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どんがら
メーカーで製品企画/開発を担当しています。
業界は違いますが、“ものづくり”に携わる方達には共感できる事が多いのでは無いでしょうか。
若手エンジニアに勧めたい一冊です。
因みにスープラ納車待ちの86 乗りです。
Posted by ブクログ
世の中には、暖かな日の当たる場所もある。
どのように苦しい過程を経てであれ、最終的に、そう受け止められる職業生活を送ることができるというのは、素晴らしい星の下に生まれ、生きてこれた、ということだと思う。
清武さんの筆力もあるのだろうが、羨ましい、というだけのこと。
印象的なフレーズは以下。
ー俺はこのドンガラを見るために頑張ってきた。
多田は思った。
それは出世するとか、表彰を受けるとか、会社の業績の一端を支えるとか、定年後には泡のように消えてしまうものではなく、数寄者の魂をがらんどうの車に吹き込む、夢の実現だった。
(P222)
Posted by ブクログ
自動車業界で、販売台数世界No.1、つまり、大衆向けの車を作っているトヨタで、
「売れない」「儲からない」と言われながらも、若者の車離れを食い止めるために、採算性を超えて再挑戦したプロジェクト=スポーツカー「86」やスープラの復活に賭けたトヨタチーフエンジニアとその部下たちの心震わす物語。
技術者はときに、自己実現や「自分がこういう車を作りたい」という情熱を原動力にしているため、営業部門や役員から理解されないことも多くあっただろう。
トヨタの核や強み、本分とは異なり、社内からの軋轢は多かったことだろう。
ただし、そこには単なるスポーツカーの復活を遂げ、大きな壁を乗り越えた熱い物語というだけでなく、自動運転やカーシェアリングの時代、百年に一度の大変革期に、スポーツカーを作ることの意義を考えさせられるものだった。
特に、
「自動運転やカーシェアリングの時代に、スポーツカーは生き残れるのか」とスポーツカーの定義を問われたときに、多田は「スポーツカーとは本質的に、日常の役に立たないものです」と断言した。
車は通勤から運送、レジャーに至るまで幅広くちゃんと役に立つものである一方、スポーツカーは心を満たす趣味の領域のもの。その世界はいつまでも残るだろうが、これからの時代はどんな車好きも体験したことのない驚きや感動を与える付加価値を、スポーツカーを使った新しい遊び方(例えば、ゲームやメタバースに絡めて)を同時に提供していくことなどが求められている。
このプロジェクトは、まさに赤字でも取り組む価値(これまでとは異なるプロダクトやサービスの可能性)に満ちていることを痛感させられた。
私たちは「トヨタの10年後」には、
ほんの数十年前の携帯市場の(現在は1位韓国・サムスン、2位米国・アップル、3位中国・シャオミだが)1位フィンランド・ノキアや2位米国・モトローラなどトップシェアを誇っていた企業が「スマホの台頭」によって軒並み消えてしまったように、
トヨタも消えてしまっていることもあり得ない話ではないし、ゲームチェンジは突然訪れるもの。
しかしながら、トヨタもスポーツカーの開発・製造・販売・サービスを通して、新しい価値を生み出すことの意義を見出だせたと思うし、土台は着実に作れているんじゃないか、と感じた。
Posted by ブクログ
車に全く興味がなく、スポーツカー「86」「スープラ」も全く知らない私が読んでも胸が熱くなるノンフィクション仕立て小説(読後にネットで写真確認したが流石に「86」も「スープラ」もカッコイイ)。というのが半分で、意外に世界のトヨタも普通の大企業にありがちな官僚的会社であることがわかって少しホッとした。スケールが大きいだけあって、特異な人材も豊富で、異能を活かす素地があるところは流石ではある。週刊現代連載だそうだが、会社員であれば共感できるところ多数で、処世のヒントが色々見つかる。
Posted by ブクログ
多田哲哉
三菱自動車でラリー部門に行けず退社、ベンチャー企業からトヨタへ。
早く安く 二代目ラウム、パッソ、ラクティス、ウイッシュ担当
2007年1月 スポーツカー担当へ
チーフエンジニア=部長、主査=次長、主幹=課長、主任=係長
チーフエンジニアの仕事の9割は辛抱すること 主査は製品の社長 2019年21人
佐々木良典 父親が初代レクサス企画から副社長
スバル=すたれた市役所 トヨタ=高度な町工場
賚(たもう)主査 金沢市立工業高校から富士重工へ~群馬大学工業短大(夜間
スポ―ツカ―は四駆に限る
ナスカーでのヒアリング →手軽に買えるスポーツカー
自分でカスタマイズ ライバルより速いクルマではなく
エンジン開発 一千億円 →スバルのボクサーエンジンのFRに
2008年マツダの貴島主査 徳島東工業高校から東洋工業へ
儲かるスポーツカー 経営を味方に 絶対やめない こだわりの強い人を揃える
乗せて、その人が楽しいと思うクルマ
開発番号 086A 技術企画統括センター付 BRスポーツ企画統括グループ
スポーツモデル全体で収益
直噴D-4S S=ストイキオメトリー(理論空燃比) 86x86スクエアエンジン
モディファイ可能なデザイン
600人のスポーツカー通勤社員から200人の意見を聞く 王道のデザインへ
1.知らないのは当たり前と考える
2.即決 (後で訂正)
3.約束と日程厳守
4.グループの最新技術リサーチ
どんがら=ホワイトボディ
試作車:クルマとの会話ができない(章男社長)
→エンジン音やきゅ気温の導入・電子制御の介入を遅らせる →OKへ
BMW
走りとラグジュアリーでポルシェ、メルセデスの中間を最良のバランスで住み分け
ドイツ全体が自動車会社としてつながっている
スープラ 700万円が限度 10万台が7万台以下へ 原価100万円アップ
赤字はBMWのノウハウ金額化で相殺
スポーツカーとは日常の役に立たないもの
Posted by ブクログ
「下町ロケット」的テイストの話ではあるけど、ノンフィクションだし、何と言ってもスバルとの共同開発である86(ハチロク)という実車開発の裏話なので、とても楽しく読めました。。というか86が欲しくなります(^^)。BMWとの共同開発なスープラの逸話も語られ、こっちはもっと欲しいけど、価格的にちょっと手が届かない感。
印象に残ったのは、センスを身に着けるには「家庭画報」を読め、というところと、あと、CV、1A、号口、といったトヨタ用語に関する説明は、以前、同社との仕事をしていた時にリアルで体験したので、そうだったなあ~と。
どこの会社にも尖った人や情熱のある人はいて、そういう社員をどう活かすか、というのは一つのテーマでもありますね。
Posted by ブクログ
たくさんのエンジニアが出てくる。そのトヨタの優秀な人材の勢いに後押しされる様に、グイグイ引き込まれてしまう。これからは、同様の働き方はできないが、違うタイプのエンジニアが突進することを期待して本を置いた。
Posted by ブクログ
トヨタ自動車の名誉会長である豊田章一郎氏が亡くなった。同社の社長交代人事も発表された。一つの時代が終わったのだと感じる。この先どうなっていくのかとても気になる。
本書の著者は清武英利氏。読売巨人軍の元球団代表だ。自分は知らなかったが、現在ノンフィクション作家として活躍されている。
本書は86(ZN6)とスープラ(A90)の開発秘話である。環境保護が叫ばれる現代において最後になるかもしれない純エンジン車のスポーツカーの開発を、あるチーフエンジニアを主人公にした物語風に書かれている。
出てくる会社もトヨタだけでなく、スバル、マツダ、BMWと多く、それぞれの車づくりに対する思いを感じられた。
また、サラリーマンとして、おぼろげであやふやなものをしっかり形にし、完成させる力とその術に自分も尻を叩かれた思いがした。
Posted by ブクログ
夢ややりがいが詰まった「どんがら」出世や名誉のためじゃなく、自ら目指すもののために。
なにかを生み出そうとする熱い気持ちや真剣なぶつかり合い、どこか欠けてしまっているものなのかもしれないなーと。季節の変わり目の今、いい本でした。
Posted by ブクログ
TOYOTAでスポーツカーを開発する話
自分のやりたい事と会社の目指す事が合致すると、やりがいが最大化される
その反面、家庭が犠牲となる
ハチロク、スープラの開発
スバル、BMWとの共同開発
Posted by ブクログ
SUBARUと共同開発した86/BRZのトヨタ側開発責任者の奮闘記。
大衆車メーカーと自らを規定するトヨタで、市場規模のわからないスポーツカーを開発するのは想像以上に内部調整が難しい。
悩んだ主人公が相談に行ったMAZDAのロードスター開発の重鎮とのやり取りには、会社の枠を超えてスポーツカー開発に賭ける者に共通する心情が見える。
仕事の作法から手続き、用語まで異なる共同開発をやり遂げたのは、リーダーの力量に加えて、メンバーたちの情熱があったことに間違いない。
その後BMWとのスープラ共同開発にも駆り出された主人公の行く末には、勤め人の悲哀を感じざるを得ない。