感情タグBEST3
Posted by ブクログ
心に残る話だった。
表題作は主人公が性格的に救えなくて共感できず中々話に入り込めなかったが、社会への怒りの部分は全く共感でき、男性優位社会において弱者である主人公が暴発するところは不思議とスカッとした。現状維持や保身しか考えない「オヤジ」は、日本の諸悪の根源と言ってもいい気がする。
もう一つの収録作品、ガラス拭きの話も面白かった。こちらも社会への課題認識は表題作と同じで、さらに職人から仕事をする尊厳も奪い取ってる点も深刻に描かれていてリアリティがあった。クマさんが居酒屋で語る、人は生まれ死に今目の前の人と一緒にいることは流れの中では奇跡的に居合わせてるだけということを意識すれば人への見方が変わる、というのが至言だとも思った。
Posted by ブクログ
なんというか…
表題作「幼な子の聖戦」はさすが芥川賞候補、
表現が繊細だな、とは思うものの
かといって主人公に感情移入できるか、と言われると
肯定できないなぁ…と感じます。
併録「天空の絵描きたち」
こちらはテーマが破滅だとか裏切りだとかの
「幼な子の聖戦」(個人的見解)とは違い、
中心にあるものが「恋愛」なので感情移入は多少容易ですが、
主人公らがビル拭き
(題名にもなる通り、こちらがおそらくメインテーマ)
という一般からすると
少し特殊なものであるため、場面の理解がしにくい…。
実際、おそらく清掃業界でしか聞かないような名詞が続出。
状況説明などはかなり細かいものの、やはり理解しづらい。
そして細かすぎる表現ゆえ一部かなりグロい。
両作ともいいものではあるのですが、やはりなにか欠けているな
という感想に尽きます。