感情タグBEST3
Posted by ブクログ
徳子おばあちゃんが素敵すぎる。筆で書く手紙、90歳で開く華やかな晩餐会、状況が目に浮かぶ!
全ては、徳子さんの教師時代に起因する。徳子おばあちゃんの素晴らしい先生ぶりもさることながら、登場人物全てが素敵すぎる。玉木少年への導き、吃音を治す練習法、人として立派だなぁと感じ行ってしまった。
綾乃の兄弟、特に春明との掛け合いが面白い。兄弟仲良くて素晴らしい!
最初から最後まで、考え尽くされた?構図なのか楽しく読ませてもらったし、ポカポカした気持ちになった。
欲を言うなら、綾乃と棚田さんとの関係ももう少し読みたかったかなー。
題名も素晴らしい、読んだあとかなり余韻がすごかった!
Posted by ブクログ
近江八幡の90歳の徳子ばあちゃんが記念に晩餐会を開きたいと言う。京都の高級レストランでかなり金をかけて。東京で暮らす孫の綾乃から見た家族たちの人生。
素晴らし過ぎる。徳子ばあちゃんがステキだ。大らかなのに細かい所に目が届く。どういう小説なのか説明しにくいが、宮本輝らしい、人生賛歌だった。輝作品読み返したい。
Posted by ブクログ
長い描写のカクテルドレスもタキシードも超一流のフレンチも、結局は断絶を再生に導く序章だったのか、と思えるようになったのはやっぱり歳のせいか。二つの物語の底流に流れる生命の繋がりと縁の重さを感じた作品。
Posted by ブクログ
宮本輝さんの本を初めて読んだのは学生時代、錦繍とかすごく大人になった気がしたのを思い出した。
この本も何というか、とても上質な感じ。登場人物も、晩餐会という設定も、料理や建物や会話、すべて。
四合院造りの建物も想像するだけでわくわくした。
綾乃と先輩の関係もよかった。
起承転結は曖昧だけど、それを上回る宮本輝さんの世界という感じ。
Posted by ブクログ
読み終わったあと、なんとも豊かな幸福感に包まれました。
とくに徳子さんと玉木シェフの関係。
教師時代の教え子だった玉木少年は、幼くして両親が離婚し、母についたものの、その再婚相手から「お前はいらん」と目の前で言われ、祖父母に育てられる。
さらに少年は重度の吃音で、どれほどの思いで生きてきたのだろうと思わせる。
徳子さんは玉木少年はが中学を卒業すると、住み込みで仕事ができる京都のレストランへ世話をする。その際、法華経に登場する妙音菩薩が吃音でありながら、釈迦の教えを広めたことを紹介。それを御伽噺ではなく、身をもって読んだいきなさいと励ます。料理の世界で刻苦勉励し、やがてはフランス、エリゼ宮のスーシェフまでになる。身に降りかかった困難を乗り越えた人の強さと温かさが伝わる。
そして玉木シェフはシェフとして、徳子さんの晩餐会の陣頭指揮をとるのだ。
宮本輝氏は執筆中に大病を得ている。ご自分の病と向き合いながら、この作品を完成させた。その心中いかばかりかと思わずにはいられない。
Posted by ブクログ
あるインタビュー記事で、「いろんな人生が詰まったおもちゃ箱」と述べれています。
法華経妙音菩薩品第二十四
中国伝統の民家、四合院造り
来国俊の短刀
端渓の硯
竹細工の花入れ…など
「見ていると幸福な気持ちになる。それはやがて『もの』ではなく幸福そのものになる。わたしはそういうものを探して集めてきた。綾乃もそうしなさい。探せば見つかる。探さない人には見つからない。」(p.93)より引用
Posted by ブクログ
こんな教養があって、品のある人、
未来の日本にいるのかな、と思ってしまう。
徳子おばあちゃん絶滅危惧種。
知ったような気になるのと、教養として身につける知識は全く違う。
Posted by ブクログ
4.3
それはやがて、
「物」ではなく、もはや幸福そのもの
となる…
そんなモノたちが
洪水のように溢れてる物語
◯四合院造りの屋敷
◯東山区・数寄屋造りの料亭や茶室
◯来国俊の懐剣
◯端渓の硯 筆 便箋
◯蘭亭序等の臨書の手本書
◯与謝野晶子からシェークスピア、トーマスマン、プラトンまで…笑
◯谷中の竹細工職人の竹籠
◯岡山・高梁の竹屋に教わり、米糠で5年間磨き続けた花器。
◯ワイン、フレンチの真髄と言える品々
◯家紋のエンブレム
そして、
フォーマルな場でのマナーから、株の売買の鉄則まで
ノブレス・オブリージュ
おもわずググった京都の「小ぬか雨食堂」
吃音の蕎麦職人・清蔵。
徳子の勧めた法華経の難しさに根を上げた清蔵に、「詳しい人というのが物事を一番わからなくさせる」
と、思わず膝を打つ金言を吐くおばあちゃん。
「半歩は何処まで行っても半歩。半歩しか踏み出されへんとねぇ、下手したら転ぶんです」と清蔵。
桜梅桃李
小病小悩
「言語能力が疑われるという事は全能力そのものが疑われる」
原爆が落ちたその時、16歳の徳子は…
宝石箱のような本でしたが、
ラストの唐突な主役交代(笑)に違和感。
Posted by ブクログ
宮本輝さんの文章はやっぱりいいなぁ。
読みながらしみじみと感じる箇所があちこちにありました。
核家族が当たり前だった昭和の時代を思い出す。
宮本さんの描く家族、登場人物が私にはなんとも魅力的でした。
90歳の誕生日記念に晩餐会を開くという徳子おばあちゃん。
ドレスコードは女性がイブニングドレス、男性はタキシードと実に華やか。
どうして「晩餐会」なのか。おばあちゃんが語ったその理由にはある想いがあった。
おばあちゃんが上品で凛としていて素敵。
徳子おばあちゃんと孫・綾乃のアイコンタクト、兄妹の軽口などちょっとしたシーンも好き。
物語にはスピード感もなく大きな事件もない。
だけど、静かな味わいがあって良かった。
宮本輝さん、やっぱり好きだなぁと改めて感じた読書でした。
『「桜梅桃李」よ。綾乃には綾乃の良さがあって、それを磨きつづけるほうが大事よ』
『見ていると幸福な気持ちになる。それはやがて「もの」ではなく幸福そのものになる。わたしはそういうものを探して集めてきた。綾乃もそうしなさい。探せば見つかる。探さない人には見つからない』
Posted by ブクログ
徳子さんとその家族、教え子達などの登場人物、性格描写に引き込まれた。徳子さんの90年積み重ねてきたものが近くに感じられた。教養、信念、その時その時を精一杯生きる強い人、思いっきりの良さ、魅力的な人だ。
Posted by ブクログ
四合院造りに住む人達の物語りで幕を開けるが、その南側に叔母夫婦の代わりに住む綾乃の話から祖母徳子や家族の話へと移りまた四合院の大家で終わる。この四合院の醸し出す住み心地が何とも羨ましい。
物語の佳境は徳子おばあちゃんの90才を祝う晩餐会。想像できない贅沢な料理、ワインにため息です。また金井家の上質さ、仲の良さ、程よいセレブ感、夢のようです。
Posted by ブクログ
宮本輝さん、久しぶりでした。
90歳の誕生日、本当に絢爛豪華な晩餐会。
そんな素晴らしい食材やお酒を口にする機会はおそらく無いでしょう。イブニングドレスを着ることも無いでしょう。でも親の誕生日これまでも祝ってましたがこれからはさらに感謝を込めて祝おうという気持ちになりました。そして自分のも。
晩餐会の後、三沢さんの話になり、また別の時の流れを感じました。それぞれが歳月を積み重ねて生きているのだと思わされました。
Posted by ブクログ
とても良い本だった。
金井家の面々は徳子おばあちゃんをはじめ、みんな品が良く素敵な人たちだ。
おばあちゃんのような博識で好奇心旺盛に歳をとれたら素敵だろうなぁ。
四合院作りの家もとても素敵で気になるけども、最後が家主の兵馬さん家族のお話でおわってしまったのがなんだか残念。
Posted by ブクログ
四合院作り、端渓の硯、ノブレス・オブリージュ、ランスタンドゲラン、少病小脳、晩餐会とは今日生きていることへの敬意etc 知らないこと、なるほどと思うことが多々あった。「錦繍」や「流転の海」の感動を期待して久しぶりに宮本輝作品を読んだが、少し違った。ラストに違和感。
Posted by ブクログ
オシャレで可愛い徳子おばあちゃま。 育ちの良さから品を、夫の戦死などから、凛とした強さを感じます。
孫娘の綾乃さんからのプレゼントへの礼の文。
『・・・九十歳になって孫の綾乃が贈ってくれたゲランの香水を胸にぽつんとつける日がくるとは思いませんでした。
つけて寝て、朝、目がさめたとき、起きるのが恥ずかしくて、さらに起きたまはぬ朝となりました。よき時を思いました。幾重にもお礼申し上げてます。 かしこー 』
九十歳のおばあちゃまがゲランの香りに包まれて目覚め、まどろむ贅沢な時間・・・なんとも優雅で羨ましい。 そんな優雅で贅沢なシーンが度々登場しますが、京都を中心とした言葉や空気感により、柔らかく好意的に受け取れます。
この小説は、なぜ?なぜ?なぜ?と、問いかける帯(なぜ出征が決まった青年と結婚したのか?等)に惹かれて手にしました。
その答えは、少し肩すかし・・・という感じではありましたが、それ以上に、人の人生の素晴らしさ、光と影、その影さえも今の幸せの源になっている徳子おばあちゃまに、パワーをいただきました。
物語の始まりと終わりは、孫娘の住む四合院造りの家の家主・三沢兵馬さんのエピソード。
それがまた、いいのです。 最後にちょっとしんみりとし、心が温まりました。 ここにも、不器用な男の人生があるんだなぁーと。
Posted by ブクログ
2023年作品。著者の作品は70冊くらい読んでいます。その度に上品な関西弁・登場人物たちの息づかいや体温を感じる部分に感銘を受けています。今回も同様の感想・感動を与えてくれると信じて読みましたが、少し残念な読後感です。晩餐会に関する記述が長いなあと感じました。ワインや料理の蘊蓄に若干、碧碧としました。ラスト近くに別の展開になって、消化不良感があります。私が著者の思いを読み取れなかってのかもしれません。また再読しようと思いました。
Posted by ブクログ
自分には学びが多く、昔の背景を想像しながら読めて面白かったです。
人生に一度は本書のような晩餐会を開いてみんなにお礼を言う機会を設けてみるのも夢があっていいですね。
フレンチやワインも気になるけども、世界一美味しいアイスが一番気になるかもです。また、四合院造りも一度お目にかかりたいです。
まだまだ自分の知らないことが多いし、知れる喜びがあるのは幸せですね。
ただ、新しい言葉、漢字を調べながら読んだのでへとへととなりました。
Posted by ブクログ
祖父母から孫へ、親から子へ、教師から教え子へ、人は大切なことをちゃんと伝えていくことが大事だという。それを伝えたいことはわかるし良かったが、晩餐会や屋敷のような家など贅沢な描写が多すぎ。
Posted by ブクログ
とっても素敵な徳子おばあちゃんの話で、粛々と晩餐会に向けて綴られてきたのに、なぜか、最後の二十&二十一章が全く別の登場人物の話で締めくくられてちょっと肩透かし感。
案の定、「四合院造り 日本」というワードで皆さん検索するようで、一度、見てみたいと思いました。
多分、40年ほど前に「青が散る」以来で読んだ宮本さんの作品、とても優しい味わいでした。
Posted by ブクログ
宮本輝さんの作品を読むと、どんな人間にも物語があるということをつくずく思い知らされる。「老人」とか「若者」とか大きな属性でまとめてしまうことのなんと浅はかで愚かしいことかと教えられる。
90歳の老人には90年分の、29歳の女性には29年分の生きてきた積み重ねがあって、それは誰一人として同じではなく等しく味わい深いものだということ。そんな当たり前のことをしみじみ感じさせてくれ、人間が生きてそこにあることの奇跡を教えてくれる。
ストーリーとしては徳子さんというお婆さんが90歳まで生きた感謝の意味を込めて家族を招いた晩餐会を開くというものだけど、晩餐会の贅沢な料理やワインを事細かに描いた部分は正直どうでもよくて、そこに至る徳子さん自身と家族の物語が味わい深い。
そしてとってつけたように描かれて唐突に終わった四合院家主と息子の物語もまた別の人生として彩りを添える。
生きていくことはかくも味わい深いものなのだと深く感じさせてくれる作品でした。
Posted by ブクログ
主人公の実家が、自分が住んでいる場所のすぐ近くでまず驚く。驚くことはないのだが、どうしてこの場所を?という疑問。
最寄駅から家までとか、走っている電車とか、あたりの風景とか、描写はかなり詳細。
こんな地味なところでなくても、もう少し行けば映画やドラマのロケ地になるところや、ヴォーリズの建築で有名な場所もあるのに・・・
でも宮本さんはあえてここ、武佐にこだわったんやね。
話の内容は、地味な武佐とは想像もできないような、豪奢で格式のあるお話。
まず主人公が住んでいるところ、東京だが、その建物は四合院造りといわれる建物で、主に中国に見られる建造物。
真ん中に中庭があり、それを中心として東西南北に孤立した部屋につながる、というもの。韓国ドラマでもでてきたような・・・そういう古式ゆかしき所に間借りしている。この建物がこの小説のひとつの重要ポイントだと思う。
その他に、来国俊の懐剣、端渓の硯、竹細工の花入れなど、国宝級の品々が登場したり、おばあちゃんが90歳の記念に晩餐会を開いて、家族をもてなしたり、ただの食事会ではなく、晩餐会。
出席者はきちんとしたドレスコード、出されるものは一流シェフによる一流の料理や一本何十万円もするワインの数々。
かの武佐からこのような話の展開にしばしばついていけなくなったのだが、結局は最後の、四合院造りの建物の所有者にまつわる話。
これを書きたかったのではないのかな、作者は。
Posted by ブクログ
「90歳の記念に晩餐会を催したい」
と言う徳子さんの人生が
孫の綾乃の視点から語られる物語です。
徳子さんがなぜ出征が決まった人と結婚し、
その夫の死後も婚家に残ったのか。
そして、
そもそも
豪華な晩餐会を催そうと決めたのは何故なのか。
それらが
一つひとつほぐれるように明かされていきます。
徳子さんのストーリーがメインではあるものの、
伏流のように語られる
三沢兵馬とその息子の物語に興味をそそられました。
何十年に及ぶ断絶とその和解についてを
もう少し読みたかったですね。
息子が家を出てから、どう生きてきたのかを
知りたかったー。
Posted by ブクログ
宮本さんの作品は昔からたまに読んでいて、今回本屋で見かけたので久しぶりに読んでみようと思った。
両親が滋賀県出身で、子供の頃に近江鉄道に乗ったこともあり、親しみを覚えながら読み進めた。
金井家の話も三沢家の話も気持ちがほっこりとする話でよかったと思った。
ただ最初と最後が何となく唐突な感じでしっくりこなかった。
Posted by ブクログ
徳子おばあちゃんの90歳の誕生日祝いに、贅沢なフレンチの晩餐会が催される。
90年の人生、もちろんいい時ばかりではなかったけど、子どもや孫に囲まれてこんな時間を過ごせる晩年は単純に羨ましい。
ラストは、なぜこの終わり方?
晩餐会からの流れで終わる方が自然な気がしたけど。
Posted by ブクログ
タイトルが良いなと、日頃あまり読まない宮本輝さんの本を手に取った。
素直に世界観に浸りたい気持ちと、何かが引っかかる気持ちが行ったり来たり。
自分が紆余曲折を経て生きてきたこと、関わってきた人たち全て、それらに思いを馳せ、敬意を払うのはとても素敵で、一人一人の生き、生かされた経験を無二のものにする。
ただ、高等家系の贅を尽くした晩餐会…何か引っかかる。沢山の生き物から出汁をとったデミタスカップに注がれたジビエのコンソメ…高等家系ならではの地位とお宝コレクションと広く卓越したコネクションの数々…
羨ましさも混ざっているんだろうと何度も自分を諌めたけれど、やはり上手く世界観に浸り切ることはできない自分がいた。
ただ、何より私が羨んだのは、家族の仲の良さだろう。絵に描いたような、愛すべきキャラクターばかりの家族が描かれていた。家族の仲が良いのは何よりの幸福だ。
こんな世界もあるのだなと飲み込みつつ、一人一人にとってのよき時を心に思い描く大切な時間を愛しく思った。
Posted by ブクログ
祖母の人生を主として過去を遡ったり現代に来たり、ころころと主人公と時代が変わるのでなかなか読みづらかった。話自体は祖母の終活の晩餐会に向けての思い出やら家族の話やらでほっこりする。
Posted by ブクログ
90仕事歳を迎える徳子おばあちゃんが
晩餐会を催すと準備を進め、
その晩餐会までのカウントダウンを中心とした、
特に盛り上がりのない物語。
なのに、どうしてこんなに世界観に浸ってしまうのだろう?
いよいよ迎えた晩餐会で、徳子おばあちゃんがこの晩餐会をもとうとした理由がわかり、なんて素敵なんだろうと、「私もどこかで開催できたらいいな」なんて思いました。
『よき時を思う』
過去の栄光や良かった時をふりかえるのではなく、幸せな楽しい未来を思い描く気持ちのこと。
凄く深い言葉に感じます。
ついつい過去を振り返ったり、未来の不安に憂いてしまうことが多い日々けど、そうではなく、幸せな未来を思い描いて、日々過ごしていけばいいという気持ちになりました。