【感想・ネタバレ】真珠湾の冬のレビュー

\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

Posted by ブクログ

 1941年の真珠湾攻撃より前の日に起こった連続殺人事件から1945年の終戦を経て、ホノルル警察の刑事であるマクレディが謎の人物であるジョン・スミス正体を暴く過程が一人の男が恋人や職業などの大切なものを失いつつも真相にたどり着く過程が重厚なハードボイルドを呈してて引き込まれた。また、ラストで日本で出会ったサチと再会できたのも良い余韻だった。

0
2024年05月03日

Posted by ブクログ

ネタバレ

こんなにも日本の描写があると思わなかった。
2章からの展開がとても好きで、とても楽しめた。
翻訳版の表紙はもうちょっと…

0
2024年02月13日

Posted by ブクログ

ヒデミス2023の中で読みたかった2作目ですが、こちらの翻訳は癖が無くて読みやすかったです。ただ、一つだけ文句を言わせて貰うと邦題が酷い…。素晴らしい大作なのに真珠湾攻撃を書いたチープな作品と勘違いされません…?お陰で友人に「まーたそんなん読んで!前世は兵士やったんか?!」と突っ込まれました。輪廻転生って何年サイクルなんだろう、と真剣に考えてしまったと言う話は置いといて。

紹介では犯罪捜査の途中で真珠湾攻撃が始まるとの事でしたので、そんなてんこ盛りして大丈夫?!と気になりすぎて拝読したのですが、大丈夫どころか全て繋がる歴史大作ロマンと言って差し支えない作品でした。
先ず、これを海外の方が書いて下さった事に感動。日本兵の事はフルボッコなんでしょう?と覚悟していたら、なんという中立な描写…どころか凄く泣けるシーンを作ってくれていて海の向こうのジェイムズさんに土下座しましたが、後書きを拝見するとアジアが大好きな方のようです。
凄惨な描写も少なく、どちらかと言えばあとがきで吉野さんが仰っていたファシズムへの怒りと批判という表現に納得しました。

ジャンル分けが非常に難しい本作ですが、基本的には最初に起きた猟奇殺人を追いかけるのがベースです。1941年、軍人上がりの刑事マグレディが納屋で逆さ吊りにされてお腹をパッカンされた事件の捜査を任されます。
始めは正統派の刑事物語で進むのですがこれが第一章。ここに真珠湾の基地を守っているキンメル大将が絡んできてどんどん不穏な空気になって来ます。
第二章になると舞台が中国へと移ります。当時は国を移動するのにこんなに時間と手間がかかったのかと驚きましたが(そりゃそうか)、ここで遂に真珠湾攻撃が行われ開戦。罠にかけられた上に異国の地で戦争に巻き込まれてしまうマグレディ。
中国に日本軍が押し寄せて来た時には残り200ページ以上もあったのに「あ、終わったなこれ…」と私も絶望を感じた程。
ここで素敵な日本人が登場。東郷大臣の第一秘書官の高橋。
彼との出会いがマグレディの人生の転機となります。
そして舞台は戦時下の東京へ。この東京の描写が日本人が書いたのかと錯覚する程丁寧で細かく、情景がありありと浮かんできて戦時中だと言うのになんて美しい世界なんだろうとこの辺りから読むのが止まらなくなりました。
日本人が本来持っている筈の礼節をこんなに美しく書いてくれるなんてまたもや感謝の念が湧きましたが、第3章ではいよいよ終戦。
眠っていた猟奇殺人事件の捜査が再び始まります。
舞台は再度ホノルルへ。

ここで先ず私が思った事。マグレディ…モテすぎだろ!!
確かに女性に対して礼儀正しいですし頼りになりますけどフェロモンでも出てるのか?!
ここでは戦時中から戦後にかけて、不遇な扱いを受けて来た女性達が登場します。
彼女達のお陰でマグレディはどんどん事件の真相へと近づき帰ってきたサスペンス。ここにマグレディの切ない思いが重なっていよいよ読むのが止まらず寝落ちした後で読書再開。
予想もしていなかった展開に驚いていたら、最初からは絶対に想像もつかないエンディングが。

なんと美しい終わり方なんだろう…。まるで昭和時代の東宝映画を観ている感覚になり、暫く呆然としてしまいました。

上下段の474ページですがあっという間でした。一つ一つ丁寧に練られていてマグレディが恋人のモリーと出会ったきっかけも計算されているし、刑事としての捜査方法もリアルだしこんなに長いのに何一つ無駄がありませんでした。
この作品のお陰で翻訳本に対する苦手意識が薄れそうです。思い切って読んでみて良かった。
それにしても何故私は突然翻訳本が苦手になったのか原因不明です。高校の時はダ・ヴィンチ・コードやアガサ・クリスティも平気で読んでたのになあ。

そう言えば作中で山本五十六さんのお名前が出てくるのですが、もし1度だけタイムリープさせて貰えるなら山本さんに本当にギャンブルで一度も負けた事がないのですか?と聞きたいです。(私はそのまま海の藻屑となりそうですが)

0
2024年01月07日

Posted by ブクログ

とにかく壮大なストーリー
いつの時代も私達は、大切な人とささやかな日々を過ごしたいだけなのに…
戦争は人生を大きく変えてしまう…


“ホノルル警察の刑事・マグレディを主人公にした警察小説”
といった雰囲気で始まるこの作品。
しかし、時は1941年11月26日。
太平洋戦争を背景にしたこの作品は、警察小説の枠を超え、舞台もハワイから香港、東京へと移っていく。
マグレディは戦争という大きな波に飲み込まれ、その人生は思わぬ方向へと転がっていく…

原題は「Five Decembers」
主人公と共に12月を5回経験した私は、まさに放心状態。
フィクションと分かっているが、戦時下のリアルな描写に胸が苦しくなる。



この本は皆さんご存知〈ハヤカワ・ポケット・ミステリ〉の一冊。
このシリーズ、海外ミステリ初心者の私には敷居が高いと思っていました。上級者の方々が手に取る本だと…
(あくまでも私の勝手な思い込みです^^;)

でも約1年前、autumn522akiさんの鬼★5レビューを読ませて頂き、読んでみたい!
と思っていました。
読んで良かった!
やはり日本人が登場したり、東京が舞台になったりで、入り込みやすいのかもしれませんね。
そしてラストは圧巻です…

私でも思いっきり楽しめました。⁠◕⁠‿⁠◕⁠。

0
2024年01月07日

Posted by ブクログ

ネタバレ

ジェイムズ・ケストレル初読。おそらく初翻訳?
別名義の作品があるらしく、もしかしたら別名義の作品はあるのかも。

ミステリ、警察小説、ロマンス、戦記、ロードノベルなどなど、色々な要素がこれでもかと詰め込まれた贅沢で重厚な作品。
根っこにあるのは、ホノルルで若い男女が拷問されて殺された事件が起こり、その犯人を追うもの。ただそれだけでは終わらず、日本軍の真珠湾攻撃により様相がガラリと変わる。
最初と最後はしっかりとした警察小説かつミステリ。中盤が戦争に絡んで色々な姿を見せる小説となっている。
ラストは結構意外な着地点。綺麗なエンディング。

色々な人が書いてますが、やっぱり主人公のマグレディがモテすぎるのは気になる笑。ロマンス成分があるのも嫌いじゃないけど、みんな一目惚れしすぎだろうて笑

正当な続編ではないけど(説明しづらい)、関連作を書くらしいので期待。

0
2023年08月17日

Posted by ブクログ

ミステリ、文学、戦争、大河ロマン、ハードボイルド等色々と詰まった満足度満点、数年に一度しか出会えない様な大作小説でした。

0
2023年06月14日

Posted by ブクログ

邦題が良くないな〜

なんかお金儲け臭がね
ま、お金儲けは当然のことなんで、そのために知恵を絞った結果なんだろうけど
ちょっとセンスないかも
「真珠湾」のネームヴァリューに頼りたい気持ちも分かるんだけどね
中身にあってないと思うんですよね

はいじゃその中身です

第二次大戦中の物語なんですが、その割に日本人が好意的に描かれていて
やっぱり好感を持っちゃいますよね
なぜかというとこう見えてワタクシ日本人なので(どっからどう見ても日本人だろ!)

別にナショナリストでもないし、特に第二次大戦に於いては、反省すべき点は多々あるにしても、親切で忠義に厚い日本人という描かれ方をしている海外の作品を読むと
ふむふむよく分かっとるじゃないか!と鼻を膨らますと同時に、そんな日本人像を守っていかなければ!とも思うのです

したっけ主人公のジョーはえらぐかっごいがったな〜
しめぇもいがったがらおらぁまんぞくだ〜
(急な方言と内容は一切関係ありません)

0
2023年05月01日

Posted by ブクログ

スケールの大きさに圧倒された。
犯罪だけを追う警察小説だけではない、スパイ絡みであったり、恋愛などの要素もある。
それが戦争を挟んで繰り広げられる。
国を行き来しながら…である。
しばし、物語の世界に没入してしまい何も手につかないほど。
まるで予想がつかないラストは見事。


1941年、ハワイで惨殺事件が起きその真相を明らかにし、犯人を追うのがマグレディ刑事。
だがその最中に太平洋戦争が開戦する。
香港で身動きの取れない状態だったマグレディが、囚人たちと乗せられた船で着いた先は横浜。
東京で匿われた理由も惨殺事件の被害者と関係がある。
日本が敗戦し、マグレディ刑事が4年を経て戻ってからも事件を追ううちに明らかになった驚愕の事実。
いのちをかけて繰り広げられる闘い。

ラストにマグレディが向う先は雪景色で見えないかのよう…美しい描写。
ことばにできないほど胸を打つシーンだった。

0
2023年02月28日

Posted by ブクログ

フォローしている方が絶賛されていたので。
ホノルル警察の刑事が惨殺された事件を追い香港へわたる。そこで真珠湾攻撃から大戦に突入した状況のもと、ままならない日々の中でも、犯人探しの執念を抱き続ける。
兎に角主人公マグレディがカッコ良い。常に筋が通っていてブレない。
香港、日本の描き方もとてもリアルでその街の匂いまでが漂うようだった。
読んで間違いはなかった。

0
2023年02月11日

Posted by ブクログ

鬼★5 戦争とは人間とは何か? 命のやりとりを壮大なスケールで描く歴史冒険ミステリー #真珠湾の冬

■あらすじ
第二次大戦が始まる頃、ハワイにてある白人男性と日本人女性が殺害される事件が発生。主人公であるアメリカ人の刑事は、犯人を捜すため奔走するも、捜査はウェーク島や香港にまで及んでしまう。彼が香港で捜査を進めているとき、折しも日本は真珠湾を攻撃、第二次大戦が始まってしまって…
予想だにしない運命と、事件の動機と真相を大きなスケールで書き記す、歴史冒険ミステリー。

■きっと読みたくなるレビュー
またすごい小説を読んでしまった…
これは日本人なら読んでおいたほうがいい。

殺人事件の捜査から第二次大戦の背景に、人ひとりの人生がまるっと影響を及ぼしていく。あまりもスケールが大きい物語でした。

○戦争が人々に与える影響
もちろん本作はフィクションではあるのですが、似たような現実があったのかもしれませんね。日本人外交官や関係者の考え方やセリフがやたらリアルで、重大な歴史への影響を感じ、じわりと手に汗を握ります。

ハワイの事件から始まり、ウェーク島、香港、日本と太平洋をまたにかけ場面が展開、当然それらの国の人々と主人公が関わってくる。ただの事件捜査ではない、まさに命のやり取りが繰り広げていくのです。
特にラストシーンは、この壮大な物語を締めくくってくれる至極の名シーンでした。

○攻撃される日本
戦時下における東京、生活する人々の現実、そして大空襲。小さな幸せをすべて破壊する描写と叫びがあまりにも痛烈。
どんな犠牲を払って戦争が行われるか、現代に生きる我々も覚悟して見ておく必要があります。

○人々の戦争に対する思い
どこの国で生まれ、育った人も、戦争なんかしたくない。
しかしそれが許されなかった時代に、日本人、アメリカ人で生きる人々は、それぞれに何を思っていたのか。きっと本作のように、当たり前の考えをしている人は多くいたのでしょうね。

物語の後半、ある女性と事件を振り返る名シーンがあります。
戦争がもたらす罪と罰が切々と語れれていきますが、特に強烈なのは日本刀の鞘に入っていた手紙。

第二次大戦では日本は何百万もの戦没者がいましたが、そのひとりひとりに家族がいるんです。2022年、いまだに戦争をしている国があります。いますぐやめるべきです。

○恐ろしい動機と真相
犯人の動機、事件と戦争の関係性があまりにも恐ろしい。
たった一人の歪んだ価値観が、こんなにも悲惨な結果につながるのか。これから未来に生きる我々は反面教師にしないといけません。

さて2022年、最後の一冊になりました。
昨年末にも「同志少女よ、敵を撃て」を読みましたが、戦争をテーマにした小説は学びが多いですね。重厚感たっぷりの時代冒険小説、じっくりと読みたい作品でした。

■きっと共感できる書評
朝起きて、仕事をして、仲間とお酒を飲み、ほんの少しのご飯をいただき、就寝につく。何処の国でも、人種でも、宗教であっても、みんな家族や恋人、友人たちと幸せに暮らしたいだけです。

凄惨な事件と辛い戦時中の物語ですが、読み終わってからあらためて本書最初の引用文を見てみるとよいでしょう。

人を救うのは、人の優しさだけです。

0
2022年12月30日

Posted by ブクログ

ハワイ真珠湾から香港、東京と太平洋戦争の始まりから、終戦までが舞台の今までにないシチュエーションの小説でぐいぐい引き込まれるすごい読書体験だった。
欲をいえば大きく広げた風呂敷のほんの少し不明点が残ったかなというのが正直なところ。とくに今はやりの異常な殺害方法は少し前までは表現されなかっただろうと思うし、実際必然性はなかったので時代の背景を考えることよりも犯人を必要以上に憎ませ、個人的な性格異常に事件を矮小化してしまったように思う。
とはいえ、今までにない読書経験、もう少し長くジョーの冒険に付き合って、日本の戦後を体験したかった。

0
2022年12月25日

Posted by ブクログ

1941年のハワイ。アメリカ人の刑事マグレディはある殺人事件の捜査を始める。そして容疑者が香港にいるという情報でそれを追うがその最中に真珠湾の攻撃、太平洋戦争の勃発。そこからマグレディの人生が狂い出していく。日本軍に捕まり東京へ。ここまででもすごく読ませるけどこの東京の日々やその後が本当に面白い。一人の女性との出会い、終戦を迎えてまた変わる日々。色々なものに翻弄されていくなかでハワイでの事件を追い続ける。戦中、戦後のアメリカや東京の空気感や価値観の変化。戦争が変えてしまったものとマグレディのなかで変わらなかったもの。そういうものが溢れてくる余韻のあるラストがいい。

0
2022年12月17日

Posted by ブクログ

ネタバレ

面白かった、後半一気に読んだ。上司のビーマーが一枚噛んでいたとは。ジョン・スミスの本名はついにわからずじまいだったが執念深く目的を忘れずに追い詰めて目的を達成したマグレディはかなりの勇者だ。

0
2024年05月06日

Posted by ブクログ

色々と忙しく、なかなか感想を書く時間がない。読んだ先から忘れていくことが得意な私なので、あまり間があくと書くことが億劫になってしまう。

ケストレルの著書は初めて読んだ。そういう人が少なくないと思うが、本書を手にしたのはタイトルが目についたからである。ただし、この邦題はミスリードで、ほとんど内容とマッチしていない。原題は「Five Decembers」なのだから当然である。おそらく、歴史好きの読者も取り込もうと、編集部が狙ったのではないだろうか。

物語はある殺人事件に端を発し、原題の通り、5回の12月を経る。ハワイ、香港、東京と、時間のみならず、地理的にも壮大なスケールで展開する圧巻の物語である。主人公は元軍人の刑事マグレディ。タフで優しく、女性にモテる。フィリップ・マーロウの系統に属するキャラだ。私自身はあまりこの主人公に感情移入することができなかったが、とても面白く読んだ。他の多くの方が指摘されているようにラストが美しい。

タイトルに真珠湾と入れたことで、逆に色がついてしまったようにも感じる。そこは惑わされずに、原題で興味を覚えた方は手に取ってみては? 抜群の没入感が味わえると思う。

0
2024年04月03日

Posted by ブクログ

ネタバレ

水面下では真珠湾攻撃が忍び寄る1941年11月のホノルル。
軍上がりの刑事、ジョー・マグレディは上司から署長の知人宅離れで発見された惨殺死体の調査を命ぜられる。

死体の身元を調べていくうちに、ぞんざいには扱えない縁故を持った被害者であることがわかると共に、犯人と思われる輩の足取りも思わぬ方向に表れて、俄然多方面の筋からの事件への注目度が増していく。

猟奇殺人をめぐる骨太警察もののような出だしから、香港に飛び、運と巡り合いの力で戦時下を身ひとつで生き延びるアジアンテイスト色濃い戦争小説めいたものとなり、大戦が開けると喪失の果てに失うものはない冷めた心を携え、寄りつく女達にも芯の通ったスタンスを崩さない主人公然がもはやハードボイルドとなる目まぐるしいまでのジャンル融合小説だった。

結末は1945年12月(原題〈Five Decembers〉でもある五回目を迎える12月)。
いくつもの出来事、関係を犠牲、置き去りにして今日に至る中で、結局のところ因縁のあの事件の犯人探しに帰結していく展開と、「もしもあのとき…」の歴史の分岐点の夢想を主軸に、戦争がもたらす混沌、悲運、空虚さが刺さる壮大なミステリ。

この書きぶり、この目線の作品にエドガー賞が与えられるとは米国ミステリ文壇も捨てたもんじゃないですね。

0
2024年03月31日

Posted by ブクログ

フィクションでありながら、とても作り物は思えない・・手に汗を握る慟哭のストーリー展開だった。
かなりの分量があり、読み通せるか時間的に不安だったものの、細切れの時間を積み重ねた分、感動がじわじわとボディブローを効かせ、ラストは圧巻。
ホノルル警察の刑事が辿る怒涛の時間は日本人がぜひとも読むべき内容と思えた。

3部構成で、骨格が明確な事もあり、中だるみは全く感じさせない。
第一部な刑事もの、捜査の執念とお定まり「上司との方向性のずれ」
第2部に入るとマクレディのプライベイトに少しずつ光が当てられていき、事態は思いがけない動きを展開・・ウェーク島、香港、日本と時空間を隔てる舞台が広がっていく。
第3部に移ると急展開。お蔵入りされたと思われていた当初の事件に再び、帰国したマクレディが絡んで行く・・そして。
パールハーバーと言えば日本人の視点ばかりやたら強調されてきたように思えるこれまで。だがアメリカで、ハワイで、香港でそれぞれに命が煌めき、生活が培われ、命がいとも簡単に踏みつぶされて行った。

野沢温泉の山道を歩くマクレディが滑落したり雪まみれ凍傷寸前の体であの人の元に辿り着く。
小説とはいえ、もう感動でした。お湯の中で心身ともにくるまれ一つになって・・これからを思っていくシーン。素敵です。

心は痛んでも優しさにくるまれると蘇っていく。。。

0
2023年10月27日

Posted by ブクログ

1941年ハワイ。アメリカ陸軍上がりの刑事マグレディは、白人男性と日本人女性が惨殺された奇怪な事件の捜査を始める。ウェーク島での新たな事件を経て容疑者がマニラ・香港方面に向かったことを突き止めた彼はそれを追うが、折しも真珠湾を日本軍が攻撃。太平洋戦争が勃発する。陥落した香港で日本軍に捕らえられ、東京へと流れついたマグレディが出会ったのは……。戦乱と死が渦巻く激動の太平洋諸国で連続殺人犯を追う刑事の執念。その魂の彷徨を描く大作ミステリ。

日本の描写が一部気になるところもあったが、スケールの大きな警察小説。大いに堪能させていただきました。

0
2023年09月06日

Posted by ブクログ

ミステリーというよりも冒険小説。スパイ小説かな。昔の007映画を見ているような気にもさせられます。
真珠湾攻撃直前にハワイで起きた事件を追って東京に...。今なら15時間程度のフライトのハワイ⇒香港の移動や第二次大戦前・後の日本と日本人が描かれていて面白かった。

0
2023年04月02日

Posted by ブクログ

タイトルから連想するのは戦争モノだが、ページをめくると刑事モノ。読み進めれば魅力的な女性が何人も出てくるソフトな場面もあり、幅広いジャンルに加えハワイから香港、東京、野沢温泉と行動範囲も広く、長編ながら最後まで飽きることなく異なる刺激を得られた。

第二作が楽しみ。

0
2023年02月26日

Posted by ブクログ

ほぼ一気読み。こんな壮大なミステリは初めて。事件に戦争と幽閉を挟むなんてすごすぎます。真珠湾や東京大空襲をこんな角度から見るのは実に新鮮。映像が目に浮かぶほどリアルだし、舞台となる地域が目の前に広がるようで、中身が濃すぎです。日本人である我々が読まないでどうするの、レベルの作品と断言できます。高橋氏がかっこいい!ほんとに、こんなことあったなら歴史が変わってましたね。

0
2023年02月15日

Posted by ブクログ

ネタバレ

2023私が読みたい本3選に選んだ1冊を読み終えました。

読み応え十分な作品で、タイトル通りに第二次世界大戦の前後、ハワイで起こった凶悪な殺人事件を追うマグレディ刑事の視点で描かれたストーリーです。

殺人事件と戦争?戦争のどさくさに紛れた殺人ではありません。

犯人を追うマグレディが戦争という苦難に巻き込まれながら、最終的には犯人を追い詰めるというのがざっくりとしたストーリーです。

開戦の色が濃くなってきたハワイ、犯人を追い訪れた香港の地で捏造された事件で勾留され、そのタイミングで開戦をむかえます。

そして物語の舞台は日本へ。

東京が焼け野原となっていく焼夷弾による絨毯爆撃、悲惨な戦争の姿からは残酷な殺人以上に目を背けたくなる。

基本のストーリーは殺人事件の犯人を追うことですが、戦争がもたらす悲劇が本作に深みと重みをプラスしていきます。

ハワイで殺された被害者の1人が日本人であった事、時代設定に第二次世界大戦を選んだこと、そこで日本の文化に触れ日本語を学ぶこと。

全てが計算され尽くしています。

休日に手にして正解でした。

説明
内容紹介
世界最大のミステリ文学賞エドガー賞最優秀長篇賞受賞作
太平洋戦争迫るハワイ、香港、そして日本。彼は真実を追い求めた――

1941年ハワイ。アメリカ陸軍上がりの刑事マグレディは、白人男性と日本人女性が惨殺された奇怪な事件の捜査を始める。ウェーク島での新たな事件を経て容疑者がマニラ・香港方面に向かったことを突き止めた彼はそれを追うが、折しも真珠湾を日本軍が攻撃。太平洋戦争が勃発する。陥落した香港で日本軍に捕らえられ、東京へと流れついたマグレディが出会ったのは……。戦乱と死が渦巻く激動の太平洋諸国で連続殺人犯を追う刑事の執念。その魂の彷徨を描く大作ミステリ。解説/吉野仁

《ニューヨーク・タイムズ》を筆頭に、各書評誌紙で年間ベストミステリに選出。歴代エドガー賞受賞作家が激賞した、屈指の傑作
「とんでもなく面白い物語だ。圧倒された」――スティーヴン・キング(『ミスター・メルセデス』『IT』)
「時代を超えた犯罪叙事詩である」――デニス・ルヘイン(『夜に生きる』『ミスティック・リバー』)
「なんという作品だろう! 没頭させられ、文章も美しく、ときにショッキングで、とても感動的だ」――エリー・グリフィス(『見知らぬ人』『窓辺の愛書家』)
著者について
刑事事件調査員など様々な職種を経て、現在弁護士としても活動中の作家。ハワイ在住。2022年に本作でエドガー賞(アメリカ探偵作家クラブ賞)最優秀長篇賞受賞。

0
2023年02月06日

Posted by ブクログ

1941年ホノルル、真珠湾攻撃直前、アメリカ人男性と日本人女性が殺害される。男性は提督の甥だった。刑事は容疑者らしき男を追いかけていた香港へ。そして思いもよらぬ人生に。

面白かった。殺人事件の真相よりもマグレディがまさかそんなことになってしまうという驚きの方がインパクト大だった。

※ネタバレ

真珠湾攻撃に関する文書を起草する東郷外務大臣の秘書としてタイプライターで打っていた女性が内容をアメリカ側をもらすかも知れないとして殺された。マグレディは香港で容疑者に迫るが、マグレディの上司から情報を得て、先にマグレディを香港警察に逮捕される。当時の香港は日本に占領され、彼の身柄は東京へ。外務省職員の高橋に救われる。彼の姪が被害者であり、殺人事件をマグレディに解決して欲しいから。高橋の家に匿われるが外に出られない。高橋の娘サチと恋仲になるが、憲兵に姿を見られたため殺す。サチは急にマグレディを受け入れられなくなり長野に疎開。戦後になってアメリカに帰国、謎を解いた。

0
2023年01月26日

Posted by ブクログ

読み応えあり。

凄惨で目を背けたくなる殺人事件から、このようなスケールの物語に発展していくとは。ハワイ、東京、香港など地理的にも大きく動き、また、さまざまな人種、立場の人物たちとも関わり合ううちに、何度か緊迫して息を詰める。東京大空襲のことも日本にいる視線で描かれていたのが印象的だった。

そして、ひとかけらの雪片のような美しいシーンへと辿り着く。

0
2022年12月06日

Posted by ブクログ

みなさんの高評価に感化され、
読んで見ました。

事前情報は最小限に留めた為、タイトルと
表紙からもっと太平洋戦争開戦に起因する
事件かと勝手に想像してしまいました。

個人的には戦中の香港〜東京の場面は
どハマりしましたが、ホノルル〜結末は
ちょっと微妙かなぁという感想です。



0
2024年03月12日

Posted by ブクログ

真珠湾とミステリー、どう繋がるのか。
1940年代、ホノルル警察の刑事マグレディが
戦争に巻き込まれながら、国を越え、時を越え殺人事件の真実に迫っていく。
章が進むにつれ、来るぞ来るぞの開戦日、
まさかの事態に。これどうなるの?と絶対絶命の詰み状態。ハラハラドキドキがたまらなく面白かった。
アメリカ側から見た第二次世界大戦は、こうなのかと垣間見る事ができた。

ハワイ、香港、日本など当時の描写が味わい深い。特に日本の描かれ方については、著者の思い入れを感じる。美しく描いていただきありがとうと、同じ日本人女性として勝手に思っている。(似ても似つかぬタイプだが…)
ミステリーと歴史のコラボ。人間ドラマも相まって、読みごたえありの一冊となった。

0
2024年02月03日

Posted by ブクログ

『ヒデミス!2023 小島秀夫が選んだミステリー・ゴールデン・ダズン』に選ばれていたので読んでみました。

1941年11月。ホノルルで残虐な殺され方をした男女の死体が見つかった。一人は海軍提督の甥。もう一人は東洋人の若い女。犯人の足跡を辿り、ウェーク島へ。ウェーク島でさらに犯人の人物像に近づき香港へ。香港で犯人の居所を突き止めたところ太平洋戦争が勃発し…

ホノルル→ウェーク島→香港→東京、と場所を変え、殺人事件と戦争を絡めることで、ダイナミックで意外な展開になります。犯人と対面するシーンでは、思わず「今ここで!?」と言いたくなるほど。
だれが味方かだれが敵か予想がつきにくく、やけに真面目なロマンチックもあり、最後までドキドキして面白かったです。
すごく面白かったのですが、ドラマティックな演出のために空襲を利用して欲しくないという思いと、なんでこの家には使用人がいないの?という疑問が重なり、星は少なめです。
ちなみに原作の表紙は星1つです。がっかり過ぎ。

0
2024年01月25日

Posted by ブクログ

面白くないことは無いのですが、正直前評判がかなり良かったので、期待し過ぎちゃいました。
なんとなく話全体を通して、主人公のキザさが強めな感じがしました。そこが良いところではあるのですが、私にはちょっと合わなかったです、、、

0
2024年01月22日

Posted by ブクログ

1941年11月ハワイ。刑事マグレディは白人男性と東洋人女性が惨殺された事件の捜査を始める。国際情勢が緊迫する中、容疑者が香港にいることを突き止めたマグレディは香港行きの飛行艇に乗るが、それは真珠湾攻撃の前日だった

3部構成なんだけど、1部が警察小説、2部がロマンス小説で3部がその合体版、みたいな印象。
太平洋戦争が絡むから読み応えがすごいし(特に2部はがっつり戦争中の描写)のめり込めるんだけど、ミステリだと思っていたので3部(謎解きパート)に拍子抜け。
この物語はミステリと思って読むとあかんやつ。

あと、これは多分ハードボイルド系だと思う。ハードボイルド&警察小説&歴史小説好きな方はハマるんじゃないかと。
あと、恋愛小説も。なんだかんだでマグレディと女性たちとの愛の物語なんだよなぁ。


(ハードボイルドと恋愛が苦手な私にはちょっとハマらなかったです……でも楽しく読み切れたので、お話としてはとても面白いと思う。

……私、チャンドラーの「長い別れ」を挫折しているので、当てにならない感想で申し訳ない)

0
2023年05月16日

Posted by ブクログ

SL 2023.2.14-2023.2.17
太平洋戦争の直前に起きた殺人事件を、戦中は日本に隠れ住みながら終戦後も追い続ける刑事。
この戦争がなければ起こらなかったであろう事件。だからこそジョーは香港から東京を経てホノルルへ戻って来なくてはならなかった。東京大空襲を含めた戦争を描くことでさまざま考えさせられる作品。
ただ、犯人との対決後はない方が余韻が残るのではないだろうか。

0
2023年02月17日

「小説」ランキング