【感想・ネタバレ】夏日狂想のレビュー

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礼子と共に生きている気分になることができた。
彼女は美しく、その周りを取り巻く男の人達は逞しくも幼くも欲深くもあり、彼女の人生を分厚く彩っていた。この本きっかけに中原中也の詩集を買って読んだが、背景を知った上で読む詩は学校の授業で惰性で読む時と印象が大分変わり面白かった。

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2023年08月24日

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「僕はふがいない空を見た」に衝撃を受け、それ以来注目をしてきたが、直木賞受賞作も私の中ではそれを超えるものではなかった。
でも今作品は読み進めれば進めるほど、深く胸に刻まれるものがあった。特に「心は一瞬離れた。でもそれが私の一生の後悔になった」という下り。

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2022年11月07日

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実在した文人達をモデルにした小説ってビミョーだよね?と思いつつ読み進めたんだけど、これはかなり好きな感じだったわーwww

久々に、中也の詩集を読んでみたくなりましたねw

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2022年10月27日

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物語中盤までネタバレで書いていますので、これから読まれる方はお気をつけください。



愛するものは、死んだのですから、
たしかにそれは、死んだのですから、

もはやどうにも、ならぬのですから、
そのもののために、そのもののために、

中原中也「春日狂想」


明治37年広島県中島本町生まれの野中礼子は女学校へ人力車で通うお嬢様。
『少女画報』に作文を投稿したり、2歳上のお姉さまの寿美子との友情を育んでいます。
礼子の夢は松井須磨子のような女優になること。
礼子の父は脳溢血で亡くなり、母も後を追おうとして首を吊りますが助かります。
寿美子は医者になるという夢をあきらめて九州へお嫁に行くことが決まります。
寿美子に言われます。
「東京に行きなさい。新しい時代の新しい女におなりなさい」。

礼子は教会で知り合った川島悟のつてで東京に行きます。東京では小山内薫への紹介状は何の役にもたたず、大正12年9月1日、関東大震災で、礼子と川島は京都へ逃れ、礼子はマキノ映画製作所の大部屋女優となります。

そこに現れた3歳年下の中学生で詩を書いている水本正太郎と礼子は恋に落ちます。
「初めて好きになった人なのよ」
「あの人の詩が好きなの」
礼子は水本とともに上京し、日活に移ります。
礼子は水本の友人で帝大仏文科に通う片岡武雄と知り合います。
片岡に「僕と暮らさないか」と言われ、礼子はついていってしまいます。
水本が礼子を何度も迎えにやってくる場面では純真な水本が可哀想で涙が出ました。

写真(映画界)は男の世界で後ろ盾のない礼子はやっていけませんでした。
銀座のバーで働き始め、美術評論家の新田三郎に「あなたは確かに物書きの目と顔をしている」といわれます。

礼子は店のお客の子どもを身ごもりますが礼子の出産を喜んでくれたのは水本だけでした。
水本が滋雄と名付けた男の子はすぐに亡くなり礼子のかわりに水本が泣いてくれました。

礼子は文筆活動を始めます。
水本は他の女性と結婚し、第一詩集のみを遺して享年30歳で亡くなります。

戦争が始まります。
「千人針などで兵士の体が守られるものか」と礼子は書き、それも書き直しの指示が出されます。

そして、広島への原爆投下。礼子の本格的な文筆活動、と盛りだくさんの内容ですが、この作品は礼子が本当はたった一人の男性のみを愛していたのに、毒婦とよばれながら激しく生きた女の一生でした。

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2022年10月16日

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明治大正昭和を生きた女性のお話。
この時代の女性がここまで強い意志を持って生きたことは
きっと現代の私たちが想像する以上。
広島の原爆ドームが陳列物産館だった頃の話は貴重だった。
中原中也のイメージがガラッと変わった。笑

”髪を編んだり装飾具を身につけたり着飾ったりしてうわべだけの人になるのではなく、思いやりのある柔和で平穏な人になりなさい”

”じっと待つんよ。気が熟すのをじっと待つんよ”

”生きているうちは生きたいように生きれば、ただそれだけでいいのさ”

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2024年03月21日

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大正から昭和を生きた礼子の生涯。
序盤から中盤は恋多き女という印象ですが、人生の後半で作家として花開く礼子。
女性の強さ、たくましさを感じられる1冊。

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2023年05月22日

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激動の時代を生きたある女性の人生。
女優という仕事に魅了された礼子の苦悩が生々しくも描かれており、平凡な人生を歩みつつある自分としては、何だか羨ましくもあり、幸せでもあるような、複雑な思いで読み終えた。

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2023年01月28日

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長谷川泰子をモデルにした小説。Wikiによれば、広島出身で女優(芸名:陸礼子)となり、中原中也、小林秀雄と同棲し、『ゆきてかへらぬ—中原中也との愛』(口述)という著書があるらしい。。。全く知りませんでした。

前半はちょっと読みにくいところもありますが、礼子が文学に手を染めてから晩年までのエピソードはグイグイと惹き込まれました(ややウルウル)。荻窪に住んでいたというのも中央線沿線の住民としては親しみが持てるところ。

それにしても、小説家というのは命を削りながら世の中に何かをアウトプットするんだなあと。書く側、読む側、の間には大きな壁があるけど、常に読む側の我々にはとても想像できないような精神世界に生きている、、んだろうか。

中原中也の『春日狂想』くらい読んどかないとかな~。

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2023年01月14日

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中原中也、小林秀雄との三角関係で知られる(とwikipediaに書いてある)長谷川泰子をモデルにした作品。なのだが、評伝やモデル小説というわけではなく、窪さんのかなり奔放な想像力で書かれている。
大正から昭和という激動の時代を、大部屋女優や雇われマダムなどをしながらも自分に正直に生き抜いた女性の一代記だ。関わった男たちはみな文学に取り憑かれており、彼女もその影響を強く受け、やがて文学の世界に足跡を残す。
生まれた時代が違っていたらおそらく違う生き方ができたのだろうけれど、その生は否定されることはない。

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2022年11月26日

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これまた大河小説だったわ。
中原中也から小林秀雄に乗り替えた(言い方悪いけど、こういうイメージであったことは否めない)長谷川泰子の一生を、多分フィクション多めで描いた小説。
なまじ”器量よし”であったために女優を目指し、東京に出てきて三歳年下の中学生の子どもみたいな中原中也で出逢う。
東京に出てくる時も”お兄様”と呼ぶ川島がいたり、中也と暮らしてたのに、中也を捨て片岡(小林秀雄)と暮らし始めたり、そのあとはやはり文士の”橘”と籍は入れず、内縁の妻のように暮らし…。ほんとに恋多き女、なんだけど、
読む進むにつれて掃除婦をしながら誰にも頼らず、小説や雑文を書いてつましく暮らしてる礼子(長谷川泰子)にだんだん肩入れしたくなる。
中也とは別れたけど、きっと誰よりも強く繋がっていたんだろうなと思われる。
小説では水死(幸せな最期)を思わせるラストだったけど、
読後感は爽やかできっと天国で大好きなお父さんやすぐ死んでしまった息子の茂雄、広島で原爆にあった少女、そして中也にも会えただろうね。
タイトルの夏日狂想は、中原中也の代表作、”春日狂想”からつけたもの。

愛するものが死んだ時には、
自殺しなけあなりません。

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2022年11月11日

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大正から昭和にかけて
文学を愛した女性の人生を描いた作品。
男性にすがって生きているように見えるけど
実は物凄く芯の強い礼子。
水本の魅力がもっと伝わればいい。
私にはあまり魅力的な男に感じなかったのが
残念。

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2022年10月27日

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直木賞受賞後第一作。基本窪作品は無条件で読むようにしているので前知識無しに読むが、このタイトルはどうみても「春日狂想」のオマージュと思え、ということは中原中也絡みと想像がつき、読み始める。すると野中礼子は長谷川泰子(読後にウィキペディアみたが、女優時代の芸名が礼子なのね)、水本は中原中也、片岡は小林秀雄、服部道子は林芙美子と想像しながら読み進めた。まあこれら有名人をオマージュしながらも、これはあくまで伏線で、礼子という架空の人物を通して、女性が一人の人間として生きにくかった時代に男に翻弄されながらも自分を見失わず、波乱万丈でありながらも力強く生きた叙事詩と感じた。傑作とは思わないが、受賞後初めての作品という重圧を跳ね返した力作ではある。

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2022年10月21日

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ネタバレ

著者直木賞受賞直前に雑誌連載されていた長編。長谷川泰子をモデルにした小説で、主人公と関わる男たちにも中原中也をはじめそれぞれにモデルがいるので、史実を調べながら読むと興味深い。但し泰子の晩年は大きく異なるフィクションになっていて、ひとりの女の書き手としてこんなふうに終わりたいという著者自身の思いが垣間見えた気がする。

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2022年10月20日

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淡々と。
熱いものを平たく。
こういう生き方もあるなぁと。
やはり老いたら、若い人に教えをこうていかねば。
そして、やりたいことは何歳でも諦めないこと。

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2024年03月19日

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礼子の強さに才ある人達は魅了されたのかなぁ。年齢を経て美貌も愛する人達もなくなったけど、最期に自分を労う礼子さんで良かった。中原中也の写真の大きな目しか浮かんでこん。

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2023年03月15日

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実在の人物をモデルに描かれた小説とは知らずに読み始めた。
大正~昭和の激動の時代を、夢を追いかけながら生きていくというと素敵な感じがするけれど、礼子自体があまり好きになれなかった。
恐らく、恋愛に奔放というか、運命を感じたようなふうで長続きしないところ、「夢」って言いながら結構あっさり手放しちゃうところ(特に前半)などが共感できなかったせいだと思う。

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2023年03月03日

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礼子に長谷川泰子を重ねながら小説なのでそこは自由に描かれているのだろうが、知っていることをだらだら読まされているようで読んでいる時間がもったいなかった。ただ橘と別れて1人で暮らし始めてからの最後の50ページは小説家になっていく面白さがあって良かった。

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2023年02月14日

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時代背景が大正、昭和の頃。主人公の女性が男性社会に混ざり奮闘する。決してキレイごとでは済まされない世の中で迷いながらも恋や自分のやりたい仕事に主人公が懸命に取り組んでいる姿に心打たれました。小説ではありますが、ドラマを見ているような感覚でした。

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2023年01月07日

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大正から昭和にかけての女性の人生 - 窪美澄「夏日狂想」★★★☆☆

大正とか昭和って女性は生きにくいよね。だから安定しているという面もあるかもしれないけど、やっぱり人間として扱わる現代のほうが良い時代だ。
個人的には結局男に依存しているように感じるし、内縁の夫に失礼すぎだろ!
#引用
・人や家々だけではなく、文化も焼き尽くす。それが戦争なのだ。
・あるのかどうかもわからない世間というものの目におびえることなく、会いたい人に会い、やりたいことをやるべきだ。

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2023年10月27日

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何と言うか、少し肩透かしを食らった気分。
もっと熱く文章を書いていく人だと思ったし、その美貌を活かしてのし上がっていくかと思った。

そのときに付き合っている男に尽くし、自分より男を優先するし、自由奔放な恋愛も別にしていない。
礼子は、世間が言うほど悪女でもなく、地味なのだ。


でも、もしこの物語が、礼子が大きな成功をし、大作家となる成功譚だったらと思うとそれはそれでそう都合良くいくものかとも思いそうだ。
女性の活躍がまだまだ認められていなかったこの時代、当然のことなのかもしれない。

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2022年12月26日

Posted by ブクログ

すごい大作で…読んでてめちゃくちゃ疲れた。全身全霊っていうのが、著者もそうなのですが、物語の中の人たちもだから、熱量の高さに圧倒された。

お恥ずかしながら中原中也についてあまり詳しくなくて、彼の周りの人たちと言われてもピンと来なかったのですが、中原淳一モデルが出てきた時にようやく私のテンションあがりました(大好き!!笑)

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2022年10月30日

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