【感想・ネタバレ】名残の花(新潮文庫)のレビュー

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Posted by ブクログ

28年振りに維新後の東京変な戻って来た悪役界の超大物 鳥居耀蔵を通して、江戸時代の文化が失われていく町の様子を描いた作品。
妖怪とまで言われながら徳川の世を守りたかった鳥居からすれば西洋風にかぶれた風潮が許せなく、また自分が弾圧してきた能や大衆娯楽がかたや凋落、かたや逞しく生き残っている様を見て複雑な心情のなかでの行動など、非常に上手く描かれている。
この話は現代にも通じるところが多く、グローバルスタンダードとタイパ、コスパの波に負けず日本の伝統を残していきたいと思いました。

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2024年05月03日

Posted by ブクログ

「妖怪」と恐れられた元南町奉行の鳥居耀蔵。
失脚し、23年もの幽閉の後、目にしたのは
明治なり「東京」とかわった街の姿だった・・・

老武士の憤懣
能役者たちの矜持

それでも生きていかなければならない人々を描いた良作

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2023年11月09日

Posted by ブクログ

202210/面白かった!鳥居耀蔵になんならちょっとした愛嬌も感じるほど、さすが澤田瞳子うますぎる…。感涙と胸アツの読後感、名残の花というタイトルも納得、見事だ。

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2022年12月14日

Posted by ブクログ

鳥居耀蔵を主人公にしたら、一筋縄ではいかない作品になるだろうと思ったけど、さすがに、澤田さん、非常に面白い話だった。歴史は一面からばっかり見てはいけないということだろう。

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2022年10月19日

Posted by ブクログ

レビューに入る前に少しばかり前置きを。

以前読んだ『咲かせて三升の團十郎』にて、歌舞伎など娯楽全般を取り締まった南町奉行 鳥居耀蔵。『咲かせて…』ではさすが團十郎一座の天敵とだけあって、話し方は陰湿、目つきや顔色もとことん悪かった。舞台であれば、青い隈取りが施されているに違いない…
しかし意外にも、(團十郎の他に)読後わが心に留まったのは鳥居耀蔵だった。気になって調べた末、晩年の彼が登場する本書にヒットした…というのが経緯である。

計6話がおさめられており、いずれも1話完結型。タイトル及びストーリーは全て能や狂言の演目にちなんでいる。あれだけ嫌悪していた娯楽に全話丸ごと関わるのは、見方によれば滑稽に映るだろう。

直属の上司だった水野忠邦を裏切った罪により23年間幽閉されていた耀蔵(以下、本書に合わせて胖庵(はんあん))が、維新後の東京を嘆くところから物語は始まる。『咲かせて…』では風紀取締のついでに私欲に走る悪代官だったが、ここでは真面目一辺倒の遊び心がない人間という描写だ。
そして徳川家のバックアップを失った若き能楽師との思いがけぬ接触が、頑なだった胖庵の心を溶かし始める。

「何が古く、何が新しいかなぞ、考えるな。ただ己の道だけを見つめ、そのために精進すればよい。それが新しき世を器用に渡れぬ者の定めじゃ」

不平を垂れながらも胸中では相手のことを認めていたり、かつての江戸を懐かしんでいる。老い先短く何の権力もない孤独な隠居に成り下がっても、今の自分に出来ることをしたい。
だから、衰退の途を辿る能の道を選んだ豊太郎を自分と重ねたり、自分が出会った人々の窮地に四の五の言わず駆けつけた。(ご隠居が暗躍する図が水戸黄門チックだったし、毎回ナイスタイミングなのもちょい引っかかったけど笑)

それから、胖庵と行動を共にする豊太郎くんの思いやりスキルが16歳とは思えない高さ!彼もまた出会った人々のために東奔西走。そのうえ胖庵の現役・幽閉時代をリアタイで知っているわけじゃないのに、彼の心痛を不憫に思い、誰よりも慕っている。

読後胖庵の最晩年を調べてみると、物語のラストから翌年、多くの子や孫に見守られ臨終を迎えたという。
好好爺ではなかったと思う。ただ新しき世に取り残された人々の世話を焼く一方で、いつも家族のことを気にかけていたのは確かなのだろう。
團十郎が表立って人々の心を救ったヒーローだとすれば、晩年の胖庵はさながらダークヒーローか。

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2022年10月10日

Posted by ブクログ

明治初期の 負け組となった人々の矜持

古いとき新しいとかではなく 自分の信じることをすれば良い

物事を大局から見ることができる人が どれぐらいいるだろうか。

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2022年10月10日

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