【感想・ネタバレ】女女問題のトリセツ イラつく女への7つの対処法のレビュー

\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

このページにはネタバレを含むレビューが表示されています

Posted by ブクログ

ネタバレ

女女問題を語る上で、排卵を促す女性ホルモン「エストロゲン」の影響が外せないようだ。

周産期には最弱の生き物になってしまう女性は、外敵や危険を察知するため、エストロゲンの分泌開始と共に「自我の肥大」と「猜疑心」が女性脳を席巻する。すると他者のちょっとした一言に敏感に傷ついたりする。さらに、動物界で最長の子育て期間を有する人類の女性は、昔から女性グループの中で子育てを行うことでお互いに子供の生存率を上げ合っていた。そのために「ひとりでいられない」「誰かに大切にされて、安心したい」という感覚が備わっている。その果てに「誰かと一緒にいたい」「その誰かに、誰よりも大切にされたい」と欲するようになった、と著者は述べる。

また群の中では、生存率を上げるために周囲からの一方的な支援を受けたいがため、誰よりも愛される必要があり、群れの中で「一番大切な存在でありたい」と欲し、一番は無理でも、せめて「周囲で一番愛されている人の傘下にいたい」と思う傾向があるらしい。「群れたいくせに、一番になりたい」という矛盾の上に成り立っている女性のグループ。思春期の仲良しグループや、子育て世代のママ友グループなどに底通する特徴が垣間見えるようだ。

また「群れて、守ってもらいたい」ので、他人からの評価に敏感になる。それは逆に自己肯定感の低下につながり「いい子、いい人、いい女」を演じるようになる。すると、どうせ他人の評価に身を委ねるのであれば、自ら感じたことを自覚しても無駄であると脳は判断してしまい、自分の「好奇心」が働きにくくなってしまう。すると女性は「生きる意味」を周囲の労いや感謝、賞賛に見出すようになる。これは生殖本能が薄れた40代後半以上に特に顕著になり、それらがないと自己価値を見失ってしまう傾向にある、と筆者は語る。

エストロゲンに振り回される女性の生きづらさがヒシヒシと伝わる本書。例え子供を産まないと決断したって無差別に付きまとうエストロゲン。その働きを知り、自身も周囲も理解しあって共存していくしか無さそうだ。

あと印象的であったのが、育児中にスマホに集中する母親が増えたために、ミラーニューロン不活性型の人類が増えているという話。

スマホ以前では、育児期に母親とよく目を合わせて、笑い合い、話しかけられ、手遊びしたりして過ごしていたため、ミラーニューロンが働き、当たり前のように「微笑み返す」「手を振り返す」といった共鳴反応の体験ができ、コミュニケーション能力を培っていく。

その体験が減ったスマホ以降では、反応の薄い子供が増えたり、先輩の背を見て仕事を覚えるのが苦手になってきている。先輩の所作が車窓からの風景のようにしか見えず、先輩が「何をしているか」を脳が感知せず、「あ、手伝わなきゃ」という発想が起こらないらしい。

著者はこれは進化であるとし「なんでやらないの(手伝わないの)?」とイラつくよりも「これやってね」と言うようにしたら最近の子は素直にやってくれるとアドバイスする。指示しなくても動いてくれた部下から、指示すればちゃんとやってくれる部下に、世の中のトレンドは変わってきているのだろう。

0
2024年04月27日

「社会・政治」ランキング