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Posted by ブクログ
以前読んだ雑誌ダ・ヴィンチで特集があって、
普段はエッセイはあまり読まないが気になっていた。
私小説?というくらい、
いろいろな人生を歩んでこられて、それぞれが小説のようで、面白くてあっという間に読み進めてしまう。
山田詠美。1959年生まれ。
今まで読んできた作家は、勧められたのも含め、
若い人が(あるいは若い時から読んでいるものが)多かったので、はじめまして。
自分の読書の幅が狭いので、
こんな文章を書く人がいたんだ。と発見で嬉しくなる。
怖いのかなぁ。会ってみたいなぁ。
エッセイの感じからすると、小説もきっと好み!
「血も涙もある」から読もう。
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読書家なんだなと読んでいて分かった。
奔放そうに見えるのに、大御所の小説家の先輩たちに
可愛がられている様子がいいな(微笑ましいな)と感じた。
読むことも書くこともたくさんしてきた方だからこそ
今後も芥川賞の選考を、どのように見るか楽しみだなと思った。
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作者の作品は今まで読んだことがなく、初めて読むのが最新作の自伝となってしまった。小説家に限らず、何らかの「表現」を志す人には是非手に取ってほしい。きっと心の支えになるはず。また、誰からも理解されず孤独を感じている人にも。
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この本を手にするきっかけは、『私のことだま漂流記』出版記念のトークショーに参加したことにある。昨年の11月、まだ季節も冬になりきれていない頃、武田砂鉄が司会を務めたトークショーで本作についていろいろな質疑が交わされたが、もともと本作自体が山田詠美の幼少期からの生き様を描いた自伝のような話なので、トークショーもいきおい山田詠美が自身について語る、という流れであった。さすがにトークショーでは、少女時代を脱して夜の街を闊歩する話は生々しすぎたのか出てこなかったけれども、文学少女だった頃から言葉へのこだわりはすでに身に着けていたようである。
かくして、発売直後に、私の許にもサイン本が送られてきた。トークショーではサイン入りポストカードをいただいたので、図らずも山田詠美のサインを二つも手に入れた。池袋で行われたトークショーは、そう考えてみると実にコスパの良いイベントだった。
年も明けて2023年の正月、いよいよ待ちに待った時である。何もしなくてもよい正月とは、すなわち「何をしててもいい時間」が豊富にあることを意味する。そこで一気呵成に『私のことだま漂流記』を読んだ。普段は細切れの時間をつなぎ合わせて本を読み進めるが、この本はそうせずに一気に読んでみたかった。
山田詠美の愛らしいサインを今一度見てから、まだインクの匂いも濃い本を開いた。
転勤を繰り返している中で、転地を繰り返していた少女時代。すでに彼女が作家になろうとする萌芽はあった。彼女の生活に、本はすでに不可欠なものになっていた。表題にもある「言霊」の力を、彼女はすでに体感的に会得していたのではなかろうか。
その後、大学に入学し、いわゆる水商売に手を染めた。新宿ゴールデン街という、今聞いても近寄りがたいところから出発した水商売も、紆余曲折の中でやがて銀座まで流れてゆく。一方で、六本木や赤坂での様々な出会い。その中に、彼女のデビュー作の題材ともなったブラックカルチャーとの出会いがあった。このあたりを、山田詠美は本作のなかで赤裸々に描いている。
やがて彼女は、横田基地のある福生に行った。相変わらず、彼女の傍らには黒人が不可欠だったが、いわゆる東京とはやや距離を置いた生活を送るようになった。基地に務める軍人との生活を送りつつ、彼女のデビュー作はそのアパートメントのダイニングテーブルで書かれたらしい。そして、首尾よくデビュー作『ベッドタイムアイズ』を世に送り出し喝采を浴びるのだが、同時にそれは、彼女にとって誹謗中傷との闘いの始まりだったようである。
そのあたりの話から山田詠美は「言霊」の威力をいかんなく発揮する。世間の大衆迎合的な誹謗中傷への反論としての呪詛の数々が述べられる。曰く「白人とのラブアフェアは許容されても、相手が黒人となるととたんに誹謗中傷となる」。曰く「私は『女流』という言葉が嫌いである」。等々。
先生と崇める宇野千代をはじめ、数々のステキな先達との出会いに助けられたことが書かれる一方、デビュー作で山田詠美という人物が世間に知られるにつれ、かつての新宿ゴールデン街での生活や、黒人男性との付き合いそして結婚などが、メディアでおそらくはそれなりの尾ひれをつけられて世間に開陳されてゆく。本来は小説家として評価されるべきだが、大衆はそんなことそっちのけでふしだらな「女流」作家なる山田詠美という属性ばかりをあげつらう。
もしかしたら、デビュー直後のこの誹謗中傷がなかったら、この自伝も世に出ていなかったかもしれない。少なくとも(特に後半の)呪詛に満ちた「言霊」の威力を見せつける話にはなっていなかったように思う。
本作の中で、山田詠美は、自身を「嫌なことは決して忘れない」性格と述べている。トークショーでも、自身の口でそうした話をされていた。
だが、山田詠美はその場でむきになって反論したりはしない。「嫌なこと」は彼女の中で熟成される。いつか書くことのできる時まで。機が熟したとみるや、山田詠美は「言霊」を駆使して呪詛を述べるのだ。
初めての山田詠美の作品として、もう遠い昔だが、『ソウル・ミュージック・ラバーズ・オンリー』を読んだとき、一つひとつの言葉がどれも洗練されていることに驚いた。それ以来、自分の中では、山田詠美は「言葉の魔術師」ということになっている。つまり山田詠美は言霊使いなのだ。
失礼ながら還暦を迎えられた山田詠美が、このタイミングで『私のことだま漂流記』を世に出した気持ちはわかる気がする。2023年を迎えて最初に読んだのが本作である。だからという訳ではないが、あらためて原点を見てみようという意味で、デビュー作『ベッドタイムアイズ』を読み始めた。
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詠美先生の文章は職人技とも思えるほどの洗練さと都会の香りとちょっと危ういLoveで、ずっと私を感化して下さってました。
その自伝というか、生の声を一冊の本で読めるのは今更だけど興奮モノ。
積み重ねられた知識と経験があってこその数々の小説なのだと納得。
かつて夢中になって読んでいた小説、また再読したくなる。
まだまだ活躍して頂きたい作家さんです。
『文芸春秋』の芥川賞選評は欠かさず読んでいていろんな意味でニンマリしてます。
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確かに山田さんが登場した頃の文壇あるいは世間というのは、こんな雰囲気だったと思い出す。
トガリ方よりも、彼女を支えた先輩達の存在に、そうなのかと驚いた。特に270ページの人達は、接点すら思い浮かべることが出来なかった。野口冨士男、八木義徳、芝木好子、江藤淳、古井由吉。その他のページにも、色々な作家がひょっこりと驚くような形で。
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山田詠美の本を初めて読んだのは、放課後の音符。
それ以来大好きな作家となり、エッセイでのポンちゃんもまた大好き。
懐かしい本のタイトルが出てくるたびに、自分の過去も思い出した。
忘れていた大事なことを思い出させてくれた。
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自伝的私小説とか。
全てのことが事実かは不明だが
それでもここまで赤裸々に自分自身を描ける小説家という人種は面白い。
字を書けるだけでは作家になれない。
作家は職人である。
なるほどと思いました。
年齢を重ねるにつれ
山田詠美の興味も変わってきていると思うと
次に何処へ行くのか
次回作が楽しみになってきます。
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作家、山田詠美(本名・山田双葉)の自叙伝。幼い頃から想像力が豊かで実行力があったのだなとしみじみ感じ入る。自由で正直で逞しい彼女の生き方が小説に生かされている気がした。
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デビューしてからのマスコミのいじめにあうあたりから俄然面白くなった。山田詠美とはいえ、かなり凹んだのだなあ。我関せずでずっと堂々としてるイメージだったのだが。そこで支えてくれた文壇の大御所たちが、山田詠美の腕を磨いてくれたという。
私もかつて、「風味絶佳」を読んで、山田詠美ってなんかメチャクチャ一皮剥けてるわー、震えるくらい上手いー!と驚いた記憶がある。それ以来、山田詠美LOVEだ。
それにはこんな日々があったのだな。
「『いじめ』は、苛められる側にも原因がある、としたり顔で言う人がいるが、それは間違っている。常に、苛められ方が悪いのである。人を傷つける衝動を抑えられない根性なしにして、加害者なのである。」
まさしく!
「権威であることと、権威的であることは、ぜーんぜん違うー!」
その通り!
「私は、小説を書く真剣さに、よこしまな感情が似合わないとしったのだった。賞賛とか名声とか名誉などを欲しがっては、書く言葉が濁ると本気で思った。」
なるほど。
「成功者は相手の不運に対して鈍感だ」
確かに。
「私と私の小説を悪しざまにののしったほとんどはらいわゆる『団塊の世代』と呼ばれた男たちだ」
嫉妬ですね。
I hate his guts (あいつのはらわた大っ嫌い)
この言葉覚えとこー。
Posted by ブクログ
これ読んでますますポンちゃんのファンになる。
小学生の頃、転校生という理由でいわれなきいじめをうけてたなんて、どちらかというといじめっ子側かと(失礼)
特に給食のパンのくだりは可哀想だった。
そうゆうのって忘れないよね。
そして波乱万丈の恋、ふられたことがないってどういうことかというと、”逮捕か強制送還か死のどれかだったから”っていうのがすごい。
水商売のバイトと黒人に彼、文学とはかけ離れたとこで常に中傷、批判されつづけでも、その中でも援護というか親切にしてくれる作家仲間もいて(宇野千代 水上勉 古井由吉 河野多恵子 森瑤子等々)
そして、編集者で親友の石原正康氏との出会い。
男女を超えたソウルメイトっといってもいいのかも。
彼との仲は一生続くんだろうね。
今の旦那さんとは仕事と用事以外はいつも体のどこかがくっついてるくらい仲良しだとか。
これからも著者も小説を読める幸せをかみしめてるよ。
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山田詠美さんも60代!…当たり前なんだけど、『ぼくは勉強ができない』を読んでて、「詠美さんは、自分とはちがう世界の人で手に届かないけどひそかな憧れ」。最近の著作(エッセイ)を読んでなかったものだから、ずーっと「永遠の不良少女」(すでに古語?)のイメージのままでした。
でも。
詠美さんの人生を振り返って書かれた本作を読んだ感想は、「中身は変わってないな~」「すごく正直なひとだなぁ!」昔も今も、自分にとって「信じられる大人」という感じです。「自分に嘘をつかない」「基本、のんびりだらだら過ごす。好きなことをする。めんどくさいことは極力やらない。好きな人には やさしく、自分にもやさしく」「でも自分を傷つけるやつに対しては徹底的に戦う。自分と自分の大切な人を守るために」という姿勢が、「詠美ねーさーん!」と、慕いたくなっちゃうゆえんなのでしょうね。
マスコミからバッシング受けて傷ついても、へこたれず立ち上がり、小説を書くことで復讐していく…感じ…。ゾクゾクしながら「詠美さんもクッソーと思いながら(書くことで)戦ったんだから…よぉし!ワシも負けんぞ!」と、力が湧いてくるような気がしてきました。
Posted by ブクログ
10~20代に1番読んだ作家さん。懐かしいタイトルが沢山でてきて本当に幸せな一気読みでした。
とくに沼った原点でもある『放課後の音符』。私も娘ができたらぜったいに読んでほしいって思っていたからファンレターの話に痺れました。
それと同時に山田さんが自身のサイン会に来る女の子はおしゃれで可愛いと評判だとインタビューで答えられていたことも思い出し、そうなんだよ、山田詠美を読んでいたら可愛いくてクールになるんだよと。もう本当に大好きです。
あと、何気に面白かったのが文字の復讐。あの2名、思わず検索してしまいました。山田少女を虐めた子も、ずーっと悪事が残ってしまうね。
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今回の作品は小説家としての自伝小説。60歳をこえた彼女がこれまでをどう振り返って、どう表現するのか興味があって読んだ。
書くということに対して、プロフェッショナルで誠実な人であるのだと強く感じた。
また山田詠美の新しい小説を読みたいと思っている。
Posted by ブクログ
「人には木漏れ日を必要とする者たちとそうでない者たちがいる」
「涙がぽろぽろとこぼれ落ちた。悲しみでこぼすのとは違い、悔しさで流す涙は頬を伝わない、と知った」
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山田詠美さんにしかできない表現で綴られる自伝小説でした。
現代国語の教科書を自分では選ばないアンソロジーとして、1日で読み終えるほどの文学少女・山田詠美さん。
幼い頃から触れてきた文学や音楽、経験が生み出した山田詠美さんの言葉にますます興味を持ちました。
本書にも登場した「晩年の子供」「放課後の音符」は積読しているので読むのが楽しみです♪
Posted by ブクログ
山田詠美はデビュー当時のブームの頃はあまり読まなかったが、最近某文学賞の選考委員をしていて、授賞式で数回見たことがあるが、私が勝手に持っていたイメージと違い、常識的な話し方をする人だなと感じた。見た目もイメージと違ったし。
この本は、自伝的小説であると、最後の最後に気づいた。どこまでがフィクションなんだろうか。
また、宇野千代に対する敬愛ぶりがとても大きいのが意外だった。
Posted by ブクログ
P83
〈本を読むって不思議なことだなあ、と思った〉と。
読書は〈自由自在〉とも書かれている。
山田詠美さんほどではないけれど
宇野千代さん、瀬戸内寂聴さんなど
女性作家さんの著書をたくさん読んできた。
トレーニングを積んできたのだ。
もちろん、宮本輝さんの作品も読んだけれど
宇野千代さんの本を読むと勇気をもらえる気がした。
週刊誌などに書かれた記事を目にして
山田詠美さんのことを知った気でいたのだと思う。
そんな記事に振り回された自分を叱ってやりたい。
山田詠美さんの小説をもっと読みたくなった。