娘の交友関係に揺れる夫婦、女学校の同級生の和やかな友情、
アパートの住人同士のささやかな交流…
この物語に描かれるのは、そういったどこにでもいそうな人々のすれ違いと触れ合いです。
しかしそこは名手・よしながふみ先生。
「マンガが……うまい……」としか言えなくなる心憎い間合いと展開力で
唯一無二の人間ドラマに仕上げています。
生きた時代も性別も状況も違う登場人物の共通点は「環(たまき)」と「周(あまね)」という名前。
時間の流れやめぐり合わせといった言葉を連想させるところがまた素敵です。
よしなが先生はこの作品で時代を超えた、
名づけえないけれどかけがえのない関係性を描きたかったのでは!?と思ってしまいました。
貫録の筆致で描かれる、シンプルなのにとびきりおいしいごちそうのような作品。
オムニバス形式なので、あらすじで気になったものから読んでみるのもいいかもしれません。
ひとりでも多くの方に味わっていただきたいです。
感情タグBEST3
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オムニバス
環と周という二人が時代を超えて巡り合うオムニバスもの。
しかし並びをどうして年代順にしなかったんだろう。
戦後編の裏切り方がすごかったw
娘と洗濯の仕方で言い合いをするところが、めちゃくちゃリアル。洗濯を分けてしたい娘、もったいない、それならみんなの分をやるように言う母
受験を理由に拒否する娘、どんどんと話がずれていき、言い負かそうとする母、、、あーなんだかうちのやり取りみたい。
匿名
一話目
娘の朱里が女の子の友達とキスをしているところを目撃してしまった母親の環は夫に相談をする。
環はその友達に悪い影響をうけてしまったのではないかとオロオロするが夫にはある思い出がよみがえってきた。
それは同じように10代のころ同性の同級生を好きになってしまった過去があるということだった。
甘酸っぱい思い出だが進学や就職のなかで想いが薄れていったそのことを思い出していたが、朱里の思春期特有の父親に対する忌避反応が環を刺激してしまい、親子喧嘩になるなか彼女は娘に対してキスのことをばらしてしまう。
ひどく傷ついた娘をみて我に返った環だが家を出て行った娘が渋谷の交番にいるとの連絡を受けて……。
生きていく中で誰に惹かれるかということはわからないし、何年も経ってこういうこともあったなぁとしみじみ思い返せることもあればずっとひきずっていることもあるという自分の人生の振り返りをできる作品だった。