【感想・ネタバレ】時間のレビュー

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Posted by ブクログ


元サラリーマン、ロジカルで透徹したお堅い文体だがそれがとても良く、労働の観念を主題とした作品群も何気に新鮮。内向の世代に挙げられつつも、彼の表現するイメージは伝わりやすいなと感じた。前のめりに継読。

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2022年10月20日

Posted by ブクログ

厳密に言えば過去に出版された、角川文庫版を読んだため、収録作が異なっているかもしれない。
「二つの夜」「聖産業週間」「穴と空」「時間」「騎士グーダス」「空砲に弾を」(収録順)計6作。
二つの夜は、会社員の主人公が上司に”ブツ”を探すように命じられるが、そのままブツを探せと言われているため、実態が分からないまま奔走するという話。穴と空は職場の同僚が出社しないことから様子を見に出かけた人もまた翌日には行方が不明になり、その二人を探しに出かけた人もまたどこかへと連鎖が続いていく。上記二作はSF仕様の文学作品と呼ぶのかもしれない。安部公房の様な本格なものでは無く、SFの題材を文学として描いたものと言った趣き。
他四作は、「時間」を除き、労働の営みの虚しさを感じる主人公が自身の内にある何かで埋めようとするような作業的な内容になっているが、どれも違った描かれ方がされ、退屈を感じはするが、ハッとする一行があったり、労働という概念を見つめ通した文学作品として希少価値がある。
「時間」は血のメーデー事件が題材に取られており、その現場で捕まった人とそうでない人との差、本当の意味での自由と拘束の異なった時間の差とはどう違うのかを記している。この作品はゆくゆく発表された『五月巡礼』という長編の原型とされている。

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2015年06月09日

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