望を取り戻して行く。最後のシーンは圧巻である。
毎年12月は、公私ともに忙しくなる。だからこそ、今年を振り返る時間を意図的に作りたい。ところが、振り返る度に、ネガティブな自分は、今年出来なかったことを思い出したり、目に見える他人の実績と比較して、卑屈な気持ちになる。
この本は、気持ちが萎えて落ち込んだ時、自信を取り戻したい時にオススメの一冊である。この小説には、誰であっても立派な人生を生きており、深い意義があるんだと、灯台の温かい光のようなメッセージが込められている。
風が吹きすさぶ寒い海辺に、ポツンと立つ孤高の灯台。それは、万人を分け隔てなく平等に照らす神様のような存在。灯台巡りに少し興味を持った。昔は「灯台守」という職業もあったらしく、その仕事や生活環境についても調べてみたくなった。
また、ラーメン職人としてのこだわり、阿吽の呼吸で成り立つ調理人の仕草や動線など、作者の緻密な取材記録を垣間見ることができた。
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幸せは気づくもの。
何でもない日常、それとなく過ぎてゆく日々。そこに確かに存在する自分。現在の自分に至る人類の永きにわたる生の継承。それは宇宙の歴史におけるほんの僅かな一瞬。その永遠と瞬間の交わりの中に在ることを尊いと思える心の持ち様。それこそが幸せの本質ではないかと思います。
変わらぬ事こそが変わっている証。取り巻く環境の変化に添っているからこその変わらぬ様。灯台から多くの響きをいただきました。そして「まきの」の中華そばからも。
主人公康平と彼を取り巻く人々との何気ない会話は名言の宝庫。その会話に散りばめられた一つひとつのセンテンスが心に響きます。中でも康平と新之助のやり取りは何とも言えない不思議な魅力があります。龍飛岬での赤いボタンを巡る掛け合いなど思わず二度読みしました。そして人生を示唆するかの如く登場する『蟹江抽斎』、『夜明け前』、『神の歴史』の3書。
涙なしの心地良い感動に浸る、滋味あふれる物語でした。
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身近な人が亡くなった時、その人の歴史を少し覗いて近くに感じたいという点に共感。
取り巻くキャラクタも素敵だし、初めての一人旅の心情なんかも良い。
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久しぶりの宮本輝
二十年ぐらい前に職場の同僚に錦繍を薦められて読んで良かったと思えて、その後数冊・・・
今回は丸善の平積から手を取り裏表紙のあらすじ読みで即購入!!!
私にとっての灯台との思い出は・・・
去年行った男鹿半島の入道崎灯台 雨が降りそうで風が強い中家族三人で登ったぐらいの思い出しかありません。
一方、中華そば屋の思い出は、昔ながらの中華そば屋、本当に美味しいと思えるそば屋がここ数年で何件も無くなった・・・
いずれの、無くなってしまった中華そば屋は老夫婦が経営しており、体力の限界で店を閉めてしまったのだと思う・・・
いつまでも有ると思っていたものが無くなるのって寂しいですよね・・・
本作の主人公の康平は中華そば屋を営む62歳!
2年前に妻が急死して以来、店は休業!?
多忙な毎日を夫婦で一所懸命に働いて来た康平の唯一の趣味の読書中、本に挟まっていた見覚えのある謎の手紙に導かれて康平は人生初の一人旅で灯台巡りをする事に!!!?
家族と友人、そして友人の縁で巡り会う若者達との出逢いが康平の心の何処かを溶かしていく。
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本に挟まった亡き妻宛の葉書。その葉書に誘われて康平は灯台めぐりを始める。
宮本輝の真骨頂とも言えるストーリー展開と主人公を中心にした真っ当な人たち、そして細やかな心情の表現。やはりすごい。
幼馴染の本質を知らず、みくびっていたことを悟るシーンがよい。それに、中華そば屋再開に向け2年ぶりに中華そばを皆んなに振る舞うシーンには涙が出そうになった。
また一つ好きな宮本輝の作品が加わった。
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町のラーメン屋の主人が、亡き妻に送られてきた知らぬ名前からのハガキの謎について、探し妻への思いをより深める話。
派手さは全くないが、出てくる人物が皆等身大であったかい。
流石、宮本輝!
ほっこりしました。
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久々の宮本輝作品。いつものことながら読み始めると、話の展開と人との繋がりが広がりどんどんと惹きつけられました。
なぜ「神の歴史」に挟んだのかは明かされず。
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久しぶりの宮本輝。すごい事件が起こるわけでもなく、びっくりのどんでん返しがあるわけでもない。だけど、どんどん宮本輝ワールドに引き込まれていく。とてもリアルなようで、こんな会話を親子でする?て考えたら、リアルではない。でも、会話のひとつひとつが登場人物の一人ひとりが、現実味を帯びて迫ってくる。この物語の主人公は、妻を亡くした夫か?亡くなった妻か?
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やっぱり宮本輝さんの旅物はとても良い。
そして、どの作品にも言えるが、登場人物も素敵すぎず、悪すぎず。
主人公が、だいたい上品なおじ様なのも良い。
とても良い時間を過ごすことができた。
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旅に持参した文庫本を思いのほか早く読み終え、旅の途中で店頭で適当に選び購入、旅のお供として読み始めた。宮本輝は学生時代に大好きで読んでいたが本当に久しぶり。最近の作品はまったく読んでいなかったが、思った以上におもしろかった。また、最近の宮本輝作品も読んでいこうかと思ったりした。
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著者の小説は、何かをきっかけに主人公が旅に出る、そういう作品が多々あるが、本書もまさにそのパターン。
妻を亡くし2年の間中華そばの店を閉店し無気力に過ごしていた牧野康平が、「神の歴史」という本の間に挟まれていた葉書を見つける。その葉書は妻宛てのものだった。
康平はそこに描かれている灯台に魅了され、一念発起し、灯台探しの旅に出る。
差出人に心当たりがないという謎の葉書と、妻が語っていた過去に何か関係があるのではと、康平は差出人を探す。
ミステリー調に話が進む、主人公の再生の物語。
主人公の周りの人びとがそれぞれに良い役割をしている。康平の子どもたち朱美に賢作に雄太、それに親友のトシや亡くなったカンちゃんの息子新之助。
宮本ワールド全開の定番と言っていい作品。
康平の中華そばを作る過程が丁寧に描かれていて、つい食べたくなってしまうのは、小説家の企みか。
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亡き妻が残した謎をあることをきっかけに解いていくことになった主人公の初老のお父さん。おじいさん?
探偵物ものではないけれど、いろんな人との繋がりから、謎解きに向かうことになる。現実的で淡々と進んでいく様が好ましい。最後まで知りたい気持ちが募るストーリー。
亡き妻への思いが無気力気味だった主人公を突き動かしていく。そしてそれを手伝う友人知人たち。なんかいいなあ。
そして、宮本輝好きだ。
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いい作品を読んだなぁという感じ。
何気ない事に密度をもたせるのが著者は上手いですね。
読むときっと自分の人生の密度が上がるんじゃないかな。
平凡に見える中にも、ありがちな物事の中にも色んな気持ちが込めればある。
読んで損はないと思います。
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威風堂々と生きたいな。焦ったって、怖がったって、逃げたって、悩みが解決するわけじゃないんだからな。こつこつと、ひとつひとつ、焦らず怯えず、難問を解決していく。俺はそういう人間になるために、いまから努力するよ(p.336より)
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久しぶりに宮本輝を読んだ。19歳〜23歳くらいまでにどハマりし、その後も断続的に読んでいたが、ここ10年くらいは全く読まなくなってしまっていた。なんとなく、宮本輝の描く世界が幸せ過ぎるというか優し過ぎるように感じて、1人いじけて読まずにいたのです。
だが、夏になると宮本輝を読みたくなる、というような文章を見つけて、久々に読んでみようと新刊を手にした。久々に読む宮本輝の小説はやっぱり宮本輝だった。時間とお金に多少の余裕のある主人公。読書においしいお料理。そして謎を追う。そして毎回素敵な文章がある。
今回のグッときた文章。
威風堂々と生きたいな。焦ったって、怖がったって、逃げだって、悩みが解決するわけじゃないんだからな。こつこつと、ひとつひとつ、焦らず怯えず、難問を解決していく。俺はそういう人間になるために、いまから努力するよ。
なんと素敵な文章だろう。こういうことを主人公や登場人物に語らせる宮本輝、やっぱり好きなんだなぁと思う。
そして、森鴎外の渋江抽斎!全く知らなかったし、読み終えられる自信はないのだけれど、読んでみたいと思いました。
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亡くなった妻宛に届いた謎の葉書をきっかけに主人公の冒険がはじまる。謎の葉書をもとに旅してる過程で、妻の過去や新しい自分を発見していく物語。この本を読んだ中でとても印象に残ったのは「永遠のなかの一瞬なのではなく、一瞬のなかに永遠がある」という一文。どういう意味か今はわからないけど、きっと人生のヒントになることだろうなと思った。この文の意味が完全にわかるようになるのはいつかわからないけど、自分自身成長して、意味を理解できる時がくれば良いなと、楽しみに過ごしていこうと思った。
話の展開がすごいゆっくりで結末もスッキリ解決!って感じではなかったかな。でも、登場人物がみんな人情深くていいなーって思った。これは繰り返し読む本になりそう。
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愛する妻が亡くなって、その妻が残した謎を追う展開で話しが進む。その謎は、自分的には全然たいした事に思わなかったけど、宮本さんのうまい文章と、それでいてテンポよく進む展開、そして所々に出てくる心に残る言葉に惹きつけられた。
「いまを生きる人間にとっては過去の歴史は手に負えない。史実など根拠がないのだ。過去にそれを記した人の意のままだ。自分に都合のいい改竄や捏造はやりたい放題だったかもしれない。」
この文章がすごく心に残った。
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静かでゆっくりとした話の展開が、悲しみの重さをじんわりと感じさせる作品だなぁと。本に挟まれていた葉書の秘密を追いかける、ミステリーの要素もあり面白かったです。今まで灯台というものの存在を意識したことはなかったけれど、そんな旅もいいなぁ。と思わせてくれた。
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主人公目線で淡々と物語が進みますが、読みやすかったです。
人生を見つめ直す物語でした。
行ったことのある灯台が出てきたので、その時の光景を思い浮かべながら読みました。
旅ものを読むと旅に出たくなります。
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橋爪功さんとかでスペシャルドラマにしたら面白いかも。
灯台にそれほど興味や魅力を感じることがなかったからか映像が上手く浮かばなかった
これはミステリーと違いほんわりと謎が解けて着地していくところは好きです(但し蘭子が抱えていたものは一人の人間として大きいものです)
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いやぁ本当に人のいいラーメン屋の親父さんが出てくるんです。その親父さんが、奥さんの死からラーメンから遠ざかる中で、謎かけにも似た、本に挟まった一枚の葉書に出会って物語が始まります。
自然な流れで、灯台に惹かれ、実際に、その現地に向かい、追い求めていくうちに、それは後々、灯台ゆえの深い意味を持っていることを実感して、奥さんについて知らなかった過去を知ることになります。
より一層、奥さんへの思いを強めて、前向きに変わっていくラーメン屋の親父さんが実に印象的です。
その一つ一つが、優しく、人間臭い作品です。本を読んだ後、まだどこか灯台を観に行かないのかな、と思える不思議なロス感がありました。
そして、本筋とズレてるかも知れないけど、こんなことを思いました。
幾つになっても、大事な人の事ならば、記憶の中では、あらゆる世代のその人の姿が見え続けて、今の年、見た目なんて関係なく、その人に“恋する”事があるんだなと。
人と人との理由なき、結びつきと、実はそれでも深い意味を持って、人を変えていく不思議さを秘めた作品です。
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妻・蘭子を亡くし、営んでいた中華蕎麦屋を休業し、2年間引きこもって暮らしていた康平。
ある日、昔、小坂真砂雄から蘭子に来た葉書が、『神の歴史』に挟まれているのを見つける。
何のために?
はがきには灯台の絵が…
蘭子からの康平へのメッセージだったのか…
灯台巡りを始める康平…
灯台を眺めながらこれまでの人生を振り返る。
次男・賢策のために、もう一度『まきの』を再開することに。
どうしても引っかかる小坂からの葉書。
蘭子が出雲に住んでいたことを初めて知り、秘密があるのではと調べていくと…
蘭子の真砂雄を守る決意は堅かったんだな、自分が出雲に住んでいたことまでなかったことにしていたなんて…
灯台。これまであまり気にも留めなかった。
その意味、歴史を知ると、何か巡ってみたくなる。
灯台守がいなくなったように。
灯台もGPS の発展で必要がなくなるなんて。
『お前と話してるとおもしろくなくて、腹がたってくるだ』
『とにかく本を読め』
『雑学を詰め込め』
寛治に言われ、本を読み始めた康平。
確かにそうだ、本を読むことで知らなかった世界が見えてくる、知らず知らずのうちに。
おもしろいのだろうか、自分は…
島崎藤村の『夜明け前』を読んでみようかと思わせられる。
康平の人生は変わったんだろう、寛治に言われたことで。
『本を読む』、あらためて『本を読む』ことを続けようと思わせられた、何でもいいんだ。とにかく本を読もう。
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話そのものは特に大きな起伏もなく進んでいくが、随所のエピソードや登場人物のやりとりに人生の妙味を感じて何度も涙腺が緩んだ。中華めんのスープのようにじんわりと沁み渡る一冊だった。
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テルニスト(というそうな)ではないけれど、いつどれを読んでも、前向きになれて清々しい読後感をいただける宮本輝先生の本!…って十分テルニストかw
失意で2年間店を閉めたままでいる中華そば屋の亭主が、書棚の本の中に亡き妻が挟んだ1枚のハガキを元に、灯台巡りの旅に出て…。
持ち物や各地の麺類や宿のさりげない描写が楽しく、一緒に旅をしているようだよ。そして成人した子供たちや商店街の仲間、途中から出てくるある若い夫婦ら、キャラクターちちもそれぞれに心があたたかい。店を再開しようと作られるラーメンや炊き込みご飯がおいしそうで! モデルになったお店はあるのかな。行ってみたいなー。