【感想・ネタバレ】地銀と中小企業の運命のレビュー

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Posted by ブクログ

地方銀行と中小企業の運命

A;購読動機
地方銀行の現状と今後の動き方に対する情報収集のため。

B;書籍の良いところ
・コロナ融資が具体的にどのようなものか? それがどの程度の社数、規模によるものか?
・地方銀行(信用金庫含)が、どのように組織内部を効率化し、外/貸付先に対する助言時間を捻出しているか?
このあたりについて、事例を引用しながら定量的に説明してくれていること。
また、理解が難しい専門用語も少ないため、読みやすいこと。

C;改めて理解できたこと
地方に大企業はないに等しい。ゆえに、地方銀行の顧客・貸付先は中小企業であること。
地方銀行の収益は、貸付先の業容拡大→資金需要の増加→貸付残高の増加というサイクルをつくることで成り立つということ。
地方銀行側でこの体制を作ることができるか?がポイントとなること。

D;地方銀行の時価総額を調べてみたら・・・。
都市銀行、ゆうちょ銀行の時価総額についで、時価総額が高い地方銀行は以下のとおり。
・千葉銀行
・横浜銀行
・静岡銀行
・福岡フィナンシャル

一方で、地方銀行で時価総額が1000億円を超えている会社は少ない。

E;書籍から興味深い事例・内容
① マーズ・グロース・キャピタル
三菱UFJ銀行とイスラエルのフィンテック企業50%ずつの合弁会社。
スタートアップ向けの投資専門会社。
面白いのは、融資の判断が過去実績(BS,PL)ベースではないこと。
・直近の残高試算表
・営業動向(受注、失注)
・経営者の失敗実績
② 北國フィナンシャル
物いう株主との助言契約を締結し、中期経営計画を発表。
・余剰資産(政策保有株含む)売却、資産効率化
・ROE目標設定。(3年、5年、10年)
・ROE連動業績報酬制度。
・銀行業務以外の収益貢献割合50%を目指す。
③実験店舗の開設
ある銀行の事例で業績目標を課さない支店を開設。目的は、貸付先の相談を聴くこと、助言すること。
結果として、他視点と遜色ない業績をアウトプット。
④ 減り続ける行員。貸付先にどう対応する?
ずばり、貸付先の選別が必要であること。銀行として、力を入れる貸付先とそれ以外の区別。選別することで、時間が生まれ、対応することができるから。
⑤上場企業HR大手広告に頼らない人材需要・供給ネットワーク
媒体に依存しない、銀行自らが把握している貸付先の人的課題のデータベース化。また、それが支援できる地域圏内企業のデータベース化。
これらがビジネスマッチングにつながっていく。

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2023年08月13日

Posted by ブクログ

「捨てられる銀行」を書いた人の最新著作ということで迷わず購読。今度は金融機関の立場ではなく(地銀ではなく公庫だったけど)、中小企業の立場として。何だか不思議な感覚。
昔気質の名バンカーの事例に加えて、社会課題を自分事と捉えて本気で取り組んでいる人たちの事例を見て、同じような事例が加速するといいな、そうすると日本は一気に良い方向に傾くんじゃないかと心から思いました。
ファミリービジネスの持続可能性を高めるために日銀の支店長を辞めたなんて事例凄すぎて。。しかし日本政府は中小企業の事業承継問題を後回しにし過ぎだと前々から強く思っていたので、これが起爆剤にもっとなっていくと良いんだけど。
中小企業の立場では豊和銀行のVサポートや、北國ホールディングスの事例は、地元の銀行もこうだったら良いなと思わずにはいられない内容。「それぞれが本来やるべき仕事に集中するにはどうすれば良いのか」、色んな技術が進んだ昨今においては解決できることが多いはずで、自分も常にそういう視点は持っていきたい。銀行さん、いつまでメールを常用しないつもりですか……?と思わずにはいられない(笑)

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2023年07月08日

Posted by ブクログ

心に残った事柄
◆リレーションシップバンクの役目として買い手のニーズを汲み取り、売り手の経営資源でできることはないかを考えマッチングさせることが大切。

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2023年04月08日

Posted by ブクログ

地銀と中小企業の運命 (文春新書 1400)
著:橋本 卓典
人口減少に金融機関が生き残る道は、そもそも2つしかない。極力人手をかけず廉価なサービスを提供していく「資本集約型のデジタルバンク」と、地域と企業の課題を解決していく「労働集約型銀行」である。
規模に限界があり、人口減少地域を地盤とせざるをえない地域金融機関には「労働集約型」の道しか残されていない。顧客と密着した関係性を築き、事業性への深い理解に基づき、顧客の課題に対して、付加価値を伴う解決策を見つけ出す「リレバン」というあり方である。ただ必要なのは、単なるスローガンや精神論の「リレバン」ではなく、付加価値と生産性の向上を経営と結び付けて実現する「リレバン」である。銀行経営はもっと踏み込んで尖らねばならない。
本書の構成は以下の12章から成る。
①ゼロゼロ融資40兆円という時限爆弾
②金融検査マニュアルが銀行をダメにした
③捨てられる銀行と生き残る銀行を分かつもの
④経営改善計画をどう作成・実行するか
⑤自分事の企業支援
⑥10年後に評価される仕事
⑦ファミリー企業をどう支援するか
⑧企業支援のプロたち
⑨リレーションシップ・バンキングの実践
⑩銀行の常識を捨てた銀行
⑪ビジネスはコミュニケーションから生まれる
⑫金融庁「業種別支援の着眼点」徹底解説
2016年に発刊された「捨てられる銀行」シリーズから、私を含めて多くの金融機関人や地域貢献に携わる人が、「捨てられる」というワードから自分目線からお客様目線で貢献に対して考える新たなきっかけをいただいている。
シリーズが発刊される度に、最新のお客様目線の対応が本書に記されているように「オモロイ」エピソードで読み易く、自分事に置き換えやすく紹介されている。
結果とプロセスだけではなく、当事者の生き様や背景を含めた気持ちが情緒を含めて書かれており、その生々しさから難しさだけではなく、自分たちにも出来る。やりたいと思える仕組みにより展開されている。
自分が歩んでいる道が正解に近いのかどうかを確かめると共に、これから求められることを考えて、自身の現状からの不足分を埋めるための数年にわたるロードマップを作りかえる等、それぞれに違った恩恵を受けて本書から学ばせていただいている。
今の自分のミッションは、多くのエッセンスから学んだことを実践することと、自分の近くにいる仲間にそれを伝染させ、共に考え行動し、地域・お客様に貢献することであると考えている。
硬く狭い視野に自身の視野に築き反省させていただき、次の一歩を踏み出す勇気をいただいている。
感謝を忘れず、力を合わせる、貢献と連携で長期的なイメージをこつこつと積み上げ続けていきたい。

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2023年03月25日

Posted by ブクログ

■ Before(本の選定理由)
地方の優秀層が集まる地銀が、ビジネス支援しないのが元凶、みたいな話だろうか?タイトルが気になる。

■ 気づき
地銀の及び腰にも喝を入れているが、元凶は金融危機のときに作った金融検査マニュアルが今でも根付いているからで、貸倒れを過剰に避け地方の経営者支援になっていない、という論旨。めちゃ説得力がある。

■ Todo
丸政(山梨の弁当屋)など複数の実例が物語形式で、これこそ地銀の役割だろ!と示されている。きっとできる。まだまだ出来る。

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2023年11月19日

Posted by ブクログ

自分事として企業を支援することについて
ここ30年程度の銀行の歴史と実際の事例で説明されていて、イメージ持ててよかった。

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2023年08月06日

Posted by ブクログ

難しい本でした。
銀行、とりわけ地方銀行などが、地元中小企業とどのように関わっていくべきか、ものすごく豊富な具体的事例から説明してくれていて、調査力が半端ないなと感じました。

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2023年07月28日

Posted by ブクログ

金融機関の方は、できることが非常に多いし、スキルも高いということが分かった。ガチャはあるかもしれないが、一つ一つの事例は勉強になった。

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2023年05月28日

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個々の出来事はニュースになっているので調べれば見つかるだろうが、高い見識からの考察を添えられたものを一定の網羅性をもってまとめられていることを考えれば、安すぎるくらいだと思う。良書だった。

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2023年05月28日

Posted by ブクログ

全くの門外漢なので見慣れない用語に苦戦はしたが、それでも面白かった。危機感と目的意識をもって訴えかけてくる文章は胸を打つ。自分事とすること。付加価値を向上させるとは何か。人の時間を大切にすること。熱い思いを持って、数字が読めて、自分事として伴走してくれるバンカーがいたら、本当に心強いことだと思う。

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2023年04月25日

Posted by ブクログ

自分も保険会社で貸付業務をやっているので、非常に面白く読めた。銀行業というと半沢直樹が1つの時代を表していたが、すでに昔の話。さすがに今はない。本書は現在の貸付業をリアルに描写している。それにしても金余りがここまで銀行業を変えたのかと驚く。欧米の銀行業と比べあまりに異質で低収益。緩和策をやめない限り、銀行業の未来は明るくないということを再認識した。金融を志望する学生には、本当に自分がやりたい業務かどうか、一読の価値あり。

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2023年04月05日

Posted by ブクログ

ネタバレ

都内の銀行窓口はどんどん閉鎖されている。零細企業を経営する身なので、システム(商品)開発や原材料を仕入れる業務などで銀行との付き合いが大事になってくるのを心得ている。資金調達の交渉カードを集めたい気持ちもあって、現在の地銀の内情を知ろうと手に取った。

印象的だったのは、地元企業の経営支援に乗り出した銀行マンが「クライアントと共に競争力をつけて利益率向上を図るキーエンス」を参考にしていることや、中小企業診断士の財務会計の知識で経営分析をしていることだった。
また、7章のファミリー企業の内情も興味深かった。支援先の分析事例の「特別付録」も良かった。 飲食店の収益分析は特に勉強になった。 こういう目線でお店に入ると食事に集中できなそうだけども。

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2023年11月26日

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