【感想・ネタバレ】居酒屋の世界史のレビュー

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Posted by ブクログ

ネタバレ

学生の頃、ローマのオスティア遺跡で居酒屋の跡を目にして「こんな時代にもあったのか!」と酒好きの私はずいぶんと感激したものだったが、この本を読んで、今の時代とは全く違う存在だったのだと今更ながら理解した。冒頭で”つまみ食い的に紹介”とあるように、時代も地域も幅広に扱われ、全体的につれづれとした構成となっている。雑学を身につける感覚で、気になる章からパラパラめくって読んでもいいかもしれない。


☆以下覚え書き☆

・居酒屋はもともと下層階級向けだった。
・上流階級は居酒屋を軽蔑。お酒はお客に対し無償で振る舞うもの。お金をとるなんて無作法という考え方。
・居酒屋は宿泊施設を兼ねていた。
・居酒屋は銀行、就職斡旋、エンターテイメント、など多機能を備えていた。大衆が集まる公共の場だった(日本においては多機能型は産まれなかった)。
・教会ではワインやビールが造られていたが居酒屋も併設していた。巡礼者がお酒を飲んだ。結婚式などの宴会も開かれた。その後、居酒屋機能は分離し、教会の隣に作られたりした。
・そのむかし、西洋の人はベッドに入る際、シラミや蚤が服につかないよう裸になった(帽子は被った)。ナイトキャップは体を温めるために飲んだのか?
・古代ローマ人はマナーとしてワインを薄めて飲んでいた。
・キリスト教徒は飲酒に関して甘い傾向が。宗教改革の頃、プロテスタントの台頭により厳しくなっていったようだ。
・イスラム教もお酒が絶対だめということではないらしい。
・農村に居酒屋ができるには貨幣の流通が不可欠。

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2012年10月17日

Posted by ブクログ

久々に良書を読んだという感想。

居酒屋の発展を世界史の中で辿ることによって、貨幣経済がどのようにして農村まで広まったかということを論じる。貨幣がなければ居酒屋というのは成立しづらいし、さらに農村まで居酒屋が広がるには様々な条件が必要だった。ヨーロッパでは酒造りをしていた教会が、宗教改革によって聖俗分離が起きて、都市部に居酒屋が生まれたということ。地方では巡礼者のための宿屋兼居酒屋が出来て、それが貨幣経済の浸透にともなってコミュニティーの中心的な施設になっていった。また、中国では都市に茶館という居酒屋が出たものの、農村までは普及しなかった。韓国では貨幣経済が制限されていたのと、家造酒の文化があったので居酒屋文化が生まれたのが日本統治時代になってからということ。日本では江戸時代末期になって農村まで居酒屋が現れ始めたということが語られている。

近代化のパラメーターとしての居酒屋という視点は斬新で、こういう新書が沢山出るようになればいいなぁと思う。また、採り上げられている時代と地域の範囲が広く、参考文献も豊富なので、この方面を調べる際のとっかかりとしても最適ではないだろうか。

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2012年04月11日

Posted by ブクログ

無償で提供するのが当たり前だった酒が、貨幣経済とともに農村部に普及していく、そして多機能だったものが棲み分けされていく変遷史です。
日本においてはこの多機能さが生まれなかったということで、我々が感じる居酒屋というものと、世界での位置づけは全く違うと思ってもいいのかもしれません。
酒そのものの本ではなく、居酒屋的機能を通じた文化史で、素直に面白いです。
ヨーロッパの記述が多いので、ヨーロッパ渡航予定の方で酒好きはぜひ予習を。僕は復習になってしまいました。知っていたらいっそう楽しく飲めたかな。

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2011年10月06日

Posted by ブクログ

ネタバレ

ヨーロッパなどのカフェや飲食店の本は目にしたことがあるが、日本やイスラム圏や中国などを含めた居酒屋の話をまとめた本は珍しい。色々な国の食文化が垣間見れるダイジェスト本。読みやすく興味深く面白い。

びっくりしたのは居酒屋で抜歯まで行なわれていたということ。食べてる隣で麻酔もなく歯を抜かれている人を見たら、おいしいご飯ものどを通らなくなりそうだ。また、歯を抜かれた後に焼きたての鶏肉なんて見た時には、食べたいのに食べられないジレンマに苦しむことになるだろう。

何はともあれ、居酒屋で商談が生まれ、陰謀が企てられ、恋が芽生えるのは今も昔も世界各国変わらない事実のようだ。

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2011年09月17日

Posted by ブクログ

本邦初の居酒屋の世界史ってことだけど、酒場の文化史みたいなので結構ありそうだけどなあ。
ま、ともあれ酒好きとしてはなかなか興味を引く記述がたっぷりでよろしい。

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2017年12月23日

Posted by ブクログ

かつて居酒屋は、単に金銭に替えて酒を飲む場である以上に、社交場であり、娯楽の場であり、商取引の場でもあった。特に、ヨーロッパではそれに加えて、祭り・冠婚葬祭の宴会の場であり、銀行であり、巡礼宿であり、さらには裁判所であり、病院であり(当時、外科手術は「芸」であった!)と、実に多様な機能を持っていた。そして、そんな居酒屋の農村地帯への進出(普通、居酒屋は都市部にしかない)こそ、ヨーロッパが、世界に先駆けあまねく貨幣経済を浸透させた証左ともなっている。やがては、その多機能性から、ドイツ農民戦争、フランス革命、ナチス成立の舞台ともなった居酒屋。しかし今日、居酒屋はその繁盛のほとんどを失ってしまった。もとより宗教革命で教会から引き継いだ多機能性は、時代を経るごと、それぞれに分離独立していったのだった。古今東西の居酒屋を比較することで、ヨーロッパ文明の特徴を明らかにする一冊。

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2013年09月01日

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主にヨーロッパの歴史上の、著者の定義する居酒屋について書かれている。居酒屋の定義については色々な切り口があるかと思うけれど、大昔から今に至るまで、お酒を飲む人と飲める場所が存在するのですね。

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2013年02月19日

Posted by ブクログ

ネタバレ

ヨーロッパにおける居酒屋の社会史を考察する一冊。居酒屋は金を払って酒を飲む所だから、貨幣経済の浸透・封建制度の解体が前提になる。その意味で居酒屋の普及は近代資本主義国家への指標である。豊富なエピソードで楽しむことのできる「読み物」。

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2012年08月18日

Posted by ブクログ

膨大な数の文献から居酒屋という切り口で歴史を紐解くという、ある意味斬新な本。居酒屋の普及には貨幣経済の普及が不可欠、太古の居酒屋が持つ多機能性、宗教と居酒屋等々、かなり色々な観点で切り込んでいる。ただ、引用が多すぎてその「まとめ」的な感は否めなかった。しかし、人間っていうのは酒が本当に好きなんだなと再認識。好きすぎて禁止したり、おぼれたりするんだね。

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2012年02月04日

Posted by ブクログ

好きです。テーマがジャストミートです。
だからこそもっと深めて欲しかった…!「なので多機能性を持ちました/持ちませんでした。終わり」ではなく!

教会の役割が居酒屋に移ったっていうのは面白かった。協会と居酒屋が繋がってる所があったっていうのも。で、それはどこなんだいっていうところらへんが。

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2011年11月20日

Posted by ブクログ

居酒屋の世界史、タイトルも壮大ですが、まさに世界各地の大衆娯楽の世界史でした。
ヨーロッパから始まる貨幣経済の流れとともに、コミュニケーションの場としての居酒屋が発展した歴史がわかって面白かったです。
この本を読んで、発展途上国の居酒屋によると、意図せずして、その土地の貨幣経済の浸透度を測ることができるはずです。
居酒屋の日本史を考えてみるのも楽しかなあとふと思いました。

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2011年10月17日

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