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いきなりだが、性行為を中心とする、男女の性の有り様について、品格と機知を伴って、9編は描かれる。ただし1人称小説が多い。
山田詠美を「短編小説の名手」と評価する、評論家が現れたことも肯ける。
黒人男性との性行為を描いて出発したイメージの強い、山田詠美の作家としての成長を読む思いである。ネタバレを書いていられないので、関心を持つ方へはご1読を薦める。もっとも、もっと荒々しい世界を描き続ける作品を期待する、僕もいた。
彼女を見直して、後期の小説をもっと読みたい思いがする。
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はじめて読んだ山田詠美さんの本。
描かれているのは恋愛と罪の意識。
どれも都会っぽいおしゃれさとロマンチックさが詰め込まれているかんじがして、なるほどこれが山田詠美かと思いました。笑
歯が浮くようなセリフを堂々と言う登場人物にすこしドキドキしたり(外国っぽい!)泣きそうになる切ないお話もあったり。
特に忘れられないのは「熱いジャズの焼き菓子」と「瞳の致死量」 ダントツで好きだった。
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自分の男が人を殺したってどうってことない。けれど、自分の男が自分ではない女のためにポリシーを曲げるのは許せない。
恋愛はミステリーじゃなくてサスペンスかな。ふたりは常に共犯者で、裏切るのは恋が終わるとき。
瞳の致死量とYO-YOがすき。
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9つのお話が入った短編集。
「おれ、今日人を殺してきちゃった」
もし、自分の愛する人にそう告げられたら。
自分の愛する人は、ださくてもボロボロでも、どんな状態でも愛しくて、
例え彼が人を殺したとしても、その事も女心をつかむのかもしれない。
愛する人に愛を囁かれるように、そう告げられた黒木。
彼は、自分の彼女を名字で呼ぶ。それが彼の(ちっぽけな)主義。
「順子に悪かったな。」
愛する人から出てきたこの言葉が全てを終わらせた。
だって私の名前は、黒木みどり。
人を殺したこと、ずっと外に出ずお風呂の無い部屋で二人で過ごすこと、愛する人をかくまうこと、全て許せたはずなのに。。。
愛する人が他の女のためにちっぽけな主義を曲げたことは許せなかった。
男の人には分からないかもしれない。でも、私にはよく分かる。泣きたいのに泣けない、みどりの気持ちが。
「体には、誰でも性的な匂いがまとわり付いている。」
でも、それに気づいているか、いないかでは大きな差がでる。
性的な匂いって人によって違う。
自分の性的な匂いを知ってる人と知らない人。
自分をどれだけ魅力的にみせれるかが、ここだと思う。
そして、その自分の匂いをかがせることで、その匂いにひきつけられ離れられなくなる人がいる。
マグネットのように。
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一時期彼女の書くものは全部一緒じゃないか、と思ってたが、『姫君』を読んで見る目変わった。
日常を生きる人がいきなり犯罪と関わる・・・というのはよくあるし、私が好きな乃南アサも書きまくってるが、書く人によってこんなに違うんだ。
話としては『アイロン』が好きだけど、最後の『最後の資料』には泣いてしまった。
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罪って何かって考えさせられる作品☆
教師と生徒の恋愛ですが・・・
教師はやがて罪を犯してしまいます。。。
でもほんとに罪なのは?
ミステリアスな生徒はやがて
大人になっても男性の心を
掴み続けるのです☆
女の怖さもありますが
魅力的です☆
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彼女の文章は何でこんなに艶と色気があるのか。
まるで上等なカクテルを飲んでるみたい。
久々に山田詠美さんの本を読んで、
あぁ、この人はこんな文章を書くんだと
改めて認識した。恋愛そして己の
罪と罰をモチーフにした短編集。
一つ一つ光るものがあって、
私はとくに最後の資料が好き。
さらりと読めるんだけど、それでも
とても印象に残った。一つ一つの言葉、
文章、行動がきらりと光り、心に残る。
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1番刺さったのはあとがき。
「人との関係を作って行く時、必ず、後悔という事態に遭遇する。」
泣いたのは、最後の資料。
憧れたのはマグネットの由美子。
好きなのはYO-YOの門田くん。
しかし、性格的に近いのはアイロンの私かしら。
(電車で何かが起きたことは無いけれど)
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10年前の作品と思えないぐらい、今の時代の若者にマッチしてると思う。
罪を犯さない人っていうのは、現実問題いないような気がする。
日常生活の中で、罪は日常と非日常の間にあるような気がして、私も日常を生きるのに疲れたとき、日常を憎んでしまったとき、罪にぶつかってしまうんではないかっていうのはある。
罪についての短編集と最後のお話は義理の弟さんが病で死んでしまったことで描かれた短編集です。
あとがきもハッとさせられました。
大満足です。
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文章のセンスの良さににやっとしてしまった短編集。
ノスタルジックでエロティックな、小さな「罪と罰」の集まりで、読んだからといって泣けるわけでも、そんなに深く考えさせられるわけでもないのだけれど、どことなくユーモラスで、大人の女性の読みモノだと思いました。
この本を持ってなら、一人カフェ2時間はいけますね (笑)
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恋愛の中にミステリー要素を加えた秀逸作品。愛してる人が殺人を犯した。でも愛してるから許せる。だけど、他の女と寝たことは許せない・・・。
愛という、複雑で奇妙な生き物が己に巣くったとき人々はもう一人の自分に出くわす。
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「アイロン」「最後の資料」
内容は全く違うけど、流れるように注がれる。
リズムのよさが、この人の持ち味だよなぁ。
ちょっと買った事を後悔した位流し読みの1冊だけど、
最期の「最期の事件」で好きな1冊に
好きだ、って軽くいうのがためらわれるけど。
私の手はきれいだ。
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殺人、売春、覗き、痴漢、放火などの罪とそれに対する罰をテーマにした短編集
『解凍』と表題作の『マグネット』が面白かった
言い回しが絶妙で何度も読み返したくなる
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法で裁けない罪と、それに対する罰をテーマにした短編集。
この作者は2冊目なんだけど、前に読んだのが「ぼくは勉強ができない」だったため、ちょっと雰囲気の違いに驚いたかな。
それぞれの話が独立した文体や雰囲気を持つのに不思議と統一感があって読みやすい。多少、昭和の香りがしたのは私だけかなぁ?(それもまた良かったんだけどね)
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いつものことながら、男の人と女の人のいろんな関係を書くのが上手だなあと思います。詠美さんの本を読むと、もっともっといろんな人に出会いたいと思います。この本もそう思わせてくれる本のひとつ。
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「犯罪」にまつわる、9つのストーリー。
作品一つ一つの良し悪しはあるけれど、全体的に好感触。
殺人を犯した男との愛の生活を「熱いジャズの焼き菓子」、教師と生徒の秘密の時間「マグネット」、電車内で見かける彼に妄想する女「アイロン」。どれも作者の独特な雰囲気を漂わせる作品で、非常に良い。
特に覗きを繰り返す恋人「瞳の致死量」のラストには、「上手い!!」の一言。言葉遣いが絶妙。
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ようやく分かった。僕は、山田詠美的な格好良さが苦手だ。多分、そういったら、山田詠美に「あなたは選ぶ側じゃない。選ばれる側よ」とか言われそうだ。遠くで眺めて満たされる「かっこよさ」なんだろうな。向き合ったら、逃げると思う。
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例えば、小説の書き方教本とかに載っているルールのどれにも則っていないのに、こんなにもカッコよくて面白い。山田詠美さんの文章はやっぱりすごい。イカしたラブアフェアのお話から、殺人、罪、死をテーマにしたお話が9つ。
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犯罪っていう共通のテーマの9つの短編集。あとがきには「きわめて個人的な罪と罰の物語」って書いていた。どういう罪なのかと簡単に言ってしまえば、「熱いジャズの焼き菓子」は殺人や「解答」は放火のような犯罪らしいものから、「YO-YO」の売買春、「マグネット」は強制猥褻は関係ある二人で簡潔している罪だったり、きわめて個人的っぽい「COX」、そして最後のノンフィクションといってもいい「最後の資料」。うちのお気に入りは「熱いジャズの焼き菓子」と、「マグネット」と、山田詠美の面白さが顕著な「アイロン」!そして「LIPS」では彼女の凄さを再確認!でもやっぱり一番好きなのは、あとがきかもしれない・・・。
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毎朝の通勤電車で痴漢に遭いながらいつも同じ車両に乗り合わせる若い男相手に妄想繰り広げている『アイロン』が笑えた。この人は女性視点の気楽な一人称書かせたら一級だなあといつも思います。
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「YO-YO」の主人公のツッコミには笑った。「熱いジャズの焼き菓子」「解凍」が好き。女性の書く恋愛を久々に読むと新鮮。ううむ、偉大だな、恋愛。してみたいなぁ、動物的な恋愛(笑)
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美しくて痺れるような罪の短編集。以前に読んだ時にすごくいいと思ったので読み返してみたら「うーん」という感じでした。あまり中身はないような気がします。ただ文章を楽しむにはいいかな。
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これもまた「わからなさ」がいっぱい詰まったAMYの小説。わからなさ を楽しむと同時にAMYの小説を読み終わると断片的に印象に残る言葉がいつもある。
マグネットだと、「黒木、バナルなゲーム」「チェリーパイ」「今日は、ぼくが買います。」「ダンケとメルシー(瞳の致死量)」「LIPS、誠実」「資料室」「脳みそさん」
これらの言葉で、内容とさまざまなフレーズを思い出した人も多いはず。人生の行間、恋愛のグレーな部分、甘酸っぱさとせつなさとかを、こういった言葉で読者同士で共有できちゃうのもすごいことだよね。
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初めて読んだときはすっごい恍惚感に浸れたのに、今読むとそーでもない。ほんとに山田詠美はロマンチストだなと思う。ちょっと狂ったぐらいが丁度いいみたい。
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熱いジャズの焼き菓子。
恋の焦がれていた人が
この小説の中には生きている。
彼は人を殺して彼女を苗字で
読んでいるけど
やっぱり彼なんだ。
もうどこにも行かないで
ここにずっといてくれないか。
もうこの小説は読めない。
俺には夜に見る夢しかないなんて
泣かれたら
私は地獄にだって落ちるだろう。