娘の交友関係に揺れる夫婦、女学校の同級生の和やかな友情、
アパートの住人同士のささやかな交流…
この物語に描かれるのは、そういったどこにでもいそうな人々のすれ違いと触れ合いです。
しかしそこは名手・よしながふみ先生。
「マンガが……うまい……」としか言えなくなる心憎い間合いと展開力で
唯一無二の人間ドラマに仕上げています。
生きた時代も性別も状況も違う登場人物の共通点は「環(たまき)」と「周(あまね)」という名前。
時間の流れやめぐり合わせといった言葉を連想させるところがまた素敵です。
よしなが先生はこの作品で時代を超えた、
名づけえないけれどかけがえのない関係性を描きたかったのでは!?と思ってしまいました。
貫録の筆致で描かれる、シンプルなのにとびきりおいしいごちそうのような作品。
オムニバス形式なので、あらすじで気になったものから読んでみるのもいいかもしれません。
ひとりでも多くの方に味わっていただきたいです。
感情タグBEST3
全話通して読めば良さがわかる
全話通して読んだ上でエピローグまで来て初めて、ああそういうことだったのか!と納得させられる。
単話で読むと何気ない人の交流で常に二人の主人公の名前が環と周だという共通点しかない。
時代順にすればという意見があったが、そうするとオチがわかってしまう。現代から遡ることによって結末を見て「ああ、良かったね」とそうだったのかが相まって感動が高まる。
単話ではなく一気に読んだほうが良い作品。