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Posted by ブクログ
子どもを取り巻く、いや日本を取り巻く諸社会学の入門としてとても分かりやすく読みやすい一冊。タイトル通り苦しさや生きづらさを覚える人は一度手に取ってみると、自分を「俯瞰して見ることができ」、何かのヒントが得られるかも。様々な問題について多面的に、しかし一貫して理解しやすく綴られている。
中高生はもちろん、社会を作る大人たち一人ひとりが、書かれていることをまずしっかり認識することが大切だと感じた。
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★★★★
今月3冊目。
素晴らしい本でした。先進国38カ国で日本の子供の幸福度は37位らしい。
そこから貧困、虐待、いじめ、マイノリティなどの視点から子供が受けるストレスなどを考察。
中高生に向けて書いてある視点だが、親が読め
Posted by ブクログ
子供に呼びかけるような文体。大人が読んでも十分に参考になる。ヤングケアラー、児童虐待、不登校...。その背景と構造をわかりやすく解説してくれる。・・・一人では弱いはずのヒトが他の生き物に打ち勝ち頂点に立てたのは、群れることができたから。共同で知恵を出し合い過酷な自然に立ち向かう。そこには秩序が必要となる。団結の乱れを排除するのは自己防衛のため。いじめは生存本能が生み出すこと。食欲・性欲・睡眠欲。欲求を理性で制御することで文明は成り立ってきた。咎めるのは唯一の方法ではない。いじめもきっと撲滅できると信じたい
Posted by ブクログ
日本の子供が感じている幸福度は、先進国38カ国のうち37位。身体的健康が1位であるにもかかわらず。本著はこの課題認識から始まる。そして、数値を列挙する。子供の7人に1人が貧困、15人に1人がヤングケアラー、児童虐待の相談件数は年間20万件、小中学生の不登校は約24万人以上、ネット依存の子供が1百万人を突破。
日本は先進国において、幸福度の低い民族である。これは、日本人の自己肯定感が低い事と関係する。この元凶が、偏差値教育にあると指摘したのは茂木健一郎だ。日本特有の高校受験の制度に問題がある。高校受験は多くの学生に対し、生涯に渡る劣等感を与え、偏差値制度は自分が行きたい学部ではなくて偏差値の高低で学部を選ぶ、本末転倒な現象を引き起こす。自らの適性や希望より偏差値によって人生を選択させられている。
本著の石井光太は更に、貧困の連鎖を指摘する。偏差値教育以前の問題。虐待や親の世話、そもそも環境が不遇な子供たちについて。社会構造がこうした弱者を生み出しているから、苦しいのだと指摘する。過去と現代を比べて、こうした弱者への住みやすさに優劣をつけるのは容易ではない。セクハラを見逃していた時代より、きちんと向き合う今の時代の方が報告件数は上がる。しかし、だからといって女性へのセクハラが増えたとは言えない。可視化し、検挙率が上がったという意味で、こうした点は現代の方が余程良い。
社会的弱者とは社会構造が作り出した存在だと言える。弱者の定義は社会コンセンサスだからだ。従い、自らが弱者だと思っても、当てはまらないケースもある。低学歴は、とある価値観に晒せば弱者だが、それを自己責任論で片付ける事も可能だし、学歴不要論的な価値観なら全く弱者にならない。こうした線引きこそ、民主主義の要諦であり、社会学の真髄になるはずだ、と思う。