僕はかつて、多くのギャラリーを従えてノーミス全クリするようなゲーセン少年だった。しかし、気づけばもう何十年もゲーセンに行っていない。行ったかもしれないが、お金は使っていない。最後に使ったのはプリクラか、UFOキャッチャーか…?
そう、ゲーセンは、そういう明るい機械たちに席巻され、本書の舞台である「ミ
...続きを読むカド」のような薄暗いゲーセンは絶滅危惧種である。
ゲーセンは1989年に2万2000店を数えるが、2019年には4000店と激減している。スマホゲームの台頭、オンライン化による高負担(メーカーにインカムの3割を上納させられる)、コロナもあったし、近年では電気代の高騰もそれに拍車をかけるだろう。
世の中で値上げがどんどん行われる中、いわゆるビデオゲームは、100円のまま。もともと高額設定のマシンもあれど、100円設定のものを、120円に、とはならないわけで、これは厳しい業界だ…。
新しいものはどこにでもあり、競合すれば価格の戦いになってしまう。どの業界にも通じるような話がゲーセンにもある。では何で差別化するか。そんなビジネス的な話が根底にある、にはあるが、90年代ゲーセンを知らずにビジネス書として読むには無理がある。当時のゲーセンのことをよく知っている層が、そうかゲーセンもビジネスだったのか、と振り返り、そして著者のアイデアや行動力に震える。そんな本である。