【感想・ネタバレ】富士山頂のレビュー

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Posted by ブクログ

感動の野武士伝説

 富士山頂への気象レーダー建設物語。

 作家でもある気象庁課長が通信メーカーと一緒に一大事業を成し遂げる。名誉のため採算度外視で受注活動を繰り広げるメーカー各社。

 事業は一社でやるべきと主張する気象庁課長の主人公。ドラマがそこに生まれる。

 主人公の政治的圧力をも跳ね返す意志力。圧力でどうしてもメーカーに分割発注しないといけなくなったときの心、さらに逆転でそれを跳ね返して一社で工事をやり遂げた達成感。

 建設会社の現場監督の言葉もいい。

工事の完成は人の数でも技術でも金の力でもなく、人の気持ちだ

 完成後のパーティーで、機械予算は取ってそこで働くことになる人のための予算が少ないことを所員から責められるのだが、黙ってそれを聞く主人公の心の動きも鮮やかに書かれている。

 富士山頂レーダー建設を背景にした主人公の心の物語であるとともに、新田次郎その人の私小説のような気がして、この作品は私にとって新田次郎作品ベスト3に入るものとなっている。

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2011年09月16日

Posted by ブクログ

富士山レーダー建設を通しての人間ドラマ。気象庁に勤めていた頃の作者の体験を元に書かれた小説。
NHK「プロジェクトX」の第1回目が富士山レーダーの話で、ラストに作者も紹介されてました。

新田次郎は、文体や作品の目線や作者近影が見るからに優しそうなのに、満州からシベリアへ抑留された過酷な経験をしていたり、奥様の藤原ていによると結構子供っぽかったり怒りっぽかったりしたらしく(要するに邪気がないのかな?)、藤原さんの満州引き上げ体験記やエッセイなども興味深いです。

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2011年04月18日

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調達、入札、納入に関わる企業小説としても、生まれた以上、一生を賭けて後に残る仕事をしたいと思わせる教養小説としても、とても面白い。

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2018年10月14日

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富士山頂に気象レーダーを建てる計画を軸に展開する人間模様。自身の経験を織り込みながらのエピソードは説得力がある。

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2009年10月04日

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富士山にレーダーを設置するというロマンとそれに対する役所内部のドロドロしたものや施工業者との軋轢がとても興味深く楽しめた。
半世紀ほど前のお話なのだが新田氏のリアルな経験が切々と語られている感じ。
それにしてもお役所という所は何十年経っても変わらないシステムなのだなぁと感心したり呆れてみたり。

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2012年07月06日

Posted by ブクログ

新田先生の作品の中では、今の所一番好きです。
自分が読めてる中では、って事だけども。
映画も、こちらの方が好きだなあ。
まあ、これは自分ですよね〜、って感が、
一番描かれてる作品ではあるし、
主人公、祐次郎だよ〜、って思いはありますが、
自分はこの作品面白かった。
DVD出たら買うのになあ。
「映画は映画館で観るものです」とか言った、
祐次郎さんの言いつけで、出てないのが残念だ。

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2011年02月20日

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時として、頭の中で「地上の星」が大音響で自動スイッチ入るような…(笑)
もはやプロジェクトX症候群。
それにしても、著者自身がモデルだとしたら、カッコよすぎます、葛木課長!

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2010年12月19日

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大げさな語り口ではなく淡々と語られているせいか、登場人物たちと同じ気持ちで富士山レーダー完成に向けて邁進でき、案外サラリと読めてしまった。
著者が実際に携わっていただけに、様々な側面から絡む人間模様は実録のようで興味深い。

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2009年10月07日

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▼読むきっかけ
 NYマラソンツアー中に読書。

▼読んだ感想
 第1回プロジェクトX「巨大台風から日本を守れ」には
 描かれていない悩ましい苦しい場面も熱くなれる。
 来年も富士山に行こう。

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2009年10月04日

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NHKプロジェクトXの初回放送のエピソードとして有名になった
富士山頂にレーダーを取り付けるという壮大な計画に関わった男たちの奮闘の物語、作者自身が登場する、自伝的な小説にもなっているのが面白い

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2009年10月04日

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気象庁が富士山頂に当時世界一の気象用レーダーを設置する、完成するまでの苦労話を纏めたドキュメンタリー小説。
予算獲得、業者選定、機材の運搬、高山病対策、夏しか作業出来ない短期集中の環境、最後に省庁の壁による検査等々の苦労。
最後の工事完了間際に襲って来た台風には宿舎が吹き飛ばされ、工事責任者も吹き飛ばされ命からがらの難工事。

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2012年01月27日

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この時代の役人は、まだ、なにもなかったこの国の社会基盤を造り上げる、という強い熱意をもって働くことができたのでしょう。

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2012年01月17日

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山岳小説家として著名な新田次郎が、気象庁測器課長時代の実体験に基づいて富士山レーダー建築にまつわるエピソードを気象庁退職後に書いた本。小説という体裁をとっているが、彼の体験をもとに書かれたドキュメント。
文中では社名・個人名は仮名となっているが、東芝(文中では相模無線)に対する新田氏のあからさまな敵意が書かれている点が興味深い。
役所の意思決定の論理を把握したうえで、事業をやり遂げるために順番を追って根回しをしていくプロセスが書かれている点では、役人小説、ともいえるが、同じ役人出身の堺屋太一の著作より数段面白い。

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2009年10月28日

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