初めて『不毛地帯』を読んだとき、圧倒的な感動が胸に押し寄せ、しばし呆然としてしまいました。けして、楽しいばかりの話ではありません。戦争の話、抑留の話、友の死、そして―。
“結局、古き良き昭和の話だよねー”と言う人もいるでしょう。でも、そんな陳腐な言葉は寄せ付けないほどのドラマがここにあると、私は声を大にして言いたい!!
また、私が山崎豊子さんの作品の中で一番『不毛地帯』を好きな理由は、途中はいろいろな困難と挫折に見舞われながらも最後に「救い」があるからです。油田がねえ…。彼女ともねえ…。いかん、ここからはネタバレ!!
さてさてどんな救いなのか?は、あなたの目で確かめてください。
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実は何度も読んでいるのですが、改めて再読しました。
山崎豊子さん(先日、亡くなられました)の大作「不毛地帯」
1巻は、主人公である大本営の参謀がソ連によってシベリア抑留される場面がメインですね。
基本的には、事実を基にしてストーリーを再構築しているようなので、多少の誇張は当然あるにせよ、ここに描かれていることは、本当に何10年か昔にあったできごとです。この作品を読むと、国家とは何か、人としての尊厳ある生き方とはなにかを考えてしまいます。
同時に、今ある豊かな生活を何気なく享受し、特別だと思うこともなく恵まれた人生を送っているのだなぁと・・・
そう思うだけでは、意味がなくて、だったら自分はこの世界で何をするか、ということを考えなければなりませんね。山崎作品は、そういった人生の送り方を様々な登場人物に重ね合わせながら見せてくれます。
5巻まで一気読みしちゃうやつですね、これ・・・
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15年ほど前にドラマ化された事もあるので知っている人も多いと思うが、この1巻だけでも原作を読んでほしい。シベリア抑留の壮絶な内情が見て取れる。
戦争はしてはいけないものだが、それ以上に負けてはいけないものということを強烈に認識させてくれる。
ウクライナは早くロシアに降伏した方が被害が少ないとか言ってる頭お花畑の諸氏はこれ読んで反省を大にしていただきたいところ。
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圧倒的なボリューム感。早くこの小説に出会いたかった。ここまで命懸けで生き抜いた人が生きていた時代に我々の時代が勝てるはずがないと思ってしまった。
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山崎豊子の小説は初めて読んだ。フジテレビのドラマが面白かったので、原作はどんな感じなのかと手にとってみた。全5巻だし、テーマも重厚なものなので、読むのはさぞ大変だろうと思っていたが、かなり読みやすかったし、面白かった。知らなかった言葉もたくさんあり勉強になった。わくわくしたり犯人が気になったりするような小説ではないのに、先へ先へと読み進めたくなる面白さがあった。
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瀬島龍三氏の生き様については、「人間的魅力の研究」「幾山河」などで読んでいます。山崎豊子さんの「不毛地帯」、大作・力作だと思います。第1巻が638頁(2009.3発行)、第5巻まであります。気合を入れて読んでます。第1巻、濃密でした。壹岐正(瀬島龍三がモデル)の生き様。大本営参謀、関東軍参謀、シベリア抑留、ソ連の非道さ、引揚、家族との生活、商社に就職・・・。読んでて、ロシアのウクライナ侵攻と重なってきました。ロシアは人口の五分の一が囚人(国内外、非合法)、囚人で国家建設。帝政ロシアからの伝統とか。う~む
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久しぶりに大作を読んだ。山崎豊子氏の不毛地帯である。どんな内容か全く知らないまま読み始めた。
第二次世界大戦で日本軍の参謀だった壹岐は、戦後シベリアに抑留され、11年もの長い月日を寒さと飢えに耐え忍びつつ、過酷な労働をさせられた。ようやく日本に戻ることが出来てからは、関西の繊維系総合商社に採用され、ビジネスマンとして商才を次第に発揮していく、というストーリー。日本の潰れそうな自動車会社とアメリカのオートメーカーとの提携を仲介したり、イランで石油を開発するスケールが大きい仕事が見事に描かれている。
まず、シベリアに戦後抑留された人々のことをあまり知らなかったので、こういうことがあったことに衝撃を受けた。先日読んだ「大地の子」では中国に残留した日本人の話を読んだが、それと少し共通するところがあるかもしれない。第2巻からの、壹岐が商社マンとして挫折しながらも国際的な案件に次々と関わっていく姿は、とてもリアルだった。偶然にも、私も中東の石油開発関連の仕事をしているので、時代は1970年代で仕事の仕方は少し違うとはいえ、手に汗握る展開だった。主人公の壹岐の生き方に学ぶところが多くあった。
毎回、山崎氏の取材力には本当に舌を巻く。小説家という全く畑違いの分野の人が、いろいろ調べてここまで書くというのは、その世界にどっぷりつかっている人間からみたら、感心を通り越して呆然とするレベルである。
読後感も素晴らしかった。またいつか読みたい。
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シンドラーのリストを観たすぐ後に読んだからか、それともこの本自体の描写のおかげかはわからないけど、シベリアでの話を読んでいると収容所での生活の光景がありありと浮かんできた
「戦争」という悪行の裏にはそれを是と信じて自分の全てを賭けた人たちがいて、戦争を推し進めたことについての個々人の責任ってなんなんだろう?と思った
兵隊だったら自死することで責任を取るけど、商売の世界では自分の失敗を売上で取り返すことによってのみ責任を全うできるってくだり、印象に残ってる
主人公がこれからどうなっていくのか、楽しみだあ!
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全5巻通してのレビュー
昭和初期から敗戦までの期間は苦手であるし、小説を読むのも躊躇っていた。
第二次世界大戦に突入せざるを得なかった経緯も、戦時中の「大本営発表」も、その言葉を聞くだけで嫌悪感でいっぱいになるほどだ。
適切な表現が思い浮かばないが、
シベリア抑留中のまさに物理的な「不毛地帯」で過酷な運命にも関わらず生き延び、そして、近畿商事に入社後の精神的な「不毛地帯」にありながら、主人公の壱岐さんが、どれほどの重荷を背負っていたか…想像を絶するものがある。
シベリア抑留中の苦悩や肉体的・精神的なダメージはもちろんですが、帰還後の商社での活躍における裏の部分での苦悩や精神的ダメージは計り知れない。
どうしてここまで、頑張ることができたのか…
主人公の大きな支えは朔風会の谷川さんをはじめ、シベリアで共に苦労をした仲間との絆であり、近畿商事内部における、信頼できる人間関係と組織。
文字通り四苦八苦しながら、清濁合わせ飲み、戦中・戦後を生き抜いた壱岐正という人物から伺えるのは、筋の通った人間だからこその生き方でもある。
それが一番顕著に伺えるのは、自分の辞表と引き換えに、大門社長へ社長退任→相談役への就任にとりつけながら、自分もひっそりと表舞台から消えていくところだろうか…
色々な方々の犠牲の上に成り立った結果ではありますが、ワンマン経営体質の会社から、組織経営の会社に変貌させた壱岐さんの力量に脱帽である。
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ひたすら引き込まれます。
シベリアでの11年の勾留。まったく畑違いの商社での第二の人生。圧倒的な取材と筆力。ドラマとはまさにこういうものを指すのでしょう。これがあと4巻つづくという幸せ。
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びっくりした。かなり面白い。知識としては知っていたシベリア抑留に関して、過酷な現実がこれ程までに生々しく描かれていると、同じ日本人として知らなかった事が多すぎて恥ずかしくなる。敗戦後、日本の発展の礎を築いた財閥や商社を舞台に、ソ連での回想を交えながら、静かにストーリーが始まってゆく第1巻。
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シベリア抑留の過酷な様子が伝わってきた。
1945年に戦争は、終わったけど、ずっと苦しみ続けていた人たちがいたことを知った。
壱岐正が、第二の人生を商社マンとして、一から歩もうとする真摯な姿を見て、
自分も、自分の仕事や人生と真っ直ぐに向き合っていきたい。と思った。
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戦争の描写があまりにもリアルで、そして残酷で読んでいられなかった。この時代に何が起こっていたのか知らなすぎた。近畿商事に入社してからの変貌もすごい。
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山崎豊子作品は、戦争三部作といわれる作品以外はすべて読破。しかし、何故か読み始めることを躊躇していた戦争三部作。ついに読み始めることにしたのが、まずはこの作品。想像していた以上、想像を絶するようなシベリア抑留の実態に唖然。当時のソ連のあまりに酷い惨い国際法無視の姿勢と仕打ち。何故、日本でその実態が取り上げられ、知らしめられないのか・・・。
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大本営参謀、伊藤忠会長の瀬島龍三さんがモデルの長編小説
(山崎豊子さんは否定しているが)
シベリア抑留であったり、
日本の高度成長期のビジネスだったり
なんだか読んでて熱くなる本でした。
この頃の方が今よりビジネスは色々と夢があって
面白かったんだろうなと。
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山崎豊子・戦争3部作 『不毛地帯』第1巻。
大本営参謀・壹岐正。戦後11年間、シベリア抑留、強制労働…
あまりにも過酷… 絶句しかない。
寒さと飢え、寒い、痛い…
俘虜を人ととして扱わず、単なる労働力としか見ないソ連…
その振る舞いは現代につながる…
近畿商事社長・大門の熱心な誘いにより、第二の人生を商社マンとして歩むことを決意した壱岐。『商戦』という名の戦いへと…
第2巻へ。
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山崎豊子先生の超大作にして代表作。
一巻は主に、主人公のシベリア勾留から商社に入社するまでの話。
日本敗戦濃厚と見るや、条約を破って満州に進出し、戦後のどさくさに紛れて捕虜を強制労働に従事させたロシアは本当に卑劣である。
この問題こそ、戦後何十年経った今でも賠償請求をして許されるのではないかと思えるほどに理不尽。
主人公のモデルになった人物が、ここまで清廉潔白な人物だったとは思わないが、シベリア勾留、日本の戦後復興について非常に勉強になる。
内容は難しいはずなのに小説だから読みやすい。そして、引き込まれるストーリー構成は、さすが山崎豊子先生。
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実在の商社マンをモデルとした本書。
戦時中参謀長として何十万もの兵士を動かしていた主人公が、敗戦後11年間もシベリアに抑留され、拷問や労働など過酷な生活を強いられたことが第一巻で細かく描写されていた。
この過酷な抑留生活に耐えて、日本に帰国したあと、彼の第二の人生が始まる。どんな商社マンになっていくのか、次巻が楽しみ。
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アメリカの産軍複合体と、防衛庁、元大本営参謀がらみなど、きな臭い話を、山崎豊子はよく取り上げたとおもいます。田中角栄が失脚した背景を含めて、日本の連合国軍の占領統治がまたおわっていないような錯覚を覚えました。
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久しぶりに読み返していますが、何度読んでも主人公の「強さ」と「人間としての弱さ」、そして「圧倒的な社会・現実の残酷さ」を感じさせる小説で、色あせることのない魅力を感じます。
シベリアでの過酷な抑留生活は、決して忘れてはならない戦争の被害の一つだと思いますし、「旧軍人(大本営の参謀という中枢にいた人間であるからこそ)としての戦後の苦労」も、ただの「自業自得」とは言い切れないあたりに、著者の戦争へのまなざしがあるように思います。
確かに、戦争を主導した軍部にいた壹岐に責任が全くないわけではないでしょうが、彼一人がその責を負わなければならないわけではありませんし、かつての軍歴を活かして防衛庁に就職するものがいたり、苦労しながら一般企業に勤める者がいたり、世を捨てて僧籍に入るものがいたりと、どの生き方が「正解」ということはないのだろうと思います。壹岐がその生き様のなかでどのように「第一の(参謀・軍人としての)人生」をふり返り、何を目的に「第二の人生」を歩んでいくのか、ということを通して、如何に生きるべきか、ということを見つめなおす小説だと思います。
第一巻ではシベリアでの抑留生活が中心に描かれており、壹岐の苛烈な闘いの日々を垣間見ることができます。商社(近畿商事)では繊維部に籍を置きますが、右も左もわからない中で仕手戦を仕掛けている同僚たちを眺めているだけ、という何とも歯がゆい状況です。
仕手戦についての描写は少しわかりづらく、近畿商事がなにを狙っているのか、対抗している相手はどのように動いているのかがイマイチつかみきれず、置いてけぼりにされた壹岐もきっと同じような心持なのだろう、と思わされました。
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300ページ以上続くシベリア抑留が予想以上に長くて若干退屈でしたが、それ以降はかなり面白い!!また、後々シベリア抑留での話がいろいろ伏線にもつながるとの事ですので、続きがかなり楽しみです♪
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【感想】
戦後11年間のシベリア拘留を経て、近畿商事という総合商社に入社した元日本陸軍中佐の物語。
シベリア拘留のエピソードが生々しくて、読んでいてかなり衝撃を受けました。
戦後、異国であんな風に虐げられ苦しんだ人がたくさんいたんですね。。
「終戦」とは名ばかりで、戦争が終わっても、戦争中かもしくはそれ以上の苦しみを味わっている人がいる。
安易な一言ですけど、、、やっぱり平和が1番ですね。
あと、先物取引関係が難しすぎてまったく理解できず…
ただ商社の多忙さやバイタリティーの描写は見ているだけでわくわくしたなぁ。
商社マンのエリートっぷりは本当にカッコイイ!!
600ページ強のボリュームで時間かかったが、とても面白く読めた。あと3巻あるけど楽しみ(^^)
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極寒の中で強制労働を強いられた方々の辛さをわかったと言うことは出来ませんが、昔の日本やソ連、戦争の悲惨さなどを改めて考えるきっかけになりました。
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複数冊ある長編が苦手&ガチガチのがめつい商社バトルが苦手なため手を出しかねていましたが読み始めたら止まらず、あっという間に一巻を読み終えました。
敗戦直後の死に傾く気持ち、シベリア抑留の辛く厳しい11年間、戦争後13年経った日本、近畿商事の繊維部と海外部の事業説明。
一巻の大半を占めるシベリア生活はその日を生きのびるが不思議なくらいの、空腹と重労働と絶望の毎日。敗戦の将は、捕虜法も人道的な取り扱いもそっちのけでソ連の人の気分次第で生死が左右される。「勝てなければ戦争をしてはいけない」という言葉がしみた。
日々の労働に耐えきれず指を切り落としたり、壊血症で歯が抜けたり、スープの濃さ薄さで僻みあったりそれでも仲間意識を忘れずに助け合い経営側と対立したり。
繊維の話は売り玉だの買い下がりだの30番だの用語がよく分からず大阪の言葉だらけだったけど、熱い意気込みと勢いがよく伝わる。今後はこんな内容ばかりになるのだろうか。
不毛地帯は主人公の壹岐とその家族が、高潔で筋が通っており、恥ずかしくない心情と行動なので、恐らく今後のストーリーは、主人公がどんな苦境に立たされても読者を裏切ったり落ちぶれたりはしないだろうと、そこは安心して読める。
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2017年はこの大作から、丸さんに借りた。大本営参謀壹岐正が、投降を呼びかけるため終戦直前に満州に渡り関東軍と共にソ連軍に投降、11年間の過酷なシベリア抑留を経て日本に戻り近畿商事で商社勤務を開始するまで。正直まだ始まったばかりでどういう話がメインで進んでいくのかわからないが、シベリアの過酷っぷりは噂以上というか、あまりちゃんと知らなかったんだなぁと。さて続きはどうなるか、楽しみ。
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元大本営参謀の壹岐正と、近畿商事社長の大門一三の出会い。11年にも渡る地獄のようなシベリア抑留生活。そして日本帰還後新たに始まった商社マンとしての第二の人生。600ページを超す内容だが、無駄のない上品な文章が読み手を惹きつけて離さない。
Posted by ブクログ
前から読みたいと思っていた本。時代背景が古くなってしまったが、やっぱり面白い。こういうすごい人に自分はとてもとてもなれなかったけど、こういう人実際にいるのね。人当たりはとてもやわらくてスマートなんだけど仕事の厳しさを物語るように目つきが鋭い。企業戦士?そんな生き方にちょっと憧れもするけど、やっぱりお話の世界でよかったかな。
Posted by ブクログ
極めて個人的な理由があって、今更ですが読むことに。実は初山崎豊子。
まず、1巻はシベリア抑留の話、という背表紙の解説を読んで、いきなり読む気をそがれてのスタート。
というのも、シベリア抑留から帰還、と聞いただけで、過酷な環境で理不尽に耐え続ける重苦しい話だと想像できてしまうから。できればこの巻は飛ばしたい気分なんだけどな、などと思いつつ読み始めた。単純に、辛い話に対する耐性が年を取るにつれどんどん弱くなっているからなんだけど。
右翼っぽいナレーションにややゲンナリ。
この時代の話を日本人が描くと、どうしてこうなっちゃうのかしらん。
将校クラスが捕虜となった時の待遇が一兵卒より優遇されて当然、的な考え方は、別に山崎豊子さん個人の考えではなく、国際法的にも常識的にもそうなのかもしれないけど、個人的にはなんだか納得いかない。
一歩兵だろうと高官だろうと人権は同等じゃないの~?と叫びたい。
終盤で、やっとシベリア抑留の話が終わってホッ。
ここからが読みたかった部分なので。
後半の相場の話はちんぷんかんぷんだったけど、でも意味もなく虐待される話はもう十分だったので、そこから私のテンションはやや上向きになった。
ソ連が終戦直前で日本との条約をアッサリ破って参戦したのは、ほんと、なんつーか、いつ聞いても、国として、国際社会では必要な「ずるさ」かもね~などと思ってしまいまふ。
平和な時代の一個人としては必要ない能力ですけどね。
ということで、今のところ読む前に想像したとおりの流れで特におもしろくないです。今後に期待。
壱岐氏が近畿商事に雇われた理由はおもしろいと思う。
実に商社っぽいとも思う。