【感想・ネタバレ】唐草物語のレビュー

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Posted by ブクログ

あとがき、ことに、引用されたボードレールのことば、「あらゆる模様のうちでアラベスクはもっとも観念的なものだ」という一節が、テーマにも似て十二篇の物語を貫いているように思う。しかし、どの物語も、性行為との縁・無縁はおいて非常にエロティックであるように、私には感じられた。また、『遠隔操作』では、自分との類似をすこしだけ感じてふふっと笑ってしまったけれど、いかにも博学な澁澤龍彦らしい物語群であるだろう。あらゆる文章が知識によって裏付けられ、本来の意味での換骨奪胎とを成し遂げており、幻想文学たる条件を自ら示している。ふわっふわの現代小説に疲れたときに、とくに読み返したい。

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2017年05月07日

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胸がキュッとなる。どうしようもなく惹きつけられる。端整な文章はもとより澁澤龍彦本人に。彼の数ある著書の中でもとくに好きな一冊。気に入りのページを繰り返し読んでます。

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2009年10月04日

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読み応えバッチリですが、短いお話ばかりなので、文庫版になったことだし、鞄に入れて電車で読んだりできますな。
幻想譚でもありながら、蘊蓄エッセイにもすり替わる、硬くて軽妙な、極上の逸品でしょう。
氏の作品は、単行本時の装丁に秀逸・美麗なものが多いのですが、本書もまたそうで、函入り布張りの唐草物語は、込められた物語の一つ一つを包んだ、上品な宝箱のようです。本棚にほしい一冊。

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2009年10月04日

Posted by ブクログ

珠玉の短編集。
ラーウィアさんとか奥州藤原氏とかはこれで覚えた。
遠隔操作のイメージが錯綜して、うしろでほぉいほいってやってる人がさういへばってふ、て思った作者の眼前に、の中にバカップルがいい感じで入る。ウンウン。

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2024年05月16日

Posted by ブクログ

好きです(唐突)
こんなにすばらしい、読んでいくうちにどんどん楽しくなって微笑ましくなる澁澤文学はやはり偉大です。『鳥と少女』からもうずっと澁澤さんの独壇場。私たちは彼の魔手によって翻弄されながらも、ときおり覗かせるほっこりエピソードでばっちり心を鷲掴み、読むのをとめることができません(笑)。

人的には、澁澤さんのいささか突飛な考察から、エロティックな展開へと飛躍する『女体消滅』や、去勢の動機を考察しつつ、どこか崇高な趣さえ感じる『閹人あるいは無実のあかし』がお気に入りです。

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2022年08月14日

Posted by ブクログ

久しぶりに読んで、実に面白かった。
こういうふうにかける作家はもういない。繰り広げられる澁澤ワールドが異常でも奇異でもない。美しい文学的想像力のたまものである。

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2019年05月13日

Posted by ブクログ

2008年10月14日~16日。
はずれ無し。
エッセイ風(エッセイか?)の作品も面白い。
ということは、大量に出版されている作者のエッセイも面白いということだろう。
いずれ揃えてしまうだろうな。

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2018年01月06日

Posted by ブクログ

 短編集。
 フィレンツェの変わり者の絵描き、ペルシアを征服するティムールと詩人の会話、鬼の使わした美女に惑わされる中納言、火山に魅せられて命を落としたローマの火山学者プリニウス……等々、歴史上の人物について遺されたエピソードをもとに、想像の翼を広げてつづられた一冊。

 興味深く、幻惑されるような面白いエピソードも多いのだけれど、残念ながら、私には『興味深い』の域を出なかったかなあ。のめりこむようには読めませんでした。
 理由ははっきりしていて、相性というか、私の読書姿勢がよろしくないんです。
 前に『高丘親王航海記』のレビューでも、似たようなことを書いた気がしますが、「これは私(作者)が書いたお話なんですよ」ということを、作品中で前面に出してあるので、なんかつい、一歩引いてしまうんですよね。面白いんだけど、なんだかちょっと遠くから眺めてしまいました。

 もっとも、そういうのは私のただのワガママで、メタフィクション全般が駄目だっていうんじゃなくて、むしろ作者さんや作品によっては、そういう書き方が効果を発揮していると感じるケースもあるので、手法そのものを丸ごと批判するのは、望みじゃないんです。

 そして、はまれなかったといいつつ、なんとなく、はまりそうな要素があるなあ、とも思うんですよね。語りが好みにあわないだけで、題材的にはかなりツボなんです。歴史には暗い私ですが、史実の部分にしろ、空想の部分にしろ、面白いエピソードがいっぱいあって。
 悩むところだけれど、ひとまず判断保留ということで、澁澤氏の作品については、もう二、三冊読んで様子をみたいなあと思います。

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2010年09月06日

Posted by ブクログ

全編、再編集の賜物である。故事、書物、国を問わず、時代を問わず、盛り込まれた様々な物語を再編集し、ひとつの形にする。
考えてみれば、その手法が現代においては加速しつつ、形骸化に向かっている。澁澤龍彦の場合はしっかり物語の根っこ、背景までも判った上での引用であるのに対し、昨今見かける引用は浅薄なもののように感じる。なぜだろう。
かつて書物の海を漂うように生きることが出来る時代があったのだろう。今の時代に生きているとその他の刺戟ときっちり付き合ってしまい、書物と向き合う時間が減ってしまう。その辺に問題はあるのだろう。もちろん、書物がすべてではないのだろうけれど。
澁澤龍彦とはまったくスタイルは違うが松岡正剛さんも書物の海を漂う人だ。その博識ぶりには驚くが、何よりもふたつのまったく結び付きようもないお題を出されてもつなげることは出来ますよ、という才能には恐れ入る。
「唐草物語」はタイトルと中身は基本的に連動していない。タイトルは中身の物語を統合するレベルのものとして考えられている。そんなところもちょっと普通じゃない。

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2009年10月04日

Posted by ブクログ

短編集。
実在した歴史上の人物や、故事などを作者なりにリメイクしてお話にしたものである。
物語に起伏は少ないが、読みやすい文字の量と神秘的な雰囲気がお気に入りである。

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2009年10月04日

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