感情タグBEST3
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Posted by ブクログ
男心をくすぐる設定、世界観に没入できた。一見非現実的なように思えるが、実は自分の知らないところでこういう闇があるのではないかと思わせる作品だった。それも登場人物の感情描写だとか馴染みのある地名だとかが随所随所に散りばめられてるからではないだろうか。
伊坂幸太郎らしいどんでん返しもありつつその他の部分でも少しずつ繋がっていく個々のストーリーや人間のリアルがとても面白かった。
Posted by ブクログ
【2024年49冊目】
いやー見事、見事な作品でした。一回読んだことあったのですが、すっかり忘れていたので新鮮な気持ちで読みました。面白かったー!!
まずもって、こんなにも殺し屋に感情移入してしまう作品があるでしょうか。鯨、蝉、槿に、岩西。世間一般から一ミリ足りとも白の要素がなく、真っ黒な彼らの人間味をこれでもかというほど見せつけられて、完敗です。好きにならないわけがなくない…?
特に鯨にはずっと感情を奪い去られてしまいました。過去に自殺に赴かせた人達の幻影を見る彼は、罪悪感なんて感じていなかったんじゃないかとも思います。ただ、他人を自殺させることでしか生きられなかった人なんじゃないかと。蝉が鯨の瞳を見てしまった時の描写が鮮烈でした。そりゃ「人は誰しも死にたがっている」って言うよ。自分が視線を合わせた人が30回以上死んでるんだから。
勝手に想像力を働かせて、そんな特異な能力で最愛の人を死なせた過去があるんじゃないかという勘ぐりさえしてしまいますね。っかー!美味しい!(?)
主人公の「凡庸さ」も良かった。妻のために復讐したいという欲を叶えるために、他人を犠牲にする人間性がこれでもかというほどに滲み出る描写。「自分は悪くない。仕方なかった」と言い聞かせながらも、深層で罪悪感に苦しんでるんだろうなぁと思わせる人間の性。最高ですね。
一瞬、「押し屋」の彼が全く関係のない一般人だったらどうしようと思ってましたが、家族(偽)ぐるみで安心しました。お子2人は、通常ではない世界に生きながらもどうか健やかに育って幸せになってくれ…。
何が良いって、結局殺し屋がほとんど死ぬことにもあるのかもしれません。因果応報。多分彼らも納得してる。納得できる人たちだと思う。
伊坂幸太郎さんならではの架空の映画や人物にもすっかり騙されました。特に映画は「えー!観ようかな」と思ったらYahoo知恵袋で「そんな映画はありません」がベスト回答になってました、辛い。本当にあってくれ、観たい。そんな中で自身のデビュー作を言及するのずるくないですか?好き。
構成もキャラクターも結末も全部好みでした。
「駅にいる時も、通過する列車がいつまで経っても通り過ぎない、とか、この列車ずいぶん長いなあ、なんて思ったら、まずい兆候ですよ」
章が変わる判子も好きでした。
三人の視点が交互に語られ物語が進んでいくスピード感が最高。
比与子が孝次郎から住所を聞き出し、これから非合法な連中が槿の家に押し寄せてくる、という場面にハラハラした。
最後に寺原が死んだとなって、どうしてだろうと思ったら最初の若者が伏線だったとか、その正体もしっかり示唆されていたとかさすがと驚いた。
Posted by ブクログ
ハラハラドキドキ、スリル満点(満点ではないかな?)の今までにない作風のお話だった。
人を自殺させる「鯨」、ナイフで殺す「蝉」、この2人の仕事(殺人)シーンの描写が生々しくて(経験したことはないけれどね!)驚いた。伊坂さんは経験があるのか?!
そしてこの話にまさかのサプライズ!
オーデュポンの祈りのカカシの話と田中さんが!
Posted by ブクログ
殺し屋達が交錯する複雑な構成
それぞれのキャラクターがいい
特に主人公がひたむきで良かった
戦いあって負ける者がキチンといるのは個人的には好きだ
主人公の幻覚説があったけどマリアビートルでそうでは無いことがわかる
Posted by ブクログ
いろいろな視点から物語が進んでいってとてもおもしろい本でした。
ただ個人的にはそんなに好みではなかったです。すごく淡々と人が亡くなっていき、亡くなる人の話が少ないと感じました。
Posted by ブクログ
久しぶりに伊坂幸太郎の本を読んだ。
高校生だか大学生の頃、オーデュボンの祈りとか、その辺を読んでいた。
会話劇が面白くて、でもちょっとグロいな、とか10代の私は思っていたような記憶がある。
本作では2人の殺し屋と1人の一般人(?)の視点が代わる代わる切り替わりながら殺し屋同士の戦いが描かれていた。
登場人物全員、全然いい奴じゃないしなんなら大概人を殺しているというのに魅力的すぎる。何処にも挿絵なんてないのに顔や表情が浮かぶような描写が続く。
岩西と蝉の関係性が特に大好き。あんまり泣くような作品じゃないと思うけど、岩西と蝉それぞれの最期はちょっと、うるっときた。
蝉は心の底では操り人形でいたかったんだろうな、岩西は蝉のこと、しっかり可愛がってたんだろうな、というのがひしひし伝わってくる。死なないで欲しかったけど、めちゃくちゃ人殺してんだよなこいつら、という気持ちもあり複雑。
鯨の最後は幻覚にやられたのか、押し屋に押されたのか、はっきり描かれていなかったように思う。
そこだけははっきりさせて欲しかったかも。
鈴木を助けるために押し屋が押したんだと思っとこう。槿好きなので。
強烈なキャラクターである鯨の最期があまりにもあっけなくて、岩西と蝉のようなドラマもなく終わりを迎えたことが寂しかった。
まあ、めちゃくちゃ人殺してるしなあ。
槿はキーマンでありながら彼視点で描かれることはなかったけれど、これまた魅力的だった。
達観し全てを見透かしたようでどこか諦めているような感じもある不思議な男。なのになんだか優しさも感じたりして。
別のシリーズでも出会えるだろうか。
鈴木についてはめちゃくちゃ運のいい一般人だと思った。復讐のため悪事に手を染めているもののどこまでも一般人。
かっこいい殺し屋達のお話の中で、しっかりかっこよくない一般人だった、が、「結構頑張っている」と思う。
本当の危機が迫るまで実感が湧かず、楽観視してしまう気持ちなんかとても分かる。私も一般人なので。
本当にキャラクターたちが魅力的な作品だった。
トリックがどうのだとか、そういったミステリー小説ではないけど、さくっと読めてエンタメとしてとても楽しめた。
殺し屋シリーズをこれから読んでいくので、またこの、全然いい奴じゃないのにかっこいい殺し屋たちに出会いたい。
Posted by ブクログ
777を読んでみたかったので、シリーズの最初からチャレンジ
裏の世界の不思議なキャラクターが沢山出てきて、このメンバーでシリーズが続くのか楽しみだ、と思って読み進めたらどんどん対決してどんどん死んでいく…
恐ろしい世界だけど読み進めるうちにどんどん私の中の恐怖も麻痺して、劇団面白そうだとふと興味が湧いてしまった。(口が軽いからすぐに消されそう)
危機に対して大丈夫そうだと思ってしまうの分かる。実際自分も本当のピンチにどれだけ反応出来るか自信がない。危機感をちゃんと持たないと。慎重にならないと、という変な教訓を得た。
辻村美月みたいに本に出てきた人物に別の本の中でまだまた出会えるタイプのシリーズかな?次はマリアビートル。