【感想・ネタバレ】ゲーセン戦記 ミカド店長が見たアーケードゲームの半世紀のレビュー

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良かった。軽めで1日で読めた。ミカドの配信が何故あのスタイルなのかとか、他店舗運営の理由とか、ポラックスとか、いい本だ。
なんだろ、初プレイで3キャラ目にやられるんだけど、これ面白いなってもう一回100円入れたくなる感覚。

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2024年02月27日

Posted by ブクログ

ネタバレ

秋葉原の書泉ブックタワーで見かけた、ミカド店長が書いた本。これまでアンテナに引っかかってなかったのでこの機会に買っておいた。積本になりかけていたが、読み始めたら一瞬で読み終えてしまった。読みやすいのはあるが、それよりも自分の興味に合いすぎていたというのが大きい。ミカド店長と同じ世代ではないが、自分もゲームセンターには通い詰めた一人だから、各章の年表にあるゲーム、大体知ってる。でも今あらためて見直してみると、1995年なんてストZERO、ヴァンパイアハンター、KOF95、サムスピ斬紅郎無双剣、バーチャロンが出てて激しすぎる。というか1994から97くらいが毎年フィーバーしていた様子。確かに自分も学校帰りの駄菓子屋に置いてある筐体でKOF94やサムスピとかやりこんで、たまに先生に怒られてたなぁしみじみ。

店長自体が昔からアーケードゲームを遊び、運営し、という歴史を作ってきた人のひとりなので、タイトルの通り店長の苦労と共にゲーセンの歴史と業界の苦労が語られる。それにしても自分でも覚えている、コロナ禍の営業縮小に際してゲーセンには補助金は出ないというのは外野から見てもひどすぎたなぁ。また、昔の筐体や基盤買い切り時代から、ネットワークや運営系になってきてからのメーカー側の搾取たるや。ゲーセンがないと生きていけないのに、そっち側の苦労を考えずに商売してきた/している感があるな。どっちかというと小さいゲーセンはもう眼中になくて、色々な遊びが詰まっているアミューズメントセンターをメインターゲットにしてお金を吸ってるんだろうなぁ。ただ、大きいところは体力があるだけで、別にそれほど儲かってないのではないだろうか。100円を払うというところでは変わらないわけだし。今後もどんどん不安になっていくゲーセン文化。100円を落としに行きたいが、近所にいわゆるゲーセンがそもそも存在しない!UFOキャッチャー、メダル、パチンコを置いてゲームセンターと名乗っているエセセンターしかないよ… でもまあ、経営の話を聞くとそうなるわな。
ミカドがやってきたように、ネットワーク系を全排除して昔のゲームたちに原点回帰したというのは正しいんだろうな。でもそうなるとアーケードゲームを作っている側の存在意義とは一体…

合間合間にコラムが挟まるが、それがまた毎回面白い。ミカドでは上海2がインカムトップタイトル。予想外すぎるけどまあ、ミカドだからむしろ予想外すぎはしないのか。そしてそう言われると遊びたくなってしまう謎。ついでにネタ扱いされているポラックス遊びたくなった。
格闘ゲームが流行り始めた頃の話も、リアルで体験してきていたのでとてもおもしろい。って、さすがに流行り始めた頃はまだ自分はハマってなかった気もする。でも対戦ゲームで横並び台とか、下手すると隣同士で膝を擦り合わせながらの対戦となると絶対嫌なので、相手の顔が見えない対面型対戦代が当たり前と思っていたが、このやり方はメーカー側ではなく、福岡のゲーセン「モンキーハウス」が始めたやり方らしい。えらい〜。まあ、自分はあんまり対戦してなかったけど…
そんなゲーセンに関する豆知識的なもの以外にも経営に関する知識もちらほらあって、なかなか役に立つ。いや、個人的に役に立てられる機会が来るとは思えないけども。
景品原価率に関する説明もあり、あの頃から景品の原価は800円としていて、取るまでに大体2600円使ってもらうものだったらしい。UFOキャッチャーやってた頃は2600円なんて絶対かけたことないわ。むしろ100円で3つとか取ってた記憶。…だからあのイトーヨーカドーは潰れたのかな!
筐体の仕入れやメダルゲームの売上計算とかも、ゲーセン運営の中身を知れて非常に面白い。メダルゲームの売上というのは読んでもよくわからんかったけど。なんか一度まとめて買ったらずっと遊べてしまうイメージがある。

自分も支援した(はず)のクラウドファンディング、二回とも成功してなんとか生き残ったようだが、クラファンの収入というのは雑収入になるので、金額が大きければ大きいほど税金も高くなるらしい。ファンディングの意味とは。税金のシステムがクラファンに対応してないやんけー。これ、200万ゴールとかにしたのに「大成功」してしまって3000万とか入ったら税金で死んでしまうのではないだろうか。

割と初期の頃から配信自体はしていたミカド、今はyoutubeチャンネルが登録者数10万人到達していた。すごすぎる。
本では配信の力という章になっており、もちろん店長の力と継続は力なりだとは思うが、店員のあの人がとかお客のあの人が大活躍したのを読んでいると、配信の力が半分、そしてお客に恵まれた、人の力とコミュニティの力が残り半分くらいあったとは思った。とか言いながらとりあえずyoutubeチャンネルを見に行くか… で、見に行ったらマジで毎日なにかしら配信しててすごい。これは配信の力だわ。すみませんでした。チャンネル登録しました。

別店舗や海外店舗なども出してようやく経営が安定してきたらしいミカドでも、店舗売上が8割、グッズやDVDなど他の収益が2割で2000万円とメインの仕事だけではやっていけないらしい。今の御時世、メインの仕事だけではやっていけないというのが当たり前になってきて切ない。多角経営は大変だよぉ〜。

「2019年あたりにある有名対戦ゲームがリリースされたが大コケ」とあり、他のゲームは褒めてるからか全部名前を出してるのにこれだけ匿名!気になる!

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2024年01月12日

Posted by ブクログ

僕はかつて、多くのギャラリーを従えてノーミス全クリするようなゲーセン少年だった。しかし、気づけばもう何十年もゲーセンに行っていない。行ったかもしれないが、お金は使っていない。最後に使ったのはプリクラか、UFOキャッチャーか…?
そう、ゲーセンは、そういう明るい機械たちに席巻され、本書の舞台である「ミカド」のような薄暗いゲーセンは絶滅危惧種である。
ゲーセンは1989年に2万2000店を数えるが、2019年には4000店と激減している。スマホゲームの台頭、オンライン化による高負担(メーカーにインカムの3割を上納させられる)、コロナもあったし、近年では電気代の高騰もそれに拍車をかけるだろう。
世の中で値上げがどんどん行われる中、いわゆるビデオゲームは、100円のまま。もともと高額設定のマシンもあれど、100円設定のものを、120円に、とはならないわけで、これは厳しい業界だ…。
新しいものはどこにでもあり、競合すれば価格の戦いになってしまう。どの業界にも通じるような話がゲーセンにもある。では何で差別化するか。そんなビジネス的な話が根底にある、にはあるが、90年代ゲーセンを知らずにビジネス書として読むには無理がある。当時のゲーセンのことをよく知っている層が、そうかゲーセンもビジネスだったのか、と振り返り、そして著者のアイデアや行動力に震える。そんな本である。

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2024年01月01日

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ゲームセンターの歴史を振り返ると確かに子どもの頃と今ではゲームセンターの在り方が変わったのは間違いない。個人的には昔の少し薄暗い怪しい雰囲気のゲームセンターが好きだった

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2024年02月15日

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ネタバレ

ゲーセン戦記
ミカド店長が見たアーケードゲームの半世紀

著者:池田稔
聞き手・構成:ナカガワヒロユキ
発行:2023年6月10日
中公新書ラクレ

ミカドというゲームセンターは、「ゲーマーの聖地」として国内、海外でその名が知られているらしい。現在、高田馬場2軒と池袋の3店舗があるが、いずれも、ほぼレトロゲームだけで経営がなりたっている。その創業者で店長を兼ねる著者の〝成功物語〟だけれど、決して大もうけしてはいない成功物語だ。つまりは、ゲームセンターそのものが成り立つ時代ではないのに、立派に成り立たせているだけでも大成功と言えるんだろうということが分かる本だった。

ゲームって家庭かスマホでする時代だと思っていたが、それに対してゲーセンでするゲームを「アーケードゲーム」というらしい。始まりは、横浜のデパート屋上一角に設置された木馬だそうで、それがナムコだった。いうまでもなく、日本のアミューズメント業界を大きく発展させた会社。1974年生まれの著者は、子供の頃からゲームが好きで、ゲームセンターを経営するのが夢だったが、ゲームが好きであることはもちろん、きっとゲームセンターが好きだったのだろう。いかないと分からない、文化がそこにはあるようだ。カリスマプレイヤーの技を見たり、対戦相手と交流したり。

そんな「小さな文化」を守りたい、という思いで、いまも必死に頑張っているようだ。配信ゲームの台頭、ビデオゲームの衰退、そこへ襲いかかった東日本大震災。ダメ押しはコロナだった。それでもなお、ゲーセンは残る、アーケードゲームは残るのである。

読んでいても、ゲーム事情にうとい僕は、理解できない部分がたくさんあった。言葉が分からないし、分かりやすく説明されてはいるのだろうが、やったことがないのでイメージが膨らまず、その画が頭の中で描けない。でも、なんか伝わった。きっと、著者がレトロゲームでこの文化を守ろうとして頑張っているからだろう。

最初は、1974-1996の歴史、著者の歩みが章立てになっていて、年表がついている。そこには、
1972年 ポン
1974年 ポンダブルス
1976年 ブレイクアウト
1977年 サーカス
1978年 スペースインベーダー
1979年 ギャラクシアン・・・・・
などと続く。やったなあ、ポン。卓球をイメージしたやつ。飛んでくる球を受けて跳ね返す。段々スピードが早くなっていく。相手側に入れたら勝ち。
それを相手側に入れるのではなく、ブロックを崩していくようにしたのがブレイクアウトだった。それを擬人化して、シーソーで人が飛んで風船を割っていくのがサーカスだった。全部割った時に流れる音楽は今でもよく覚えている。
インベーダー以降は、言うに及ばず。無茶苦茶やったし、お金を使った。

著者が本格的にハマったゲームは、1983年のゼビウスらしい。小学生の頃。ゼビウスは、辛うじて重なるかな、僕も。でも、その後はほとんど知らない。アメフトゲームぐらいしか記憶にない。ピンボールのブラックナイトなら、夢中になった。

1995年はゲーセンに熱気がある時代だったらしい。バーチャルファイアター2(1994)のブームが大きい。地下鉄サリン事件、阪神・淡路大震災、エヴァンゲリオンブームなど、世の中が混沌としつつ熱気に溢れていた。1997-99年の2年は、対戦格闘技ゲームの黄金期だった。

UFOキャッチャーで出す景品については、30-35%を原価率にしている店が多く、800円の景品を出すためには2400円のインカムが必要。しかし、機械的にそういうペースで出すと、まったく取れないという感覚になってしまうそうで、アームで景品は動くが、途中で落っことす、ちゃんと動いたからゲームをやった気になる、というさじ加減が店のノウハウだったらしい。しかし、今の機械は確率機が多く、何回かに1回、アームの強さが変わったりする、機械側で確率を設定できるようになっていて、ノウハウが必要とされない。

1997-2005

対戦格闘技ゲームの時代が一つの節目を迎えたとき、女子高生という新たなユーザーがゲーセンに登場。プリント倶楽部(1995)の登場。やがてプリクラだけの店が原宿などに登場。プリント倶楽部の開発元のアトラスがゲーセン以外の駅やコンビニにも置くと、とたんにゲーセンの売上げは落ちた。

続いての救世主は「音楽・リズムゲーム」で、通称「音ゲー」。「ビートマニア」(1997)に始まり、プリクラとならぶ「神風」に。

2000年代になると、ゲームはデータ化され、メーカーとゲーセンは回線で結ばれて使用するごとに課金されるシステムが主流になる。これが、結果的にゲーセンを衰退させることにつながっていく。

著者は、最初はメーカーとゲーセンの間に入るディストリビューターで働き、転職して、今度はゲーセンも経営する会社に入って実際のゲーセン店長をする。そして、起業を決意するが、自分でゲーセンをするために2000万円が必要であることが分かり、資金がないので一緒に辞めた仲間とゲーム攻略DVDなどを作り、販売した。最初に1000万円の振り込みがあったときの感覚はすごかったらしい。しかし、これもストリーミングの普及とともに動画は無料で見る文化が定着し、衰退していく。

ゲーセン経営へ

やっと、2006年に念願だったゲーセンを歌舞伎町にオープンした。元々のゲームセンターの居抜きだった。しかし、2001年に歌舞伎町でおきたビル火災をきっかけに、所有者がはっきりしないビルのチェックが厳しくなり、その影響で2年で立ち退きを求められた。移転したのは高田馬場だった。この業界のやり方を使ってのオープン。2009年だった。それは、家賃は無料でゲーセンを経営し、インカム(機械に入ったコイン)は家主と折半というやり方だった。月売上げ1000万円目標で、最低保証で350万円を約束してやらせてもらった。無茶な計画だったが、イベントを開催するなど工夫でしのいでいく。ところが、東日本大震災。ゲームどころではないという風潮に。

この後も、いろんな危機を乗り越えながら、なんとかやっている。逆に、店舗も3店に増え、フランチャイズも。

ゲーセンをするポイントの一つに、店員があるらしい。ロケーション(店舗)とコンテンツがそろえば、次は人。最も大切なのが店員。個性的なゲームセンター店員は自分たちのお客を持っている。1980年代から事情は変わっていない。カリスマ性のある店員がカリスマプレイヤーを集めて。自らの店のスコアを上げ、全国ランキングで名前を売る、というのが1980年代のスコア文化を支えていた。1990年代に対戦格闘ゲームブームが来ても、店員とプレイヤーのつながりは本質的に変わらなかった。

今、ゲーセンは配信も収入の柱になっている。ゲーセンでの対戦の中継。それを見て来てくれるし、有料配信もしている。グッズを売ることにも繋がっている。今、YouTubeチャンネル登録者数は約10万人らしい。

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2023年08月15日

Posted by ブクログ

ゲーセン業界と店舗経営のドキュメンタリー。本書を読んだ理由は、私もアーケードゲームのプレイヤーの一人として業界の動きを追いたかったから(業界の新刊を読まないと追いていかれる)。
個人的な好みとしては、ミカドを経営するまでの話は昔すぎるせいか説明的に見えてしまって少し退屈だったけど、ミカドを始めてからの章は経営上の苦労が語られていて興味深かった。特に大規模震災や感染症の流行などの災害による社会環境の変化や、逆境の中で生き残るための企画、イベントビルオーナーとのやりとりなどは、業界が違っていても仕事をする上で参考にしたいくらいに見応えがあって良かった。
昨今のゲーセン業界の縮退は消費税増税の影響も大きいだろうと考えていたが、本書では特に扱われていなかったように思う(私が見落としてなければ)。特に2014年4月1日の5%→8%の増税は私も現役で見ており、この直前の2月〜3月、そしてこの年の6月や9月にゲーセンの閉店が多かったように記憶している。本書では何かの事情で言及を避けたか、実は影響が小さかったかのいずれかかと思ったが、終盤に新型コロナの影響が非常に大きかった話が書かれていたため、相対的な影響の大きさで取捨選択されたということかもしれない。

136ページ
僕の実況は完全なアドリブではなく、ある程度は準備している。お客さんに「へえ、知らなかった」「そうなんだ!」と思ってもらえるよう、事前にできるだけ調査をしなければ配信のクオリティは上がらない。
→参考になる。ファシリテーションなどする際の姿勢や、個人的な動画配信・トーク配信などに応用できそう。やはりデキる人は見えないところで努力をしているんだ。

202ページ
振り返ってみると、1980年以降のゲームセンターの歴史のなかで、コロナ禍に翻弄されたこの2年間ほど過酷な年はなかっただろう。おそらく歴史を振り返るとき、ここを転換期とみなすことになるのはまちがいない。
→前述の新型コロナの影響が大きかった話はこれ。

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2023年07月15日

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